MONOKURO STYLE〜大人の休み時間〜

白でも黒でもない..........そんなキモチの日もある

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孤独な光と影の狭間

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■LIFE 孤独な光と影の狭間




  僕は2009年の年の瀬に、年末まで追われていたイベント業務を終わらせるとそのまま
  車を高速道路に乗り入れた。
  世間一般に、不景気という追い風に逆らう事もなく当然の様に時間だけが過ぎて行き
  当たり前の様に、また新たな1年を迎えようとしていた。

  そんな中でも、何年ぶりかに帰る実家への帰省はどことなく心は忙しく、高ぶる気持ちも
  景気とは対象に上昇していた。

  それでも、インターネットも携帯も繋がらないこの故郷にに今まさに向かいながら、この2日間
  という休日をどう過そうかという事も課題にもなり、ある意味利便性に慣れた僕にとっては
  少々、罰ゲーム的な2日間になりそうな感じもあった。

  唯一、楽しみだとしたら年末に会社の忘年会で当てた地デジテレビを母親にあげる為に
  持参していた事だろう。

  人もまばらな、田舎の町で地デジとは、笑ってしまう所だが、お年玉代わりに持参したテレビ
  こそが、この実家で過す唯一の娯楽になろうとしていた。

  

  そして、2010年の幕開けとともに朝方、実家に着いた僕は久しぶりに見た元気そうな
  母親の顔で新年の幕が上がったのだ。


              「いや〜! お帰り〜!! 生きてた〜!!!」


実に、新年そうそう縁起でもない「生きてた〜」の挨拶に僕は「明けましておめでとう」の
  言葉を言うタイミングさえ失い、苦笑するのが精一杯だった。

  僕は、挨拶代わりに持ち込んだ、テレビを母親の前に差し出すと得意げにテレビより忘年会で
  特賞が当たった事の方を自慢していた。

  母親は、驚きと嬉しさが混じり合った表情で久々の僕の帰省など何処吹く風の様な雰囲気で
  喋り同士喋っている空気に飲み込まれていった。

             「ずいぶん、薄いね〜」

「これで、どこに機械が入ってるの?」

「スイッチも、こんなにボタンがあって・・・・・」

次から次へ出て来る言葉は、まるで昭和の時代にカラーテレビが始めて家に来たときの様な
  光景を一人で演出していた。

  僕は、テレビを繋ぐと、ふと面白いお遊びをしようと思いつき、仕事が持ち歩いているハンディー   
  カムのビデオ鞄から取り出すと無言でそのテレビに繋ぐと、ビデオのレンズを母親に向けた。


             「いや〜、新年一発目は凄い映像だな〜」


「やだ、何? テレビにも映ってるじゃん!」







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そこには、大型画面に映し出された時代の流れとともに変わりつつ母親の姿が映し出されていた

 僕は、母親の騒いでいる声をバックに、レンズ越しに映る年老いた母親の姿を暫し見ていた

 そして、横目でテレビに映る白髪混じりの髪に、垂れた皮膚、何よりもシワの数に紛れもなく
 
 現代のテレビの素晴らしい性能の中に、紛れもないありのままの母親の姿を見せられていた。

 

 僕は、日々の時間の中で忙しさを理由に遠ざかったいた故郷に忘れかけていたものを再度胸に
 刻み込まれた。 同じ時間の中に生き、同じ時間を過ごしている中に変わって行くものはこう言う
 事だと、テレビの画像に映し出された身近な母親の顔に教えられたのだ。

 人と人の触れ合いや、雑踏の中に生きている自分にとっては寂しさは感じないが、人里離れた
 この町で生きている母親にとっては孤独な事かもしれないと・・・・・
 近くで笑い、励まし、支え合う事そのものが人として一番欲しいものなのかと今日までの自分に
 自問自答して新しい年の時間は過ぎて行った。


 そして今でも大切な事、そして大切なものは何かと、あの日撮影しビデオに映る母親の
 姿を時より見ては心に刻み込んでいる。


                                 


