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「今は亡き原子力安全委員会の速記録  その3」の続きで、第4回の分です。
 
とても長いので、重要と思われることを部分的に抜粋します。
 
*** 引用開始
(注:この速記録の発言内容については、発言者のチェックを受けたものではありません)
  原子力安全委員会 被ばく医療分科会 ヨウ素剤検討会第4回会合 議事次第
 1.日 時:平成13年11月13日(火)13時30分〜16時30分
**
 それから、線量効果低減係数として、ヨウ素132外部被ばく、それから132、133、135の場合には1を使って、ヨウ素132、131についてはその1/3を使うという提案がされております。これは、放射性物質が1崩壊したときの放出されるβ線エネルギー、γ線エネルギーがありますが、β線エネルギーの違いをここでは加味しているのではないかと思われます。つまり、ヨウ素125とか131に対して132、133、135の出すβ線エネルギーの方が大体2〜3倍高いということになります。ただし、これらのヨウ素については、生物的半減期、物理的半減期がございまして、これを加味しますと、132とか133、135というのは、物理的半減期が非常に短いので、同じ1Bqを吸入しても甲状腺に与える影響としては低いということになっていますが、ここでは甲状腺内で1核種が1Bq崩壊したときのエネルギーを考えているのかなと考えております。
**
事務局(池内)  ちょっとつけ加えさせていただきますと、下にもちょっと書かせていただいておりますが、予測線量と申しますのは放射性ヨウ素の放出期間中ということで、原子力施設で事故が起こった場合に、ヨウ素の放出が何時間続くかも予測するわけでございまして、ここに時間の概念が入っておりまして、何時間放出するかとか、1日かもわかりませんが、放出する時間の概念を考えながら、コンクリート建家に退避して、さらに避難ができるかできないか、その間の時間を考慮しながらヨウ素剤を服用するかどうかを決めるということになると考えております。
山下主査  理論的にはそうですね。ただ、この図で一目瞭然になるような改善図というのが必要かと思いますけれども、それは事務局の方でご検討いただけますか。
事務局(池内)  はい。それとあと、前川先生がおっしゃった、この図でございますと一たん100mSv未満の地域は、風向きが変わったら100mSv以上になる可能性がございますので、その辺も配慮させていただいて、図をもう少し改良したいと思います。
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松原安全委員  ちょっと済みませんが、甲状腺の蓄積の場合は、子供の場合は大人と違ってホルモン代謝の関係があって、非常に濃縮率が大人の甲状腺と子供の甲状腺とでは違うんじゃないかと思うんです。それはサイロキシンの生物学的な役割を考えればそうだし、個人的には私も昔ちょっと実験をやったことがあるものですから、ちょっとそれは別としまして、生物学的に考えて、成長期にある子供は非常に濃縮率が高いと思うんです。効率よくアップテークして濃縮して、しかも早く排泄しないで残留するのではないかと思うんですが、そういうデータをICRPは採用しているわけではないんでしょうか。
山口委員  ICRPとしては、動物実験であるとか、ヒトのデータであるとか、そういうものを取り入れているということで、こういうPubl.56を出していると思うんですが。
松原安全委員  Publ.50ですか。
山口委員  Publ.56に出ております。したがいまして、日本人の場合はどうなのかというのは私もちょっとよくわかりませんでしたので。
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 服用の指示ですけれども、私ども県段階では知事から各市町村の長の方に指示を行うという形で防災計画上策定しておりますけれども、まず一番初め、最初の服用に関する指示者といたしましては、原子力災害対策本部長から原子力災害現地本部長の指示があり、そして現地本部長の指示を受けて私ども県の災害対策本部長が各市、町の災害対策本部長の方に指示をするという形の体系ということで考えており、防災計画上も記載しているという現状でございます
**
 
