静かな生活

心理・教育・福祉問題ほか、生活の中で発見したことに関し比較的短い文章によるデータベースにしていく予定です。様々なジャンルに挑戦!

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以下の手紙は、20歳前後の時期にお世話になった声楽の先生へ
送った手紙をおおまかに再現したものです。
文中にある萩原かおりさんは先生の娘さんで、ミュージカル、オペラなどに活躍中。
ただし、文中にある『歌物語「愛加那」』(有限会社マルスエイソル)は
現在、一般の店頭や通信販売では購入できないようです
(取扱店 かごしま遊楽館(有楽町)ならびに セントラル楽器(奄美大島) で販売中、
また下記の萩原かおりHP内にあるアドレスにメールすれば購入可)。

萩原かおりHP:http://www.hagiwarakaori.com/top.html
有限会社マルスエイソルHP:http://www.mars-a-sol.com/index.html


Y・H先生へ

遅れましたが、お手紙をお送りいたします。
かおりさんの『歌物語「愛加那」』、さっそく聴かせていただきました。
音楽や人生経験に関して未熟な僕が言うのも恐縮ですが、
お世辞ではなく、かなりの意欲作という印象を受け、内容にとても惹かれました。

実は、私は大学院時代に第三回の芥川賞作品の鶴田知也「コシャマイン記」、
宮本百合子「風に乗ってくるコロポックル」、
大江健三郎など主に“アイヌ”や“地方出身者”をテーマとし、
日本人作家が作品の中で少数者による抵抗をいかに表現しているのか?
について考察してきました。
偶然ではありますが、『愛加那』も、
マイノリティを扱っている点で共通していたことには驚きました。

かおりさん自ら、資料の収集から作詞、作曲、ナレーションまで
全てをこなした手作り感覚のこの作品集には、
ご自身もおっしゃられているように、世間における愛加那に対する
「西郷に見捨てられた可哀想な辺境の島の女性」という単一のイメージを、
より人間的で喜びもあれば悲しみもある一人の女性としてのものに変えたい、
という思いを強く感じました。

また、既成のクラシックコンサートやオペラへの出演、
ポップ系の曲のカバーも大切な活動であるのは当然なのですが、
それだけに安住せず、さらに自らの手でゼロから新しい作品世界を作り上げ、
表現者としての可能性を追求している姿勢にはとても好感を持ちました。

こういったことから、先生に用意して頂いた『週刊女性』に書かれていた、
劇団四季の研究生としての経験や、明治大学のマンドリン部との共演活動、
また自らC−POPと呼ぶ音楽スタイルにも、なるほどなあと納得しました。
聴いていてとくに印象に残ったのは〈きょむらん〉、
〈出会い〉、〈ネリヤ・カナヤ〉などでした。

時期としても、今年は西郷隆盛が深く関わってくる大河ドラマの『篤姫』が
話題をよんでいました。
残念ながら愛加那は登場していませんでしたが、
かえってこのことは、この作品集の存在をより意義深いものとしてくれる気がします。

最後になりましたが、毎回丁寧なお手紙を下さり、
本当にありがとうございます。現在は進路に向けて忙しくなかなか難しいのですが、
またお会いできる機会を楽しみにしております。

日曜日に94歳で亡くなった父方の祖母のお通夜に行く。
これまで、私は特に親戚の人達と会うの避けていたのだが、
今回お通夜という機会のおかげで、約4年ぶりの再会を果たし、
また以前と違い意外ときちんとお話が出来ている自分を見出した。

もともと、高校を変えたり、大卒後就職せずに大学院に行っていたこと、
また数年前までの自分は人間関係に悩み、
人を避けがちだったこともあって、
よく喋る人が多い親戚の中で根ほり葉ほり質問されることが辛かったのだ。

しかし、大学院を終了し、書店や居酒屋のアルバイトをしたこと、
民間・公務員の就職活動や面接を多く経験したこと、
そして何より友人との関わりや麦の会・カウンセリングなどで自分に自信を持つこと、
自分の考えたこと、感じたことを伝えてみることが少しずつ出来るようになってきたからだと思う。

肌寒い教会で牧師さんによる儀式と献花をおこなった後、
教会の座敷の間にて、地元の人々が用意してくれた食事を取ることになった。
参列者のうち30人くらいがその部屋に集まったが、
親族の人達と、主に教師をしている父の職場の人の関係者の人達で固まりができた。

