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ねこ暮らし お午睡の日々
インターネットの里親募集で出会った、三毛猫きなこ&サビ猫ももとのねこ暮らし+好きなものをぼちぼちと。

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4区、ジョージ。5区、神童。
ああ。やっぱり今までで一番見るのがつらい回だった…。

今回一番感情移入したのは、神童のお母さんでした…息子のあの姿を、それもいきなりテレビで見せられて、どんなにつらかったろう。なんかもう胃がねじれそう。見ていられない。
唯一の救いは、カントクが神童を棄権させようとしたときの、妹ちゃんの「ダメェっ!」かな。

お母さんはきっと、「あの子を止めてやってくれ」と心中叫んでいただろう。
アオタケの誰も、神童に「それでも走ってくれ」とは言えなかっただろう。
あの子だけが「負けちゃだめ」と言えたのだ。

出走前のLINEのやり取りで二人の間の絆を見せたのも、そのためだった。
そしてあの瞬間の神童に届いた声は、それだけだったんじゃないだろうか。

20話の感想として、神童のエピソードを「美談」にすることへの懸念のつぶやきをいくつか見た。確かにその通りで、競技の視点で見れば、不調を押して出走し、襷をつないだことを「過度に讃え」「美化する」のは間違っているだろう。

でも作り手側は、この難しいエピソードの軸をきちんと描くために、とても丁寧に描写を積み上げてこられたのではないかと思える。
それはなにより、1クールの最後で神童の「人としての強さ」をしっかりと見せたこと。私たちはここまでの物語の中で、彼が自分の意志を貫く人だということを知っている。
そして、「何も言えない」ハイジや、神童を止めようとして止められず宙に浮いた手を握りしめるユキの葛藤を見せ、たぶん、みんなは話し合ったはず、しかし神童自身が頑として棄権を受け入れなかったのだろうと推測させる。
更に走り終えた後も、カントクは必要以上に彼を誉め称えたりしない。「生きてさえいればいいではすまないこともある」とちゃんと言っている。

少なくとも私には、神童の姿は、ただただつらかった。アオタケのメンバーが感じていただろう、彼がたった一人で戦う姿を何も出来ずに見ていることしかできない、祈ることしかできない苦しさはかくあろうかという気持ち。
美しく感動的に描こうと思えば、いくらでも出来たはずなのだ。例えば神童にもモノローグを語らせればよかった。でもあえてそれをせず、だから見る者は神童の内面へは踏み込めず、外側からしかアプローチできない。
ゴールの場面も駆け寄るハイジやカケルの姿は遠景で見せるが、何を言ったかは拾わない。
主観で没入させず、あくまで客観的な距離感で見せるとても抑えた描写だった。

(このように見せなければならなかった理由はよく理解できる。…ただ、個人的には原作の神童のゴール直後のカケルとのやり取りはとても心を打たれて涙した場面でもあったので、見られなかったのは残念、ではある。あくまで個人的に。)

さて、スポーツ用品メーカーのHPだったと思うが、現実のランナーである選手がインタビューに答えて、走っている間は、自分のペースやタイム計算をするので精いっぱいで、作中の選手たちのようにものを考えることはない、と仰っているのを見た。

この物語は、駅伝についてのノンフィクションではない。そこはフィクション。しかもこの作品の一番大事な部分。
それぞれの人物が「なぜ走るのか」「どう走るのか」を通して、人間が描かれる。私たちはそれを見て、生きることについて、幸せとはなにか、と考えるのではないか。
ハイジがずっと抱えている「走るって何なのか。走るってどういうことなのか」という問いも、「カケルの屁理屈」も、走ることは生きることのメタファーであるという示唆に他ならないだろう。

ならば「駅伝の一区間を走る」というのは、この物語においては生きることそのもの。誰にも代わってもらうことはできない、自分一人で背負わねばならない戦い、ということの象徴なのだと思う。
だけど「一人で走っていても、一人じゃない」。そう言えることこそが、一番強い。
ハイジの言葉をカケルが皆が理解し、体得していく姿を通してそれが描かれるのだ。

もちろん、ここまで走ってきたみんなもそれぞれの試練を乗り越えてきた訳だが、神童についてはまさに「地獄巡り」という言葉が思い浮かぶ。
冥界を命がけでわたりきって、試練を乗り越え、生の世界に帰還する旅。これは実際の競技の場面でも使う言葉だと思うけれど、出走することを「行ってくる」と言い、ゴールすることを「帰ってくる」というのが、とても象徴的だと思う。
彼の心象風景は荒れ狂う吹雪に覆われ、まさにこの世ならぬ世界を彷徨しているようだった。

6話でキングの迷いに寄り添い、彼の心に届く言葉を一生懸命探して語りかけ、居場所を指し示した神童。仲間が仲間でいられるように、自分に出来ることを全力でやってきた彼。妹が寄せる素朴な信頼も決して投げ出さず受け止めて、(きっと自分の姿を見て、妹はショックを受けるだろうと分かりながら)それでも受け止めてくれるだろうと信じている彼。
神童だからこそ、この大きな試練を乗り越えられた。
「一人じゃなかった」からだ。