                ・・・◆ 追伸 ◆・・・

           遅くなりましたが、新年明けましておめでとうございます 
           2010年、僕にとってこんな新年の始動になりました。

           皆様にとって、この1年が幸多き年でありますよう心から
           お祈り申し上げます。

           また、年末年始にご挨拶頂きました皆様方有り難うございました
           今年は、少しでも多くのコメント、更新をして行きますので
           本年も宜しくお願い致します。


                              モノクロスタイル 


 
  
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      ■ DESIGN 聖夜に届けた記憶のカケラ




 街は赤や黄色のイルミネーションが煌めき、そしてどこからともなく聞こえてくるお決まりの
 メロディー。 今年も1年で一番、白髪に白髭の爺さんが注目される季節がきた。
 僕はと言えば、中国から帰社したものの、その後も日本と中国との狭間でサポート業務に追われ
 気が付けば、時間と時間との空間さえ感じられていなかった気がする。

 そんな時でも、頭の片隅から消す事が出来ないのが、この季節だろう。

 今となれば、子供の頃のクリスマスの思い出と言ったら子供ながらに信じきって枕元に置いた         靴下と、2メートル以上もある、祖父が山から切ってきたモミの木が家の中にあった記憶が脳裏に焼き付いていることぐらいだろう。

 そして、田舎育ちの僕には、ハイテクなおもちゃや、最新のゲームにはほとんどと言っていいほど
 縁がなく、プレゼントにはこれと言って期待感は持てなかった。

 それよりも僕は、プレゼントよりサンタクロース自身に会いたくて睡魔に襲われながらも
 朝まで格闘した記憶の方が何より印象に残っている事も、実に馬鹿馬鹿しい話しとなっている。

 今の子供達には、きっと馬鹿にされ、鼻で笑われる様な事を真剣に考えていた自分が大人になれば
 思い切り笑えるのも、ほんの束の間のおかしな話しである。



 そして、僕はそんな季節の到来とともに、ある場所に出向く事になる。

 それは、大人になった自分自身がサンタクロースになる季節になる時が来たということなのだ。

 僕は、今年の夏にも訪問した親のいない子供たちが集まるあの施設に行く事だ。
 親の虐待や、いじめなどから精神的に閉ざされた小さな心の扉を開けようと3年前から始めた
 クリスマスイベント。
 親の愛さえ知らずに、そして親自身をも受け入れられない闇の中の瞳に、少しずつでも灯を灯して
 あげたいと始めたイベントは、3年経った今では、地域のボランティアの協力も得られ20人体制の
 大イベントになって来た。

 思い思いの交通手段で駆けつけた20人の大人達は、集合時間の6時には、赤と白に統一された
 コスプレ軍団に生まれ変わる。
 20人ものサンタクロースという、異様な光景に自分自身も「はっ!」と気がつく瞬間もこの時だ。 

 そして僕たちは、前もって子供達に欲しいプレゼントを書いてもらっていた通りの物を精一杯の
 気持を込めて手渡しする瞬間は、本物のサンタになりきっているような錯覚にも落ちて行く。


       『シンケンジャーの刀とベルト』
       『うさもものトランクがほしいです』
       『手芸用品』『アンパンマン?』『いも・・・???』

 3歳から17歳の、思い思いの欲しいプレゼントは多種多様で用意する前段階で楽しませて
 もらえるのも、この瞬間だ。
 そして、そんな楽しい時間の中から、苦しみが生まれたのも今年のイベントだろう。

 40枚近くの、欲しいプレゼントを書いたカードを目で追う中で、僕は1枚のカードで手が止まった
 文字とも絵とも言えない、不格好な模様は紛れもなく一言、こう書いてあった。











             ’’’『まま』’’’











 『まま?』って。。。。。。。。。。。。。
 最初の一言は、ここから始まった。
 
 施設の多くの子供達が、親は健在で会いたい時に会う事が出来る。イメージ 2
 だが、不幸にも交通遺児はそう言う状況ではない。 そして僕は、この『まま』を書いた子供の意味
 を施設長に問いただした所から悪戦苦闘の日々が始まったのである。


