MONOKURO STYLE〜大人の休み時間〜

白でも黒でもない..........そんなキモチの日もある

■MUSIC

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音人への変貌

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■MUSIC 音人への変貌



時に人は、何かのキッカケでいつもと違う自分に変わる時が来る
それが音楽だったり、好きなものに没頭することだったり、人それぞれキッカケは違うだろう
昨日の僕は、まさに人が変貌していく姿を目の当たりにするはめになった日だった。その日、僕は地方の観光用のポスターの撮影のために中央高速を走っていた............というよりも助手席に乗っていたという方が正解だが、運転するのはアシスタント。アシスタントと言っても、いつもの慣れ親しんだメンバーは風邪でダウンという事で、そのまた下のアシスタント駆け出しの新米だった。
 この新米というのが、普段はなかなか話すキッカケもなかったのだが、自分の田舎と近い事とと
どこか、おっとりとした癒し系の性格が自分のペースに合っていた。
そんな新米が新宿駅に迎えに来たam4:00。辺りはまだまだ薄暗く、春が近いという雰囲気とは
ほど遠い、寒さが身にしみる朝だった。 新米は、いつものおっとりとした雰囲気を醸し出しながら
僕に近付き、おもむろに缶コーヒーを差し出し、ぼそっと「おはようございます......」と一言。
 僕は朝から、パッとしない重苦しい雰囲気と、新米の寝癖だらけの髪型を気にしながら車に
乗り込んだ。 車の中は、もわ〜っと暖まったホットな空間と、小田和正の優しい歌声が流れていた。

 小田和正............オフコース時代を生きて来た僕には、どこか心地良くて最高の雰囲気だった。

ところが、首都高合流地点に差し掛かる頃、新米はダッシュボードに手を伸ばし、さっと1枚のCDを
引き出すと、小田和正の曲と差し替えをしはじめたのである。
 僕は、せっかく癒しの曲に迎えられたという喜びと、新米ののんびりとした運転に満足してたのに
何故に?と思いながら新米を横目で見ていた。

 そして、5秒後。 新米は変貌したのである。

CDデッキから流れて来る曲は、X-JAPAN。ハードな意気のいい音楽とともに彼の加速度も増して行く
あっという間に合流地点を通過したと思っていたら、すかさず追い越し車線に入り込み曲にあわせて
身体が上下左右にに揺れ出した。 僕はいきなりの変貌ぶりに彼に何かが乗り移ったのかと思った

  「いいよ、そんなに急がなくても............」

  「はい! やっぱり高速はこの曲ですね〜」
  「運転にもチカラが入りますよ〜!」

すでに獣化している彼を誰も止められない。僕は、新米の変身よりもスピードの方が気になり
恐る恐るメーターを覗き込むと目にはしっかりと100キロのメモリが刻まれ、彼のそのハンドルを
持つ手はドラム変わりにでもしているのかのように代わる代わるハンドルを叩いている。
 僕は、ハンドルを握ると性格が変わるという人の事実を突きつけられたと同時に恐怖心を得た
X-JARANの曲とともに彼のボルテージは最高潮。朝焼けの光に照らされた顔は普段の大人しい顔とは
対照的な攻撃的な厳つい顔に変貌していた                イメージ 2
 
 こんな事で事故ったら....................
僕は運転席の獣に自分の人生を任せるはめになってしまった今日と言う日を悔やんだ

  「ちょっと、飛ばし過ぎじゃないか?」

  「大丈夫ですよ! この曲聞いている時は調子いいんですよ!」

どんな調子だ..................... と一人、自問自答しながら僕は身を縮こませながら手に汗をかいていた
そして足はというと、いつでもブレーキが踏める様にと意味もなく運転席の方向に向いていた

 そんな無様な姿は、首都高のモニターにはさぞかし不格好に映し出されていただろう

そんな中、獣化した新米は冷静に話した

  「モノクロさん.........僕はこの仕事について最初一番苦手だった事がこの都会の道なんですよ」

僕も彼も田舎生まれの田舎育ち............信号も人気もない道での環境で生きてきた人間にとっては、
人の流れもそうだが、この車の数に戸惑いを感じていた頃を思い出した

  「僕.......先輩に最初に教えてもらった事って、高速道路の走り方なんですよ〜」

意外な言葉が返って来た。 カメラの仕事についていきなり高速道路の走り方とは........
何ともおかしな話しである。
そして彼は、生きてく上での人の流れるスピードを時には合わせないといけないという事を僕に話した
この高速道路もそうである。誰もが同じスピードで走って来るスピードに、入り込むにはそれなりの
スピードで入り込まないと相手に迷惑をかけてしまう.............少し無理もある答えに疑問を感じながらも僕は彼の上司が言いたい事を考えていた

人生、時には自分だけのスピードではいけない事もある.........................
その場、その場のスピード、つまり環境に合わせなければ相手に迷惑をかけてしまうという事を
上司は言いたかったのではないかと。

そして人は時に、普段では見る事の出来ない光景とはこういう事なのだろうか.....................

いつもは、おっとりと周りの人間を癒してくれるそんな彼のスピードも大切だろうが
 その場面場面で、自分を変える......変わる事が必要なんだと

そんな事を考えながら、変に納得させられると僕は煙草に火をつけた
そして、その横には今という時間のスピードを軽快に走る新米の横顔があった

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