なにより、
「なぜ俺たちはこうまでして走り続けるんだろう。こんなにもつらくて、こんなにも苦しいことを、どうしてやめられないんだ。仲間、目標、自分のため。意地と誇り。分からない、きっと誰にも。だから、みんな、目をそらせないんだ。だから、心に刺さるんだ。」というカケルのセリフ。
ここにすべて込められているのではないだろうか…

さて、葉菜ちゃんパニックを巻き起こし、先輩たちにもカケルにもバカ!と言われまくる双子。
「好きなら走れ」で気合いが入ってからは、ジョージも全力で走ったはず。でも、他のことに気を取られてしまった自分を許せない。

彼らの単純明快さは愛すべき長所でもあり、それがみんなの力になった場面も絶対にあったはずで、一概に悪いとは言えない…はずなんだけど…まあでも、ちょっと考えてから喋れよ〜状況を考えろよ〜とは、言っちゃうか。

ジョージの後悔の痛みは誰にも代わってやることはできなくて、ただもう、ここから学ぶしかないんだよ、と言うしかない。そう、彼も神童と同じく、「自分一人で引き受けるしかないもの」を負うのだ。
取り返しのつかない悔恨の記憶なら自分にもあるから、彼のあとからあとから溢れて止まらない涙が、その苦さを思い出させて切なかった。
頑張って成長するのだ、ジョージ。

ちなみに、出走前の神童とユキ、ゴール後のジョージとユキのやりとりについては、もし原作未読の方はぜひ読んでみてください、と言いたい!

ユキのギリギリの葛藤とやさしさ、人間性が、アニメとはまた別の形で描かれていて、そちらもとてもいいのです。
すげえ欲張りな望みだとは思いますが、興津さんのユキで、原作のあのセリフ―「どんなに必死になったって、届かないときもある。でも、だからこそいいんじゃないか」―も聞いてみたかったな。
あちらの世界(原作)のジョージは、こちらの世界(アニメ)より少しだけ大人で、後悔をぐっと飲みこんでうつむくのだけど、そんな彼にユキがかけた言葉です。

そして、ハイジ。

10人にこだわった自分を責めるんじゃないか、と思っていた私は甘かった…。
というか、そんなことやってる場合じゃなかった。(文化系的発想?)
走り始めた以上、いま自分がやるべきことをする、それが自分の責任の取り方だ、というのが彼の覚悟なのだろう。(カントクの冷静で地に足がついた指示もさすが。好感度が一気にアップした!)

そして、みんなはいつものように、のんきなやりとりをして笑い合うことで、ハイジに「お前は一人じゃない」と伝えようとしている。だって、彼の胸中が分からないわけがない。
これが最後かもしれないこの10人の「天下の険」。
全員が、ここにいられて良かった、という顔をしていて、なつかしく頼もしい。

ハイジにとってカケルは、導くべき昔の自分のようでもあり、こうなりたいという夢をたくす相手でもある。
だから、鏡に映すように、カケルにだけはときに心の中の柔らかい部分を見せる。
(と、書いてから気がついたのだけど、一度目に迷いを見せた予選会下見の帰りも、今回も、ハイジは電車の窓にもたれかかり、窓に顔が映っている。鏡のように。)
今度こそ間違えずにまっすぐ進めるよう、カケルに全部与えようとしているみたいだ。

そしてカケルは、最初に望んだとおり、言うべき時に、言うべきことを、言えるようになっていて、ちょっと眩しいくらい。うまくしゃべれるようになりすぎだよ!
いや、彼の中に渦巻いて形にならなかった気持ちや思いは、相手が受け止めてくれるという信頼があれば、ちゃんと言葉にすることができたのだ、と思う。
それを与えてくれたハイジへの感謝を、一番必要な時に伝えることができて本当に本当に良かった…

カケルの言葉を受け止めるハイジの表情は、返ってくるとは思っていなかった大事なものが返ってきた、というような。

今回のハイジは、みんなに、カケルに、与えてきたものを、思いがけない大きさで返してもらっているのだな…。

ということで、今回はかなりおかーさん的目線で見てしまいました。
初々しいハイジとユキ、若々しいニコチャン、あんま変わらない(?)ニラ&キングが見れてちょっと嬉しかった回想シーン。
感情を爆発させた高校時代のハイジの瞳がうるむ表現、めちゃ繊細でしたね…

いまは先週同様、うっかりネットで21話の感想を見てしまわないように細心の注意を払う日々です。
まあでも次は、行っけえええ!!!ユキ!!ニコチャン!!…ってことで、ただ楽しみだ!!
二つの意味が込められたサブタイトルには少ししんみりするけど、だからこそ年長組の走り、しっかり見届けようと思います。

