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原題:IN THE VALLEY OF ELAH 監督:ポール・ハギス 出演:トミー・リー・ジョーンズ (ハンク・ディアフィールド) シャーリーズ・セロン (エミリー・サンダース) スーザン・サランドン (ジョアン・ディアフィールド) ジョナサン・タッカー (マイク・ディアフィールド) ジェームズ・フランコ (カーネリー大佐) フランシス・フィッシャー (エヴィ) ジョシュ・ブローリン (ブシュワルド所長) ジェイソン・パトリック (カークランダー警部補) ジェイク・マクラフリン (スペシャリスト、ゴードン・ボナー) メカッド・ブルックス (スペシャリスト、エニス・ロング) ヴィクター・ウルフ (ロバート・オーティス兵卒) ストーリー: 2004年11月1日、元軍警察のハンク・ディアフィールドのもとに、軍に所属する息子のマイクが行方不明だとの連絡が入る。 軍人一家に生まれ、イラク戦争から帰還したばかりのマイクに限って無断離隊などあり得ないと確信するハンク。 不安に駆られた彼は、息子の行方を捜すため基地のあるフォート・ラッドへ向かう。 同じ隊の仲間に話を聞いても事情はさっぱり分からず、念のため地元警察にも相談してはみたものの、まともに取り上げてはもらえず途方に暮れる。 そんな中、女性刑事エミリー・サンダースの協力を得て捜索を続けるハンクだったが、その矢先、マイクの焼死体が発見されたとの報せが届く。 悲しみを乗り越え、真相究明のためエミリーと共に事件の捜査に乗り出すハンクだったが…。 allcinemaより 初公開年月:2008/06/28 昨年のトミー・リー・ジョーンズは、本作と『ノーカントリー』、2つの作品で賞レースを賑わせていたのですが、彼がオスカーにノミネートされていたのは、本作での主演ででしたね。 また、昨年はイラク関連の映画も何本か製作されて話題になっていたのですが、ポール・ハギス監督の本作の他、私は残念ながら映画館では見逃してしまいましたが、イラク赴任中だった妻を亡くしてしまう家族を描いた、ジョン・キューザック主演の『さよなら。いつかわかること』、また、実際に起きた米兵によるイラク女子学生暴行殺人事件を題材にしたブライアン・デ・パルマ監督の『リダクテッド Redacted(原題)』も今後日本でも公開予定とか。 しかし、イラク戦争を題材にした映画は、アメリカでは興行不振とのこと。 娯楽的要素が少ないことに加え、今もイラクに大勢の兵士が駐留するアメリカでは、まだ多くの国民にとって身近な問題で、客観的に観る段階にないからでしょうか…。 が、私的には、本作はとても興味深く見応えのある映画でした。 イラクから帰還したばかりのマイクが失踪の背景は、イラク赴任中の特異な事件や体験が原因になっていたのですが、戦争という無慈悲で非現実的な場所では、どうやら人間らしいモラルを持っている人ほど心に深い傷を負ってしまうようです。 戦場では自分の命を守るのは自分だけ。 まず自分の身の安全を考えなければならいのでしょうが、そのために罪のない一般人を殺してしまったら? また、(他の映画でしたが、)仲間を殺してしまったら? 戦場での任務中に起きてしまったことということで、本人に落ち度が無い限り誰も責めたりしないでしょうが、自分の中の良心が許してくれないのでしょうね…。 しかも、決して……。 また、自分が当事者ではないにしろ、そのような悲惨な場面を見続けたとしたら? 戦争に徴兵されるのは、まだ社会的にも未熟な若者が多いと思うのですが、彼らは技術的、体力的な鍛錬の他、精神的な鍛錬をどれくらい受けているのか…。 いくつかの戦争映画を観て強く思うのは、精神的な強さ?適正?というのもかなり重要なのでは?ということですが、すると兵士がいなくなってしまうのでしょうか…。 本作でトミー・リーが演じたハンクは、息子マイクの携帯に残された写真や動画で、イラクでの任務中の様子や、マイクの内面を知ることになります。 軍人一家に生まれ、自分自身も折につけ戦場でのサバイバル方法などを伝授してきたハンクにとって、それは意外でショックなこと…。 また、それらの写真の一部はハンクへメールされていたのですが、それは、マイクからのSOSだったのか…。 ハンクは、マイクは戦場で生き抜くにはまだまだ未熟な子供だったことを思い知ったのだと思います。 さて、原題の『IN THE VALLEY OF ELAH』。 私も邦題は『エラの谷』になると思っていたし、そのタイトルに興味も覚えていたのですが、劇中でハンクがマイクの捜査を協力してもらうサンダース刑事(シャーリーズ・セロン)の子供に話してあげる”ダビデとゴリアテの戦い”の舞台のことでした。 宗教的な解釈もちゃんとあるお話なのでしょうが、巨人戦士ゴリアテに羊飼いの少年ダビデがたった一人で挑み運良くやっつけるその物語に、サンダース刑事の子供が確か”まだ子供なのに怖くなかったの?”と素朴な疑問を投げかけたと思うのですが、若い兵士達の置かれた状況と重なっていたように思え、なるほど…と思ったのでした。 |