私は母や妹とやや端っこの方にいたが、
熱海に住んでいる従兄弟のTさんが話しかけてきてくれた。
数年前までの自分ならば、ここで俯いて赤面になり、何も言えずに固まってしまうところだった。
しかし、母や妹もいたせいか、今日は大学院での研究のこと、普段の父親のこと、
亡くなったおばあさんの芯の強さのことなどに関し、
表面的ではなく、なかなか内容のある話をすることができた。
また、単に自分のことだけを伝えるというのではなく、
Tさんの立場にもたって質問や反応を返すことが出来たのも、
自分にとっては大きな成長。

これに気をよくしたのか、その後の叔母さん達との会話も、
今までになく積極的に”楽しむ”ことが出来た。
どちらかといえば、当初数年前の非社交的で就職が
決まらないイメージのままの私に喝を入れてやろうというモードだったと思われる親戚達も、
案外私が元気な私を見て、多少納得してくれたんじゃないかと感じる。

お通夜の席なので不謹慎ではあるが、
今回の機会をつくってくれたTさんや親戚に感謝しつつ、
これからの更なる自信と励みにしたい。

昨日、千葉の映画館で『青い鳥』という映画を観た。
重松清の短編が原作の、”いじめ”をテーマにした地味ながらなかなかの意欲作だ。
主演の村内先生役の阿部寛と生徒役の一人である本郷奏多(園部真一役)以外は
ほとんど知られていない役者達ばかりだが、
それだけに内容は、現実に学校の中で起こっているいじめ等の
問題の本質を突いた優れたものになっている。

ストーリー自体は、苛めによる自殺未遂未遂の
生徒(既に転校)を出してしまった東が丘中学校の2年1組に、
3学期のはじめから阿部寛扮する吃音の国語教師村岡が赴任し、
事件のことを早く忘れようとしている生徒達や教師らに
自殺未遂にまで追い込んだいじめについて考え直してみるように働きかけるというもの。

この映画で特に個人的に特に印象に残ったのは、
村岡先生の言葉と生き様の両面から発されるメッセージである
「大切なことを「本気の言葉」で本気で話そう」、
「相手の「本気の言葉」には本気で耳を傾けよう」というものだ。

主演の阿部寛自身がインタビューで語っているように、
現在の社会では、真面目を嫌って、ノリで生きていくことが
スマートとされている風潮のなかでは、
本気の言葉を発し、本気で聴くというある意味”鈍くさい”ものとして
敬遠されているとも言える。
しかし、私が人間が一歩一歩成長し成熟していく過程では、
少なくとも必ずどこかの段階ではこの本気の言葉の受け渡しにぶつかり、
通過していかなければならない運命にあるものだと思う。
それは、何ひとつコンプレックスを持たない人間がいないことと同じで、
どこかで弱い立場に立つことになってしまう私達は、
人生のどこかの時点でお互いに助けあい、
大なり小なり感謝の心を実感しながら生きていかなければならず、
その時は、本気で相手と向き合わざるを得ないからだ。

仮に少年少女時代真っ盛りの小中高校時代には体験することがなかった子であっても、
社会に出てつらい立場と経験したり、親になったりしていく過程で、
いずれ直面しなければならない問題なのだ。

したがって、村内先生が生徒達に出来れば感じ取ってほしいと願ったこととは
(彼は、自分から教訓を押し付けない。きっかけを与えるが生徒自身に考えさせる。
当然、映画では何も気づくことなく終わった生徒も多数いた)、
悪質ないじめの一事件への心からの反省であると同時に、それだけではない。

本当に相手の立場と気持ちになって考え、向き合うこと。
仮に相手が自分と気が合わなかったり、考え方や生活、ふるまいに隔たりがあったとしても、
また自分が悩んでいたり、時間が無かったり、イライラしていたとしても、
本当に大事な時には、相手は自分と違うのだと切ってしまうんじゃなく、
相手の気持ちに誠心誠意耳をすませて、気持ちを想像すること、ではないだろうか。

実際には、大人の世界でも、全ての人に心を開くということは難しく、
特に考えずに距離を置く他者が多いのが現実。
要するに、全ての人の気持ちを真剣に読み取れというのではなく、
自分に出来る範囲で、他者と向き合ってようということだ。

ただ、少なくとも相手のことを傷つけたり、心無い態度を取らないことは、
お互いの「責任」であり、真剣に気を使っていかなければならないことといえるだろう。

どもりながら、笑われながらも、毎日夜遅くまで残って生徒のことを考え続ける
鈍くさくひたむきな村内先生の姿が、その大切さを教えてくれる。

残念ながら観客が少なく、興行的には厳しいとも思われるが、
監督デビュー作だという中西健二監督のこだわりにはとても好印象を持った。
さらなる手の込んだ次回作にも大いに期待。

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