MONOKURO STYLE〜大人の休み時間〜

白でも黒でもない..........そんなキモチの日もある

■1DAYS

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雨+記憶のWednesday

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MONOKURO STYLE @ EAST




■1DAYS 雨+記憶のWednesday




東京では梅雨入りしたというのに夏かと思う様な猛暑が2〜3日も続いていた先週。
僕はそんな中、この暑さから少しでも解放出来るかの様な場所、軽井沢に撮影の為、車を走らせていた
久しぶりに、このアスファルトジャングルの様な街から避暑地の涼しい場所の仕事という事で、
心はどことなく観光気分で弾んでいたのだが、ひとつだけ気なる事と言えば一緒に同行するスタッフの2人が見た目からして暑苦しいという事だけだだろうか..........

身長180センチに体重110キロの広瀬を筆頭に、そのアシスタントで付いてきた小暮も170センチの身長に108キロとまるで像の親子を乗っけてのアニマルツアーは今まさに始まろうとしていた。

行きの車の中、どことなく酸素が薄くなるような違和感を感じながら、エアコンの効いた車の中は
妙な熱気に包まれていた。僕は普段の食事の事や学生時代のスポーツの話しをしながら年齢とともに
増えていく微妙な体重の話しで盛り上がっていた

            「モノクロさんは、部活、何やってました?」

「部活って.....うちの方は田舎で子供が少なかったからね」
             「強いて言えば野球をやっていたかな......」

考えてもみれば、町中の子供を集めても15人たらずという場所で、到底部活などと言える程のものは
存在しなかった。15人の子供たちは、それぞれが掛け持ちでいくつかのクラブ活動に参加して
隣町との試合となると2つも3つも違う競技に参加していた頃を思い出した。


            「野球ですか〜! 僕は柔道でしたよ」

「広瀬さん、柔道ですか! 僕も柔道でしたよ!」

僕は、柔道話しで盛り上がる2人を横目に、「なるほど.....この身体は」と像の親子の意外な接点を
見つけた様な気持になり一人自己満足の世界に酔いしれていた。

そんな話しをしている間にも、気が付けば景色は都会のビル群を抜け出し緑溢れる自然の空間へと
僕たちの車は引き込まれて行った。都会では味わえない山々の景色、その山達に包まれるかのように
佇む小さな街並。やはり週に1度はこんな景色を見ていたいものだと心の中で呟きながら僕は本来の
癒しの空間へと向かう気持に嬉しさを隠せなかった。

そして、高速を降りた頃だろうか思わぬ天候の変化にまた自然の不思議さをも感じていた
突然のぽつぽつと降り出した雨に、小暮はさっきまで晴れていた場所と雨になった場所の境目を探し
盛り上がり、そんな子供の様な疑問に真剣に考える広瀬。まだまだあどけなさが残る20代トリオの
会話はどことなく小学生の頃の自分の姿にも見えていた。
 そして、さっきまでの暑さを和らげてくれるかのように涼しげな気分になった頃、僕は1つの小学校の校庭の前で車を止めた。                     イメージ 2

 そこには、静かに降り続く雨の中、黙々と一人で鉄棒にしがみついている少年の姿があった

僕は、この場所の空気を肌で感じる為と休憩を兼ねてその少年のいる場所までスタッフと一緒に
行ってみた。

          「僕、何年生?」

「3年生........」

          「3年生か〜。雨が降ってるのに大丈夫?」

「............................................」

「お友達は?」

「............................................」

僕の問いかけには、応じる様子もなくただ単に怪しい人間に危機感を持っていたのだろうか.......。
それは無理もないだろう髭をはやした僕を筆頭に、巨漢の二人........危機を感じても仕方ない状況が
そこには揃っていたのだ。
そんな状況でも、黙々と鉄棒にしがみついている少年を見ながら僕は1つの事を思い出して聞いてみた