 生まれて間もなく両親が離婚してしてしまった美優ちゃんは、父親の顔を知らない。
 そして、母親と暮らすも、その母親の虐待という運命を背負いながら3歳まで生きてきた。
 そして、その母親も昨年他界。。。。。。
 こんな、運命があっていいのかと、心を締め付けられる思いで僕は言葉を失った。
 施設の子供の大半が、最低でも片親がいる中で、プレゼントのほとんどは親からの援助でも
 賄っている。

 その援助が得られない状況と、「まま」というプレゼントを用意出来ない現実に時間が止まった。

 そして、迎えたイブの夜。 紅白に身をまとったコスプレ20人衆は思い思いにプレゼントを
 渡す為に、子供達の元に散って行った。

 希望通りのプレゼントをもらった子供達は、喜び、はしゃぎ、その場で中身を出しては歓声を
 あげていた。
 そして僕は、最後の1つとなった、「まま」と書いた、美優ちゃんのもとへと足を運んだのだ。

 おカッパ頭に、大きな瞳、その瞳の中に僕のサンタ姿が映し出される。

 僕は、空っぽになった大きな袋から手の平に隠れる程の小さなプレゼントを差し出した。




             「はい、美優ちゃん!」

「サンタさんからのプレゼントだよ〜!」




「あっ! ママだ〜!」




思わず叫んだ小さな瞳に、今はいないママの姿が映し出される


     僕は、星形の透明なキーホルダーの中に生前の母親の写真を入れて美優ちゃんに
     そっと差し出した。
     
     美優ちゃんは、それを大事そうに両手で握っては、何度も何度も写真を見ては微笑んだ


              「これで、いつもママと一緒だね」


「うん!」

      

     僕は、抑えきれない涙を精一杯唇をかんでこらえながら施設を後にした


     辛い経験や、苦しい体験を通って来ても、そしてそれを与えた原因が母親だとしても
     子供にとって母親は母親なんだと.......小さな心に記憶として残る母親の面影を
     ぼんやりとでも追いかけている小さな心と、自分の幼き日のチッポケだが幸せな
     クリスマスの記憶を、気が付けば重ね合わせていた

     

     そして、今でも浮かぶ美優ちゃんの小さな差し出した腕に刻まれた無数の傷跡やアザの数を  
     今も消す事が出来ないまま、僕のクリスマスの夜は更けていく


                                 モノクロスタイル


 

     追伸; 更新がなかなか出来なくて申し訳ございませんでした。
         沢山のコメント、温かい激励のお言葉、ひとつひとつに
         お返しが出来なかったこと.........
         この場をお借りして『皆様ありがとうございます』とお返し
         したいと思います。

         どうぞ、皆様。
         残り僅かな2009年。
         悔いの残らぬ様、楽しい思い出を作ってください!







 

雨+記憶のWednesday

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MONOKURO STYLE @ EAST




■1DAYS 雨+記憶のWednesday




東京では梅雨入りしたというのに夏かと思う様な猛暑が2〜3日も続いていた先週。
僕はそんな中、この暑さから少しでも解放出来るかの様な場所、軽井沢に撮影の為、車を走らせていた
久しぶりに、このアスファルトジャングルの様な街から避暑地の涼しい場所の仕事という事で、
心はどことなく観光気分で弾んでいたのだが、ひとつだけ気なる事と言えば一緒に同行するスタッフの2人が見た目からして暑苦しいという事だけだだろうか..........

身長180センチに体重110キロの広瀬を筆頭に、そのアシスタントで付いてきた小暮も170センチの身長に108キロとまるで像の親子を乗っけてのアニマルツアーは今まさに始まろうとしていた。

行きの車の中、どことなく酸素が薄くなるような違和感を感じながら、エアコンの効いた車の中は
妙な熱気に包まれていた。僕は普段の食事の事や学生時代のスポーツの話しをしながら年齢とともに
増えていく微妙な体重の話しで盛り上がっていた

            「モノクロさんは、部活、何やってました?」

「部活って.....うちの方は田舎で子供が少なかったからね」
             「強いて言えば野球をやっていたかな......」

考えてもみれば、町中の子供を集めても15人たらずという場所で、到底部活などと言える程のものは
存在しなかった。15人の子供たちは、それぞれが掛け持ちでいくつかのクラブ活動に参加して
隣町との試合となると2つも3つも違う競技に参加していた頃を思い出した。