それと、ほんとどうでもいい話なんですが、未成年には絶対お茶しか飲ませない、アオタケの宴会ルールについてちょっと。
…えーと、無論、テレビアニメであるが故の制約なんでしょう。そうでしょう。
しかし、あれ、私は、大家さんの厳命なんだーと思って見ることにしています。
きっとね、80年代に一気飲みが流行って、急性アルコール中毒で病院搬送される新入生が何人もいたの。幸いみんな命には別条なかったけれど、田崎氏としてはこの状況は捨て置けない。それで厳命を下した。
「上級生は決して未成年の下級生に酒を飲ませてはならない。」
宴会はいい。大いにやれ。若者が胸襟を開いて議論し、交流するのは人間的成長に大いに資する行為である由。ただし、未成年に酒を飲ませた奴は即刻退去。
みたいな。
んで、部屋でこっそり飲んでる12年生はいるかもしれないけど、公には未成年ノンアルコール宴会が鉄則となったっていう…ありそうじゃないですか!?(笑)
そう考えると、あのファンタジーな光景も「ふんふん、鉄の掟ね」と、スルーできるようになりました。お試しあれ


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ふふふふ。3巻来ました。
特典の「喜安浩平さん書き下しショートストーリー」が毎回めっちゃよい。今回は原作の!あの!「運転が下手な男は、あっちも××…」の下りが! さすが、わかってらっしゃいますね…あ、これおかーさん的じゃなくて、ただのオバサン目線だ。

  • 顔アイコン

    双葉さん、ありがとうございます。はい、神童さんの事で、もう十分書いて下さっている内容に同感なのですが、私が目にした批判文の多くは「原作よりも重篤に描かれていて不満」という書き込みでした。原作ではうつすのを気にしているとか、もう少し本人の言葉があったせいなのかもしれませんが、私は殊更アニメが酷い描き方をしたとは思えませんでした。双葉さんが書かれている内容に、非常に同感です。

    諸々、本当に同じ気持ちで大事に見ている仲間がいるって思えて嬉しかったです。どうもありがとう。

    [ ぴんく ]

    2019/5/31(金) 午後 10:52

  • > ぴんくさん
    なるほど…!そうでしたか。そういう批判もあるのですね。
    神童の描き方に不満を感じた方たちが何を問題と思われたのか、あれじゃ彼が可哀想だ、ということなのか、あんなに重篤では絶対完走できっこない、ということなのか…?
    私は直接それらの批判を見ていないのでそこが分からなくて、的確なお返事ができないのですが…。
    ただ、アニメの描き方にはそのようにした必然性があり、(それを前提にできる作り手の方たちへの信頼が私にはあります)それをどう評価するか、という視点で見てみるのも一つかな、とは思います。
    つまり私も、意味なく酷い描き方をしたとは思いません。
    原作の、うつすのを気にしている神童も、とても彼らしいですけれどね!

    [ 双葉 ]

    2019/5/31(金) 午後 11:56

  • 顔アイコン

    不満を感じられた方達は、あの病状では時間内完走は無理だろうという、現実的な不満が多かった様に思われます。また、感動ポルノを狙っているのではとか、脚本家の自己顕示欲が強すぎるとの記述も多く見かけました。
    確かにオリジナル付け足しが多いのは事実ですが、私は何度もアニメ版を見返すに付け、人物像を描くのにどれ一つとして欠くことの出来ない、むしろ原作に無いのが不思議なくらいのマッチングだと感じています。
    いずれも匿名掲示板での書き込みでした。

    てなわけで、諸々、双葉さんの書いていらっしゃる考え方にとても同感です。
    脚本の出版も良いですね!

    Twitterもフォローを入れさせて頂きました。私は自分からの発信はしませんが、今後ともどうかよろしくお願いいたします。

    [ ぴんく ]

    2019/6/1(土) 午前 10:51

  • > ぴんくさん
    同感です!原作に無いのが不思議なくらいのマッチング、私もほんとにそう思います。喜安さんの原作理解の深さ…凄いですよね。

    思わず原作の5区を読み返してしまったのですが、改めて小説とアニメの表現方法の違いが一番大きく出たシーンだったなと思いました。
    「美談」(=感動ポルノ)にしないための改変という見方はやはり変わりません。それを脚本家の自己顕示欲ととらえるのは少し違うかな…と。
    モノローグがないから余計に重篤に感じるというのはありますが(でも原作でも神童くん、かなり重症ですよね💦)、ちょっと発熱してるくらいだと逆にモノローグなしが不自然になる。ゆえに選択された表現だったのかなと思います。

    Twitterのフォローありがとうございましたm(__)m でも風つよ以外の雑多なことも多いので、適当に回避して下さいね。
    どうぞ今後ともよろしくお願いいたします(⌒‐⌒)
    脚本集出して欲しいです!!心から!

    [ 双葉 ]

    2019/6/1(土) 午後 0:25

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