            「僕? 逆上がり出来る?」

「...............................」

その瞬間、少年は鉄棒にしがみつきながら下を向いて小さく泣き出した
僕は突然の行動に戸惑いながらも、1つの思惑が確信に変わった瞬間だった。それは逆上がりが出来なかった少年時代の僕が、まさにタイムスリップした様に目の前にいたのである。
 少年は、泣きながらもクラスで逆上がりが出来ないのが自分だけだと言うことも、あした体育の
授業で逆上がりの検定試験がある事も伝えてくれた。
 そして僕は、あの頃の自分とあの時逆上がりを教えてくれた近所の酒屋のおじさんの言葉を思い出して気が付けば少年のサポートをしていた。

         「いい。腕にチカラを入れて思い切り地面を蹴ってごらん」
「自分が回るイメージを作るんだよ」

    決して、力強く蹴り出すとは言えない少年を手で支えながら回転させる僕と
    何度も何度も、試すも青空へ半分も届かない足を掴んで回す広瀬と小暮。

       思いがけない休憩時間が、1つの成功に向けて動き出していた

  僕は、あの頃の自分の姿を自分自身で支える様に何度も何度も1センチ2センチと空に
 近続く足の高さを目で追いかけていた。
      

    そして、40分もした頃だろうか少年の足がどんよりとした空に真っすぐ伸びた瞬間
少年の身体が勢い良く今度は地面間がけて降りて来た
 始めて少年が一本の鉄の棒を中心に回った瞬間だった

僕たち3人は、今までたまっていたものを吐き出す様な歓声をあげて少年を囃し立てた
 
 1度、掴んだ感触はその後何度も何度も少年を鉄の棒に夢中にさせ、一人でも回れる姿がそこには
あった。少年はさっきまでの泣き顔とまったく違う笑顔で軽く会釈をすると母親に逆上がりの出来た事を早く伝えたいと走ってその場から消えて行った。

鉄棒と少年が引き寄せてくれた1つの記憶...................
気が付けば雨もすっかりやんでその場所には達成感に満ちあふれた3人の大人と
何年もの間、逆上がりの出来ない子供たちを見守る鉄の棒が1本残されていた

                                モノクロスタイル

1分45秒の記憶喪失

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MONOKURO STYLE @ EAST


一般に世間で「喰わず嫌い」と言う言葉があるのなら「乗らず嫌い」と言う言葉はあるのだろうか
 乗らず.....と言っても、単なる交通手段に乗ることではない。船や飛行機など、僕の周りにも苦手な人は何人かいるが、その多くが高所恐怖症だったり、泳げなかったりと、どこかで点と線が結ばれる
方程式が出来上がっている。そんな僕の場合は『絶叫マシーン』というものが乗らず嫌いの一つだろうか。
多くの人の中には、この得体の知れない乗り物に金銭を払い、身も心も一体化しているかのようにその瞬間瞬間を楽しんでいる。
 しかし、僕は過去の苦い記憶の中にどうしても受け付けられない心の重さが消せないでいた。

 そして、そんな話題に触れなければならなくなった理由には、つい先日のオフの日に起きた出来事が
関連してくるのである。



久しぶりの休日ともなれば、僕もそうだが、プライベートタイムを思い思いに過ごすものだが、今回は僕の知らない所で、どうやら極秘の計画が進んでいたようだ。
 その極秘プロジェクトこそ、スタッフ一同で行くストレス発散ツアーなのだ

誰が決めたか、ツアーと言っても大々的にバスを借り切って遠くへ出かける訳でもなく、スタッフ一人一人が順番でその当番の行きたい所に皆で行くという、言わば福利厚生とも言えない企画が10年も前から始まっていたのだ。
 そして、そのストレス発散の場所として当たり前のように「遊園地」を選んで来る、絶叫系好きの
メンバーが集まっているのも隠せない現実なのである。

