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「ラマンチャの男」のストーリーをごく簡単に書いておきますね。
16世紀のスペイン、セビリア市の牢獄。
収税吏として政府に雇われていたミゲル・デ・セルバンテスは教会差し押さえの罪で宗教裁判を受けるため、この牢獄へ入れられる。
そこにはあらゆる罪で人生を失われた人間たちがいた。
その集団のリーダーでもある牢名主によって牢獄の中でも裁判にかけられる。
有罪になった上に作家でもある彼にとって命ともいうべき「脚本」を取り上げられてしまう。
しかし、とっさの判断で、その脚本を利用し「即興劇」というかたちで自ら有罪として認め、言い分を聞いてもらうことを許可される。
かくして、セルバンテスは囚人たちを役者に見立て、自らも扮装し「ラマンチャの男」ドンキホーテの騎士道物語を始めるのだった・・。
風車を巨人、あばずれ女を高貴な姫とあがめるキホーテは一見すれば、セルバンテスと対立する公爵のいう「人生に背を向け」、
狂気の沙汰ともいえる行動にも思える。
だが、そこに隠されてた本当の答え、「事実」ではない「真実」を見抜く心の気高さをこの物語は教えてくれる。
生きる事に絶望した人間たちが「芝居」を通して「生きていく意味」を考え、闇の中に光が見えるとき、彼らの口からこぼれたのは「見果てぬ夢」だった。
「夢は実りがたく、敵はあまたなりとも、胸に悲しみを秘めて我は勇みてゆかん・・・」
セルバンテスと囚人たちの世界、セルバンテスが描いたアロンソキハーノという田舎郷士の騎士への熱い思いを描いた世界、
そのキハーノが生んだドン・キホーテという騎士が出会う人々との世界。
二重三重に絡み合う複雑な構成ですが、訴えているのは「真実に背を向けてはならない」それではないかと思います。
ラストにセルバンテスは従者にこう言います。
「勇気を出すんだ、勇気を」
現代社会では人生まっすぐに生きてはいけない。折り合いをつけていくのが常かもしれません。
でも自分の人生は一度きり。
どんなことでもいい。「夢」をかなえるための勇気と力をもつことを恐れないでいたいと思わずにはいられません。
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