*** 引用終了
「今は亡き原子力安全委員会の速記録  その2」の続きで、第3回の分です。
 
とても長いので、重要と思われることを部分的に抜粋します。
 
*** 引用開始
(注:この速記録の発言内容については、発言者のチェックを受けたものではありません)
原子力安全委員会 原子力施設等防災専門部会
被ばく医療分科会ヨウ素剤検討会 第3回会合
平成13年10月12日(金)
13時30分〜16時30分
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また、3番目に書きましたように、今までのがんのリスク、すなわち放射線によって、外部被ばくですけれども、外部被ばくで甲状腺が起こるという場合には疫学データが幾つか収録されています。95年のロンらの論文が一つの大きなよりどころになっていますけれども、その結果、アンダーラインで書いていますように、5歳未満の被ばくに比し10歳から14歳被ばくではそのリスクは5分の1に軽減され、20歳以上での1Gy(100rad)以下の甲状腺被ばくでのがん発生リスクは低いというふうに結論されています。この論文の一つの特徴は、性別の差は余りありませんが、若年者、すなわち5歳未満の放射線感受性の高さが世界の疫学データで信頼足るデータのスタディーから報告されているという点であります。
4番目に、これは我々も積極的に関与していますけれども、チェルノブイリのデータではがんが増えたということは間違いない。がんが増えたものが内部被ばくであるかどうかはまだ検討の余地がありますけれども、唯一明確なことは、事故当時の年齢がほとんど15歳未満である、しかもその60%は5歳未満であるということが確認されているという事実であります。ですから、この年齢における放射線感受性というのは、3番で他施設間での検討でも証明されていますし、チェルノブイリのデータでも証明されているということであります。
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(2)の「線量依存的な発がんリスクは明確ではない」といっているのは、チェルノブイリのような内部被ばくによった場合のというふうに断っておかないと少し混乱が生ずるような気がしますが、いかがでしょうか。
もう一つ、チェルノブイリで考えないといけないのは、単に外ばくと内部被ばくの合併があるという議論だけではなくて、I−131のような半減期が8日のもののほかに、もっと短半減期のヨウ素が多数出ていて、その甲状腺被ばくの寄与が実際は評価されていないという点が一番大きいのではないかと私は思っています。外部被ばくの場合も、線量率を下げていく、要するに、同じ線量ですけれども、ゆっくり何回かに分けて被ばくさせると、実際には傷ついたDNAが修復されながら次の被ばくを受けるということなので、発がんのリスクが下がります。それに対して短時間に幾つもDNAに傷がついた場合、それが欠損とか、部分欠質とか、あるいは転座というような形で発がんに寄与してくるということがわかっておりますので、内部被ばくをいう場合に、I−131の診断投与の方で出ていないことが必ずしも内部被ばくによる発がんを否定する根拠にはならない、ということを一言だけつけ加えさせていただきます
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山下主査 鈴木先生、適切なコメントをありがとうございました。私もまさに2番の点は、その上に書きましたように、「放射性ヨードに起因すると考えられる甲状腺発がんのリスクを考えるに」ということで一応限定させていただいております。おっしゃるとおり、外部被ばくで線量依存的な評価は長崎、広島、さらにはロンさんのコホートの7つのスタディーでも証明されているということで、ここで明確にさせていただきたいと思います。
それから、今おっしゃいましたように、ヨード−131以外の放射線でのリスク評価をどのようにとらえるかは、非常に複雑な問題で、また困難でありますし、実際にテリリウム132とか、その他長短半減期のヨウ素類がどうなったかということについては、類測の域を出ませんが、いずれにせよ線量が高ければがんが出るという一つの前提からいくと、それが子供の場合と成人の場合では当然異なってくる
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山口委員 それでは、「日本人におけるヨウ素摂取及び代謝状況について」まとめたものを説明します。
1枚目のところにありますのはICRPの提唱している代謝モデルで、我々が持っているコードもICRPのコンパートメントモデルに基づく線量計算モデルになっています。
ICRPがどういうモデルを提唱しているかというのを書いているのが1ページ目ですけれども、まずヨウ素については、元素状ヨウ素、ヨウ化メチル、粒子状エアロゾルというふうに分けていますが、吸入摂取した場合、呼吸器の方へ沈着したヨウ素が非常に速い速度で血液中に移行します。これは吸収のタイプFというクラスに分類されていますヨウ化メチルの場合にはもっと速くて、吸収のタイプVに分類されています。ただ、線量係数からいいますと、元素状ヨウ素が一番厳しい線量係数になっています。つまり、単位量のヨウ素を摂取した場合の被ばく線量は元素状ヨウ素が一番厳しいので、安全評価指針の中でも元素状ヨウ素に基づいた線量係数が採用されております。
**
鈴木委員 これの後、WHOとIAEAの緊急被ばく医療の方の会議がありまして、平間先生と私、参加してきたんですが、そこでここの一番先にも書いてありますWHOのレパチュリさん、スケビッツさん、一番下のIAEAのツライさん、この人たちと話しました。結局、WHOの10mGyというものは、ある程度おろした形になっていまして、こういう言い方です。それぞれの国がセブラルテンmGyというような介入レベルを放射線弱者である小児、妊婦に関して考えてほしい。これは文面には出てこないんですが、具体的に彼らが裏で話し合っているのはそのような話のようです。
ほんとの意味でのサイエンティフィックなベースが余りはっきりしていないということで明確な形になっていないのかもしれませんが、小児に関しては少し低い介入レベルというものを考えるべきではないか、そういうようなベースはIAEAの人たちも合意しているようでございます
山下主査 私もこの点で一つコメントさせていただきますけれども、98年にガイドラインを策定する際に専門家としていろいろ意見を述べさせていただきましたが、基本的には10mSvに対する理論的な、科学的な根拠が非常に薄いということと、きょうも介入レベルでヨウ素剤の対象の年齢をどうするかという問題を少し提案しましたけれども、10mGy、すなわち1radでほんとにそういう介入が必要かどうかということは、今回は参加していませんが、アメリカあるいはその他の国々の方々のご意見等も踏まえまして、まだ疑問視されているというところがありますので、我々が支持できる段階では100mGy、あるいは先ほど申しましたけれども、50とか幾らか、そういうレベルでの論議をより尊重して、この検討会では100mGyを介入レベルにしたいというふうに思います
*** 引用終了
 