そして、遊園地ならず絶叫マシーンオタクとでも言えるスタッフ達が考えることと言ったら、目的は
1つで、ただ絶叫マシーンに乗りに行きたいという事だけである。そんな僕は、何度も過去の遊園地
ツアーをクライアントとの打ち合わせだと誤摩化し誤摩化し逃げてきたのも隠せない事実である。

そんな事があってか無かってか、今回だけは何が何でも僕を遊園地に連れて行こうと、僕の知らないうちに企画はどんどん進んでいた
 
 僕は、そんなツアーの事などすっかり忘れていて、いつものように断る理由さえあれば大丈夫だと
安心していたのかもしれない。
 
  そんな中、何処か含み笑いをして近ずいてきた女子スタッフの一人が、帰り際に一言言った。

         「モノクロさん?!  明日9時ですからね」

「9時って......何かあったかな.....?」

         「嫌ですね.....今回のストレス発散ツアーですよ!」

「え.......聞いてないけど............」

         「またまた、清水君からもモノクロさんの予定ちゃんと聞いてますよ」
「今回は、モノクロさん予定ナシ!!って」


いま、思えば3日前に清水が聞いて来た会話にキーワードが隠されていたらしい......

僕は、確かにこのオフの過ごし方を清水に聞かれ、「特にないけれど映画でも見に行こうかな...」 と気持ちのままに答えた事が、まんまと極秘プロジェクトの罠にはまっていた事になる。

 清水の3日前からのリサーチによって半ば強引に組まれたツアーに今まさに引きずり込まれようと
 していたのだ。

  僕は、今更ながらクライアントとの打ち合わせだと、いつもの理由すら言えず恐る恐る聞いてみた

           「ほんと、聞いてないんだけど.......何処へ行くの?」

  こんな質問すること自体、同じ社内にいながら知らない事が、僕だけなのかという複雑な気持ちと
 単なる仲間はずれかイジメとしか取れない空しい思いで一杯だった。

           
           「今年は、チャボ君が担当ですから◯◯◯◯◯ですよ」



    聞くまでもなかった..................絶叫系集団の行く所はやはりお決まりのコースだった

僕は、勝手に極秘に進められた事に、どんな手段を使ってでも、その時間さえ逃げれればという答えを
探していたが、突然の事態に上手い理由など見つかるわけもなく、気が付くと犬の遠吠えのようにように社内で吠えまくっていた



            「俺.......絶叫マシーン乗れないよ!!」
            「本当に、冗談抜きで無理だよ〜!!」
            「どうなっちゃうか分からないよ!!」
            「何十年も乗ってないから.............ああ。。。無理だな〜」
 
 代わる代わる口から飛び出す言葉のどれをとっても説得力にかけ、僕一人が駄々を捏ねたところで
 企画が変わるはずもなかった。    イメージ 2               

 そして、楽しいはずのオフ日が一変して、激動の1日に変わる幕が開いたのである。
 
 過去に乗った事がある記憶を辿りながら、自分で自分に勇気を与え、今更、味わう必要もない
 目の前の恐怖に1分1秒時が来るのを過ごしていた。

 そして、当日の朝、変な興奮状態のおかげで一睡も出来なかった僕は気が付けば正座で迎えの
 車を待って居た

 僕の鼓動は高鳴り、気が付けばお迎えの車の中でも周りのスタッフに気が付かれないように右に左に
体を揺らしては記憶を思い起こしていた。

それは、思い起こすと言うよりもこれから乗り込む物体に少しでも慣れておこうとした最低限出来る
僕の心構えだったかもしれない

 そして、なんとか重い足取りで辿り着いた目の前に、大きな鉄のモンスターが現れた
その物体は、今にも僕を未知の世界に導こうと、今か今かとあざ笑うかのように聳え立っていた
 僕は、冷や汗でどうにもならない手を何度も拭いながら、いま刻々と迫り来る恐怖に覚悟を決めて
身を任せようとしていた。
 そして、直ぐさまもしもの事を考えて、パンツ売り場を確認しながらトイレへと急いだ

           「ああ.............本当に嫌だな...............」
        
     「このまま、逃げたい............いや逃げる事なんか出来る訳がない.....................」


 出て来る言葉は、こんな言葉しかなかった





そんな事を考えていると、昔 子供の頃に母親と乗ったジェットコースターの記憶が少しずつ
蘇って来たのだ

 

                 あのときの記憶..........

