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原題:FLAGS OF OUR FATHERS 監督:クリント・イーストウッド 出演:ライアン・フィリップ(ジョン・“ドク”・ブラッドリー) ジェシー・ブラッドフォード(レイニー・ギャグノン) アダム・ビーチ(アイラ・ヘイズ) ジェイミー・ベル(ラルフ・“イギー”・イグナトウスキー) バリー・ペッパー(マイク・ストランク) ポール・ウォーカー(ハンク・ハンセン) ジョン・ベンジャミン・ヒッキー(キース・ビーチ) ジョン・スラッテリー(バド・ガーバー) ストーリー: 太平洋戦争末期、硫黄島に上陸したアメリカ軍は日本軍の予想以上の抵抗に苦しめられ、戦闘は長引き、いたずらに死傷者を増やす事態に陥っていた。そんな中、擂鉢山の頂上に星条旗が高らかに翻る。この瞬間を捉えた1枚の写真が銃後のアメリカ国民を熱狂させた。星条旗を掲げる6名の兵士、マイク、フランクリン、ハンク、レイニー、アイラ、ドクは一躍アメリカの英雄となるのだった。しかし、その後祖国に帰還したのはドク、アイラ、レイニーの3人だけだった。国民的英雄として熱狂的に迎えられた彼らは、戦費を調達するための戦時国債キャンペーンに駆り出され、アメリカ各地を回るのだったが…。 allcinemaより 太平洋戦争の際に、激戦の地だった硫黄島をめぐり、クリント・イーストウッド監督が日米双方の視点で描いた画期的な二部作が公開されるということで、アメリカ側から描いた本作もかなり期待が高まっていたのですが、期待を裏切らない、いえ、期待以上の映画で、私的に今年No1の作品かも知れません。 日本の領土である硫黄島。ですが、日本人である私でも、その島の位置、大きさ、歴史など、正確なものは何も知りませんでした。 なぜ太平洋戦争の際に日本軍が2万以上死傷者を出しても、死守しようとしたのか、また、なぜ米軍がそれを上回る 2万8千人もの死傷者を出しても占領しようとしたのか。 それは、サイパンを飛び立った米軍の戦闘機が、東京を爆撃する際にこの島の上空を通過するためです。 島の端から端まで長いところでもたったの8キロという小さい島ですが、米軍から東京を守るためには重要な拠点となる島だったのです。 アメリカ中から集められ、海兵隊員になった若者達は、アメリカ本土で、そしてハワイで、10ヶ月にわたる実践を想定した訓練を受けますが、自分達がいったいどこへ派兵されるかも知らずに、ひたすら訓練を繰り返し、いよいよ目的地を目指した船に乗船してから、やっと硫黄島を攻撃することを知らされます。 目的地では、先に海軍による10日間の徹底した砲撃が予定されていましたが、実際にはたったの3日間しか行われず、多くの日本兵がいるはずなのに、島には人影すら見えない不気味な島に上陸していくことになります。 アメリカの視点で描かれた『父親たちの星条旗』の原作者は、硫黄島に星条旗を掲げた写真に写っている6人の海兵隊員の一人で、衛生下士官のジョン”ドク”ブラッドリーさんの息子さんです。ブラッドリーさんは、硫黄島の戦争でメダルを授与されるほどの英雄なのに、戦争のことは何も子供達に語らなかったし、あの有名な写真もなかったそうです。 ストーリーは、ドク・ブラッドリーの視点で展開されますが、何故彼が戦争について何も語らなかったか…。 映画では、6人の海兵隊員を中心に、島での戦闘の様子、太平洋戦争のシンボルにもなった有名な写真が撮られるいきさつ、帰国後のエピソードなどを描いています。 敬虔なカトリック信者の両親を持つドクは、人の役に立ちたいとの思いが強い、誠実な人物です。 衛生兵であることからドクと呼ばれたブラッドリーは、ライフルなどの兵器の代わりに、救急セット(ユニット3)を持っていました。日本兵は、そのユニット3を目印に攻撃をしたとされ(衛生兵が治療しなければ、助からない兵士が増えるため)、危険に身をさらして、負傷者の間を駆けずり回ります。 6人のリーダーであるマイク・ストランク軍曹の両親は、スラヴ系の移民。やっと仕事にありつけた炭鉱町で厳しい生活をする一家で、子供達も長男のマイクを中心に皆で両親を助けていました。過去に2度戦地に赴いて、今回が3回目の参戦になるマイクは、自然に身についた年少者たちへのリーダーシップで、他の兵士たちは皆マイクを信頼していますし、そんな部下の信頼に応えるために、マイク自身は昇進を言い渡されても、彼らを母親の元へ帰すのが自分の役目と断っていました。 フランクリン・サウスリーは、三十代の初めで夫と長男を亡くしてしまった母親と二人暮しの優しい青年でした。 