 
 
「今は亡き原子力安全委員会の速記録  その1」の続きで、第2回の分です。
 
とても長いので、重要と思われることを部分的に抜粋します。
 
 
*** 引用開始
(注:この速記録の発言内容については、発言者のチェックを受けたものではありません)
 原子力安全委員会 原子力施設等防災専門部会
 被ばく医療分科会ヨウ素剤検討会 第2回会合
 平成13年9月7日
 14:00〜17:00

**

鈴木委員 今の休憩時間に事務局の方と議論していまして、私自身少し勘違いしていたところがあるということが発見されました。それは、先ほどのレディエーション・プロテクション・ドシメトリーの2つのペーパーの中で、あれはチェルノブイリ事故で出てきたヨウ素をターゲットに考えて、その換気率を計算していたんですが、そこで扱っていたのはヨウ素元素なんです。チェルノブイリのと違いまして、例えば軽水炉で水がどんどん落ちてくるような、水に一遍溶けて、それから気化してくるようなヨウ素を考えていったときに、ターゲットになるヨウ素の化学系は、恐らくヨウ素元素ではなくて、ヨウ化メチルになると原子力研究所の方が昔報告しているようです。ヨウ化メチルの方になりますと、今度は侵入がよりしやすくなって、換気率が高まってきます。ですから、先ほど私換気率30%という値で話をしていましたが、それが少し、もっと事態が悪くなるというふうに変わってまいります。そのことをちょっと今、一番最初にお話ししたいと思います。
**
経済産業省(大野) 今の補足をいたしますが、1つは、原子炉のプラントの予測システムということで、ERSSという予測システムがあります。これはあくまでコンピューターで1つの事象を予測するという形のものですが、そうしたものの予測をベースにして、それでヨウ素の放出量、あるいは放出率という数字をSPEEDIがもらって、それで計算する。そのとき、前川先生のご質問ですが、じゃ、SPEEDIってどのぐらい時間がかかるのかということですが、一応気象条件を踏まえた予測値として6時間値の予測値を出します。過去の気象条件等を大型コンピューターで読み込むために20分ぐらい時間がかかるので、実際のデータをもらえば、SPEEDIで予測するのは大体30分ぐらい見ていただければよろしいのではないかと思います。
飛岡安全委員 1つ、先ほど鈴木先生がおっしゃった、軽水炉の場合にはヨウ化メチルが非常に多いんだよと。その量がちょっと多過ぎるような気がするんです。これはERSSもすべてインプットでやって、要するにヨウ化メチルが一体何%出るか。現在では、安全評価では例えば10%がヨウ化メチルになるよ、有機ヨウ素になるよと。ヨウ化メチルになったら何が困るかといったら、これは、基本的にはテンチャクタンでない限りとれない。普通のキャボフィーダーだったら漏れてしまいますと。したがって、ヨウ化メチルがソースタームとして中にあれば、それはほかの単体ヨウ素あるいは摂取マイヨード、普通は今CSI、セイシュマイルドアイトと考えておりますが、そういうものに比べるとはるかに出やすいよ、だからそうしたものが出ますよと。だけどこれは、ERSSでも何でも、基本的にはインプットのデータなんですよね。何%がヨウ化メチルで出るか、ろ紙の中にどれだけとらえて核の中に出てくるかは、ある程度物理問題で出てくるけれども、その中で核種組成がどうだというところで一番引っかかってくるのは、ヨウ化メチルの生成率というものに関しては、あくまで現時点ではインプットなんです。今まで10%だと言われているけれども、多分、今の一番新しい試験でいくともっともっと少ない。1%とか、もっとはるかに小さくなるだろう。したがって、核  が壊れない限り、外に出るものは多分もっともっと小さくなるだろうと私は信じております。