            「野球ですか〜! 僕は柔道でしたよ」

「広瀬さん、柔道ですか! 僕も柔道でしたよ!」

僕は、柔道話しで盛り上がる2人を横目に、「なるほど.....この身体は」と像の親子の意外な接点を
見つけた様な気持になり一人自己満足の世界に酔いしれていた。

そんな話しをしている間にも、気が付けば景色は都会のビル群を抜け出し緑溢れる自然の空間へと
僕たちの車は引き込まれて行った。都会では味わえない山々の景色、その山達に包まれるかのように
佇む小さな街並。やはり週に1度はこんな景色を見ていたいものだと心の中で呟きながら僕は本来の
癒しの空間へと向かう気持に嬉しさを隠せなかった。

そして、高速を降りた頃だろうか思わぬ天候の変化にまた自然の不思議さをも感じていた
突然のぽつぽつと降り出した雨に、小暮はさっきまで晴れていた場所と雨になった場所の境目を探し
盛り上がり、そんな子供の様な疑問に真剣に考える広瀬。まだまだあどけなさが残る20代トリオの
会話はどことなく小学生の頃の自分の姿にも見えていた。
 そして、さっきまでの暑さを和らげてくれるかのように涼しげな気分になった頃、僕は1つの小学校の校庭の前で車を止めた。                     イメージ 2

 そこには、静かに降り続く雨の中、黙々と一人で鉄棒にしがみついている少年の姿があった

僕は、この場所の空気を肌で感じる為と休憩を兼ねてその少年のいる場所までスタッフと一緒に
行ってみた。

          「僕、何年生?」

「3年生........」

          「3年生か〜。雨が降ってるのに大丈夫?」

「............................................」

「お友達は?」

「............................................」

僕の問いかけには、応じる様子もなくただ単に怪しい人間に危機感を持っていたのだろうか.......。
それは無理もないだろう髭をはやした僕を筆頭に、巨漢の二人........危機を感じても仕方ない状況が
そこには揃っていたのだ。
そんな状況でも、黙々と鉄棒にしがみついている少年を見ながら僕は1つの事を思い出して聞いてみた


            「僕? 逆上がり出来る?」

「...............................」

その瞬間、少年は鉄棒にしがみつきながら下を向いて小さく泣き出した
僕は突然の行動に戸惑いながらも、1つの思惑が確信に変わった瞬間だった。それは逆上がりが出来なかった少年時代の僕が、まさにタイムスリップした様に目の前にいたのである。
 少年は、泣きながらもクラスで逆上がりが出来ないのが自分だけだと言うことも、あした体育の
授業で逆上がりの検定試験がある事も伝えてくれた。
 そして僕は、あの頃の自分とあの時逆上がりを教えてくれた近所の酒屋のおじさんの言葉を思い出して気が付けば少年のサポートをしていた。

         「いい。腕にチカラを入れて思い切り地面を蹴ってごらん」
「自分が回るイメージを作るんだよ」

    決して、力強く蹴り出すとは言えない少年を手で支えながら回転させる僕と
    何度も何度も、試すも青空へ半分も届かない足を掴んで回す広瀬と小暮。

       思いがけない休憩時間が、1つの成功に向けて動き出していた

  僕は、あの頃の自分の姿を自分自身で支える様に何度も何度も1センチ2センチと空に
 近続く足の高さを目で追いかけていた。
      

    そして、40分もした頃だろうか少年の足がどんよりとした空に真っすぐ伸びた瞬間
少年の身体が勢い良く今度は地面間がけて降りて来た
 始めて少年が一本の鉄の棒を中心に回った瞬間だった

僕たち3人は、今までたまっていたものを吐き出す様な歓声をあげて少年を囃し立てた
 
 1度、掴んだ感触はその後何度も何度も少年を鉄の棒に夢中にさせ、一人でも回れる姿がそこには
あった。少年はさっきまでの泣き顔とまったく違う笑顔で軽く会釈をすると母親に逆上がりの出来た事を早く伝えたいと走ってその場から消えて行った。