ハーロン・ブロックは、地元テキサスの学校でフットボールでも活躍する選手でした。 アイラ・ヘイズは、ピマ族のインディアン。物静かで、我慢強いアイラは、部族の誇りでもありました。 レイニー・ギャグノンは、シングル・マザーの母親と肩を寄せ合うように生きてきました。紡績工場で働く母親と同じ工場で働いていて、婚約者のポーリーンと近々結婚する予定でした。 10ヶ月にも及ぶ訓練の中で仲間のために戦うことを学んだ彼らは、自分が怪我をしても仲間のためにしばし戦場へ残ろうとしましたし、時には仲間をかばって死ぬこともありました。 そんな彼らにとって、真の英雄とは戦場で命を落としたマイク達を指しています。 国旗掲揚時のエピソード、最初に掲揚したのはハンクたちの班であり、ドク達は上官の命令で、旗を取り替えただけなのですが、最初の写真に傷が入って使い物にならないため、思いがけず、ドク達の掲揚シーンが本国の新聞に載りヒーローになってしまうのです。 本国で有名になっていることを知らなかったドク達。 帰国したドク達を待っていたのは、政府の財務長官を始めとしたおエライさん。 戦争にはお金がかかり、既に底をついた財政状況を立て直すことに躍起な政府は、ドク、アイラ、レイニーの3人を国債を買ってもらうためのPRマンに仕立ててしまいます。 国旗掲揚も2番目であり、自分達のことをヒーローとは思っていない3人は、注目度に動揺を隠しきれない様子です。 そして、マスコミ取材の際に、1枚目と2枚目の写真を混乱してしまったことなどで、”ニセモノ”説が飛び交ったり、戦死した仲間の母親に真実を告げられないことなどで、傷ついてしまうのです。 映画では、戦争で傷つき、帰国後の騒動で傷つく3人の様子が描かれていました。 身も心も十分傷ついて奇跡的に帰国できた3人なのに、なりふりかまわない政府のやり方は…。 情報操作の怖さを見ました。 マイクの母親に抱きついて、真の英雄はあなたの息子だと泣くアイラ。 映画では個々の兵士の背景にまでは触れられていませんでしたが、マイクの人となりを知っていると、胸が詰まるシーンでした。 戦争、その後の政府のPRと二重に傷つく3人の帰還兵を中心に、いろいろなことを問いかけてくる映画でしたが、詰め込みすぎた感じがなく、イーストウッド監督が言っていたように、戦争映画というよりは、ヒューマンドラマだと私も思いました。 |

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Nomadさん、私、イーストウッド監督とは、実はあまり相性がよいわけではないのですが、本作はやられました!昨夜Nomadさんのコメントにも書きましたが、ほんと、あの原作をよくぞこのような映画に!です。彼にも映画の神様がついていますね^^。TBありがとうございました!
2006/11/1(水) 午後 2:00
Yukiちゃん、本作だけ観ても、こんなに胸を打たれたのに、『硫黄島からの手紙』を観てしまったら、ほんと、大変なことになってしまいますよ!素晴らしい作品に出会えて幸せです^^。TBありがとうございました!
2006/11/1(水) 午後 2:13
戦争っていつも政府高官のためのものだと改めて思いました。彼らのことをショービズ化してしまうって許せません。そうですか。やはり本を読んで彼らの背景を知っておくと、2倍も3倍も奥深く鑑賞できるのでしょうね。
2006/11/1(水) 午後 9:04
この映画、すっごく見たいんです!!ポールもどんな小さい役でもいいから出たいって言ってたらしいですし。硫黄島って名前は聞いたコトあるんだけど、そこで何が起こってたなんて全然知らないし、アメリカ視点でどう描かれてるかも気になります。
2006/11/2(木) 午前 0:35 [ tri** ]
そんなに旗を揚げた人間が重要なんでしょうかね??不思議な時代です・・。
2006/11/2(木) 午後 2:53 [ シャンパン太郎 ]
cartoucheさん、原作は、6人の生い立ちを一人一人丁寧に描くところから始まり、次に海兵隊での訓練、硫黄島につくまでに半分以上を費やしています。なので、彼ら一人一人を身近に感じられるのですが、身内贔屓な文面なので、たまにカチンときます(^^;。映画がよくできていましたし、こちらは読まないでもいいかと思います。TBありがとうございました!
2006/11/2(木) 午後 5:55
Triiyちゃん、ポール・ウォーカーもちょっとだけ出てますが、彼が出演していなくても、観る価値アリの映画ですので、是非劇場へ!!