**
鈴木委員 とりあえず、私たちは私たちなりに、甲状腺の防護に関して1つの基準を出して、それを親委員会に投げかけるという手続でよろしいわけですね。ですから、少なくとも私たちはここで議論をして、一定の結論は得る方向でよろしいんだろうと思います。
山下主査 そういう意味で、鈴木先生にご提案いただきました介入レベル案の3ページの下の方の、実際に屋内退避措置により回避できる線量から計算してこの3つの提言を行っていますが、いわゆるこの介入レベル案ということで、皆様方ご異論はないでしょうか。
鈴木委員 先ほどちょっと申しましたが、屋内退避の回避線量というのは、もうちょっと技術的に検討する必要があると思います。ここに書いているのは、あくまでソースタームとして、メチルヨウ素ではなくて、ほとんどがヨウ素元素と考えたときの換気率を使っている値ですので、もしメチルヨウ素の方が高くなっている場合ですと、ちょっと前提が変わってきます。ですから、そういう意味で技術的なところはもう少し待っていただいた方がいいと思います。
事務局(池内) その点についてよろしいですか。
 事務局からですが、今予測線量で介入レベルをヨウ素について100mSvとすると。そうしますと、今防災指針の中に、先ほど説明させていただきましたが、ヨウ素について100mSvになっていますと、これは自動的に屋内退避になってしまうわけです。今現在、防災指針で予測線量と言っているのは、ずっとその放出期間中、屋外に居続けて何らの措置も受けなければ受ける線量と定義してございますので、ヨウ素について100mSvを介入レベルとした場合、自動的に屋内退避するわけでございますので、屋内の中の予測線量で100mSvなのか、それとも今防災指針にある、屋外にいて100mSvだったら、それはヨウ素剤を飲みましょうとするのか、そこをちょっとご議論いただく必要があるのではないかと思います。
明石委員 まず甲状腺の線量を決めるためには、今までの統計上、恐らく50mSvから100mSvの非常に高い、今までのチェルノブイリの事故で、そういう甲状腺がんの発生が子供で、ハイリスクのグループで出るということを、もし皆さんがそういうのが客観的な事実だということであれば、それを原点に、例えば外で100mであって、中をどう評価するのかというちょっと難しい部分もあると思いますが、屋内にいても50mSvに達するというような予測を立てるような数字をどこかに、だから、外が100だったら中が50という簡単な計算でいいのか、そういうことも含めて、まず逃げるということを前提に考えれば、ある程度中での線量というものもどこかで考慮しなければいけないのではないでしょうか。
(ブログ主・中略)
山下主査 よろしいでしょうか。屋内退避、つまり屋外における被ばく線量と屋内における被ばく線量との差をどのように考えるかというので、今の鈴木委員のお考えは、一般に100mSvが予測される場合には、どこにいようとも介入して予防すべきだというお考えです。
山口委員 屋内での密閉した状態での換気率の話がありましたが、今まで原子力研究所の中でも幾つかそういう調査なり、実験データがあると思いますので、ちょっと後でサーブしてみてはと思います。
事務局(池内) 今の件につきましては、恐縮でございますが、防災指針をまた見ていただいて、防災指針の105ページでございます。これは防災指針をつくりました昭和55年当時のものでございましてデータが古いと思いますが、屋内退避の有効性についてということで、下の方に参考文献と書いてございますが、その上の方に1つパラグラフがございます。その上から3行目の最後の方でございますが、「米国環境保護庁の研究によれば、気密性の高い建物に避難すると20分の1から70分の1に、通常の換気率の建物に避難すると4分の1から10分の1に甲状腺量が低減することが示されている」というのがございまして、これは古いデータかと思うんですが、これのより確かなデータが出ればよりいいのではないかと思っております。
