てつどう

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sigma DP2s
f:24mm(41mm), F:2.8, Tv:1/15sec, ISO:100
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※ 映画 『君の名は』 を未見の方は、この記事を読み飛ばすことをお奨めします。




新海誠監督のファンで、かつ村上春樹の愛読者・・・
そういう方が世の中にどのくらいいらっしゃるか分かりませんが、
劇場で 『君の名は。』 を観ながら思ったのは、村上春樹の小説 『海辺のカフカ』 との共通点でした。


・ふたりの主人公それぞれのストーリーが少しずつ接近してゆき、ついには交錯する仕掛け

・夢の中で(無意識下で)大きな仕事を成し遂げるけれど、本人にはその記憶 / 自覚 が殆ど残らない

・時間軸の異なる世界に生きる男女が出会うというプロット

・異界を暗喩するような深い森 / 魂の半分 / 手に刻まれた痕跡 … etc.


新海監督の企画書によれば、『君の名は。』 は、日本の古典文学から着想を得たとのことで、
そこに村上春樹の 『海辺のカフカ』 が挙げられていた、という話は今のところ聞こえてきません。

ですが、ハルキストであることを公言されている新海さんが 『海辺のカフカ』 をご存知の可能性は高くて、
いずれかの時点で 『海辺のカフカ』 を読み、その影響も恐らく自覚されているけれど、
映画化版権の問題が生じると厄介なので、胸先三寸に納めた・・・と、これは私の(勝手な)想像です。

けれども村上さんだって、『雨月物語』 や古代ギリシアの戯曲からヒントを得て執筆したことを
田村カフカ君のメンターである大島さんの台詞を借りて告白しているわけですし、
優れた物語のモチーフや構造といったものは、洋の東西や時代を超えて
リメイクされながら伝承されていく、という大らかな認識でいいんじゃないかと思います。

文学におけるアイデアのオリジナリティーとか、著作権を否定するつもりはありませんが、
図書館に並んだ本をどんな順番で手にとるかは、読み手の自由ですよね?

実際、『君の名は。』 のエピソードを念頭に、改めて 『海辺のカフカ』 を読み直してみますと、
以前は了解し難かった箇所がすんなり呑み込めて、こういう効用もあるのかと新鮮な驚きでした。
両作品は相互に補完し合う関係にあると言えるのかもしれません。

      *       *       *

ちなみに 「図書館」 というのも、2つの作品が交差する非常に重要なキーワードです。
『海辺のカフカ』 では、15歳の田村カフカ君を庇護し、30年の時を超えて或る少女と遭遇します。
『君の名は。』 では、タキが3年という時間の隔絶と、空白になった土地の真実を知ります。

そんな役割の大きさを自負されている故なのか? 聖地のひとつとなった飛騨市図書館では
「撮影は許可を得て、他の利用者に迷惑をかけないように。肖像権にも留意を」
という条件つきで、巡礼者たちを寛容に遇しているとのことです。
教育的配慮という観点も含めて、これは好い対応だなぁと思いました。

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