鉄棒と少年が引き寄せてくれた1つの記憶...................
気が付けば雨もすっかりやんでその場所には達成感に満ちあふれた3人の大人と
何年もの間、逆上がりの出来ない子供たちを見守る鉄の棒が1本残されていた

                                モノクロスタイル
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MONOKURO STYLE @ EAST



              ■FOOD ベジタブルライフの肖像




 春から夏へ........衣替えの季節に突入するとサラリーマン達の姿もあちらこちらでノーネクタイ姿が
見えて来る。所謂、クールビズと言ったところだが1年中、クールビズの僕にとっても何の違和感も
なく自然に解け込めるのもこの季節であろう。そして僕は、数ヶ月前に発覚した首周り3センチ増の現実から、僕なりに食生活や日々の軽い運動を少しは意識するようになったいた。
 不思議なもので、人は少なからずその立場や現状を叩き付けられなければ、自ら行動に移せないもの
なのか、僕自身隠れメタボという紛れもない現実に、始めて危機感を覚え、その時点から肉食から
草食動物へと意識して変わろうとしていた。
 そして気が付けば、食品1つ1つのカロリーを気にする様になり、毎日カロリー摂取量の足し算を
する習慣が、まるで経理担当が電卓をはじく様に知らず知らずのうちに、生活の一部として根ズいて
来ていた。ここまでする事が良い事なのかどうか分からないが、年齢とともに重くなって行く身体の
重みを考えれば、やむを得ない選択なのかもしれない。

 そんな、ベジタブルな生活を仕方なしに好むしかない僕に偶然ともあろうか、ある地方の農家の
仕事が舞い込んで来たのは、つい先日の事である。 農家と言っても、おのおのの畑や田んぼで
作った野菜や米などを産業会館で販売するという、その町の農家の人達にとっては、大イベントと
言ってもいいかもしれない。僕はそのイベント的、お祭りのポスター撮影を行う為に、もう一人のスタッフの青木と一緒に車を走らせていた。

静かな山間に、さらさらと流れる小川。まるで童謡の歌詞にも出て来る様な光景は大自然という大きな
台所のように見えて来て、ここで生活する全ての人の健康的スタイルが手に取る様に伝わって来る
 そして、3時間かけて辿り着いた場所に、今回の舞台となる産業会館が見えて来た
直ぐさま、担当者が出て来て僕を館内へと導き、この町の歴史やら農家人口の減少の問題などを
切々と話し始めた。


           「今は、農家をやられている方はどの位いるんですか?」

           「そうですな.....めっきり減りましてな〜20軒くらいですかね〜」

「20軒ですか.......」

           「昔はこの町のほとんどの家が農家でしたわ......」
「若い人が、この町から出て行ってしもうて後継ぎがおらんですね...」

担当者が語る、切実な内容に紛れもない現在の農家離れの現実が映し出されていた
そして、僕はいくつもの課題を突き付けられながらも多くの集客に結びつけられるような作品を約束すると言ってその場所を後にした。

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そして僕は、帰りの車の中、どことなく自分自身の田舎に似ている光景を車窓ごしに眺めながら、
何か良い案がないかと頭の中で考えていた。 そして暫く走った所で、あるものが目に止まった。


    無人野菜販売所.............

僕は、すかさず車を止めさせ、その販売所へと足を進めた

     今朝取れ立ての卵 3個50円.........

     キュウリ5本50円......トマト5個200円.............

