製作:1974年 スウェーデン
原題:SCENER UR ETT AKTENSKAP / SCENES FROM A MARRIAGE
監督:イングマール・ベルイマン
出演:リヴ・ウルマン(マリアンヌ)
エルランド・ヨセフソン(ヨハン)
ビビ・アンデショーン(カタリーナ)
ヤン・マルムショ(ピーター)
グンネル・リンドブロム
解説: 『ある結婚の風景』は、弁護士のマリアン(リヴ・ウルマン)と教授のヨハン(エルランド・ヨセフソン)の、一見平穏で円満そのものにみえた夫婦関係に亀裂が生じ、崩壊するさまをリアルに描いた作品である。もともとは全6話からなる5時間を越えるテレビ・シリーズとして製作された。デンマークで放映された際には、主人公たちの運命を知ろうとして急いで帰宅する人たちの車の列が交通パニックを引き起こし、さらにストーリーに刺激されて離婚が急増するなど、社会現象にまでなったいわくつきのセンセーショナルな作品である。
テレビ版を再編集した168分の劇場版も、ゴールデン・グローブ賞外国映画賞、全米批評家協会賞作品賞、NY批評家協会賞女優賞(リヴ・ウルマン)などを受賞し、日本では’81年に公開された。そこには、主演女優たちとの華麗な遍歴から生まれたベルイマン自身の結婚生活が色濃く反映されている。この劇場版も、今や結婚生活の内実をリアルに浮き彫りにした古典として揺るぎない位置を占めており、最近では、フランス映画の鬼才フランソワ・オゾンが『ふたりの5つの別れ路』を撮る際に、この作品から深くインスパイアされたことを率直に表明しているほどだ。 『サラバンド』公式サイトより
先日、『サラバンド』という映画をミニシアターで観たのですが、『ある結婚の風景』という映画の続編だということに観終えてから気付いて、慌てて探したのですが、30年程も前の作品のせいか、近所のレンタル・ショップには置いていなくて、やっとのことで観ることができました。
そもそも『サラバンド』を観ようと思ったのは、スカパーで契約している”シネフィル・イマジカ”というチャンネルからプログラムが送られてきた際に、チラシが封入されていたためなのですが(シネフィル・イマジカの開局10周年記念上映作品だそうです)、本作の放映は『サラバンド』上映前の10月中で終わっていて、『サラバンド』を観てから興味を持った人のことは全然考えてくれてないみたいです(^^;。そういうのもなんだかなぁ…という感じ。
…が、やっとのことで観ることができた、『ある結婚の風景』は、絶品でした!!
雑誌の取材を受けるほどの理想的な夫婦が破綻していく過程を描いたものなのですが、子供も冒頭に一瞬映るだけ、愛人も画面上には登場しなくて、殆ど夫婦二人の会話劇になります。
その会話の内容が…、片目をつぶって(もしかして両目^^;)結婚生活を送っている私は、そのあからさまな内容に、心臓をギュっと掴れたような衝撃でした。
犬も食わない夫婦喧嘩といいますが、私は割と興味深く観る分野。 ですが、本作は他の映画とは次元が違うと感じました。 allcinemaの解説に、”ベルイマンによる夫婦げんかの形而上学とあったのですが、まさにそんな感じ。
夫婦二人の会話劇ということで、映像的には地味なのですが、ベルイマン監督自身が手がけた脚本が素晴らしいです!!
以下、ネタバレがありますので、お気をつけください。
ストーリー:
−甘美−
誰もが羨む夫婦。ヨハンは精神工学研究所の講師で42歳。マリアンヌは弁護士で35歳。結婚して10年で二人の娘がいる。
ホームパーティに招いた友人夫婦が喧嘩を始めて驚くが、同時に自分達夫婦の幸せをかみしめるマリアンヌ。
−亀裂−
仕事や浮世の義理に忙殺され、すれ違っていく二人の気持ち。
味気ない結婚生活だというヨハンと、責めるようなことを言わないでとマリアンヌ。
−愛人−
突然愛人がいることを告白するヨハンは、ポーラという23歳の女性と明日パリに行くという。
驚くマリアンヌに、4年も前から考えていたことだとヨハン。
−暗涙−
半年振りにヨハンを迎えるマリアンヌは嬉しそう。 明るく生き生きとしたマリアンヌに惚れ直すヨハンだが…。
−激情−
ヨハンが家を出て行ってから3年。 離婚の書類にサインを貰うためにヨハンのオフィスへやってきたマリアンヌ。 愛し合う二人だったが、ふとしたことで相手の欠点を罵り合うことになってしまい…。
−還流−
ヨハンが家を出て行ってから10年。マリアンヌも再婚し、それぞれのパートナーの旅行中に別荘へやってきた二人。
私たちの結婚生活は上手く行っていると安心しきっていたマリアンヌは、夫の突然の愛人宣言に戸惑うのですが、これって凄い恐怖。 愛する人を失ってしまうという恐怖の他にも、生活の基盤が根こそぎ崩れちゃうわけですよね。 マリアンヌは弁護士という仕事をもったキャリアウーマンですが、それでも、子供達のこと、親戚や友人付合いのことなど、何をどうしていいのかわからないことばかりが押し寄せてきます。
それに対するヨハンの言い訳がまた…(^^; 男性って”しがらみ”に弱いのでしょうか? しかも4年もの間、マリアンヌのことを裏切っていた…。 マリアンヌの戸惑いが良くわかります。
離婚手続きなどで何度か会っているうちに、やがてお互いの本音が出てくるのですが、それは、円満な結婚生活を送るために飲み込んできた言葉の数々。 その言葉は、言ってはいけない言葉なのか、言わなければいけない言葉だったのか…。 が、言葉に出した二人は、ついに殴り合いにまで発展してしまいます。
離婚後もたまに会っていた二人。 お互いのパートナー(マリアンヌも別の男性と再婚)が旅行に出ている隙を狙っての逢瀬は、まるで愛人関係。 いわゆる”浮世のしがらみ”が入り込まない関係は、現実がない分色っぽいですね。 しかも、お互いを思いやる穏やかさがあって、なかなか羨ましい関係でした;;;
『僕は君を愛している。ワガママで不完全なやり方で…』 ヨハンの印象に残る一言です。
本作の続編が『サラバンド』になるのですが、『サラバンド』は、ヨハンの息子とその娘の親子愛を描いたものになります。
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