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◇振り子突きをする意味ですが、私は、少林寺拳法は戦略的後手番の技法体系である為だからと、考えます。先の先、対の先、後の先、気の先は戦術的なものです。特に“先”と付いていると、先手良しと混同されがちです。
現在、読売新聞の将棋欄で渡辺明・竜王vs佐藤康光・二冠の竜王戦が掲載されています。これがなかなか面白く、先手・佐藤が最近では珍しい縦歩取り戦法という趣向に出た棋譜なのです。
将棋では先手番の戦法と後手番に適した戦法があります。例えば上の縦歩取りや横歩取りは先手番が用い、振り飛車は主に後手番の戦法と言われます。プロ棋士間の先後の勝率は先手がやや有利のようです。ところが、この縦歩取り戦法は後手から研究し尽くされ、先手の勝率が極端に落ち、ついには廃れてしまったと云うのです。なので、佐藤の新趣向が注目された訳です。
戦争は盾と鉾のどちらが優れているかで勝敗が決まるようなものですから、将棋も天才達の新手、新定石の競い合いによる勝ち負けの繰り返しである訳です。それにしても、研究の結果、後手がかなりの勝率で勝つ!というところが興味深いですね。
戦略とは大目的をとげる作戦であり、戦術は個別戦闘に用いられる作戦です。その点で囲碁は戦略的なゲームであり、将棋は戦術的なゲームである、と言われます。ちなみにプロは振り駒で先後を決めますが、一般的には初手合を除き上級者が後手番を持ちます。ただしハンディ・駒落ちや置石をした場合は、与えた上級者が先手番を持ちます。つまり凶器を持たれたり、複数であったりした場合は先手!ということもあり得ましょうか…。しかし明らかに彼我に戦力差がある場合は、将棋のように盤面に座っている義務は無いので、三十六計(←若い人は分かる?)を用いるべきでしょう…。
◇◇さて、少林寺拳法は自己確立、自他共楽、理想境=郷の建設→世界平和の達成という大目的があります。これに向かう為に活人拳なのです。日々の修行で合掌し、結手をし、受けの形=後手番である法形修練を行う意味をよくよく自覚しなければなりません。
振り子突き=基本さえも教えに連動しているのです。指導者は振り子突き指導の際、相手が突いてくるのをかわして突く、の一言を添るべきです。合掌礼、結手も正しく美しく、意味を明らかにして行われれるべきです。特に結手構えは先に手を出さない、言ってみれば後手番を持つという意思表示です。行為=形から教えを学ぶのが行なのです。毎回毎回の繰り返しが大切です。
◇◇◇最後に、気の先と表現されるような開祖のエピソードを紹介しておきます。お話しの内容はアバウトです。
ある武術家と面会し、話しをしていた時のことだったそうです。話しの流れからかテーブル越しに座っていた相手が、「先生はどのような攻撃も受けられますか?と聞いてきたので、いきなり叩かれたらかなわんと思い、さあどうかな?とこうしたのだ」。
説明しますと、先生は相手の殺気を察し、これまで普通に対面していた上体を後方に引いて座りなおし、さらに我々で言う立無双構えの姿勢を取って用心されたのです。その上で、ニヤッ!(←開祖世代はこの時の不気味さが分かりますよね!)とされた先生に相手は気を飲まれてしまい、何事も起らなかったようです。
気は気配とも使います。気配を察して守り、後手番で制した、と言えましょう。改めて触れたいと思います。尚、N野先生は「まず受けられる!ということが自信につながる」と実技指導の中で言われます。
訂正:縦無双構え→立無双構え 避けて→かわして 行為=形から→行為=形を通じて
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初めまして。記事内に『三十六計』の名前が出てますので、生地とは直接関係はないのですが、TBさせて頂きました。
2008/5/11(日) 午前 10:37 [ - ]
YMINABE様 コメントとTBありがとうございます。今『名将達の決定的戦術/PHP文庫』を読んでいます。
2008/5/12(月) 午前 11:06 [ サンロク ]