休みには中古屋のはしご

「精神」と「肉体」などと勝手に自分と思い込んでいるものに呪いあれ!とまれ「自分の中」でもってこの二つの乖離がどんどんひどくなる。

本の鑑賞記

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これこそ雑多。でも小説が多いでしょうね、結果的には。
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20131025(了)

大栗博司/「重力とは何か?」――

     アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る

  はじめに
  第一章 重力の七不思議
  第二章 伸び縮みする時間と空間 ―特殊相対論の世界
  第三章 重力はなぜ生じるのか  ―一般相対論の世界
  第四章 ブラックホールと宇宙の始まり ―アインシュタイン理論の限界
  第五章 猫は生きているのか死んでいるのか ―量子力学の世界
  第六章 宇宙玉ねぎの芯に迫る   ―超弦理論の登場
  第七章 ブラックホールに投げ込まれた本の運命 ―重力のホログラフィー原理
  第八章 この世界の最も奥深い真実 ―超弦理論の可能性
  あとがき


      2012年5月/科学エッセイ/幻冬舎新書

      <★★★>


ベストセラーだと新聞で紹介されてからしばらくして購入・・・多分定価で。
朝日の紹介の見出しは“素人の目で読みやすく”となっている。
  
    ・・・・その一方で、素粒子の標準模型から必然のものとして導出しようとすることは、惑
  星の軌道を理論から演繹する試みのように、無駄骨に終わる可能性もあります。素粒子
  の標準模型の建設に大きく貢献しノーベル賞を受賞したスティーブン・ワインバーグは、
  アメリカの雑誌『ハーパーズ』の最近のインタヴューで、
  「私たちは、自然界の基本原則を理解する道筋の、歴史的な分かれ目に立っている。もし
  マルチバース(多重宇宙)の考えが正しければ、基礎物理学の研究は劇的に変化するこ
  とになる」
   と述べています。
   そもそも、太陽と地球の距離が人間原理によって説明できたのは、太陽系内に地球以
  外の惑星があり、また宇宙全体に太陽系に似た惑星系がたくさんあって、惑星の軌道は
  歴史的偶然によって決まっていることを知っているからです。同様に、人間原理が素粒子
  の標準模型の説明になるためには、10の500乗のような膨大な数の可能な自然法則が
  あり得て、それらが宇宙全体の進化の中で実現されていることを示す必要があります。こ
  の問題に決着をつけることができる理論は、いまのところ超弦理論しかありません。
  人間原理に基づく考察に意味があるかどうかを判定するためには、超弦理論の理解を深
  めて、自然法則のどの部分が偶然によって定まり、どの部分が基本原理から導出できる
  のかを理解する必要があるのです。
   幸運なことに、超弦理論は素粒子の標準模型をつくるために必要な要素を、すべて備え
  ています。だからこそ、八〇年以上も未解決だった「相対論と量子力学の融合」という困難
  な問題を解決する唯一の候補となりました。厚い岩盤の裂け目から差し込む一筋の光の
  ような理論なのです。
   もちろん、実験的な検証を進める必要もあります。いまのところ、この分野は理論が先
  行しており、それを検証する作業が追いついていません。そのため、「超弦理論は検証不
  能なのではないか」という疑問の声も聞かれます。
   しかし物理学の世界では、理論に実験的検証が追いつくまでに長い時間がかかること
  が少なくありません。たとえば・・・・

これ、なかなか意味深な文章だよね。(あるいは‘触れておかないとしょうがない’)
エンディング間近のところから拝借。
本当は‘人間原理なんてものに触れるのは本意じゃないけれど、といって触れないわけにも
行かない、というような感じを、ワタシなんぞおせっかいにも受けた気がする。このあとに一応、
大結論もある。でも本当は大事なことはもうちょっと前に全部書いちゃったよ、、、みたいな。
この素粒子の先生は、よっぽど超弦理論に期するものがあるんだね、きっと。そして後続に
どんどん来てくれと誘っている。
企画としては“重力の七不思議から説き起こし、相対性理論と量子力学の大切なところをき
ちんと押さえ、さらに超弦理論の最新の発展やホログラフィー原理まで解説するという野心
的なもの”なのね。

