休みには中古屋のはしご

「精神」と「肉体」などと勝手に自分と思い込んでいるものに呪いあれ!とまれ「自分の中」でもってこの二つの乖離がどんどんひどくなる。

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20130906(了)

デイヴィッド・ゴードン/小説『二流小説家』

    THE SERIALIST   訳:青木千鶴

    2011年3月/ハヤカワ・ポケミス/早川書房/中古

    <★★★★>

おととし、日本じゃ‘このミス’ほか、海外翻訳ミステリー分野でたくさんの1位を獲った。
それに、翻訳ものだというのに日本で早くも映画化されたんじゃなかった?テレビドラマ?

SFやエロものやヴァイパイヤ物などで糊口をしのぐ様々のペンネームを持つ小説家が、獄
中の死刑間近のシリアル・キラーからご氏名を受けて、ある種の伝記を条件付で書くなどと
いう奇妙キテレツな依頼を受けた途端、過去の猟奇殺人とそっくりな、新たな猟奇殺人が起
きて謎解きが始まるというお話で、猟奇の表現はそれなりにエグイのに、独特の軽妙さも伴
っていて、暗くもなく、なにやらバランスがいい。広く世評を得たようであるのも頷ける。

自分には鈍いところがあると自認するこの小説家、悶々としたりびくついてばかり。苦労をし
たとは思えないが、決してバカでもないし、なんというか・・・ちゃんと職業小説家。
ひょんなことから解決にたどり着く。
死刑囚の告白部分はなかなかのもの。
語り手たる二流小説家のたどり着く自らの真実にもおおいに納得させられてしまった。
物語の合い間に、作家自らのジャンル小説の最新部分が挟み込まれてゆく。作者の想念や
このような小説が言わば非現実で、提示される猟奇殺人が現実なんだろうが、どっちが現実
で、どっちが非現実かわからないかのように、そして両者は溶け合っていくようにも思えるん
だけれど、実は違って、そうじゃない、現実と非現実はさかさまかもしれないし両者は影響し
合うんだが、どうやら溶け合うってことはない、ちゃんと棲み分けているんだ、みたいな。
作中作家はこじんまりと哲学的で、一応スッタモンダも伴って解明へ導いてはいくものの、そ
う冴えた探偵役という感じではない。ストーリー的にもどうってことはないものだったんじゃな
かろうか。
じゃ何が優れていたんだろう。実はよくわからない。その語り口がいいのだろうか。ペンネー
ムごとにこれはみごとに書き分けられているジャンル小説が、意外といいからだろうか。全体
として緩い調子ながら、でもそれだからこそ生きるのか全体の基調になっている諧謔の味が、
すばらしいのだろうか。
もう一度読んだらちゃんと「読書感想文」書けるかなあ。

まあ、そんなところです。
いささかグロっぽいけれど、これは推薦でしょう。

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