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遺留分とは、被相続人が遺言によっても処分できない相続人の持分のことです。 日本の民法では、原則として15才以上の者なら誰でも遺言をすることができ、その内容も遺言者の自由意思に委されています。遺言によって財産を譲ることを遺贈といいますが、遺贈は第三者に対しても行うことができます。 例えば「全くの他人に財産を全部譲る」というような遺言も可能です。しかし、これでは残された相続人はたまったものではありません。 被相続人名義といっても、実際には妻や子の協力によって得られたものがほとんどであることが多く、それらの者はその協力者たちの潜在的な持分が含まれていると解され、そこで、法律は、家族というものの位置づけを重視し、法律で規定されている相続人の期待権に応えるため「遺留分制度」というものを制定しています。 「遺留分」とは、被相続人がどんな遺言を残しても、配偶者や子供がある場合には、少なくとも全体財産の2分の1は配偶者、子供がその権利を主張することができるといった制度で、被相続人の一定の近親者のために処分を禁止された相続財産の一定の割合をいいます。遺留分を有する相続人は「配偶者」「子及びその代襲者」「直系尊属」です。 遺留分の割合は、次の通り決められています。 *子、及び配偶者が相続人の場合 相続財産の2分の1が遺留分となり、それを法定相続分で分けます。 例えば、配偶者と子2人の時は、配偶者は2分の1×2分の1で4分の1、子はそれぞれ2分の1×2分の1×2分の1で8分の1となります。 *直系尊属のみの場合 相続財産の3分の1が遺留分となります。 このような遺留分を無視して贈与や遺贈がなされた場合には、この遺留分を有する者(「遺留分権利者」といいます)、またこの遺留分権利者の承継人は、既に給付されている財産の返還を請求したり未給付の財産に対する請求を拒否することができます。この権利を「遺留分減殺請求権」といいます。ただし、この権利は、遺留分権利者が相続の開始と減殺できる贈与のあることを知ったときから1年、または相続開始のときから10年経つと、時効により消滅しますので、注意が必要です。
なお、相続開始前に相続の放棄をすることが認められないことと違い、この遺留分は、相続開始前でも家庭裁判所の許可を得て放棄することが認められています。 |
相続
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遺言書は、死後の自分の意思を文書で伝えるものであり、保管には慎重を期す必要があります。 せっかく生前に遺言をしていても、遺言者の死後にその遺言が発見されなければ遺言した意味がありませんし、火災や地震によって消失してしまったり、利害関係を持つ者に隠匿・偽造されないようにするためにも遺言の保管場所には十分注意する必要があります。 特に遺言者に保管を任せている自筆証書遺言と秘密証書遺言については気を付ける必要があります。 安全に遺言を保管出来る場所としては、銀行の貸金庫入れておいてそれを生前に遺族に知らせておくか、信頼できる弁護士に保管を依頼するなどの方法が考えられます。貸金庫は、火災や地震に強く、盗難の恐れが少なく、遺言者が死亡した時は、原則として銀行は貸金庫を開けて中身を確認する事になっていますので、遺言が発見されない心配も少ないといえます。弁護士は職業上で知った秘密を他者に漏らすことを禁ずる守秘義務が法律によって定められていますので、安心して保管を依頼することができます。
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「遺言執行者」とは、遺言の内容を実現する職務と権限を有する者を言います。
遺言は、必ずしもそれ自体によって効力を生じて、当然にその内容が実現されるものばかりではなく、内容によっては実現のために一定の手続を必要とする場合があります。この手続を「遺言の執行」といいます。 遺言が効力を発生すると同時にその内容が実現され、執行を要しないものとしては、例えば後見人の指定、相続分の指定、遺産分割の禁止などがあります。 他方、執行を必要とするものもあります。認知遺言についてはその届出が必要ですし、特定物の遺贈の場合には、その引渡、登記手続が必要です。 遺言の執行は、通常は、遺言執行者あるいは相続人が行います。しかし、相続人が多数いる場合、あるいは相続人に不利な内容の遺言の場合には、遺言の執行がスムーズになされない場合があります。そこで、遺言執行者が必要となります。遺言執行者は遺言で指定されるか、あるいは、家庭裁判所で選任されます。 スムーズに遺言内容が執行されるために遺言書の中で遺言執行者を指定しておくと非常に便利です。 たとえば、不動産を特定の人に遺贈の登記をするためには、通常は相続人全員の印鑑および印鑑証明書が必要です。しかし、遺言に不服のある法定相続人が捺印するはずがありません。遺言執行者が指定されていれば、遺言執行者の印鑑と印鑑証明で足りるわけです。 なお、指定された遺言執行者がいない場合(指定がない場合又は指定された遺言執行者が死亡したり辞退・辞任した場合)には、相続人などの利害関係人は、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立をすることができます。 |
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一度、法の定める方式に従った有効な遺言がなされた後でも、遺言者はいつでもこれを取消すことができます。撤回しない旨を前の遺言に書いていても無効です。従って、後の遺言で前の遺言を撤回していれば、前の遺言はその効力がなくなります。また、2通以上の遺言書が発見され、前の遺言と後の遺言との内容が抵触するときは、抵触する部部については、後の遺言で前の遺言を取消したものとみなされます。これは、遺言書の方式いかんには影響されません。 複数の遺言書が発見されれば、公正証書遺言以外のものは、まずは、すべて家庭裁判所で検認手続を受けられるべきです。その後、遺言の先後の問題等がある場合などは、専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。
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遺言者が死亡したら、遺言書は家庭裁判所で「検認」の手続を受けなければなりません。 検認とは、家庭裁判所において、相続人や受遺者などの利害関係者立会いの下で、遺言書の用紙、筆記具、内容、日時、証明、捺印の実情を検証し、これを検認調書という書類に記録する手続で、遺言書が開封されたときの状態を証拠として保存し、その後、変造・偽造がなされることを防止するためになされるものです。検認は、公証役場に保管されて変造・偽造のおそれがない公正証書遺言を除く全ての遺言書に必要な手続です。 遺言書の保管者及び発見した相続人は、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、検認の手続を受けなければなりません。家庭裁判所は、遺言書が封印されている場合には、相続人又はその代理人の立会いのもとに開封します。また、遺言書検認がなされた場合には、家庭裁判所は、立ち会わなかった相続人などに対して遺言書の検認があったことを通知することとなっており、通知を受けた者が遺言書検認の内容を知りたい場合には、検認記録の閲覧を請求することができます。 遺言書の保管者や遺言書を発見した相続人が家庭裁判所に遺言書の提出を怠って検認の手続を経ないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で開封したりしますと過料の受けることになります。
ただし、検認は、遺言書の内容を審査するのではなく、ただ外形的に確認するための手続ですので、遺言書検認は遺言書が有効であるか否かを判断する手続きではありません。遺言書の有効性に争いが存在する場合には別途訴訟手続きなどによって解決することとなります。 |




