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先日、田舎に帰ったときに越前おろし蕎麦の名店に行ったときのことを「越前おろし蕎麦」に書きましたが、その時に訪れた神社が「大滝神社」です。 この大滝神社は、福井県今立町にあります。今立町は昨今の市町村合併の波の中、越前市という名前になってしまいました。 今立は、和紙の里として知られた街で、昔から越前和紙の産地として栄えた町です。 ここには数多くの紙漉職人がいて、中には人間国宝もいたりします。 その紙漉の人たちの神様として大変隆盛を誇った神社なんです。 この神社はスゴイです。 何がスゴイかと言うと、建築がスゴイのです。 大滝神社です。 境内の入り口には立派な銀杏の木が 境内は銀杏の葉で真っ黄色です。ぎんなんの臭いがたちこめています。 近所のお婆さんが一人ぎんなんを拾っていました。 本殿は境内より一段高いところに建っていますが、その手前にはなんだか灯籠が建ち並んでいます。こういうのも珍しいですね。 階段を登ると、門の中に本殿が建っています。 これがスゴイのです。 国の重要文化財に指定されている本殿は、かなり珍しい神社建築です。 神社の様式は、神明造り、流れ造り等々の様式がありますが、大滝神社みたいなものはちょっと見たことがありません。 なかなかの迫力です。 私は、この神社を初めて見たのが大学4年生の時でした。 地元の福井大学建築学科の歴史意匠研究室の学生だった私は、福井県教育委員会から研究室が委託を受けた、福井県内の文化財の実測調査に携わっており、その調査対象としてこの大滝神社を訪れたのが最初でした。 不勉強な私は、なんの予備知識もなく大滝神社に来たのですが、この階段を登って本殿を見たときに衝撃を受けました。 「ナンだこれは・・・・?こんなの見たことない。」 まず、この複雑に入り組んだ屋根です。 いったいいくつの屋根が重なっているんでしょう。こんな複雑に入り組んだ屋根にする必要はないはずです。 横から見ると、本殿はこんな形です。 おおまかには、流れ造りの本殿に拝殿がくっついた、最も一般的な神社の形式に近いものと言えるのかと思いますが、それが必要以上に複雑に入り組んで、屋根がとんでもないことになってしまっているようです。 そして、壁と云い、柱と云い、梁と云い、あらゆる所にビッシリと施された彫り物です。 これを見たときに、これを実測して図面化する事がどんなに大変なことになるのか想像もつかず、気が遠くなってしまったことを思い出します。 下から屋根を見上げると この屋根裏にも上がりましたが、中は構造材が入り組んで、チョット進むのも大変な作業になりました。 屋根裏からこの屋根のすき間を通して境内を見下ろしたのを憶えています。 拝殿の虹梁(こうりょう)廻りも彫り物だらけです。これでもかと云わんばかりに彫り物が入っています。 これを未熟な学生の私が図面化出来るはずが無いじゃないですか。 「これは図面に出来るんでしょうか・・・・?」 と先生に訴えましたが、「泣きごと言うな!」と言われてしまい、泣く泣く作業を始めたのを思い出します。 それにしてもどうしてこんなに複雑になってしまったのでしょうか? なにかいわれがあってこんな形状になったのでしょうか? 相変わらず不勉強なもので、詳しい事は知らないのですが、宮大工の執念のようなものだけは伝わってきます。 大工の酔狂だったのでしょうか? よく判りませんが。 そして、やはり図面化の作業は難航し、結局私の卒業までに完成させることが出来ず、先生に後を託して3月31日に就職のために上京したのです。 学生最後の春休みは全てこの図面化の作業に費やされ、結果を得ることもできず、一日の休みもないままお仕事に突入してしまったのです。 そんな想い出にふける境内はとても閑かでした。 11月半ばの陽はもう西に傾きかけていました。 参道には、お婆さんが拾い残したぎんなんが落ちていました。
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2011年12月09日
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