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「行革対策」を利用した役人の功名争いと法人の内部崩壊


−危うく廃止を逃れた国際観光振興機構ですが、その後は「平穏な日々」に戻ってしまったのでしょうか?

「役職員は一様にほっとした様子で、舞台裏の事情を知らないプロパー職員の間からは『ほらやっぱりね。どうせ潰せっこないよ。』と公言する声が聞かれました。私自身はたちまち慢心する雰囲気を苦々しく感じていたのですが、運輸省は今後もいつ行革の対象にされるかわからないということで、大幅な業務・組織体制の改編を問答無用で突きつけてきました。」

−どういう内容ですか?
「行革対策のため、とにかく常に『目新しい目立つ事業』を行う事が至上命題となり、運輸省は予算要求のたびに、本当に必要な既存予算を削ってまで新規要求をぶちあげました。いわば米と味噌を売り払ってスパイスばかり買い込んだようなものです。実際の効果は全く無視され、とにかく『目立てばよい』というスタンスでした。実際の宣伝活動を行う海外の現場やプロパー職員の意見は一切聞き入れられず、士気がたちまち低下し、若手職員の退職が相次ぐようになりました。私の代は同期四名なのですが、ひどい代では同期七名全員がわずか三年間の間に全員退職しました。私はこの当時既に香港に赴任していたため、やる気のある優秀な人物から順番に辞めていくのを止めることができず、非常に悔しい思いをしました。組織は生き残ったかもしれませんが、残ったのは延命のみが存在目的に成り下がったただの『抜け殻』に過ぎません。」
 −特殊法人や独立行政法人の改革はこれまで歴代内閣が幾度となく取り組んでいるテーマであるにもかかわらず、なかなか成果を出せずにいます。何が問題なのでしょう?
「今の特殊法人・独立行政法人問題は専ら天下りの高給のみが問題視され、『官僚の天下り先になっているから。』という短絡的な思考で組織が不要だと結論づけられがちのようです。確かに天下り問題は重要な論点なのですが、議論の入り口としては正しくないと思います。それでは天下りの給与を半分にすれば問題はなくなるのでしょうか。私自身はプロパー職員に比肩しうる相応の知識、経験、ノウハウを持っていれば、別に天下りでもいいと思っています。確かに役員や幹部職員に天下りが多いのは事実ですが、日常の実務を行っている職員の大半はプロパーです。私は存在意義を喪失した組織が、自身の存続それ自体を目的として活動を継続している結果、国民の税金が食いつぶされているという点こそが最大の問題だと思います。ですから天下りの是非の前に、あくまでその組織の行っている業務に本当に必要性があるのかどうか、その組織でなければできないのか?さらにこの法人は本当に監督官庁が主張するとおりの仕事がきちんとできているのか?という点から議論をスタートするべきだと思うのです。天下り問題はその次の段階で厳しく論じられるべきでしょう。」

「例えば、国際観光振興機構の場合は、『モノ(製造業)に依存するわが国においては、人的交流を通じて諸外国との相互理解を深めることが国際平和のために重要であり、そのために外国人観光客の誘致を促進する必要がある。』と自らのレーゾンデートル(存在意義)を主張しています。確かにこれ自体は誤った考え方ではありませんし、行革審としても否定しにくいでしょう。ですからそこで攻め手を欠いて手詰まりに陥ってしまう結果、攻撃を諦めてしまうか、逆に実績づくりのためになりふり構わず特定の法人を問答無用で統廃合に追い込もうとする傾向になりがちです。
そうではなく『では実際に国際観光振興機構の行っている業務が本当に外国人観光客誘致に直接貢献しているのかどうか証明しろ。』と迫るべきなのです。また、『民間ではできない』と言われたら、個々の業務内容を細分化し、それぞれについて実際に市場化テストを行った結果で評価すれば良いのです。今のやり方は役所に自己評価させていますから意味がありません。」
石橋氏の話は具体的かつ刺激的であり飽きることがなかったが、紙幅の関係で一部は割愛する。


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