2006/11/2(木) 午後 5:59
太郎さん、戦争に疲れたアメリカも、カリスマ的なヒーローを求めていたのでしょうね。米政府の強烈PRのおかげで?、あの写真は太平洋戦争を象徴する写真のようです。TBありがとうございました!
2006/11/2(木) 午後 6:08
観ました☆戦争ドラマよりヒューマンドラマ・・・わたしもそう思います。確かに戦闘シーンは圧巻ですが、ドラマ部分もしっかりと描かれていて秀逸な作品だと思います。戦争は勝ち負けなどない、無意味さをイーストウッドはストレートに表してくれてると感じました。イーストウッドからの手紙、しっかり受け取りました☆
2006/11/3(金) 午後 4:05
おっしゃるとおり、見事な反戦映画でしたね。戦争映画は苦手なので、本作も躊躇していたのですが、思い切って観に行って本当によかったと思います。確かに凄惨な場面もありましたが、海兵隊員たちが何のために戦っているのかとか、太平洋戦争でのアメリカ本国の実情がしっかり描かれていました。TBありがとうございます!
2006/11/4(土) 午後 6:37
kimさん。観てきました〜。ほんと今年NO.1って言われるの分かりますよ。いろんな意味で凄い作品でした。イーストウッド監督は確実に「ミリオンダラー〜」より進歩(失礼ですが・・)されてると思いました。それと出演者一人一人について書いてくれてありがとう。恥ずかしながら自分の中で整理がつかなくなってました。。TBさせて下さい!
2006/11/6(月) 午前 8:41
実は原作をナナメ読みしていた私で、その印象では、これほどの映画になるとは思っていなくて、脚本、監督の手腕に脱帽です。で、逆に言うと、原作では、6人の兵士の人となりから始まるんですね。映画が素晴らしかったのでそれだけで充分と思いますが、興味があったらどうぞ〜!TBありがとうございました!
2006/11/6(月) 午後 0:05
やっと読み終えたので観てまいりました。とても心に響くものが大きい凄い作品でした。日本人でありながらほとんど知らなかった硫黄島での激戦のこと、それに伴う兵士たちや家族の辛い人生・・・どんな理由があっても戦争はするべきでないということがはっきりとしますね。第2部も楽しみです。TBさせてくださいね♪
2006/11/10(金) 午後 3:12
今Choroさんの記事を読ませていただいたのですが、原作を読まれたとのこと。当事者の息子さんが書いたものなので止む終えないのかも知れませんが、結構身内贔屓な面がありましたよね。なので、読みながらカチンとくることもあったのですが(笑)、映画では見事な反戦映画になっていたと思います。そんなことからも脚本が素晴しいと思ったのでした。ということで、私も『硫黄島からの手紙』が楽しみです。TBありがとうございました!
2006/11/11(土) 午前 8:52
またも遅くなりましたが TBとコメントのお返しにやってまいりました! もうすぐですね、「硫黄島からの手紙」。アメリカでの公開も年内に繰り上がったとのこと、楽しみです。というと語弊がありますが、どのように描かれているのか 興味深いです。イーストウッド監督、衰えを知らないですね。
2006/11/20(月) 午後 6:45
そうなんですってね!『父親達の星条旗』が、ちょっと低迷していて、その一本だけでは弱いから、『硫黄島〜』も公開しちゃって、完璧な状態で評価してもらおうっていうことなんでしょうか?なにしろ『硫黄島〜』は、いろいろな意味で興味深い作品です!TBありがとうございました!
2006/11/21(火) 午前 11:16
ジニーさんのところから来ました。映画好きですので、解説を読むのが好きです。この映画は、重い腰を上げて観てきました。それほど、素晴らしい映画でした。歴史を記録した貴重な映画だと思います。
2006/11/23(木) 午前 11:45
nz_rrさん、コメントありがとうございます!私も戦争映画は苦手で、あまり食指が伸びない分野なのですが、がんばって観に行って本当に良かったと思います。次の『硫黄島からの手紙』は、本作ほど冷静には見れないと思うのですが、早く観たいと期待が高まっています。
2006/11/24(金) 午前 1:56
3人の帰還兵に対する、残忍なまでの思いやりの無さには、心が痛みました。イーストウッド監督、ハリウッドの神様のように思えてしまいます。12月が楽しみですね^^ TBさせてくださいませ♪
2006/11/27(月) 午後 11:52
サムソンさんの記事、いつもの調子じゃないのでちょっとびっくり;;;イーストウッド作品が本当にお好きなんですね^^。私は実はそれ以前の作品とは相性イマイチだったのですが、本作ではやられました。私も映画の神様のように思えます。マジで。そういえば、今週末はもう12月ですよ〜〜;;;TBありがとうございます!
2006/11/28(火) 午後 2:12