 以上、つけ加えさせていただきます。
衣笠委員 今のところで鈴木先生は、100は一応今まで皆さんの中で異議はなかったように私は理解しています。100であったときに、いきなりヨウ素を飲むのではなくて、まず家の中に閉じこもりましょうといった場合に、そうしたらそれはそれでどれだけの効果があるのといったときに、今4分の1とか。鈴木先生はそれを2分の1と評価されたわけです。50%と。そういう根拠で200という数字が出てきています。ですから、それに関して山口先生の方から、原子力研究所でも実験しているので、そういうものをベースにして、50%とするのがいいのか、どの辺かというのは、もう少しデータをそろえてディスカッションする必要があると私は理解しています。
前川委員 この防災指針ではいわゆる指標という形になっていまして、医療の介入レベルという位置づけではないですね。また、これと本来一緒にして議論するべき屋内退避、避難、それから安定ヨウ素剤の投与、この3つが放射線防護の1つのサークルをなしているわけですが、それを切り離して考えていまして、基本的に言えば、そこには人間の視点がほとんど入っていない。ですから、僕はこれは、とにかくぼうっとそこに突っ立っていて、屋外に居続けて何ら措置を講じなければ、結局予測線量という全く非人間的なモデルを考えて100から500というあいまいな数字を出しているのはおかしいと思うんです。やはりあらゆる状況から甲状腺に視点を置いて、甲状腺の予測線量が100となるかもしれないというのが予測されるあらゆる状況をとらえて、医療介入、つまり屋内退避、避難、放射性ヨウ素の投与、安定ヨウ素剤の投与を考えましょうというのが基本姿勢だと思うんです。そこに大きなアプローチの格差があると思うんです。それを認識するべきだ。
 ですから、我々は屋内退避、避難、安定ヨウ素剤の投与、それを1つの流れの中で考えて、あくまでも甲状腺に対する予測線量を目安にして、どんな状況下においても100は超えないという努力をするためにはどうしたらいいかというストラテジーを考えるべきだと僕は思います。
山下主査 ありがとうございました。
宮川委員 今、外の空中線量と屋内に退避した場合の線量と併記みたいな、屋内の場合はこれぐらいでいいのではないかみたいな議論もされていたようですが、ただ、この屋内退避と言った場合に、その屋内、どういうときに、どう退避するのかというところが問題になってこようかと思います。この東京のように立派なビルがたくさん並んでいるところばかりで、気密性の高いところであればいいですが、特に避難のための新しいビルディングや建物を建てるわけではありませんので、屋内退避となったらば、外とほとんど変わらないような家屋に避難する方もいっぱいいるわけでございますから、その線量をもって幾ら幾らと言われても、かなりのばらつきがあるのではないかと思います。やはりこれは、屋外での線量ということを基準としてやっていただかないと、現地ではかなり混乱するのではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
山下主査 貴重な意見をありがとうございます。
鈴木委員 まさにそのとおりだと思います。やはり屋外の線量をもとにして、例えば屋内退避でどのくらいのリダクションがあるかというのを考えて、それで防護として間に合うのかどうかという判断をするということだと思うんです。屋内に退避した後の線量で何時間もつねという計算をすべきではない。それをやってしまうとじり貧になりまして、最悪の場合、一番まずい時期に避難勧告を出さざるを得ないというようなどつぼにはまるんだろうと思います

