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国家基本問題研究所は平成23年6月24日、東京・永田町の全国町村会館で月例研究会「放射線被害の虚実」を開催しました。
東京電力の福島第一原子力発電所の事故を受けて開かれたこの研究会には、
原発事故担当の首相補佐官の細野豪志衆院議員、がんの専門家の山口建静岡県立静岡がんセンター総長、原子炉に詳しい山名元はじむ・京大原子炉実験所教授がパネリストとして登壇し、櫻井よしこ理事長と議論を交わしました。
会場は285人(会員212人、一般42人、議員3人、議員秘書2人、報道関係者7人、役員9人、パネリスト関係者2人、スタッフ8人)の参加で、熱気に包まれました。パネリストの細野氏は3日後の27日、菅内閣改造の「目玉」人事の一つとして、原発事故担当相に起用されました。
櫻井よしこ 福島第一原子力発電所事故の結果、多くの人がいまだに避難所暮らしをしています。ひと月前の数字ですが、530人以上が避難所で亡くなっている。避難所の方々がこれから生活をどう立て直すか、ほとんどめどが立っていません。健康を取り戻すにはどうしたらいいのか、そもそも放射能は人間の体にどういう影響を与えるのか、ということからお話をうかがいたいと思います。 山口建 結論を出せないものもありますが、ある想定をしないと話が進みませんので、私が真実と思っていることを説明します。まず、100ミリシーベルト(mSv )以下の低線量被曝ばくで健康被害が出るのか出ないのか、という点です。十分なデータがないものですから、学者としては「分からない」というのが正確ですが、分からない中で「ない」という言い方に近い人も「絶対にある」と言う人もいます。 私は、低線量被曝で健康被害は生じるという立場を取るべきだと思っています。国際放射線防護委員会(ICRP)はそう言っています。「年間20mSvを10万人が被曝すると、将来がんで死亡する人が100人増える」というのが一つの仮説です。 原発事故から3カ月経過した今となっては、被曝をゼロに戻すことはできませんが、被曝線量を個人管理にすることで「より良い生活」を送れるはずだというのが私の主張です。よく勘違いされますが、「年間20mSv以上の地域には住まない方がよい」というのは間違いです。「年間20mSv以上を1人の人が浴びない方がよい」というのが正しい。つまり、汚染された地域に住んでいても、ときどき地域外に出て、また戻って、年間の被曝線量を20mSv以下にすればよいのです。
また、低線量被曝による健康被害を「打ち消す」方法は非常に簡単です。後で紹介するがん対策を一生にわたって続ければ、健康な生活に戻ることができます。
私が、今、一番恐れているのは、大震災の影響で自殺者が急増することです。その対策をしないと、亡くなる人今の事態を有事ととらえられない政権は、政権を担う資格がない。すべての問題は菅首相が有事であると認識できないことに由来する。民主党は情報公開を唱えてきた政党なのに、原発事故で説明責任を果たさなかった。国民がパニックを起こさないように肝心な点をあいまいにし、結果としてうそをついてきた。20キロ圏内の住民に一斉避難してもらったのは、原発が水素爆発する危険が残っていたため。その危険がなくなれば、放射線量を測り、戻れる地域については戻るかどうかの選択を住民にしてもらってもよい。(略)電力不足で企業が海外に逃避する状況はつくれない。
同心円の避難区域を設定し、住民を一斉避難させるのではなく、放射線量を実測して年齢別の許容限度を設け、健康被害のほとんどない中高年には帰宅を選択できるようにすべきだ。生活習慣の改善や検診の強化などがん対策をしっかりすることで、被爆者のがん死を減らすことは可能。当面は鬱うつによる被災者の自殺を増やさない対策が急務。「美しい福島」を取り戻すことが被災者の一番の励みになる。国は環境修復のビジョンと放射能汚染物処理の統一的基準を直ちに発表してほしい。自然エネルギーはお天気次第で、天然ガスの火力発電が控えとして必要になる。原子力は怖いから自然エネルギーに、というのは甘い。原子力はエネルギーの安定供給を担う役割があるが、100人どころではなくなってしまいます。 以上が結論ですが、もう少し詳しく説明します。
がんの発生確率は被曝線量に比例するというICRPの仮説では、10万人が年間20mSv を被曝したと仮定すると、被曝がなければ「3万人ががんで死亡し、7万人ががん以外の病気で死亡する」ところを、被曝のために「3万100人ががんで死亡し、6万9900人ががん以外の病気で死亡する」ことになります。 ICRPの勧告で、あまり強調されていないのが年齢差の問題で、小児では放射線への感受性が3〜4倍、胎児や乳幼児は10倍以上の可能性があります。
