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【の3】
「ところで、先生、〔ふぁんそん〕という言葉について説明して頂けませんか?」 気功の教室をしていると自己紹介していた男の人が尋ねた。 「ご存知のように〔ふぁんそん〕という言葉は、ホウショウという言葉の中国語読みです。」 そう言って先生はホワイトボードに〔放鬆〕という字を書いた。 初めて見る漢字だった。 先生は続けて話し出した。 「放という字は、四方八方に広がっていく、解き放たれていくという意味です。 鬆の意味は、空間が出来る、空洞になるという意味で、ここが〔ふぁんそん〕の基本になるんですね。」 「ほうしょうと呼ばずに、何故、〔ふぁんそん〕と言うんですか?」 栄養士だと言っていた女性が口を開いた。 「そうですねぇ、どちらでも良いんですが、空洞感的な感覚が、シャボン玉というかワタ菓子というか、何となく丸くてやわらかな感覚なので、、その丸い感じをもってもらうために、ひら仮名で〔ふぁんそん〕って表すようにしたんですよ。」 先生は微笑んで言った。 「体の中がゆるんでくると、まず、液体的なトローっとした感覚になってきます。 そして、その感覚が薄れてきて、気体というか、空気的な感覚に変わっていくんですね。 つまり、〔ふぁんそんテクニック〕を練習していくと、体が固体から液体、気体へと感覚的に変わっていくんです。 体内が気体というか空洞感になっていくと、皮膚というバリアを越えて外に広がって行くような感覚になってきます。 そう、放として広がっていくんですよ。 そこまで行くと、最初にお話ししたように〔空〕の体感になるんです。」 先生の話は難しかった。 言葉的にはわかるのだが、私はまだ体感したことがない訳だから、それを実感するのは無理だった。 「とすれば、〔ふぁんそん〕というのは、体がワタ菓子みたいになって、その中の空気感覚が広がっていくということで、大きさ的には色んな段階があるってことですね?」 新体操をしていると言っていた女性が確かめる口調で言った。 「そうです。 体内の小さな空洞感から胴体一杯の空洞感、更に外に広がっていく空洞感から宇宙一杯の空洞感まで幅は広いんですね」 と、先生は言った。 これで私を除く全員の受講生が発言したことになる。 仏道のBさん、沖縄空手のOさん、鍼灸師のSさん、気功の先生のKさんの4人の男性と、太極拳のTさん、シャンソンを歌っているUさん、栄養士のAさん、新体操のDさん、それに友人のミカと私の4人が受講生ということになる。 私も何か質問したかったが、まだ何を訊いて良いかさえわからない状態だった。 私は、これから先の〔ふぁんそん〕と〔空〕の体感に期待が膨らみ、どこまで体感できるようになるんだろうかと、窓の向こうに目を遊ばせていた。 すると、ミカが私の腕を突っついた。 次の実技をする為に、先生もみんなも立ち上がっていたのだ。 私は慌てて立ち上がった。 |

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