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戦場で戦う若い兵士たちにとって極限状態の中に身を置くことがどれだけ過酷なことなのかを痛感させられました。
この作品、仰るように本国アメリカでは評価が低いのですよね。
頭ごなしに馬鹿げていると非難する意見も目にします。兵士の非難として受け入難いのかもしれません。
TBさせてくださいね。
2008/6/30(月) 午前 6:49
戦争の心の傷が描かれている作品なのですねぇ〜。
ポール・ハギス監督ということもあり、これは今週末にでも観に行こうと思っています。 ^^
2008/7/1(火) 午前 0:07
戦争を知らない世代ですし、今の日本にいたら現実としては
受け止められないですけどね。結局戦争って個人的な気持ちは抜きに戦わねばならないわけですものね・・
2008/7/1(火) 午前 0:28 [ mom**umi ]
はじめまして、オネムと申します。
「告発のとき」見てまいりました。なかなか、良い作品でした。
kimさんの詳しい素晴らしいレヴューを読ませていただいて、また深く考え始めました。
TBさせて下さい。それから、ファン登録もさせていただきます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
2008/7/1(火) 午前 10:41
Pu−koさん、そうですか、頭ごなしに非難する人も…(^^; イラクを題材にしたものは、実話を基にしているって言うところも関係者的には受け入れがたい部分があるのでしょうか…。
日本でも自衛隊が派遣されていましたが、後方支援とはいえ、いつ襲撃に遭うかもしれないし、捕虜にされるかもしれないしということでは全く他人事とも言えず、戦場へ行かなければならない人が一人でも少なくなるようにと祈るばかりですね…。
TBありがとうございました!
2008/7/1(火) 午後 3:27
サムソンさん、こちらのポール・ハギスさんは、『クラッシュ』に続き、監督/製作/原案/脚本という、力の入れようですね。
で、この映画を観ながら、スザンネ・ビア監督の『ある愛の風景』を思い出したり、海外ドラマの『ブラザーズ&シスターズ』、また、『ジャーヘッド』、『ひと月の夏』なども過ぎったのですが、一見無傷で帰還しても、心に大きな傷を負った人のなんと多いことか…。 心の傷は一生残るかも知れず、怪我するよりタチが悪かったりしますよね…。
2008/7/1(火) 午後 4:08
でぶっちさん、私も今の日本人は戦争とは無縁と思っていましたが、本作にしろ、この映画を観てよぎった他のいくつかの作品にしろ、実戦中というわけではなかったりするのですよね。 そういう意味でいうと、戦場にいる全ての人、たとえば、後方支援で赴任した自衛隊員だってそういった傷を作るかも知れず、他人事とも言えないのかとも思ったり…。 で、戦争の際は、個人的な気持ちは持たないようにしないと、ほんと辛いと思うのですが、そういう意味でも、知っている者同士で戦う内戦は悲惨ですよね…。
2008/7/1(火) 午後 4:27
オネムさん、はじめまして! コメント&TBありがとうございます。
最近観たいくつかの映画やドラマでも、戦争により精神的に傷ついた人々が描かれていたのですが、心が傷ついてしまうのも、凄く辛いものがありますよね(><)
それから、登録ありがとうございます! こちらこそ、これからよろしくお願いしますね^^。
2008/7/1(火) 午後 6:26
父親としてのハンクの苦悩に、胸苦しい気持ちにもなりました。
でも、ダビデのエピソードなど、映画としての見応えも充分でした。
T・L・ジョーンズの演技は、ノミネートも納得の深い、素晴らしいものだったと思います。 TB、させてくださいませ。 m(__)m
2008/7/6(日) 午前 0:44
サムソンさん、息子を信じたい気持ち、がっかりした気持ち、救ってあげられなかった無念、戦争に対する怒り、トミー・リーの表情からはいろいろなものが伝わってきましたね。 本作でのノミネート、私も納得です!!
TBありがとうございました!
2008/7/7(月) 午後 3:45
戦争は、どんな戦争でも悲惨であると思います。特に戦場に子供達を送っているご両親にとっては、国を超えて辛いことだと思います。
ベトナム戦争では、アメリカでは、どんな若者も皆戦争に行かされたけど、今は大学で勉強するための奨学金をもらうためや、仕事がないなど、貧しい家庭からイラクやアフガニスタンへ兵士としていくアメリカ人が圧倒的に多いのです。
世界中の母親が集まって、戦争会議を開いたら、誰もが戦争はやめようと結論に達するだろうと、誰か有名な人が言ってたような・・。
2008/7/18(金) 午後 0:02 [ nomad ]
確か、サリー・フィールドも『ブラザーズ&シスターズ』でエミー賞を受賞時に同じようなことを言っていたような…。(ブラザーズ〜で、彼女はアフガンに出兵していた息子の母親でした)
大統領候補戦はオバマ氏が勝ったようですし、ドラマや映画を観ていても、アメリカでも反戦に向かいつつあるように感じるのですが、アメリカは変われますかねぇ…。
2008/7/19(土) 午後 2:42