*** 引用終了
 
 
 
原子力規制庁が発足したあと、お取り潰しになった原子力安全委員会のHPで、
2011年の秋頃までは閲覧することができたけれど、今は何故かアクセスしても
違う部会の速記録が表示されてしまう、<亡き速記録>があります。
 
その速記録はどこに行ってしまったのやら。
 
でも虫の知らせか、なぜか、その速記録をコピペして保存しておいたのでした。
 
それは安定ヨウ素剤の服用基準を決めるために開かれた部会の速記録で、文系の私から
見ても、非常に重要なことが書かれています。とても長いので、重要と思われることを
部分的に抜粋します。
 
第1回ヨウ素剤検討会
 
*** 引用開始
(注:この速記録の発言内容については、発言者のチェックを受けたものではありません)
 原子力安全委員会被ばく医療分科会 第1回ヨウ素剤検討会 議事次第
 1.日 時:平成13年8月6日(月)14時00分〜17時00分
 2.場 所:中央合同庁舎第4号館 共用第2特別会議室(4階404号室)
 3.議 題:
 (1)ヨウ素剤検討会設置について
 (2)主査の選出及び主査代理の指名について
 (3)ヨウ素剤検討会の進め方について
 (4)その他

山下主査 事務局の準備はそういうふうになっておりますけれども、よろしいでしょうか。
 ただ、全般的な流れとしましては、チェルノブイリの事故以降あるいはその前のスリーマイルアイランドもそうですけれども、ヨウ素剤の具体的な投与の事例というのは非常に少ないということがありますし、WHOでもIAEAでも机上の空論が非常に先走っているので、実際の現場との乖離というのは非常に大きいと考えています。
そういう中で、何が問題になっているかというと、大きく分けて2つあって、1つは、介入のレベルをどうするかということで、これが乳幼児あるいは成人を含めまして、対象者にどのくらいの量の、どういう状況下でヨウ素剤を投与するかということが一番大きな問題になっています。とりわけWHOでは、甲状腺の被ばく線量をどのレベルでということで、従来よりも10分の1に低めた10ミリシーベルトということをコメントしておりますので、これは一つの大きな今後の議論になろうかと思います。これは、恐らく今度の9月のIAEAの会議でも取り上げられるので、その成り行きを注意深く見守りながら、国内におけるヨウ素剤の介入レベルというものを決定していかなくちゃいけないと。これは、チェルノブイリの周辺はご存じのようにヨード欠乏の地域ですから、日本とは随分状況が違う。普段からのヨードのアップテイクが日本の2倍から3倍高いところですので、そういうことも含めて検討していかなければいけないと思います。
 それで、具体的なヨウ素剤の問題が恐らく大きな実効性あるものにするときの問題になるだろうと。これは前川委員がいみじくも指摘されましたけれども、この中で実際に備蓄されているKIを見たことがありますかと、あるいは本当に必要な錠剤の容量として瞬時に適量を投与することができるかという問題は、未だどこでも議論されておりませんので、そういう薬そのものの問題、さらに、本当に最も放射線の介入性の高い乳幼児にどのくらいの量を投与するのか。
