|
ここはアインクラッド城。一昨日開幕した新アインクラッド攻略の真っ最中である。
ちなみにまだ第一層はクリアされていない。それもそのはず旧アインクラッドの時も一週間以上はかかったのだ。
それにいくらそのときの情報が今利用されて効率よく攻略が進んでいるとはいえ、迷宮区のマッピング作業はやはり骨が折れる。
さすがに迷宮区のマップを暗記している強者は居なかった。
そしてキリトとアスナは今迷宮区の入口付近でレベル上げを行なっている。お昼になったということでアスナの弁当を食べながら
少しダンジョン内の安全圏で休憩をしていた。
「ね、ねえキリト君?あのさ……」
「どうしたアスナ?」
今日の朝からアスナの様子は少し変だった。
「あ…あのさ、結婚についてなんだけど……」
「!!」
キリトはついに聞かれたかと思った。実はキリトはアインクラッドに入るなり早速結婚システムについて調べていたのだ、幸い旧
アインクラッドの時となんら変わりないものだったのだ。その時はアスナを見つけ次第結婚を申し込む予定だったのだが、今は違
った。
「うーん、そんなに急がなくてもいいんじゃないか?ほら、まだ第一層だし。」
「………え?」
アスナの顔が青ざめた。無理もない。アスナはまさか断られるとは思っていなかったのだ。これにはキリトもさすがに焦り
「いやいや!結婚はちゃんとするよ?でもさ!ほらもっと落ち着いてからやりたいじゃん?まだゲームも始まったばかりだし…」
キリトは必死に言い訳をした。もちろん理由はあるのだが、なんというか…彼女の前では非常に言いづらかった。
「そ、そうだけど……」
明らかにアスナは落胆していた。キリトもそんなアスナを見ていられなかったが、まだ結婚のタイミングでは無いとキリトは思っ
ているので
「ま、まあ、アスナ、別に結婚してなくてもほら!オレらこうやってコンビ組んでる訳だしさ!大丈夫だよ!」
と慰めとは言えないがキリトにとっては最大限の慰めの言葉のつもりだった。
「そ、そうだけど……」
アスナの顔色は未だに戻らない。もちろんアスナにだってキリトが結婚しない理由はわかっていた。そう、彼は無駄なところで格
好つけでありどうせムードを作って何もかも準備してからきっとプロポーズしたいのだとわかっていた。しかしアスナはやはり待
っていられなかった。今はまだこの世界では会っていないリズベット達にキリトを取られるような気がしたのだ。いや、そんなは
ずはないことはアスナは十分分かっている。しかし、やはり何かの形をつくらないと不安なのだ。
アスナの落ち込み様を見てキリトはかなり気まずくなってしまい
「さ、さあ!今日はちょっと疲れたし街に帰ってログアウトしようか!明日から学校も始まるしな!」
と言って転移結晶を手にとった。
「う、うん……」
アスナは未だショックから立ち直れていなかったが、女性を励ませるほどキリトの対人スキルは上がっていなかったのでキリトは
何も声をかけることができずにログアウトした。
「ふーー……アスナに悪いことしちゃったなぁ……」
キリトはアミュスフィアを頭から取り少しの間ベッドで横になりながら考えた。
「どうやって明日、アスナを元気づけようか……」
そう、明日は学校の入学式なのである。二年間ほど社会から離脱していたSAOプレイヤーのための学校が設立されており、そこに
はSAOで遅れた二年間を取り戻すためのプログラムが特別に施されているのだ。
もちろんアスナとキリトはお互い学生だったため学校での勉強が遅れておりここで勉強せざるをえなかったのだ。しかしまあ、な
んというか彼らも勉強はもちろん嫌いなのだが学校に行って勉強するという行為が現実に戻ってきたということを実感させてくれ
るので別に悪い気はしていない。むしろ遅れた二年間を取り戻せることを感謝する生徒がほとんどだ。
「うーん、もう夜の十一時か……学校あるしそろそろ寝ようかな……」
と携帯を見ながら一人でつぶやいているとメールの着信音がなった。画面表示を見てみるとアスナからだった。
『明日入学式終わったら一緒に帰ろうね!後今日はごめんなさい!別に気にしてないからあんまりキリト君も気にしないでね、じ
ゃあ明日は八時過ぎに学校最寄りの駅集合でいい??』
と表示されていた。
『了解!八時過ぎだな!後今日のことだけど、俺のわがままごめんな。悪いけど結婚はちょっと待っててくれな…じゃあまた明日
おやすみ!』
と返信しベッドに横になった。もう一日中VRMMOの世界に浸れるのも今日が最後なのだ。学校が始まるとゲームの世界に入れる時
間も短くなり必然的に攻略組から撤退しなければいけない事態になる。しかしやはり学校が学生の本分なのでキリトは少し苦悩し
ていた。
そしてキリトは携帯の画面を切ろうとしたときふと違和感を感じた。何か忘れているような、そんな感じだった。何かが足りない
気がする、と思ったが思いすごしだろうと思いそのまま眠りについた。
気がつくと辺り一面が真っ暗だった。そして目の前にはまだ幼い少女がいた。
「パパ、ユイは本当の娘じゃないのに今までありがとうございました。」