               父と母がいて、弟も....................



  乗りたくても身長が100センチに満たない弟を、尻目に兄の特権と誇りを胸に母と乗り込んだ
  あの日のジェットコースター.................。

              

               あの日も、こんな天気だった........。

  そして、コースターが上昇していくごとに、真下に見える父と弟が小さくなっていく。

 僕は、母が若いころに乗ったことがあると言うわずかなコースターの記憶に、子供ながらに期待と興奮の中、乗り込んだことも、必死で鉄の棒にしがみついていた時間の長さも、はっきりと蘇って来たのだ

 そして僕は気が付かなかったが、後で聞かされた母親自身がむかし乗ったことがあるジェットコースターとは数段違った恐怖を感じていたこと、あの時身軽な僕が飛び出しそうになっていたのを必死で押さえていたことも、思い出しては聞かされていたことの記憶が目の前に積み重なっていった


              あの時の僕自身の恐怖.........
              そして母の毎回のように出るあの時の本音...........

あの日から、僕の中に恐ろしいものだという固定観念が焼き付けられていったのかもしれない

            「そう、乳製品が苦手だったのも固定観念..........」
            「だとしたら..............今回も.....................」

 僕は僅かな期待と少し単純な理由を、自分自身を勇気つける言葉として見つけた様な気がした


  僕は、いまかいまかと待つスタッフのもとに意を決して歩いていくと颯爽とモンスターに
 乗り込んだ。

 まるで、その姿は愛と地球を守るHEROかのように自分自身感じていたが、そんな時間も
 スタートと同時に消えて行った


             生身の状態で滑り落ちる僕.................


叫びとも絶叫とも言えない声は


             周りに聞こえていただろうか...............


HEROになる....................


風になる..........................


右に左に逆さまに..................


やがて僕は「無」になった












「モノクロさん! モノクロさん!!」




聞き覚えのある声、遠くからだんだんと耳元で聞こえて来た





   自分の分からない所で、このバツゲームとでも思える企画は清水の声とともに終演した

         

   僕は、半ば失神していたらしい.............いや、半ば仮死状態だったかのように思える




   僕は、あまりの格好悪さと恥ずかしさの中に変な達成感を感じながらスタッフとの距離をあけた
  そして、観覧車に乗り込むと真下を歩く親子連れを見ながら一人呟いていた。

      「あの子達の、今日の思い出が一生の良い記憶であってほしい」と
  僕は、僕自身の子供の頃の思い出と重ねながら、一人激動のあとの静動を満喫した1日だった


                            モノクロス
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■1DAYS すれ違いのオトコとオンナ


 世間では、とにもかくにも新型インフルエンザと言うみえない恐怖に怯え、全国的に迫り来る厄介な
この招かざる猛威に警戒レベルも上昇しつつある。地下鉄のホームに佇み行き交う人達の10人に1人は迫り来る恐怖に備えてマスクを着用しているだろうか。政府の水際対策では塞ぎきれない猛威は、結局は自己防衛というカタチで一人一人に責任が課せられた。普段から電車の移動が多い僕にとっても、この自己防衛は当然の事と思っていたが、それ以上にスタッフがオフィスに菌を持ち込んで来ては困るという必死の思いで、僕自身、マスク着用をうるさい程、言われて来ていたのだ。
 僕は、プレッシャーと責任という狭間で、いつもより自分自身の警戒レベルもピリピリ状態で日々を送っていた。
 そんな中、乗り込んだ地下鉄の中。この中の誰かが菌を持ち、そして誰かに移していくのか.........
そんな事を勝手に想像していると、乗客を見る目も何故かいつもと違う様な気がしてきた。
 そんな中、僕は途中駅から乗り込んで来た小学生の男女の会話に耳が釘ずけになってしまった
その小学生はと言うと、一見どこにでもいる様な2人にしか見えないのだが、それぞれの会話の中に
現れる表現1つ1つが現代の子供を象徴しているかのようだった。  イメージ 2