 従来、副作用の話を我々はずっとしてまいりましたけれども、これはほとんどは成人であります。それが乳幼児で、そういう副作用の問題を云々するということが本当に正しいかどうか、あるいはその容量によってどの程度というのは、これは乳幼児にそういう治験ができるわけではありませんので、当然これはポーランドで行われた緊急被ばく時の状況というのをチェルノブイリの事故の後の状況の長期フォローアップあるいは事故直後の対応対策というものが一つの参考になろうかと思います。ですから、世界の中ではチェルノブイリの事故の後にこれが非常にクローズアップされてきて、備蓄問題も含めて協議されておりますので、各放射線の専門委員会あるいは甲状腺の学会等の動向も踏まえまして、次回以降のヨウ素剤予防投与の必要性についての細かいところで議論ができ、また、ある程度の指針がこの検討会で出せればいいなと考えます。
 この点について鈴木先生、ご追加は。
鈴木委員 放影研の鈴木ですが、実は、スリーマイルアイランドとチェルノブイリ以降というもので甲状腺発がんに関する考え方が大きく変わったかと思います。
 1つは、内部被ばくで放射性ヨウ素の内部被ばくで本当にがんが起きるのかどうかということに関しては、長い間、実は確定しておりませんでした。それがチェルノブイリ以降、確かに小児に限って見ていくと、そのリスクが高まるということが明らかになってきたと思うんです。
 それと同時に、外部被ばくでがんがどのレベルから起きてくるかということに関しましても、いろいろな疫学集団のコホート研究の成果がまとまってきまして、1995年にNIHの疫学者ロン博士がまとめたレリエーションリサーチだったと思いますが、ペーパーがあります。それで、従来考えていたよりも低い線量で甲状腺がんが有利に増える。具体的には50ミリシーベルトという値がそこで出てきております。そういう報告がなされてきていまして、この中には、もちろん広島、長崎の原爆被ばく者のデータ、医療被ばくのデータというものが入っております。恐らく外部被ばくに関する今までのすべてのデータをサベーションしたというような歴史的なペーパーが出ているだろうと思います。
 そういう意味で、チェルノブイリ以降というのは2つの点、まず、外部被ばくの線量が従来考えていたよりもずっと低くなってきたということ、内部被ばくの場合でも、小児を対象にした場合は間違いなく発がんが増えるということが明らかになったことかと思います。
 実は、チェルノブイリの小児の甲状腺線量というのは、未だ確定しておりません。これはどうしても直接計測をしていない例が大部分でございまして、それをもとにして被ばく評価をしていますので、やはり線量が余りはっきりしないあるペーパーは10ミリシーベルトという形で出てきていますし、そこはかなり大きな幅を持っている。
 そういう意味で、先ほど山下先生のおっしゃった介入レベルをどうする、年齢別、それからそのときの線量レベルをどうする、これが非常にまだ国際的に分かれているところだろうと思います。それの一つの例がこのWHOの資料1−5にあらわれてくる考え方ですし、もう一つは、ここにはありませんが、アメリカのFDAが一応ドラフトという形で出している中に書かれているような介入レベルというものが出されている。それから、従来IAEAが一般的な原則というジェネフィック・インターベーションレベルという形で100ミリシーベルトというものを出している。そういうふうな幾つかの違う介入レベルが現在世界的には検討されている。やはりそういうことをこれからこの委員会でも検討されればと思います。

