|
我が歌を読むは、遙かに尋常に異なり。 華、月、雪 都(すべ)て万物の興に向ひいても、 凡そ所有(あらゆる)相皆是れ 虚妄なること眼に遮り耳に満てり。 又読み出す所の言句は皆是れ真言にあらずや。華を読むとも実に華と思ふことなく、 月を詠ずれども実に月とも思はず只此の如くして、縁に随ひ興に随ひ読み置く処なり。 紅虹たなびけば虚空いろどれるに似たり。 白日かゞやけば虚空明かなるに似たり。 然れども虚空は本明かなるものにあらず、又色どれるにもあらず。 我又此の虚空の如くなる心の上にをいて,種々の風情を色どると雖も、 さらに蹤跡(しょうせき)なし。 -華厳宗の僧、明恵上人に語ったとされる西行のことば-
|
全体表示
[ リスト ]


