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「あれ、僕から電話なかった?」夕方、家に帰ったノリオに母親が言った。
「なにも。どこから電話したの。」
「僕たちの隠れがから。洞窟みたいな所だから、電波が届かなかったんだ。」
「またあそこに行ってたの。お父さんに行くなって言われたばかりでしょ。」
「そうだっけ、忘れた。」
ノリオは聞きたくない、という風に二階へいってしまった。
机に付き、宿題をしようと思ったが、すぐに眠くなって机で頭を打ってしまっ
た。ベッドに横になると、すぐに寝てしまった。
「電話うるさいじゃないか、マナーモードにしておけよ、」ノリオは兄の言葉
で目を覚ました。
「ごめん、誰から?」
「着信記録しらべてみな。3回ぐらいは来ているはずだ。」
兄が変なことに疑問を持つ前にノリオは素早く答えた。
「君子ちゃんが一回、チカちゃんが2回だよ。」
「もてるな、俺なんか女の子から来たことがないよ。」
「女の友達がいないからだろう。」
「正解、よくわかりました、」
「かってにほざけ!」そういうと兄は、パソコンのプログラム作りを始めた。
それは、正確には「終わりのない、」といったほうがいいかもしれない。みん
な中途半端で実用になったものはひとつもなかった。
それから一週間たち、6人が洞窟の前に集まった。ノリオの兄も加わっていた。
「どうする、洞窟の向こうの世界のルールはわかったね、」ノリオが言った、
「賛成できるものだけで行こう。賛成の人手をあげて。」
結局、ノリオ、ノリオの兄、キミコで行くことになった。あとの2人は帰るこ
とになった。
「いいね、二人とも何かを聞かれたら、『わかりました』というんだ。」
「わかりました、これでいいんだろう、」兄のマサルが言った。
3人は洞窟の中の矢代の祠の後ろから入っていった。
しかし、入った途端薄暗がりという状態からいきなり真っ暗闇になった。
「ようこそ、」闇の中の存在が言った、「こられた。この暗闇は、ふたりまだ
この世界を承認されていないので、その二人の心を表している。」
ふたりはさっそく、「わかりました」と言った。
その途端、まぶしいくらいの明かりが部屋全体を包んだ。その中は巨大な空間
になっていた。そして真っ白な衣装を身にまとった人物が3人に近づいてきた。
「ようこそ、こられた、私はこの世界の管理署、ヨムサ・リョムといいます。
この世界が生まれてから今日まで管理してまいりました。」
彼が手のひらを横になで、うえにあげると白い台のようなものが出てきた。そ
の上で円を描くと、なにやら出てきた。
「これは何か知っているね。」
「ええ、ゲルマニュームラジオでしょ。」
マサルはそれを手に取ってよく眺めてみた。
「これは1石レフレックスラジオだろう。」
「よくわかったね。」
「聞いてみなさい、地上とおなじ放送局が聞けるはずだ。」
ノリオはそのイヤホーンを耳に入れた。そしてダイヤルを回した。
「あ、ほんとうだ!」
キミコも聞いてみた、「よくきこえる。こんな地下でよくはいるね。」
「それは、」ヨムサかいった、「電波が受信できるようになっているからだ。
しかし、ここから地上へ発信は出来ないがね。」
『あ、それで携帯はつながらなかったんだ、』ノリオは思った。
マサルはこんなもの見に来たんじゃない、という顔をした。
「君は不満そうだね、」ヨムサはマサルの顔を見ていった、「じゃ、これはどう
かね。」
ヨムサはそういうと、机をコツン!と叩いた。
するとどうだろう、生まれたばかりの透明なクモのようなものが出てき、逃げて
行った。全部逃げてしまうと、毛糸がほどけるようにラジオは消えた。
「ええ!」マサルは驚いた。
「これはどういうことかわかるかね、君は特別頭がよさそうだ。」
「わかります、」マサルは言った、「このラジオはすべて生物で出来ていたんで
すね。」
「そう、正解。」
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