            女の子:「ね〜? みんなマスクしているね....」

            男の子:「うん.....でも意味なくねぇ〜?」

            女の子:「なんで〜?」

            男の子:「だって、ご飯食べる時、外すじゃん!」
                「ジュース飲む時だって外すじゃんか!」

            女の子:「それは、そうだけど......着けてないよりいいじゃん!」

            男の子:「馬鹿じゃね〜! だって、マスク買う時に、もう菌が箱に
                 着いてるかもしれね〜じゃん! その箱もう触ってっんだぞ!」

            女の子:「なんで〜、着ける時に手を洗えばいいじゃん!」

            男の子:「洗ったって、マスク取るとき、箱触ったら意味ねぇじゃん!」

            女の子:「だから! 箱から出してから手を洗えばいいじゃん!」

まるで、卵が先か鶏が先かの様な2人の会話は、半径3メートル以内の乗客を釘付けにしていただろう

何処までも、あ〜言えばこう言うという頑固親父のような男の子を、優しくなだめる女の子。
いつになっても、男性は精神年齢が低いのか、それとも女性の精神年齢が高すぎるのか........そんな
マスク1つの話題は、まるで「朝まで討論会」のように永遠と続いていた。
 僕は、お互いの意見を横で聞きながら、どちらに軍配が上がるのかを今か今かと待っていた。
 しかし幼い二人はなんの結果も出ないままに、しばし喧嘩をした恋人同士のように沈黙していたが
目的の駅が近着くと男の子は女の子が差し出したキャンディーを頬張ると、二人仲良く手をつないでホームへと去って行ったのだ。

 僕は、現代の社会情勢の中に生きる小さな心が、子供ながらに考えていることの驚きと、あどけない会話の節々に見える男女の物事の捉え方のギャップを、幼い二人から感じていた。
 そして、いつの時代も歳を重ねるごとに、我がままになりつつある亭主を支える、現代の日本の妻の原型をこの二人にも見た様な気がした

                                 モノクロスタイル

 

時空を越える二人

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■1DAYS 時空を越える二人





東京では、少し前まであちらこちらの場所で桜の開花を追いかけ人々は春を感じていたと思っていたが
ここ数日は、すでに初夏を感じさせる程の陽気に時間の早さを感じていた。これも地球温暖化のせいなのか、少しずつ1年の中で暖かい時間が多くなって来ている........
 僕は、そんな事をふと感じながら週末、岩手に向かっていた。それは以前記事にも書いたが10年来のお付き合いをさせて頂いた佐々木次長に会いに行く為だ。佐々木次長と言えば、3月に奥様の体調を理由に会社を辞め、奥様の介護をするという事で地元岩手に戻って行った、僕にとっても新人時代からの恩師でもある人なのだ。僕は、この10年間、佐々木次長にお世話になった事。
一人で、地元に残り大変なお体の中、東京に次長を単身させた奥様の大きな心に......
そのおかげで次長に出逢えた事も含めて一度、感謝を込めてご挨拶にいくと約束した事も1つあるのである
 僕は、そんな想いと東京を離れ2ヵ月ぶりに会う佐々木次長に会える期待に心が躍っていた

そして、駅に降り立った僕は、直ぐさま目の前に止まっているタクシーに乗り込み、目的地でもある
場所を運転手に伝えた。 車窓から見える町並み........目の前に広がる田園風景...........。
東京にいると、少しずつ忘れて行ってしまいそうな風景が、タイムスリップ化して僕の記憶と重なり
出して行く。「こんな風景......最近見ていなかったな.......」僕は心の奥でそんな事を感じながら
30分の道のりを時間旅行でも楽しんでいるかのように過ごした。