とか、わかったようなことを書いたんだが、第四章あたりで青息吐息。第五章の量子力学が
出始めたあたりからあとはただ読んでいるだけみたいなもんでした。ホログラフィー原理って、
それ、理屈なの?
そういえば以前に「ブラックホールで死んでみる」というタイソン博士の本を読んでいて、量子
力学が出てきたらまるでお手上げ、なんてことがありましたな。そう前のことじゃない。やれ
やれ。理系脳がうらやましい。

でもね、何がいいって、こんな平易な日本語で書かれているということ!!! もう驚くべきもんで
す。ビッグバン以上のデカイ話も、これ以上突き詰められないミクロの世界のことなども、な
にやら少しわかったような気にさせてくれましたからね。
これって、ワタシの頭の悪さ固さをさておいて言うが、ホントに画期的なことかも。
ただし申し訳ないのですが、正しく理解できないワタシにとっては、この★数。

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20131008(了)


西原理恵子・佐藤優/「とりあたま帝国―右も左も大集合!編」


   2013・8・30/ジャンル?/新潮社/
  (初出「週刊新潮」2012年1月19日号〜2013年5月16日号)/単行本


   <★★★△>

時事ネタとはいえ、こういうおふざけ風なものもたまには読みたい。
いしいひさいちの漫画を読むような感覚に近いと思って・・・

新聞のコマーシャル欄を見て面白そうだと書いた。
結構話題になったニュースに対して、この二人が好きなように切り込むというもので、
お二人はコンビとされつつも、特に示し合わせたりはしていない。
もうこれでまとめるのは3冊目らしい。ちゃんと人気もあるんだ・・・
‘とりあたま’ってのは西原の漫画系のタイトルからいただいているんだろう。

あの佐藤氏もけっこうくだけて書いているものの、一方西原のほうの若干意図的な天
然ぶりというかトンチンカンぶりというか、その‘一応無知’だというスタンスでのハチャ
メチャな反応とは猛烈なギャップで、佐藤氏のいわばこわもて的内容との対比のおか
し味が、ヘンだけど、癖になりそう・・・てなコンセプト。じゃない?
佐藤側の文章がいささか短く、せめてもう1枚分くらいはあってもとは思ったが、ま、
書き出したらキリがない物も、不得手な世界のこともあるわけで、これだけ短いからこ
そ、次へ進めるのかも。雑誌の企画として秀逸じゃないですかね。
点数低いが、オモロかったでっせ。 
「いざ往かん、鳥頭帝国へ!」

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20130929(了)

スティーヴ・ハミルトン/小説『開錠師』

   THE LOCK ARTIST

   越前敏弥訳

   2012年12月/ミステリー小説/ハヤカワ文庫/(2011年 ハヤカワミステリ)/中古

   <★★★★>

(宣伝) 本年度年末ミステリ上位を独占 このミステリーがすごい! 2013年版【第1位】 週刊
文春ミステリーベスト10【第1位】 プロ犯罪者として非情な世界を生きる少年の光と影を描き、
世界を感動させた傑作ミステリ・・・
八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。だが彼には才能があった。絵を描
くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。孤独な彼は錠前を友に成長する。やがて
高校生となったある日、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり、芸術的腕前を持つ
解錠師に……非情な犯罪の世界に生きる少年の光と影を描き、MWA賞最優秀長篇賞、C
WA賞スティール・ダガー賞など世界のミステリ賞を獲得した話題作。


マイクルの物語。といってもせいぜい20代後半までなんだが、2つの時間軸を中心に描かれ
ていって、その2つの時間がだんだん近づいてゆく。
手馴れた描かれかたなのか、そうでもないのか、それとも主人公の(一人称の)せいなのか、
とても落ち着いた表現でいて、かつ初々しい感じを受ける。
この作者、実は十分に経歴豊かな小説家だそうな。
10年ほど前に『氷の闇を越えて』という大ヒット作があるんだって。記憶にありません。

開錠に関する記述の面白さと、それを練習する場面や実際に犯罪に用いる場面などが大変
印象的だからこそ、ミステリー的要素も生きているが、もう一つの柱は、ロマンスというよりは、
なんだろう、運命の出会い、唯一無二の恋をした男女の関係やね。これが物語りを言わば
‘必要以上にカラフルに’している気がした。
マイクルの成長譚だというような見方も出来なくはないが、ワタシはあまりそっちのほうへ行
くのはどうかなと思う。

ページターナー度は抜群だと請合います。

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20130912(了)

