|
啄木の生涯を丁寧に追った一冊。 郷土の偉人である石川啄木について書かれた本は今までもたくさん出版されている。 私が卒業した中学校は盛岡でも古くからあるところで、金田一京助、米内光政等とともに石川啄木も卒業生の一人にかぞえられている。(もっとも、啄木だけは卒業ではなく修了、と書かれていたような気もするが・・・・) そのかみの神童の名の かなしさよ ふるさとに来て泣くはそのこと なので文化祭のときなどは各クラス、班に分かれて卒業した偉人たちについて調べて展示する、というような事をやった。 その時私はたまたま啄木の班で、年表の展示を手伝ったり(作ったのは別の人^^;)仮装行列で村の子どもに扮して校庭を練り歩いたりした。(啄木と節子は男子がやった^^) そんなこともあって少しは啄木について知っているつもりだった、(ろくに手伝わなかったくせに、という声がどこからか聞こえてきそうですが・・・・)女ったらしの遊び人で人から借金ばっかりしてはその地に居られなくなってあちこちを転々とした、程度の知識ですが。 かの家のかの窓にこそ 春の夜を 秀子とともに蛙(かはづ)聴きけれ 石をもて追はるるごとく ふるさとを出でしかなしみ 消ゆる時なし わが室(へや)に女泣きしを 小説のなかの事かと おもひ出づる日 あの頃はよく嘘を言ひき。 平気にてよく嘘を言ひき。 汗が出づるかな。 今回改めてこの本を読み、次から次へと女性問題を抱え、借金の額が今の金額にして千四百万円余りもあり、という具体的な名前や数字だけではなく(要するに大筋では私の知識も間違ってはいなかったのです^^;)啄木という人間の「人を惹きつけずにはいられないほどの魅力」「あふれんばかりの知性」「何ものをも恐れない意欲」といったものが伝わってきて、確かにこんな人がそばにいたらうっかりお金貸しちゃったりしかねないなぁなんて思ったのです。もっともお貸しできるほどのお金も持ち合わせてはいませんが^^; しかし、啄木の名誉の為に付け加えておきますが、彼は決して借金を踏み倒すつもりはなく、キチンとだれにいつ、どのくらいお金を借りたか、という借金メモを残しており、彼の死後出版された本の売り上げはその借金の額をはるかに超えるものであったということです。 この本は啄木の生涯を資料を調べ上げ丁寧に追っていながらも読み物として、とても面白いものになっています。評伝、なんていうと資料をつづってあってなんだか退屈なもの、というイメージで苦手意識があったのですが、これは面白かった。ところどころにはさんである短歌もまたいい。 その昔 小学校の柾屋根に我が投げし鞠 いかにかなりけむ中学のとき、創立100何年だかの式典の際に貰った手ぬぐいに書かれていた歌です、今回この本を読んで久しぶりに再会しました。 タイトルの「26年2か月」は言うまでもなく啄木の生きた年月の長さ、です。改めて言われるとなんて短いんだろう、と思います。 その生涯に啄木はいくつもの恋をし、たくさんの歌を書き、様々な人と良くも悪くも濃密な付き合いをし、その中で自分が本当にしなければならないことはこれだ、という事も見つけた・・・ まさしく、これから、という時に逝ってしまった啄木。 どれほど無念だっただろう、と思います。 啄木が駆け抜けた26年2か月の生涯が濃密に詰まった一冊。 ぜひ皆さんに読んで欲しい、と思うのですが、この本は『もりおか文庫』の記念すべき一冊目で、版元の分はもう売り切れてしまったそうなので、盛岡の書店で手に入れる意外に方法がありません。 盛岡にご旅行の際には、ぜひ、書店にてお求めくださいませ^^; とはいってもなかなか来られる距離でもありませんしね・・・ 第2弾は澤口たまみさんによる『宮沢賢治 愛のうた』今月末に出版予定です。
こちらは今までだれも書かなかった(書けなかった?!)宮沢賢治の隠された恋愛についてのおはなし、たまみさんの渾身の一冊、という事なので今から楽しみです。 |
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
2010年03月10日
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]





