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書庫偉人に学ぶ

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中村久子は、ヘレン・ケラーが訪日された折りに、手作りの和風人形をプレゼントされたお方で有名な方ですが、当時彼女は自分が作った人形のあまりものみすぼらしさに恥ずかしくなり、「持ち帰りたい」と懇願したそうです。しかし、主催側の係の方が、「せっかくだから」と半ば強引に渡された人形です。
 

ヘレンはその人形に触れてみました。すると、どうでしょう。表側の美しい十二単の下には何もなかったのです。久子が作った着物は、とても丹念に一枚一枚精密に作られており、幾重にも丁寧に重ねて着せられておりました。帯もひもも本物通りで、腰に巻く布も正確です。糸の縫い目もしっかりとしています。


 ヘレンの指先が人形の足もとに行ったときでした。その足には足袋がはかされておりませんでした。久子には足がないので足袋が履けない為、つい普段の自分のように必要がないものと思い、人形にも足袋をはかせていなかったのです。ヘレンは、この時すぐに、「この人形の作者に会いたい」と言われたそうで、面会するや否や、その繊細な指先で久子の全身に触れていきます。 久子は3歳の頃、脱疽に冒され、両手は肘から先、両足は膝から下を失っており粗末なアルミニウムの義足をつけておりました。


その冷たい足に触れたヘレンは、久子の足もとにそのまま崩れ落ち、彼女を抱きしめると、「私を世界の人たちは奇跡の人と言うけれど、あなたこそ、真の奇跡の人です」と言ったのです。久子は泣きました。


それは、ヘレンから戴いた言葉で涙したのではなく、その時にはすでに他界されていた母に対して「感謝に気づくのが遅すぎたことへの悔し涙」であったのです。久子は、京都西陣でも十指に入る仕立て職人として名を知られ、書家としてもその名を高くしておりますが、両手両足のない我が子を自立させるために、必死の思いで技術を身につけさせた母の思いは、いかばかりであった事でしょう。母親の、あまりもの躾の厳しさに恨みをも通り越し感謝の気持ちすら抱いたこともなかった久子が初めて涙した瞬間です。



怒りのままに

腹立ちのままに

かなしみのままに

与えられないままに

足らないままに

生かされているこのひととき

手足の無いままに生かされておる

真理の鏡によって 自分の

心のとびらを そうっと開いて のぞく

そこにはきたない おぞましい自己がある――

そして 今日も無限のきわまりない

大宇宙に 四肢無き身が

いだかれて 生かされている――

ああこの歓喜 この幸福を

「魂」を持っておられる誰もが共に 見出してほしい

念願いっぱいあるのみ――。      


(中村久子 『こころの手足』 146頁 春秋社)




手足なき 身にしあれども生かさる いまのいのちは尊とかりけり。

逆境こそ恩寵なり。

人生に絶望なし。いかなる人生にも決して絶望はない。

         どんなところにも生かされていく道はございます。                       

                 
(黒瀬昇次郎 『中村久子の生涯』 292頁 致知出版社)


  • tomie先生。いつも素晴らしい記事をアップしてくださりありがとうございます。励まされます。感謝!!

    rose

    2013/2/19(火) 午前 10:37

  • 顔アイコン

    tomie teacher 泣く。恥ずかしさ、情けなさ、甘えてる自分に痛い。<( _ _ )>凸。転載。

    [ nar*sa*a_ik**u ]

    2013/2/19(火) 午前 11:59

  • 顔アイコン

    すばらしいですね。
    ナイスです

    散位 アナリスト杢兵衛

    2013/2/19(火) 午後 6:05

  • 顔アイコン

    こ人の自叙伝、小学生の時読んだことがあります。
    転載。

    [ S260425 ]

    2013/2/19(火) 午後 6:26

  • 顔アイコン

    roseさん

    辛い時には、このように自分よりもっと過酷な中を生きている人(生きてきた人)がいると思って

    頑張ってまいりましょうね。

    本当に、涙なくして読めません・・・

    感謝ですね。

    tomie_teacher

    2013/2/21(木) 午前 7:42

  • 顔アイコン

    ikiruくん

    私も書きながら、ikiruくんと同じ気持ちででした。

    涙、涙・・・

    転載、ありがとうございます。

    tomie_teacher

    2013/2/21(木) 午前 7:45

  • 顔アイコン

    0:04分さん

    試練を乗り越えた人でないと言えないお言葉ですね。

    その試練は大きければ大きいほど、得るものもまた沢山あるということなのでしょう。

    とはいえ・・・ほとんどの人は挫折しがちです。

    この差は、松下幸之助さんではありませんが「ものの見方、考え方」なのかもしれません。

    全てにおいて、良き考えが持てるよう努力したいものですね。

    tomie_teacher

    2013/2/21(木) 午前 7:50

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    アナリスト杢兵衛さん

    本当に、頭が下がるとはこのことですね。

    「私だったら、どうしたであろうか」と、思い悩んでしまいます。

    肉体も鍛えれば強くなりますが、精神も又しかり・・・強くなるのですね。

    私もまだまだ鍛え方が足りません・・・反省!!

    tomie_teacher

    2013/2/21(木) 午前 7:56

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    S260425さん

    何十年か前に読んだ感覚とはまた違って感じるものがあると思います。

    転載、ありがとうございます。

    tomie_teacher

    2013/2/21(木) 午前 7:58

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