清水 勲/(1)『ビゴーが見た日本人』――風刺画に描かれた明治

   第一章 明治を活写した異邦人
   第二章 ポーカーフェイスの世界
   第三章 はっとさせられる風習の数々
   第四章 愛らしき「お菊さん」たち
   第五章 西洋文明にほれこんだ人々
   第六章 近代化に呑みこまれる古きよき日本

       2001年/学術書?/講談社学術文庫/
       (単行本;1981年、中央公論社「絵で書いた日本人論―ジョルジュ・ビゴーの世界」)/
       中古

       <★★★△>


清水 勲/(2)『ビゴーが見た明治ニッポン』

   第一章 上流階級の日本――世相画  西洋文明を身にまとった人たち
   第二章 女たちの日本――風俗画(一)“日本でいちばんいいもの”
   第三章 男たちの日本――風俗画(二)近代化する職業
   第四章 庶民の日本――風俗画(三) 何気ない日常の風景
   第五章 皮肉られた日本――風刺画  国際社会へ挑むアジアのナポレオン
   第六章 写実の日本――報道画    欧州に伝えられた日本
   第七章 無念の日本――不安画    新体制への危惧
     * 「トバエ」とその協力者たち
     * ジョルジュ・ビゴー略年譜

       2006年/学術書?/講談社学術文庫/(文庫オリジナル?)/中古

       <★★★△>


(カバー裏);
1882年(明治15年)に来日し、17年間の滞在生活をおくったフランス人画家ビゴーは、その卓
越した描写力で、写真や活字では記録し得なかった日本人の本質を鋭く描きとった。明治政
府を皮肉る痛烈な諷刺画のほか、西洋文化にとびついた人々の滑稽な姿、日本的な風習に
あふれた庶民の生活、日本軍に従軍して描いた戦争報道画など、百点を作品を通して、近
代化する日本の活況を明らかにする。

と、これは2冊目(ま、続編です)の‘明治ニッポン’のほうのカバーの文句。

なにやらこっ恥ずかしい漫画的な絵がほとんどで、両方の本で200点。
色々面白いこと請合うが、その「こっ恥ずかし」さをこそ論じるべきなのかも。
絵と清水氏の解説が対になっている。
これでも17年間のビゴーさんの作品のほんの一部らしい。いやいや、帰国してからのものも
含まれているんだ。

このころの成人男性の平均身長が155cmぐらいだったという。この本で得るタイプの情報じ
ゃないけね。それからどうやら栄養状態からのことらしいが、やたらに出っ歯が多いのね。
今とはずいぶん違う。想像しにくい。
ちなみにビゴーは160cmほどで、フランス人としては当時としてもかなり小柄だったせいか、
そのことからだけだが、上から睥睨するとか威圧するようなことはなく、日本人と同じ目の高
さであり、フランス人は珍しいはずだが、わりと容易にもぐりこめたんじゃないかと書かれてい
る。しかしここまでよくも潜り込めたもんだと感心する。でなきゃ描けるわけがない。

日本人にしてみれば、西洋文明が入ってきたドサクサ的時期ではあるが、それでも日本人
なら当たり前というようなことだからか、残っていない情報が多く、そうした物事をビゴーが書
き残していて、大変貴重な資料として扱われることが多い。それは歴史的事実の写真のよう
な扱いであったり、文化的なことであったりで、教科書にすら載るという。

写真の1枚目(一冊目のカバー)は、あとがきに載っていて・・・

  ・・・ビゴーが帰国後の日露戦争期に描いたシリーズ絵葉書の一枚である。「イギリスの
  後押しでロシアに立ち向かう日本」(第89図とはべつのもの)という諷刺画もこのシリーズ
  絵葉書の一点である。
  ロシアの宮廷でフランス語が話されていた昔から、フランスとロシアは互に親近感を持っ
  ており、多くのフランス人は日露戦争でロシアの勝利を期待していた。そんな時代のフラ
  ンスで、少数親日派のビゴーは、日本の軍国主義化をテーマに諷刺画や報道画(日露戦
  争には従軍しなかったので、日清戦争期のスケッチや写真資料をもとにした)を描いた。
  そこには軍事大国への道を進む日本への危惧がこめられている。この絵は第96図と共通
  するところがあるが、「アジア帝国」をめざす意図を明確に描いている点で、より衝撃的で
  ある。しかも、その後の日本をみごとに予見している・・・