他にも、数々あれどどの野菜も破格の値段だった。
そして、その横に置いてある大きな木製の箱には「お金はここに入れて下さい」と一言。
東京でも、僕の田舎でも見た事のない、こんなカタチの商いに驚きを感じてしまった

 そして、そんな驚きの光景を目の辺りにした僕は、しばしその場所で佇んでいると遠くの方から
人が近付いてきた。


     「いらっしゃい...........」

「こんにちは、いや〜僕始めてこういう店を見たんで......」

     「店って言う程じゃないよ.....あたし達が食べれるくらいしか作っちゃいんからね」

「それでも安いですね! おばあちゃんが畑をしているんですか?」

     「そうね....今は、じっちゃんがこんなだからね......一人で作れるのはこんだけだね...」


僕は、お婆ちゃんの横でもの静かにこちらを見つめている、車いすに乗ったお爺ちゃんの姿を見た

      「お婆ちゃんの所も、今度の産業会館のイベントに野菜を出すんですか?」

      「とんでもね〜よ.....こんなチッポケの百姓の作ったもんなんか出す程ないよ...」

「そうですか.....お婆ちゃんは毎日ここで売ってるんですか?」

      「そうやね...朝、取れた分だけ売ってんよ」

僕は、すかさず財布から200円を取り出すと目の前のザルに置かれたトマトを購入して青木と
その場で齧り出した。

        「上手い!モノクロさん上手いですね〜!」

青木の興奮状態の叫びとも言える一言に、僕もつられてかぶりついた。

太陽の日差しと、この大自然の恵みを一杯に注ぎ込んだトマトには確かに東京でいつも食べている
モノとは違う美味しさが伝わって来た。もしかしたら、ただ当たり前のように食べているから
その美味しさを感じなくなっていたのかもしれない..........。

あまりの感動に、僕と青木は本当のトマトの味というモノはこういう味なのかと噛み締める様に
その瞬間を楽しんでいた。そして、この味をスタッフにも食べさせたいと言う想いから、そこに並べて
あった5つものザルの上のトマトを購入した。

 トマトひとつに、こんなにも感動してしまうものなのかと微笑んでいるお婆ちゃん.......
そして、そのお婆ちゃんを支える様に車いす姿になっても店に立つと言う商人魂一杯のお爺ちゃん。
僕は、野菜1つに刻まれた幾つもの想いや、ドラマがあるのだと感じていた。

 そして、お婆ちゃんはそんな単純な僕たち二人を暫く見ていると奥の方でガサガサと何やら
袋詰めをしていた。そしてしわくちゃな顔でその紙袋を突き出した

          
        「おに〜ちゃん達、これ持ってって.............」

「お婆ちゃん! いいですよ! 」

        「いいの、いいの、どうせ畑に行きゃ一杯あるだから」

「でも、せっかくの売り物なのに悪いですよ」

 何と言っても、一歩も引かないお婆ちゃんの半ば強引的お土産を受け取ってしまった僕たちは
また寄らせてもらう事を挨拶に、その場を後にした。そして車に乗り込み、頂いた紙袋を足下に置いた
瞬間「チャリン♪」と鈴の音の様な音が聞こえたのを感じた僕は、もっと大きなお土産をもらった事に気付かされた。
 そこには、大きなキャベツが1個とキュウリと茄子が5個ずつ........そしてその野菜達を優しく
上から覆う様に、無造作に破れたチラシ広告が1枚入っていた。
 

                
 今日は、ありがとね

美味しそうに食べてもらえて

じっちゃんも喜んでるよ

帰り道、安全運転で気をつけての


そのチラシの裏側には、マジックペンで震えながら殴り書きした様な文字が幾つも並んでいた
そして、袋の奥の方にはタオル生地を縫い合わせたような、お婆ちゃん手作りの鈴の付いたお守りが
恥ずかしそうに入っていたのである。

 僕は、青木と二人.........。
帰りの車の中、もう1つずつトマトを手にすると、今度はお婆ちゃんの優しさを一口一口噛み締める
ように味わった。その味は夫婦で食べるほどの数しかない野菜を惜しみなく差し出す優しさと
喜んで食べてもらえればという野菜達への愛情さえ感じる普段では味わえない甘みを感じた瞬間だった


                                モノクロスタイル



 