 僕は、車を降りると以前佐々木次長に書いてもらった地図を頼りに住宅街へと足を踏み入れた

瓦屋根の旧家が立ち並ぶ、その脇道を一歩一歩 奥へと進んで行くと色々な光景を目にした
      三輪車に取れ立ての野菜を積み込んですれ違うおばあちゃん...................
      なにげに乗り捨てられている錆びた子供の自転車.....................
行き交う度に、挨拶をし、会話をしてくる住民の親しげな笑顔.............................
      そして、何より時間が止まったかの様なこの空間こそ
 僕は、僕の故郷と似ている事に、1つの心地良さを感じていたのである
久しく帰っていない、地元の雰囲気と同じ様な空気を、ここ岩手で感じ取っていたのであろう

 そして僕は、この時間と空間を楽しむかの様に軽やかな足取りで奥へ奥へと進んで行った
そして歩く事、15分........。僕にとっても懐かしさを感じる様な光景は、極めつけのクライマックスを迎えようとしていた。右に左に入り組んだ脇道を最後に曲がった前方にこちらを向いて立っている
2つの人の姿が.........そして、その前には車いすの姿も飛び込んで来た

   佐々木次長と奥様だ...................              イメージ 2

僕は、一歩一歩近ずく足取りに、何故か涙が込み上げて来た

  この涙は、何だろう.................

近くなるに連れて、涙で霞む二人の姿に僕は抑えきれない感情が溢れていた
 久しぶりに会う佐々木次長との対面だけではないこの気持ち。何気ないこの光景が、僕にとっては
新鮮でもあり、どことなく懐かしい様な風景にも見えた
たぶん、実家や田舎に帰省した時には、暖かい両親がこんな形で迎えてくれるだろうと想像の中で
描き、僕自身の心のキャンパスに暖かい世界が広がったのかもしれない

  「いや〜モノクロ君! 良く来てくれたね〜!」

  「次、次長すみません........こんな状態で(涙)お久しぶりです」

  「あ〜、僕も嬉しいよ〜。相変わらず元気そうで! あっ、これが家内だよ」

  「あっ、初めまして! なんか押し掛けてしまった様な状態で.......すみません。
   でも佐々木次長には本当にお世話になりまして」
  「本当に、貴重な時間をいただけたのも奥様のご理解があったからです、本当に有り難う
   ございました!」

  「いえいえ、お話は良く聞いていましたよ」
「今日、お会いするのを楽しみにしていましたよ」

奥様は、体調が優れないにも関わらず、車いすから立ち上がり低姿勢で僕を快く迎えてくれた
 そして、優しい眼差しで僕を見つめ家の中に招いてくれたのだ

 そして僕達は、次長とお会いした頃の話し、東京での出来事、そして奥様の身体の事を、
まるで過ぎて来た時間を取り戻すかのように、3人で話し、とても温かく居心地の良い空間を
いつまでも楽しんでいた

 そして、最後に僕が今日来たもう1つのお願いである2人の写真を撮らせてほしい.......とお願いし
僕はカメラを握ったのだ。
 
 奥様は、よろめきそうな足取りで立ち上がり、ゆっくりと庭に向かって歩き出した
そして次長は、奥様の歩幅に合わせる様に腰に手を回し、奥様を支えていた

  僕は、しばらくそんな光景を目にしながら二人の後ろ姿に人生の重みを感じていたのだ

 そして、二人の姿を今、目の前にすると同時に二人のセカンドライフの幕開けをレンズ越しに
覗き込んでいたのである。そして、僕は飛び切りの笑顔と、優しさが溢れた瞬間を撮ろうと思い、
そのチャンスを狙って何度もシャッターを押し続けた。そして奥様が、次長の支える手に自分自身の
手を重ねる瞬間を、心の中の1枚として決めたのだ。

