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原題:THE OTHER BOLEYN GIRL 監督:ジャスティン・チャドウィック 出演:ナタリー・ポートマン (アン・ブーリン) スカーレット・ヨハンソン (メアリー・ブーリン ) エリック・バナ (ヘンリー8世) デヴィッド・モリッシー(トーマス・ハワード(ノーフォーク公爵) クリスティン・スコット・トーマス (レディ・エリザベス・ブーリン) マーク・ライランス (トーマス・ブーリン卿) ジム・スタージェス (ジョージ・ブーリン) ベネディクト・カンバーバッチ (ウィリアム・ケアリー) オリヴァー・コールマン (ヘンリー・パーシー) アナ・トレント (キャサリン・オブ・アラゴン) エディ・レッドメイン (ウィリアム・スタフォード) ジュノー・テンプル (ジェーン・パーカー) ストーリー: 16世紀、イングランド。 国王ヘンリー8世は、王妃キャサリンとの間に男子の世継ぎが出来ず焦りを感じていた。 そこに目を付けた新興貴族のトーマス・ブーリンは、長女アンを王の愛人に仕立てようと画策する。 ところが、ヘンリーが見初めたのは、商家の息子と結婚したばかりの次女メアリーだった。 ほどなくヘンリーはブーリン一家を宮中に住まわせ、メアリーを愛人に召し上げる。 先に嫁いだ上に、王の愛人の座まで横取りされてしまったアンは、次第にメアリーに対して嫉妬と憎しみを抱き始めるが…。 allcinemaより 初公開年月:2008/10/25 楽しみにしていた映画だったので、早速初日に観てきました。 英国の長い歴史においても、ヘンリー8世やエリザベス1世が統治したテューダー朝は、私的にも最も興味深い時代の一つなのですが、本作は、その中でもヘンリー8世の寵愛を競ったブーリン姉妹の数奇な運命に的を絞った大胆な作品でしたね。 気質のまったく違う姉妹を、当代きっての若手女優、ナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソンが演じています。 売れっ子な二人なだけに、スカーレットは『私がクマにキレた理由』で、ナタリーは『宮廷画家ゴヤは見た』で観たばかりだったのですが、特にナタリーは、15年も投獄されていたイネス役も凄まじいものがありましたが、こちらのアン・ブーリン役は、後半、魂の叫びを見せつけられた感じで、いやはや凄かったです;;; 昔は英国に限らず女性の地位は低く、政略結婚の道具にされ、子供を生む機械と見られ…。 ブーリン家自体も何代か前は庶民だったものが、有利な結婚を繰り返すことにより、父トーマスは、有力貴族であるハワード家の娘(姉妹の母エリザベス)との結婚にこぎつけたようで、男子が生まれないヘンリー8世の愛人として娘を差し出すことに何の躊躇もありません。 そんなドロドロと欲望が渦巻く世界に、はからずも巻き込まれてしまった気立ての優しいメアリーは、ヘンリーの寵愛を得て、周囲の期待通りに妊娠しますが、流産の恐れがあり隔離された部屋に寝かされてしまいます。 そこでヘンリーを繋ぎとめる手段として、フランスに渡っていたアンが呼び戻されるのですが、当初は自分の役割だったものをメアリーに横取りされて面白くなく思っていた彼女は、フランスで身に着けた派手な社交術でヘンリーを虜にし、せっかく男子を産んだメアリーからヘンリーを奪ってしまいます。 機知に勝るアンのこと、ヘンリーを独占することに成功すると、今度はメアリーのようにはなるまいと、その気まぐれな愛を揺るぎないものにするために、王妃の地位を得ようとするのですが、それがローマとの分裂、ひいては英国国教会の樹立にまで至ってしまい、その責任はおのずと彼女自身に跳ね返ってくるのですよね。 男子を産むことが、もはや至上命令となってしまったアン。 最初の子供は女の子(後のエリザベス1世)、期待を裏切ってしまったアンは、次の妊娠に懸けるのですが、流産してしまい…。 既にヘンリーを繋ぎとめるのに限界を感じていたアンは、ことの重大さに、次第に狂気を帯びてきます。 歴史の概要を読んだだけでは、史実が坦々と書いてあるだけで、何故アンが首をはねられてしまったのかは分からなかったのですが、その背景たるや凄まじいものがあったのですね。 ただでさえ、キャサリン王妃を追いやったこと、宗教問題を引き起こしたことで世間からはもとより王宮でも孤立していたアン。 プライドが高いアンが精神的に追い詰められていく様子を見事に演じきったナタリー・ポートマンは素晴らしかったです。 対して、大人たちに幸せな人生を狂わされ、アンからもいわれのない嫉妬を受けてしまったメアリーは、ほんと気の毒な女性なのですが、彼女は、その善良さ、寛容さで、どんな状況でも自分を見失うことはありませんでしたね。 実は芯の強い女性、メアリーを演じたスカーレットも良かったと思います。 で、クリスティン・スコット・トーマスが演じた姉妹の母は、地位より愛を選んで結婚した女性だったのですよね。 それ故、宮廷での権力争いに加わるのは最初から気が進まないようだったのですが、女性には発言権がなかったのでしょうね。 弟(ノーフォーク公)や夫がすることに、ため息混じりに従っていたのですが、アン、ジョージと、二人の子供が処刑される事態となり、初めて夫に感情を爆発させるのですが、子を持つ親として辛いシーンでした…。 国王に取り入ることで莫大な恩恵にあずかることができる代わり、その気まぐれで薄情な気持ち一つで命もなくしてしまう。 いわば命懸けのゲームをしていた人たちに、鑑賞後に残ったのは虚しさだけ…。 善良なメアリーのその後が穏やかだったのがせめてもの救いでした。 が、映画としては、閉ざされた世界の陰謀渦巻く人間ドラマだったのですが、途中まったく飽きることなく夢中で観てしまいました。 ただ、ブーリン姉妹以外のことは殆ど描かれていなくて、ヘンリー8世についても、トマス・モアが処刑されてしまうこととなった宗教改革についても、アンのために行われたこととはいえ、あえて踏み込まなかったのでしょうか? そこら辺も興味深い点なだけに残念だった気もするのですが、なので尚更、ヘンリー8世をじっくり描いたTVシリーズ、ジョナサン・リース・マイヤーズ主演の『The Tudors』、ホント観たいです;;; |

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