1分45秒の記憶喪失

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MONOKURO STYLE @ EAST


一般に世間で「喰わず嫌い」と言う言葉があるのなら「乗らず嫌い」と言う言葉はあるのだろうか
 乗らず.....と言っても、単なる交通手段に乗ることではない。船や飛行機など、僕の周りにも苦手な人は何人かいるが、その多くが高所恐怖症だったり、泳げなかったりと、どこかで点と線が結ばれる
方程式が出来上がっている。そんな僕の場合は『絶叫マシーン』というものが乗らず嫌いの一つだろうか。
多くの人の中には、この得体の知れない乗り物に金銭を払い、身も心も一体化しているかのようにその瞬間瞬間を楽しんでいる。
 しかし、僕は過去の苦い記憶の中にどうしても受け付けられない心の重さが消せないでいた。

 そして、そんな話題に触れなければならなくなった理由には、つい先日のオフの日に起きた出来事が
関連してくるのである。



久しぶりの休日ともなれば、僕もそうだが、プライベートタイムを思い思いに過ごすものだが、今回は僕の知らない所で、どうやら極秘の計画が進んでいたようだ。
 その極秘プロジェクトこそ、スタッフ一同で行くストレス発散ツアーなのだ

誰が決めたか、ツアーと言っても大々的にバスを借り切って遠くへ出かける訳でもなく、スタッフ一人一人が順番でその当番の行きたい所に皆で行くという、言わば福利厚生とも言えない企画が10年も前から始まっていたのだ。
 そして、そのストレス発散の場所として当たり前のように「遊園地」を選んで来る、絶叫系好きの
メンバーが集まっているのも隠せない現実なのである。

そして、遊園地ならず絶叫マシーンオタクとでも言えるスタッフ達が考えることと言ったら、目的は
1つで、ただ絶叫マシーンに乗りに行きたいという事だけである。そんな僕は、何度も過去の遊園地
ツアーをクライアントとの打ち合わせだと誤摩化し誤摩化し逃げてきたのも隠せない事実である。

そんな事があってか無かってか、今回だけは何が何でも僕を遊園地に連れて行こうと、僕の知らないうちに企画はどんどん進んでいた
 
 僕は、そんなツアーの事などすっかり忘れていて、いつものように断る理由さえあれば大丈夫だと
安心していたのかもしれない。
 
  そんな中、何処か含み笑いをして近ずいてきた女子スタッフの一人が、帰り際に一言言った。

         「モノクロさん?!  明日9時ですからね」

「9時って......何かあったかな.....?」

         「嫌ですね.....今回のストレス発散ツアーですよ!」

「え.......聞いてないけど............」

         「またまた、清水君からもモノクロさんの予定ちゃんと聞いてますよ」
「今回は、モノクロさん予定ナシ!!って」


いま、思えば3日前に清水が聞いて来た会話にキーワードが隠されていたらしい......

僕は、確かにこのオフの過ごし方を清水に聞かれ、「特にないけれど映画でも見に行こうかな...」 と気持ちのままに答えた事が、まんまと極秘プロジェクトの罠にはまっていた事になる。

 清水の3日前からのリサーチによって半ば強引に組まれたツアーに今まさに引きずり込まれようと
 していたのだ。

  僕は、今更ながらクライアントとの打ち合わせだと、いつもの理由すら言えず恐る恐る聞いてみた

           「ほんと、聞いてないんだけど.......何処へ行くの?」

  こんな質問すること自体、同じ社内にいながら知らない事が、僕だけなのかという複雑な気持ちと
 単なる仲間はずれかイジメとしか取れない空しい思いで一杯だった。

           
           「今年は、チャボ君が担当ですから◯◯◯◯◯ですよ」



    聞くまでもなかった..................絶叫系集団の行く所はやはりお決まりのコースだった

僕は、勝手に極秘に進められた事に、どんな手段を使ってでも、その時間さえ逃げれればという答えを
探していたが、突然の事態に上手い理由など見つかるわけもなく、気が付くと犬の遠吠えのようにように社内で吠えまくっていた



            「俺.......絶叫マシーン乗れないよ!!」
            「本当に、冗談抜きで無理だよ〜!!」
            「どうなっちゃうか分からないよ!!」
            「何十年も乗ってないから.............ああ。。。無理だな〜」
 