これは、低線量被曝にも適用されます。一方で、低線量被曝では、60歳以上では健康被害がなく、40歳以上についても被害はわずかとみられています。 健康被害対策は容易です。被曝量を個人管理することで、より良い生活を送ることができます。今すぐ実施すべきことは、ガラス線量計という計器を一人ひとりに持ってもらい、個人の被曝線量を計測することです。経費は1人1年間7000円程度で済みます。また、携帯型の線量計で、自分が住んでいる所の線量を計測してもらいます。これは1台3万円です。そうすれば被曝線量の個人管理が可能になります。予測線量に基づく集団管理から、実測線量に基づく個人管理へ移行するのです。
それが可能になると、今のような全員一斉避難をやらなくて済むようになります。年齢を考慮する避難態勢を敷き、場合によっては帰宅もできるようになります。私案では、事故が収束するまでの1〜2年間は、40歳以下は年間5mSv以下、40〜60歳は年間20mSv以下、60歳以上は放射線業務従事者並み(通常作業で年間50mSv以下、5年間で100mSv以下)程度の規制にとどめ、その後、地域の放射線量が平常に戻れば、後で述べるがん対策を合わせて実施することで健康被害は出さなくてすむと思います。また、避難区域の設定は、同心円ではなく、実測線量に基づいて行うべきです。
このような管理を実施することで、自分自身で避難するかどうかを決定できるし、例えば牛の世話のため父親だけ戻るといった個人単位での決定も可能になります。
20mSv近くになったら1〜2カ月温泉に行ってまた戻るという避難時期の選択もできるようになります。 同時に、将来にわたって、被曝した住民のがん対策を充実させれば、がんによる死亡を減らすことができます。福島原発の内部で高線量被曝した人も、福島県内で低線量被曝した人も、取るべき対策は同じです。被曝した人の一生の面倒を見るのはわれわれ医師の仕事で、特に低線量被曝による病気の9割9分9厘はがんです。
がん対策の3点セットの第一は予防です。生活習慣の改善のほか、被曝線量をしっかり測り、減らすことが予防になります。第二に、がん検診と特定検診に、「福島メニュー」を加えること。第3に、40歳以上では、症状をチェックし、異常があれば医師の診察を受けるくせをつけることです。この3点セットで、がんによる死亡を多分3分の1ぐらいに減らせます。「福島メニュー」としては、小児・若年者の検診を検討すること、甲状腺がんや白血病などを追加すること、がん検診費用を福島県民にだけは(国の補助金で賄えるように)特定財源化すること、さらに、100年間の管理体制が必要です。
低線量被曝の場合の、がんにかかるリスクは決して高くはありません。被曝線量100〜200mSv の場合、生活習慣の「野菜不足」と同程度です。それほどリスクは高くないのに、住民は今、大変な思いをして避難所生活をしているのが実情です。そのリスクに基づき適正な行動をする必要があると思います。
最後に、大震災による自殺者対策が急務です。震災のため家族や家や仕事を失い、社会の関心が低下し、義援金が届かないなど実質的な支援が乏しいと、心のエアポケットに陥り、鬱うつやアルコール依存となって、結果的に自殺につながります。
深刻なニュースを知った後の心の動きは、最初の数日間は起きたことを否定し、次の1〜2週間は恐怖や混乱を招き、その後は何とか現実を受け入れていくが、抑鬱状態になります。今はこの時期であり、ここをどう乗り切るか、です。 櫻井よしこ 菅政権は住民をともかく避難所に送り込み、仮設住宅をつくって、元の生活に戻ることを許さない。いつまでこれを続けるのかということについての合理的、科学的説明がないのです。山口先生が言っているのは、「そんなことをするよりも、住民を戻して自分の生活をさせる方が、被害を少なくして、より健康に生きることができる」ということです。原発事故から立ち直るためには、家に帰れる人は戻してやることが重要です。
山名元 被災した住民が早く不安をなくして(普段の生活に)戻れるためには(放射能)汚染の広がりを何とかしなければなりません。原発事故後のいろいろな重要課題のうち、「美しい福島を必ず取り戻す」(国レベルの事業として環境修復と汚染物対策を行う)ことが、被災者に一番の励みになります。また、わが愛する祖国が人工的なもので国土の一部を汚染してしまったことに対し、自分たちの力で修復する意志を持つことが国家再建の基本になると考えています。そういう意味で、本日は環境修復の話をしたいと思います。
文部科学省と米エネルギー省が航空機を飛ばし、地上に沈着している放射性セシウムの量を福島県上空から測った汚染分布地図を見ると、福島原発から半径20 キロの同心円の外に、沈着量の多い所があります。3月14日夜の事故で大量の放射性物質が放出されて、風に乗って北西方向に流れ、次いで北からの風で南に流れたとみられ、L字型に沈着が広がっています。また、私ども京都大学が測定器を車に乗せて走り放射線量を測ったところ、場所ごとに違う汚染状況が明確に出てきました。
