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金融庁が2月に公表した「監督指針・金融検査マニュアルの一部改正(案)」にも明記されたように、企業間取引において“反社会的勢力との関係遮断”が強く意識されるようになった。上場企業や大企業だけではなく中小企業も、契約書等に暴力団排除条項を盛り込むなど、関係遮断の動きは広まっている。

 ただし、この“反社会的勢力”というのが一体どういった属性の企業(人物)を指すのか、実は明確にはなっていない。一般的な銀行取引約定書では、次のように定義されている。
 「1暴力団、2暴力団員、3暴力団準構成員、4暴力団関係企業、5総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団等、6暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者、7暴力団又は暴力団員と密接な関係を有する者その他上記1〜6に準ずる者」。
 つまり、1と2はさておき、それ以外の定義が極めて曖昧なのである。定義が曖昧であれば、見方によっては“反社会的勢力”と指定しなければならない数(つまり、関係遮断を求められる先数)が必要以上に膨れあがる可能性がある。
 また、7について言及すれば、東京都暴力団排除条例で「1暴力団又は暴力団員が実質的に経営を支配する法人等に所属する者、2暴力団員を雇用している者、3暴力団又は暴力団員を不当に利用していると認められる者、4暴力団の維持、運営に協力し、又は関与していると認められる者、5暴力団又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有していると認められる者を“密接交際者”とする」(警視庁)としており、こちらも捉えようによってはかなり広範囲の企業(人物)が該当する可能性がある。

 こうした定義が曖昧な“反社会的勢力”について、具体的な数が公表されているのは、全国暴力追放運動推進センターによる「2013年末における全暴力団構成員数は約2万5600人(うち指定暴力団構成員数は約2万4700人)」くらいである。どの企業が該当し、どの企業が該当しないのかを見極めるのは極めて難しい。そうなると、関係遮断をいくら心掛けていても、事業者は知らぬ間に取引をしてしまっている可能性を拭い去れない。
 そこで、警視庁がホームページ上で「事業者の方で契約相手が暴力団関係者かもしれないとの疑いを持っているものの、本人に確認することが困難であるような場合などには、最寄りの警察署、組織犯罪対策第三課又は暴力団追放運動推進都民センターにご相談ください」と表明している通りに、事業者が取引先に対して疑いを持った際には警察署へ相談に行くことが推奨される。取引先が“反社会的勢力”なのかどうかは、明確な定義がない以上、警察に判断を任せるしかないのである。多くの事業者が現在行っている「契約書に排除条項を盛り込む」という関係遮断法だけでは不十分。その事に気付いていないのか、それとも、気付かないフリをしているのか・・・。

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