 その姿は、とても温かい愛情に包まれ、二人だけの明日を力強く生き抜いて行こうという心の強さをも感じとれる姿だった。 僕は目の前に広がった、2人の姿を見ながら人が人として生きていく上での大切なものを見せてもらったような気がした。

  人は生まれて来る時も、死に至る時も、誰もが一人で通るところ........................
  だからこそ、生きている時くらいは誰かの力を借りようと.........
  そして何かに支えてもらうべきだと。


                                モノクロスタイル

 

野獣一家との晩餐

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■ 1DAYS 野獣一家との晩餐



弟からの結婚報告たる電話のあと、数日間なぜか弟の友人からの電話が何件もかかって来た
そんな中、僕自身も子供の頃、よく遊んだ平井からの電話は僕を凍り付けた
 平井と言えば、田舎の子供の中では1番に結婚し今では子だくさんもいいところ大自然の中で
5人の子供を育て上げている男だ。 その子供と言うのが18歳を頭に下は6歳までの3年ごとに
誕生した愛の結晶は全員が男の子だ。 想像しただけでも恐ろしい大家族が大型連休の狭間に家族サービスと言う事もあってか奥さんをも連れて東京に遊びに来るというのである。
 今の時代、少子化問題で世間は騒いでいるが、一躍この問題にも貢献している平井一家は東京に住む
僕を頼りに東京見物を依頼して来たのである。僕は言葉に詰まりながらも何とかスケジュール表を
片手に会話らしきものをしていた。

   「モノクロさん............そんな訳で行くんですよ〜」

   「あっ、そうか〜。それでどの辺りに行きたいの?」

   「いや〜、最初に子供達がカタツムリを食べたいって言うんですよね〜」

   「カ・タ・ツ・ム・リ?」

どうやら、一般的にはエスカルゴというモノを食べたいらしい
僕は、子供ながらに生意気な......と思いながらも自分自身フォークとナイフを使った料理は今でも
苦手な事に同様していた

 そして約束の日、東京駅まで迎えに行った足でそのまま、フランス料理の苦手な僕は、過去に
クライアントと利用した事があるエスカルゴも食べられるシーフードレストランに平井家族を連れて行った。 
入り口は豪華とは言えないが店内は大きな水槽にシャンデリアと幻想的な世界が広がる
僕もそうだったが、田舎の町ではせいぜい裸電球が一般的。始めて見る光景にこの世の者とは思えない
程の歓喜をあげる子供達。僕は喜ぶ姿に微笑みながらスタッフの案内されるままい席に付いた。
                                イメージ 2
 そして、いきなりメニュー表も開けずに「え〜っと、エスカンゴを8つ下さい!」と平井。
僕は「バカ! エスカルゴだよ〜」と小声で言ったつもりだが自爆スイッチを自ら押した平井の耳には
届く分けない...............。そこから今回の自爆ショーが始まったのだ。

 フォークとナイフに縁がない人間には想像出来るであろう光景が次から次へと、まるで台本にでも
書いてあるかのように繰り広げられて行った。
 
 フォークとナイフを逆に持つ15歳。
 蟹を噛み付いて割ろうとする12歳。 
 転がるエスカルゴを追いかける9歳児。
 そして、その後を追いかける平井。
まるで、サザエさんでも見ているかの様に目の前に広がる光景に、僕の額に変な汗が光るのを感じた。

そして晩餐ともディナーとも言えないとてつもない時間は2時間かかり、やっとの思いで幕が下りた
 
田舎者の僕もそうだったが、始めて経験する東京での出来事がなんだか少し都会人になったような
気持ちにさせる事を僕も分かる。きっと平井もそんな父親像を見せたかったのであろう。
その夜、僕の自宅に止まった野獣一家は静かに眠りに付いた
そして、すやすやと眠る子供達の顔と、満足そうな平井の顔を見ながらあらためて家族というものを
実感した夜だった  

                                     モノクロスタイル

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