車は道路を走っただけですが、山の中に入っていけば、放射線量の結構高い所があるはずです。つまり原発からの距離に応じて一律に汚染を考えるのではなく、場所ごとに考える必要があるのです。
人間が汚染地域に住むと、沈着している放射性物質から出るガンマ線を体外から取り込んでしまう(外部被曝)。また、その地域で取れた野菜や牛乳などを摂取すると、体内にも放射性物質を取ってしまう(内部被曝)。旧ソ連チェルノブイリ原発事故では、内部被曝の影響は外部被曝と同レベルか、外部被曝より大きいケースも出ています。人生における被曝量のうち、外部被曝の量は線量計で測れるが、内部被曝の量は推定が難しいという問題があります。
実は、放射性セシウムは地表からほとんど地中に潜っていきません。福島の場合は、表土を1センチほど削れば、元のようにきれいな土が現れるのです。
浸透が遅いといっても、時間がたつと少しずつ浸透するので、セシウムを取るなら早い方がよいと言えます。 環境修復は早くしないといけませんが、問題は森林です。セシウムは樹木の葉に多く付いており、森林は立ち入り禁止にするしかないという議論もあります。居住地では、積極的に除染すれば住民は戻れます。国は除染のトリアージュ(優先度決定)をできるだけ早く行い、除染できるところはおカネをかけて除染し、住民が戻れる目安を示してほしいと思います。
「国家基本問題研究所だより」8月号より引用
福島原発事故直後の3月末の時点で、かつ、最も汚染度の高かった地域で0.10マイクロシーベルト以下の甲状腺被曝でしたら、この地域の子供たちから甲状腺がんは発生しない、というのが専門家(札幌医大高田純教授)の見解です。 また、「除線」は・・・とても大切な「国のお仕事」です。安心した環境を整えることは日々の生活のベースですので、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
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> 国際放射線防護委員会(ICRP)はそう言っています。
中村仁信氏(大阪大学名誉教授)はこのICRPの委員で、内部事情をよくご存知で、実はICRPの委員でも、決めた基準は間違っていたことに気づいているが、すでに国際的に通用しているので、変更することに躊躇しているのが現状。
との事です。
2011/8/20(土) 午前 5:36
政府・自民党に、お願いをしています。それは、中国へいろいろな形で巨額のお金を払っています。議員も把握できていないくらいです。これを、除線にあてるべきです。京都議定書の排出権取引で今年度1兆数千億円です。これも、復興に充てるべきです。
国民の声を政府・議員に届けてまず、除線、環境復興をすることです。転載させていただきます。ありごとうございます。
ポチ。
[ 雅楽平和 ]
2011/8/20(土) 午前 5:37
いつも貴重な情報をありがとうございます。
放射線は素粒子の世界です。人間の体も分子ではなく核や電子の世界で考えると、素粒子から見れば空間ばかりです。
この核や電子を構成する力をコントロールしているのが、生命力=免疫力です。
つまり、この空間に入り込んだ放射線からの悪影響を防いだり、
利用したりしているのです。
ホルミシス効果です。
自然界の物体のように人間の体を単なる物体と考える科学者は、この生命力や免疫力の世界は個人の考えかたで変わるのでデータに採用しません。
結果のみのデータで判断します。
真実を知って不安を少なくすることも必要ですが、この免疫力を積極的に取り入れた考えを広めて欲しいものです。
不安を打ち消す報道(言葉)は免疫力を活性化させます。
免疫力が増大した人達が増えて、悲観的なデータを素晴らしい方向に塗り替えることを期待しています。
(済みません、前回のコメントを間違って削除してしまいました。
再度の文章なので違いがあります。)
[ 越前の守 ]
2011/8/20(土) 午前 10:49
hitoさん
そうなのですか・・・
貴重な情報をありがとうございました。
みなさま方のご参考になれば幸いです。
2011/8/21(日) 午前 10:16
雅楽平和さん
みなさまが安心して生活をするためには「環境復興」も急がれますね。
転載、ありがとうございました。
2011/8/21(日) 午前 10:20
越前の守さん
貴重なコメントをありがとうございます。
ましてや・・・二度までも投稿してくださったようで、恐縮します。
貴殿のお言葉をそのまま記事にして載せたいくらいです。
この度のコメントは、お言葉の奥にある貴殿の「人と成り」も拝見したようです。
誠にありがとうございました。
拙いブログではございますが、今後ともよろしくお願い致します。
2011/8/21(日) 午前 10:30