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最近、読んだ本。
昨夏の旅行は金沢&黒部峡谷であったが、黒部峡谷鉄道に乗車中に紹介されていたのがこの本。
黒部川第三発電所建設の際の難工事を描く。
摂氏165度にも達する高熱の岩盤を掘削していくトンネルはまさに高熱隧道。
技師・根津、藤平はこの難工事に挑むのだが、岩盤が高熱のあまりにダイナマイトが自然暴発する事故が発生。
また冬場には泡吹雪により宿舎が吹き飛ばされるこの地域ならではの災害により、犠牲者の数はさらに増加。
再三の事故の発生により富山県からは工事中止命令が発せられるが、戦時下という喫緊の事情から工事は進められ工事は完成するが。。。
あれだけの事故を起こしながらも工事は推進されていくのはあの時代の国策だからの技。
それにしても、摂氏165度って。。。摂氏40度が使用許可の限度とされているダイナマイトをそんな高熱で使うと、そりゃ暴発するだろうに。 言葉は悪いが、工事現場従事者の資質を見抜き士気を上げていく様子はなかなか参考になった。
なるほど、そんな風に捉えていくべきなのかって。
吉村昭氏の作品らしく事実を刻々と描かれていて非常に読みやすい。
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読書感想文
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最近読んだ本。
SF作家として有名な桧山氏の本。
舞台は昭和20年。連合国軍によるポツダム宣言で無条件降伏を突き付けられた日本。
終戦を模索しつつも本土決戦か否かに揺れていた。
降伏へと傾きつつあったが、強硬姿勢を崩さない陸軍による軍事クーデターが発生。
ポツダム宣言を受諾することなく米軍と本土決戦へ。
米軍は上陸する南九州、関東へ猛烈な砲爆撃と徹底した破壊を行い、50万人という大部隊が上陸。
迎え撃つ日本側はひたすら航空機、艦艇さらには一般人に爆雷を背負わせての特攻、特攻、特攻、、、
南九州および関東は廃墟と化し戦闘員及び一般市民を合わせて1500万人が死傷。
1945年7月に原爆が完成していないかったというIFがあるが、
実際に計画されたダウンフォール作戦(南九州への上陸作戦であるオリンピック作戦、
関東への上陸作戦コロネット作戦)の資料を著者によって再現されているのが、単なるSF小説とは異なる。
東京を包囲した米軍に対し、近衛師団、一般人による挺身隊による捨身の戦術で一進一退を繰り返すが、
原爆完成の報に首都防衛軍の石原莞爾司令官は降伏。
一方、松代大本営では降伏を認めない、壮年将校たちが、断固抵抗を主張するが・・・。
歴史にもしはないが、史実がこの通りに進んでいたら、
今の日本はおろか日本民族の存続さえも危ぶまれたであろう。
*今回は、絶版となっていたので図書館で借りてみた。
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最近読んだ本。
移動の際の時間つぶしになんとなく手に取った。
戦艦大和についてはこれまで文献や映像、ドキュメンタリーでは何度も目にしたが、
大和型戦艦の第二号艦である戦艦武蔵についてはあまり知らなかった。
本書ではその建造から竣工、さらには海軍連合艦隊として参加、壮絶な最後を描く。
今まで吉村昭氏の作品は読んだことはなかったが、徹底的な資料調査、関係者への取材に基づいて描かれ、
竣工までの長崎造船所の工員たちの苦労や異常な情報統制やがリアルに伝わってきた。
同じ歴史小説でも司馬遼太郎氏らのような
登場人物の感情や筆者の主観がなく、史実にこだわったところが際立つ。
記録文学としても非常に読みやすい本であった。
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司馬遼太郎の幕末小説「燃えよ剣」を読んでみた。
新選組の副長・土方歳三を題材にした司馬遼太郎の歴史小説。
武州のイチ田舎道場から浪士組を経て新撰組へ。
上巻では芹沢・新見の粛清や有名な池田屋事件が描かれ、
下巻では鳥羽伏見の戦いから函館五稜郭での戊辰戦争が描かれている。
作中では近藤勇が政治に溺れていく中、
土方はただ新撰組をただ強固な組織へと作り上げてゆく。
喧嘩師、策士、参謀としての男・土方歳三の生き様。
戦いの中にも鬼の副長と沖田総司との柔らかなやりとりも面白かった。
男ならこんな生き様にあこがれるよね。
軽快な描写が多く読みやすかった。
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最近読んだ本。 坂の上の雲をはじめここのところ対露(対ソ)戦の本が続く。
司馬遼太郎氏の急逝で描かれなかったノモンハン。
その意思を引き継がれた半藤氏がノモンハン事件を通して、日本陸軍上層部の独走ぶり、無能ぶりを描いた。
1939年満州西北部で発生した国境紛争は日ソ蒙両軍の戦争へと発展した。
中央の命令を黙殺し暴走する服部卓四郎、辻政信ら関東軍参謀たち。
機械化されたソ連・蒙古軍の前に一個師団を失う大敗を喫する。
満州事変以降の関東軍の暴走にはうんざりさせられるが、
このノモンハンでも天皇の命令なしに国境侵犯を行うなど暴走ぶりは止まらない。
当時、ソ連は対日戦を行う意思がなかったが一歩間違えれば日ソ戦へと突入する恐れがあったのだが。。。
ソ連の軍事力の軽視、自軍の補給能力を無視しての無謀な作戦を立てる関東軍参謀。
日露戦争後近代化を図れていない日本陸軍は頭脳や思考も近代化についていけなかったのか。
しかも関東軍の暴走ぶりを黙認し、止めることをしなかった陸軍中央部の秀才達。
こちらの無能ぶりもひどい。
こうした無能な日本陸軍上層部のために実に7700人あまりが戦死(戦傷者は約8600名)し、
参加兵力の32%が失われた。
これだけの犠牲を払ってまでも満州の草原で戦わなければいけなかったのだろうか。
また戦車をはじめとした軍装の近代化や補給能力の強化が戦訓となったのだが、
これが太平洋戦争へと反映されず、精神論にとって変わられた。
手前本位でいい調子になっている組織がいかに壊滅していくのか―そんな手本となる本であった。
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