「な、何言ってんだユイ!」
「ママにもありがとうって言っておいてください。さようなら」
「ちょっと待ってくれユイ!」
そう言って俺の前にいた少女ユイは消えた。
「ユイー!……アスナ!アスナはどこだ!アスナ!ユイが消えた!!アスナ!!」
俺はただただ叫んでいた。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん」
キリトは体を揺さぶられるのを感じ、起床した。何事かと思い、隣を見ると妹の直葉が二階のキリトの部屋まで起こしに来てくれていた。
「お、おう直葉……ん?朝か。おはよう」
「おはよう、お兄ちゃん大丈夫?」
直葉は心配そうな表情でキリトをを見つめた。
「ん?時間か?……まだ七時だから余裕だぜ?」
そう言ってキリトは枕元にあった目覚まし時計で時間を確認した。SAOの世界なら後一時間は寝ていたのだが……と少し感慨にふけっていたら
「そうじゃなくて!なんかうなされていたよ?なんか最後のほうはアスナさんの名前言ってたし…」
「え、俺うなされていたの?」
キリトは夢の記憶が全くなかった。まあ、夢の内容なんて覚えている事の方が少ないから仕方のないことだ。しかし夢のなかにアスナが出てきてそして寝言でアスナの名前を口にし、さらに妹の直葉にそれを聞かれていたのでキリトは赤面した。直葉は赤面したキリトを見て
「なるほどねぇ。うなされていたんじゃなかったのかぁ、お楽しみだったんだねぇ。楽しい夢の最中起こしちゃってごめんね。これからは気をつけるね。お兄ちゃんが楽しい夢を見てる最中は起こさないようにね!!じゃあ私下に降りてるから早く支度しなよ」
とかなりトゲのある言い方をして部屋を出た。
「……スグの奴、何怒ってるんだ?」
キリトは部屋を出ていったばかりの妹に聞こえないようにボソッとつぶやいた。
新品である制服に着替えて一階のリビングに降りるともう朝食の支度ができていた。どうやら白ごはんとアジの開きと卵焼きとサラダのようだ。
「あれ?お母さんは?」
キリトは辺りを見回して母を探したが見つからなかったので聞いてみた。
「あぁ、なんか仕事で今日は六時ぐらいに家出ていったよ?」
「へ、へぇ、大変なんだな。」
ということはこれは直葉が朝自分で作った料理なのか、と感心しながら食卓についた。
「いやー美味しそうな料理だなぁ……いただきます!」
と言ってキリトはアジの開きを一口食べた
「うんうん、おいし……ん?」
キリトはたしかに自分の脳に伝わってきたアジの開きの味に違和感を感じた。
「なんか少しピリッとしているような………………………ぐわぁぁぁ!!辛ぇぇぇぇぇぇ!!」
キリトは顔を真っ赤にして悶えた。これは七味か一味かの調味料を大量に入れられているとキリトは直感した。
「ううううう!み、水!!スグ!水」
と部屋の周りを探したが妹は居なかった。きっと影から見ているに違いなかった。
「うぁぁぁ!!」
朝から最悪だった。
八時ジャスト、最寄り駅に着くとすでにアスナがいた。そして待ち合わせの時お決まりの『ごめん待ったか?』『ううん、私も今来たことろ』みたいな会話を始めにしてそこから学校へと共に向かった。
「へぇーそんなことがあったんだー」
キリトは今日の朝の一部始終をアスナに話した。
「そうなんだよー、スグの奴何を怒ってるのかわからないけどあれはひどいよなぁ」
と苦笑していた。
「まあ、直葉ちゃんもお年頃だしねーいろいろと考えてるんだよ」
「だからって七味まみれのアジの開きなんてつくるのか普通?」
「う、うーん、まあね…」
このような会話をしていくうちに学校にだんだん近くなっていきそして周りも同じ制服をきた人たちが多くなってきた。そう、この制服を来ているということは皆SAOのプレイヤーだったのだ。もしかしたらこいつらともどこかで会ってるかもしれないなぁ、とキリトが思っているとふと声が聞こえた。
「なぁ、あれ<閃光>のアスナ様じゃね?」
「だよな……隣に歩いてる男だれだよ!」
「あ、あれ<黒の剣士>じゃね?」
「え?なんであの二人が一緒に歩いてるんだよ」
「う、噂によると…SAOの時にはすでに付き合ってたらしいぜ…」
「ま、マジかよ」
「いや、俺はそれどころは結婚していたっていう話を聞いたぞ」
「な、なんだと!俺たちのアスナ様が…」
このような会話が聞こえてきて、キリトとアスナはお互いに少し離れた。
「そ、そうか、俺たちの関係知ってる奴って多いと思っていたんだが以外と知らない人もいるんだな。」
「そ、そうよねぇー…ま、まあ上層組は知ってたかもしれないけど低層にいた人たちには、れ、連絡が回らなかったんだねーたぶん。」
キリトは周りの男子生徒からの目線を避けるようにして歩いた。そしてアスナともさらに距離をおいた。これ以上近づいたら殺すぞ、そのような殺気を感じ取っていた。
ちょっと改行のタイミングが変ですいません、メモ帳からコピーしてやったらこうなっちゃうんですww
面倒なので直してないですwwwww
|
全体表示
[ リスト ]