ビゴーによって明治15年から観察され始めたころの日本とその変りようは、びっくりするよう
なものばかり。これがほんの100年ちょっと前なのだとはにわかには信じがたい。
しかも上に「こっ恥ずかしい」と書いてしまったのは誰あろうワタシ自身なのですな。

この著者先生は漫画もよく知っておられるようで、文化庁メディア芸術祭事務局が平成18年
に行ったアンケート『戦後日本のメディア芸術100選』のマンガ部門ベスト10投票に、以下の10
作品を投票したんだって。

  1位 長谷川町子「サザエさん」
  2位 横井福次郎「ふしぎな国のプッチャー」
  3位 赤塚不二夫「ギャグゲリラ」
  4位 山上たつひこ「がきデカ」
  5位 つげ義春「ねじ式」
  6位 手塚治虫「鉄腕アトム」
  7位 大友克洋「AKIRA」
  8位 鳥山明「ドラゴンボール」
  9位 池田理代子「ベルサイユのばら」
10位 G・ビゴー「トバエ」作品

この10位にランクインさせている「トバエ」なる明治の雑誌、ビゴーで食っている先生らしいが、
普通なら選ばないだろう?

そんなことで、ホントに恥ずかしいという意味で書いたわけじゃない。ここで見ることができる
絵の日本人は、かなり不恰好だけれど、そうでなくなった恰好いい今の日本人が残念ながら
失ってしまった結構大事に思えるものもまたたくさん見つけることができる。
興趣がつきない。
もう少し絵をでかくし、文のほうはもう少し吟味してもいいかな、と。絵の中身のひねくれ方が、
もうちょっとちゃんとわかりたい・・・。

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20130906(了)

デイヴィッド・ゴードン/小説『二流小説家』

    THE SERIALIST   訳:青木千鶴

    2011年3月/ハヤカワ・ポケミス/早川書房/中古

    <★★★★>

おととし、日本じゃ‘このミス’ほか、海外翻訳ミステリー分野でたくさんの1位を獲った。
それに、翻訳ものだというのに日本で早くも映画化されたんじゃなかった?テレビドラマ?

SFやエロものやヴァイパイヤ物などで糊口をしのぐ様々のペンネームを持つ小説家が、獄
中の死刑間近のシリアル・キラーからご氏名を受けて、ある種の伝記を条件付で書くなどと
いう奇妙キテレツな依頼を受けた途端、過去の猟奇殺人とそっくりな、新たな猟奇殺人が起
きて謎解きが始まるというお話で、猟奇の表現はそれなりにエグイのに、独特の軽妙さも伴
っていて、暗くもなく、なにやらバランスがいい。広く世評を得たようであるのも頷ける。

自分には鈍いところがあると自認するこの小説家、悶々としたりびくついてばかり。苦労をし
たとは思えないが、決してバカでもないし、なんというか・・・ちゃんと職業小説家。
ひょんなことから解決にたどり着く。
死刑囚の告白部分はなかなかのもの。
語り手たる二流小説家のたどり着く自らの真実にもおおいに納得させられてしまった。
物語の合い間に、作家自らのジャンル小説の最新部分が挟み込まれてゆく。作者の想念や
このような小説が言わば非現実で、提示される猟奇殺人が現実なんだろうが、どっちが現実
で、どっちが非現実かわからないかのように、そして両者は溶け合っていくようにも思えるん
だけれど、実は違って、そうじゃない、現実と非現実はさかさまかもしれないし両者は影響し
合うんだが、どうやら溶け合うってことはない、ちゃんと棲み分けているんだ、みたいな。
作中作家はこじんまりと哲学的で、一応スッタモンダも伴って解明へ導いてはいくものの、そ
う冴えた探偵役という感じではない。ストーリー的にもどうってことはないものだったんじゃな
かろうか。
じゃ何が優れていたんだろう。実はよくわからない。その語り口がいいのだろうか。ペンネー
ムごとにこれはみごとに書き分けられているジャンル小説が、意外といいからだろうか。全体
として緩い調子ながら、でもそれだからこそ生きるのか全体の基調になっている諧謔の味が、
すばらしいのだろうか。
もう一度読んだらちゃんと「読書感想文」書けるかなあ。

まあ、そんなところです。
いささかグロっぽいけれど、これは推薦でしょう。

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kikuy1113
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