 ただ、チェルノブイリの子供の甲状腺がんの発生というのは本当に考えられないぐらいすごい出方で、ちょうどコントロールとして、私は40年間で54例し か小児の甲状腺がんを見てないんです。その間に見た全甲状腺疾患が29万8,000例ぐらいです。そうすると、もう非常にまれな病気であるというわけです。もちろんチェルノブイリのことを考えると、それだけに、もし起こったときにはいち早くヨードを投与した方がいいと思っています。
 それから、さっきから問題になっている副作用ですが、私はヨードの副作用というのは直接は一つも経験がないんです。一例何か薬疹が出たといったような患者さんがいたような気がします。ただ、造映剤で起こる薬疹は、あれはやはりヨードなんでしょうね。それを考えますと、余り軽々しくは扱えないなとは思うんですが、少なくとも私自身は、患者さんにヨードを与えるときに副作用の話なんかして、それから与えたことというのは一回もございませんし、事実経験がないというところで、ちょっと見当違いの話になりましたが。
山下主査 伊藤先生、ありがとうございました。
 伊藤病院の甲状腺の外来で日本一のご経験とヨード131の治療並びにヨウ素剤についてのコメントをいただきました。これは恐らく2つに問題を分けて考えなくてはいけないのは、内部照射で甲状腺がんが起こるという問題についての議論が一つと、もう一つは、本当に日本人に、極論ですけれども、ヨウ素剤が本当に必要かどうかという問題まで極論すると到達するようなコメントだろうと思いますので、これは今後の基本的な考え方をまとめるときの一つの参考意見として取り上げさせていただきたいと思います。
 ただ、現在は、チェルノブイリの事故以降、内部照射、それは大量ではなくて比較的少ない量でも乳幼児、胎児が被ばくをしますと甲状腺がんが明らかに増えるということは治療ドウズで起こらなくても、こういう事故時での特殊な状況では起こり得るということを国際機関あるいは我々のデータでも示しておりますので、一応ここは内部被ばくが起きると甲状腺疾患、とりわけ幼児期のがんが長期にわたってリスクが増えるという大前提でヨウ素剤予防投与のディスカッションをしていきたいと思いますけれども、皆様方、それでよろしいでしょうか。

 ご存じのように、ベラルーシという国とポーランドは隣同士の国ですけれども、ベラルーシでは1986年から本年の頭までに小児甲状腺がんが1,000例近く出ています。ポーランドは0です。先ほど伊藤先生がおっしゃいましたように、小児の甲状腺がんというのは思春期以降にぽつぽつ見られるぐらいで、100万人に一人あるかないかという年間の頻度ですけれども、ベラルーシには一番高い時期で1万人の一人ぐらい子供のがんが91年以降98年まで見つけられて、現在約1,000例。チェルノブイリの周辺、ウクライナ、ロシアを含めまして約2,000例の小児甲状腺がん、これは手術時の年齢が18歳未満ということで、約2,000例の子供たちががんとなるということで原則これはWHOもIAEAも国連のUNSCEAR、その他も含めまして一応事故直後の放射性が子供のがんを増やしたという結論づけていますので、これの予防的対策をとるのが当然でありますし、その被ばく線量介入レベルは今後の検討事項といたしましても、転ばぬ先の杖で、日本国内においてもきちんとした対応が必要であろうということが海外の事例から認識されるわけであります。
これは、従来の外国でのヨウ素剤予防投与の事例と今後検討する根拠になろうかと思いますけれども、この点についてのご異論、ご意見があればよろしくお願いいたします。
伊藤先生 確かに今、先生がおっしゃったような極端な、前はそう思っていたんですね、日本人は大丈夫だと。しかし、チェルノブイリの恐ろしい状況を見ますと、あれはほとんど乳頭がんなんですね。日本人の場合はろ胞がんがどうしても何%か入ってくるんですが、ほとんど乳頭がんというところでまた問題が大きいんではないかと思うんですけれども、やはりチェルノブイリ以来、私もああいうときには幾ら日本人とはいえ、ヨードを摂取しなくちゃいけないなとは思っております
*** 引用終了
 
 
 

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