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以下ーー 2006年3月16日 信濃毎日新聞夕刊の『今日の視角』より 「日本国憲法の国際性」 井出孫六
日本国憲法の重要な柱のひとつは、前文における平和の理念と第9条の戦争放棄、とりわけ国の交戦権を否認した第二項にあると思うのだが、改憲論の声が高まっている今日、中韓両国のみならずさまざまな国の人々の危惧がここに注がれているように思えて ならない。 昨秋、豪州をふくむアジア太平洋地域の研究者十五人が南山大学で四日間にわたって行ったワークショップの報告『憲法第9条に関する一考察』(M・シーゲル著)には幾つかの重要な視点が示されていた。 イラク南部にともに派兵した日本と豪州は、いままた「反中国という偏見を掲げる米国の同盟システムに更に与することによって、両国がともに解消したいと思っている不安定な状態を逆に作り出しており、同時に、地域の多国間安全保障を構築する試みから自らを締め出してしまっている」と報告書は現状を分析するとともに、複雑な国際関係において認識の陥りやすい「自己成就的予言」に触れてこう説く。自己成就的予言とは、未来における懸念や不安があって、それに対して採った対策が全く逆効果で、まさに避けようとしていた問題を引き起こしてしまう場合のこと―だと。 中国の台頭に対して、軍事的に対抗するため九条第二項を削るとしたらどうなるか。 「中国に対する懸念が中国の不安定の度合いを高め、防衛や安全保障政策面でいっそうの軍事増強を奨励し、その増強が更に米国からのいわゆる安全保障のディレンマ的な反応を呼び起こすことになる」と報告書は警告する一方で、「日本が憲法を改正せず、他の国にも同様の平和条項をその国々の憲法に挿入するよう推奨する外交努力を行ったならなば、世界を平和により近づけることになろう」と述べることを忘れてはいない。報告書を内外に発信するとも記されている。 これに呼応するかのように、ハンブルク生まれのドイツ人学者K・シルヒトマン氏が「憲法9条が問いかける『国家主権の制限』(『世界』3月号)で各国憲法の比較を通じて、「日本国憲法第九条」を平和を維持する文化モニュメントとして「世界遺産」に指定する ようユネスコ本部にアピールしたことを紹介している。呼応して署名活動でも起こしてはどうだろう。 |
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2006年03月19日
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