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1回戦で直前の全仏オープンを優勝したナダルが、2回戦では昨年の覇者フェデラーが敗れるという波乱の幕開けだった今年のウィンブルドン。
その決勝の舞台であるセンターコートに立っていた2人は、しかしビッグ4の残る2人、ナンバー1シードのジョコビッチと、ナンバー2シードのマレーという、波乱があったことを忘れさせるような極めて順当な顔触れとなりました。 この2人は今年の四大大会の一つ、全豪オープンでも決勝で対戦しており、その時はジョコビッチがマレーを下しているものの、昨年の全米オープンでは逆にマレーがジョコビッチを破って初の四大大会を制しており、実力的にはほぼ互角と言ってよく、このウィンブルドンの決勝でも壮絶な試合展開になることが予想されました。 ただ、マレーにとって有利なのは、準決勝でジョコビッチがデル・ポトロを相手にフルセットの4時間43分の試合を戦っていたのに比べ、比較的消耗を抑えて勝ち上がって来られたことで(同じドローに入っていたナダルとフェデラーが早々に負けてくれていたのが大きい)、結果的にその差がマレーには幸いすることになったようです。 互いにリターンが上手く、容易にサービスキープが出来ないというのは試合前から予想されていましたが、肝心な所でもたつくジョコビッチを尻目に、マレーは要所要所でポイントを重ね、6−4、7−5で1、2セットを連取。 そして第3セット第1ゲームのジョコビッチのサービスゲームでいきなりブレークに成功したマレーがそのまま勝ち切りそうな流れになりますが、そこはやはりナンバー1の男。体勢を立て直して一時はリードする場面まで作ります。 ここで並の選手であればズルズルと押されていったり、次のセットに賭けるべくこのセットを捨てて体力の温存を図ったりする所ですが、しかし直前の全仏オープンを休んでまでこの大会に集中し、そして昨年の同じ場所で涙を呑んだ経験のあるマレーが崩れることはなく、第9ゲームをブレークすると、5−4で迎えた第10ゲーム。 3ポイント連取であっという間にチャンピオンシップポイントに到達し、観客のボルテージも最高潮に。そこからジョコビッチの驚異的な粘りにあって、一進一退の攻防を繰り広げることになりましたが、最後はジョコビッチが根負けして勝負あり。 3−0のストレートでマレーが勝利し、1936年のフレッド・ペリー以来、実に77年ぶりのイギリス人によるウィンブルドン制覇がなりました。 今簡単に「77年ぶり」と書きましたが、77年と言えば、ペリーもマレーも見ずに亡くなったイギリスのテニスファンは数え切れないほどいるでしょうし、この瞬間を目撃できたというのは、国こそ違えどテニス好きとしては幸運と言えるでしょう。 ただ、イギリス人のウィンブルドン制覇が今後77年かかるということは恐らく無いでしょう。着実に力を付けてきているマレーがこの先1度も優勝できないというのはちょっと考えづらく、そのうち幸運でも何でもないことになるような気さえします。 この先、ビッグ4がビッグ2になるのか、ビッグ3になるのか、あるいは1強時代が来るのか、まだはっきりと見えて来ませんが、このマレーの勝利で男子テニス界がますます面白くなってきたことは確かです。 追伸 あの会場の空気の中で勝ち切った昨年のフェデラーは、やはり凄いと改めて気付かされました。出来れば彼にも復活してもらいたい。 |
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