魅惑の9800円君

その後、哲学者は「何か」を知るための旅に出ます

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第1話 猫のルナカンタ

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猫のルナカンタは土手の草むらを歩いていました。
そこは、まだ子猫だったときにルナカンタが捨てられていた土手でした。
捨てられていたルナカンタを見つけて拾ってくれたのが、今のパパとママなのです。


パパとママにかわいがられて、ルナカンタは元気に大きく育ちました。
ひとりで散歩だってできるようになり、ルナカンタはこの土手まで来てみたのです。
懐かしい土手の光景を見て、ルナカンタはあの日のことを思い出しました。


 お腹が空いて、寂しくて、不安で、必死にないていたことを思い出しました。

 自分を見つけて抱き上げてくれた、ママの笑顔と温もりを思い出しました。

 うれしそうに笑うママを、やさしく見つめるパパの顔を思い出しました。





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ちょうどルナカンタが、パパとママにはじめて出会ったあの場所まできたときです。
ルナカンタは、草むらの中になにか光るものを見つけました。

それは、キラキラと光る宝石のついた銀色の指輪でした。
長いあいだ、そこに落ちていたのでしょう。
指輪はほこりをかぶって、少し汚れていました。

指輪を口で拾いあげて、ルナカンタは思いました。

  「これはきっと大切な指輪で、落とした人は悲しんでるんじゃないかしら。
  落とした人を探して、とどけてあげよう」





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ルナカンタが指輪をくわえて土手を歩いていくと、キョロキョロと何かを探しているおじさんに出会いました。
  「もしかして、おじさんが探しているのはこの指輪ではないですか?」

ルナカンタに聞かれて、はじめは何のことかわからないような顔をしていたおじさんは、
ルナカンタの口に宝石がキラキラと光る指輪を見ると、ニヤリと笑って言いました。

  「おお、それは、それこそは私の探していた指輪です」

落とした人が見つかったと喜んだルナカンタでしたが、そのあとおじさんがこう言ったのです。

  「さっき土手を散歩している時になくしてしまったのだよ、さあ、私にその指輪を渡しておくれ」

それを聞いてルナカンタは、これがおじさんの指輪ではないことに気がつきました。
だって、この指輪は長いあいだここに落ちていて、ほこりをかぶって汚れていたのですから。

おじさんがニヤニヤと笑いながら近づいてきたので、ルナカンタはくるりと身をひるがえして逃げ出しました。
後ろの方から、おじさんが「ちっ」と舌うちする声が聞こえました。





ルナカンタがまた土手を歩いていくと、今度はキョロキョロと何かを探しているおばさんに出会いました。

  「もしかして、おばさんが探しているのはこの指輪ではないですか?」

ルナカンタに聞かれて、はじめは何のことかわからないような顔をしていたおばさんは、
ルナカンタの口に宝石がキラキラと光る指輪を見ると、ニヤリと笑って言いました。

  「ああ、それは私がだいぶ前にこの土手でなくした指輪だわ」

今度こそ落とした人が見つかったと喜んだルナカンタでしたが、そのあとおばさんがこう言ったのです。

  「私はここで、そのダイヤのついた金の指輪をずっと探してたの、さあ、私にその指輪を渡しておくれ」

それを聞いてルナカンタは、これがおばさんの指輪ではないことに気がつきました。
だって、ルナカンタの口で隠れていた指輪の色は、金色ではなくて銀色だったのですから。

おばさんが両手をかまえて、今にもルナカンタにとびかかりそうに近づいてきたので、ルナカンタはくるりと身をひるがえして逃げ出しました。
後ろの方から、おばさんが「ちっ」と舌うちする声が聞こえました。





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ルナカンタがさらに土手を歩いていくと、小さな女の子が草むらで何かを必死に探していました。
近づいてきたルナカンタを見ると、女の子の方から話しかけてきました。

  「あたしね、前にここに遊びに来たときに、とっても大切な指輪をなくしてしまったの」

それを聞いてルナカンタは思いました。
ああ、この子こそ指輪の本当の持ち主に違いありません。

ルナカンタは、口にくわえた指輪を女の子に見せて言いました。

  「お嬢さんが落としたのは、ボクがさっき拾ったこの指輪ではないですか?」

ルナカンタに聞かれて、はじめはとてもうれしそうな顔をした女の子でしたが、
ルナカンタの口に宝石がキラキラと光る指輪を見ると、悲しそうな顔をして言いました。

  「ああ、それはあたしのなくした指輪じゃないわ。
  あたしのなくした指輪は、プラスチックでできたおもちゃの指輪なの」

ルナカンタにとってそれは、とっても意外な返事でした。





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ルナカンタのとまどうようすを見て、女の子は続けました。

  「確かにそれはあたしの指輪より、ずっといい指輪かもしれないわ。
  でも、あたしがなくした指輪は、あたしのお誕生日にパパがおもちゃ屋さんで買ってくれた指輪なの。
  世界にたったひとつしかない、大切な大切な指輪なの」

ルナカンタは女の子にたずねました。

  「それでもこの指輪を、もらってしまおうとは思わなかったの?」

次の女の子の返事を聞いて、ルナカンタはとてもおどろきました。

  「それはきっと大切な指輪で、落とした人は悲しんでるんじゃないかしら。
  落とした人を探して、とどけてあげられないかしら」

それは、ルナカンタが指輪を見つけたときに思ったことと、まったく同じだったのです。

なぜかしら。
ルナカンタは、ママに初めてだっこされたときの、あの温もりを思い出しました。



〜この先のお話は、あなたの夢の中へと続きます〜


                                                        画: マッタリたけし

もくじ

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「猫のルナカンタ」

「世界一小さな国の王様」

「こわがりのゆうれい」

「さびしんぼうな神様」

「魔法の杖」

「役立たずと役立てず」

「童話作家」




まだ1話も完成してません。
お話のタイトルから、どんなお話なんだろうって想像して楽しんでください。

原稿ができたら、たけしさんに挿絵をお願いします。
そちらもちょっと楽しみです。


【12/22】
第1話「猫のルナカンタ」を年末に公開予定です。
もう1週間お待ちください。

COSMOs

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物理学の世界では、光の速さを超えるのは不可能とされています。
しかし、物理学の及ばない世界では、光速をはるかに超えることも可能です。
我々の太陽系から最も近い星は、光の速さで4年以上もかかる距離にあります。
でも、その星のことを想う時、我々の想像はすでにその星にいるのです。

遥かな星の世界を想えば、一瞬にして広大な空間を越え、
太古の時代や未来の世界を想えば、悠久の時間すらも越え、
人間の想像力は、時も空間も全て超越し、瞬時にどこへだって行けるのです。




一枚の写真が、人を想像の世界へといざないます。
白みかけた東の空、冷たい朝の空気の中。
凛とたたずむ一輪のCOSMOs(コスモス)。

そのとき、その花の背後には、
確かに広大なCOSMO(宇宙)が広がっていたのです。

黄昏時

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黄昏時が好きです。
真上から降り注ぐ、明るくまぶしい昼の光より、
長い影を伸ばし、さまざまな表情を描き出す、
黄昏時の光が好きなのです。




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木漏れ日が好きです。
燦燦と陽をあびて、あたり一面輝く光景より、
枯れた花すら主人公へと変えてしまう、
まるで小さなスポットライトのような、
そんな木漏れ日が好きなのです。




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水に映る光景が好きです。
あらゆる物を明るく照らし、
我々の世界に光を与えてくれる太陽。
そんな太陽をありのままの姿に映し出し、
ゆらゆらと輝く水面の光が好きなのです。

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