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20130613(了) 高峰秀子/「わたしの渡世日記」 上・下 単行本(朝日):S51年2月/中古 <★★★★☆> (カバー) 女優・高峰秀子は、いかにして生まれたか――複雑な家庭環境、義母との確執、映 画デビュー、養父東海林太郎との別れ、青年・黒澤明との初恋など、波瀾の半生を常に明る く前向きに生きた著者が、ユーモアあふれる筆で綴った、日本エッセイスト・クラブ賞受賞の 傑作自叙エッセイ。映画スチール写真、ブロマイドなども多数掲載。 彼女が中年になってから扇谷正造にほだされ、根負けして書き始めてしまったと、この本の 由来を紹介している。 文章に夫君はホントにノータッチなんやろか。 気取り全くなしなのに、信じがたいほど見事に劇的な自伝。 生い立ちや家庭の複雑さには殆んどあっけにとられ、それと子役時代から成人するまでのあ きれるほどのせわしなさとが、なにやらバランスが奇妙に取れている。 こんなスターってあるんやねえ。 「血染めのブロマイド」という章などめちゃくちゃ印象的。とはいえその他の章もまったく間然 とするところが無い。 上巻を読み終えて、早くも人に勧めた。 上巻のオシマイのほうは、こんな映画界からの独特の切り口ながらも、ものすごく強烈な「戦 争」・・・ ともあれ、日本の映画人総出演の感がある。 映画のことなんかに触れなくったって面白いが、映画の話はそれこそ日本の映画史そのも のといってもいい。驚くべき興味深さ。 いくら劣悪と言っても言いすぎだとは思えない、あきれるばかりの腐れ縁的な家庭環境に対 し、映画人のみならず他の文化人との交流の、これはまたなんという豪華さ豊饒さ。 それでもって、様々な「大物」に支えてもらっている。その幸運にひたすら感謝もしている。 この女優さんの人間的な魅力を知ることが出来たのが、多分、一番やろね。 こんな方だったとは、前回読んだ夫婦共著の“ハワイ”の本からはまるで予想も出来なかった。 解説の沢木耕太郎さんによれば、夫君の手助けもなく、ましてやゴーストライターなどももち ろんいなかったわけで、この2冊の全文章はデコさん自身が書いたもの。中には書かれてい ないが、相当タイヘンな時もあったらしい。 このあと、十数冊もエッセイをものして、その文章力や面白さをどんどん披瀝していかれたの も頷けるというもの。 内容的には、結婚を最後に置いている。 その後のことにも様々に触れてはいるものの、そこで一応停めているのは正解だと沢木さん は書いていて、まあ、読んだ人はわかりますね、きっと。 こんなすごい自伝が残され、読めるというのは、なんとも幸せなこと。 いやー、まいりました。 (そうそう、現在は新潮文庫で出てます。)
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