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6月20日の産経、「石平のChina Watch」、「人民日報の習近平批判」に注目した。1000字に短縮しコメントする。
【6月6日の本欄で、米中貿易協議の決裂以後、習近平国家主席が、この件について沈黙を保っていたことを指摘したところ、翌日の7日、彼は訪問先のロシアでやっと、この問題について発言した。
プーチン大統領らが同席した討論会の席上、習主席は米中関係について「米中間は今貿易摩擦の中にあるが、私はアメリカとの関係断絶を望んでいない。友人であるトランプ大統領も望んでいない」と述べた。
意外だった。米中貿易協議決裂から1カ月、中国政府が強硬姿勢を繰り返し、人民日報はアメリカの「横暴」と「背信」を厳しく批判してきた。こうした中で行われた習主席の発言は正反対のものだった。
彼の口から強硬発言は一切出ず、対米批判のひとつも聞こえてこない。それどころか、トランプ大統領のことを「友人」と呼んで「関係を断絶したくない」とのラブコールさえ送った。
国外での発言とはいえ、中国最高指導者が、国内宣伝機関の論調や政府の一貫とした姿勢と、かけ離れているのは、まさに異例中の異例。
さらに意外なことに、習主席のこの「友人発言」が国内では隠蔽される一方、発言当日から人民日報、新華社通信などの対米批判はむしろより激しくなった。
ここまできたら、その論調は、もはや対米批判の領域を超えて国内批判に転じている。その批判は捉えようによっては、習主席その人に対する批判であるとも聞こえる。
貿易戦争の最中、敵の総大将であるトランプ大統領を「友人」と呼んで「関係断絶を望まない」という発言は、人民日報が批判する「降伏論」、「アメリカ恐怖症」である。
習主席の個人独裁体制が確立されている中で、人民日報などの党中央直轄のメディアが公然と主席批判を展開したこととなれば、それこそ中国政治の中枢部で大異変が起きている兆候である。
その背後に何があるかは、現時点では分からない。おそらく、米中貿易戦争における習主席の一連の誤算と無定見に対し、宣伝機関を握る党内の強硬派が業を煮やしているのではないか。
いずれにしても、米中貿易戦争の展開は、すでに共産党政権内の分裂を促し、一見強固に見えた習主席の個人独裁体制にも綻びが生じ始めた。米中貿易戦争の長期化はもはや不可避である。】
習近平の人民日報批判ならあり得るが、人民日報の習近平批判は、そうあり得る話ではない。果たして習近平の独裁体制に綻びは生じたのか。最重要なテーマになりそうである。
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