 代わる代わる口から飛び出す言葉のどれをとっても説得力にかけ、僕一人が駄々を捏ねたところで
 企画が変わるはずもなかった。    イメージ 2               

 そして、楽しいはずのオフ日が一変して、激動の1日に変わる幕が開いたのである。
 
 過去に乗った事がある記憶を辿りながら、自分で自分に勇気を与え、今更、味わう必要もない
 目の前の恐怖に1分1秒時が来るのを過ごしていた。

 そして、当日の朝、変な興奮状態のおかげで一睡も出来なかった僕は気が付けば正座で迎えの
 車を待って居た

 僕の鼓動は高鳴り、気が付けばお迎えの車の中でも周りのスタッフに気が付かれないように右に左に
体を揺らしては記憶を思い起こしていた。

それは、思い起こすと言うよりもこれから乗り込む物体に少しでも慣れておこうとした最低限出来る
僕の心構えだったかもしれない

 そして、なんとか重い足取りで辿り着いた目の前に、大きな鉄のモンスターが現れた
その物体は、今にも僕を未知の世界に導こうと、今か今かとあざ笑うかのように聳え立っていた
 僕は、冷や汗でどうにもならない手を何度も拭いながら、いま刻々と迫り来る恐怖に覚悟を決めて
身を任せようとしていた。
 そして、直ぐさまもしもの事を考えて、パンツ売り場を確認しながらトイレへと急いだ

           「ああ.............本当に嫌だな...............」
        
     「このまま、逃げたい............いや逃げる事なんか出来る訳がない.....................」


 出て来る言葉は、こんな言葉しかなかった





そんな事を考えていると、昔 子供の頃に母親と乗ったジェットコースターの記憶が少しずつ
蘇って来たのだ

 

                 あのときの記憶..........

               父と母がいて、弟も....................



  乗りたくても身長が100センチに満たない弟を、尻目に兄の特権と誇りを胸に母と乗り込んだ
  あの日のジェットコースター.................。

              

               あの日も、こんな天気だった........。

  そして、コースターが上昇していくごとに、真下に見える父と弟が小さくなっていく。

 僕は、母が若いころに乗ったことがあると言うわずかなコースターの記憶に、子供ながらに期待と興奮の中、乗り込んだことも、必死で鉄の棒にしがみついていた時間の長さも、はっきりと蘇って来たのだ

 そして僕は気が付かなかったが、後で聞かされた母親自身がむかし乗ったことがあるジェットコースターとは数段違った恐怖を感じていたこと、あの時身軽な僕が飛び出しそうになっていたのを必死で押さえていたことも、思い出しては聞かされていたことの記憶が目の前に積み重なっていった


              あの時の僕自身の恐怖.........
              そして母の毎回のように出るあの時の本音...........

あの日から、僕の中に恐ろしいものだという固定観念が焼き付けられていったのかもしれない

            「そう、乳製品が苦手だったのも固定観念..........」
            「だとしたら..............今回も.....................」

 僕は僅かな期待と少し単純な理由を、自分自身を勇気つける言葉として見つけた様な気がした


  僕は、いまかいまかと待つスタッフのもとに意を決して歩いていくと颯爽とモンスターに
 乗り込んだ。

 まるで、その姿は愛と地球を守るHEROかのように自分自身感じていたが、そんな時間も
 スタートと同時に消えて行った


             生身の状態で滑り落ちる僕.................


叫びとも絶叫とも言えない声は


             周りに聞こえていただろうか...............


HEROになる....................


風になる..........................


右に左に逆さまに..................


やがて僕は「無」になった












「モノクロさん! モノクロさん!!」




聞き覚えのある声、遠くからだんだんと耳元で聞こえて来た





   自分の分からない所で、このバツゲームとでも思える企画は清水の声とともに終演した

         

   僕は、半ば失神していたらしい.............いや、半ば仮死状態だったかのように思える




   僕は、あまりの格好悪さと恥ずかしさの中に変な達成感を感じながらスタッフとの距離をあけた
  そして、観覧車に乗り込むと真下を歩く親子連れを見ながら一人呟いていた。

      「あの子達の、今日の思い出が一生の良い記憶であってほしい」と
  僕は、僕自身の子供の頃の思い出と重ねながら、一人激動のあとの静動を満喫した1日だった


                            モノクロス

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