日本が元気になる道筋

自然と人間を「活かし」・「つなぎ」、国と国を「和」で結ぶ、ピース・ジャパン

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 農協の若い職員が、「つまもの」で、地域に活気を呼び起こした徳島県の事例が注目を集めている。そ

こから何を学ぶのか、感想を述べておきたい。
 

1.「つまもの」の位置づけ

  林業と米・ミカンの町だった上勝町は、外材の輸入や減反で過疎化が進んでいた。「つまもの」が、

ここに活気を呼び起こしたのは、単にマーケテイング対応が成功しただけではない。消費者ニーズを、ス

ーパーやコンビニのパス システムで捉えても、安全・安心や食育が強調される一方で野菜や果物の消費

が減り、機能性食品が急増しているのである。

 川勝平太は、人間の生活を物の世界−物産複合と呼んだ。物産の生産には、作物の連関がある。人間が

自然に働きかける営みは多様で、遊牧・焼き畑に始まり灌漑や輪作・放牧などの農法が形成された。だが

産業革命以後の工業文明は、近代化農法を進展させ、遺伝子組み替え作物を作り出し作物の連関が失われ

て、生産と消費が断絶している。

 食べられない「つまもの」が商品になるのは、日本人の自然観に起因している。多湿な褶曲列島という

日本の風土が、山(森林)と川と海−田と畑と林野の結合した生態系を形成し、自然と人間が共存する食

文化を育てたのである。この自然生態系を原点に、その自然力を発展させる農法変革−イノベーションこ

そが、農林漁業や地場産業再生の基軸となる。その軸となるのは、田畑輪換と林牧複合である。自然と人

間の原点に立って、仕事と暮らしを見詰め直すことが、地域再生の出発点ではないだろうか。
 

2.「つまもの」を支える人々

 地域に活気を呼び起こしたのは、横石 知二という一農協職員を核にした、女性や高齢者が連繋するネ

ットワークであった。地域おこしでも、「行政と住民が一体となって」と言われることが多い。だが貿易

立国による農林水産物の輸入が、地域を衰退させ過疎をもたらしたのではないだろうか。夕張市は、この

地域と国の関係を象徴している。地域と住民−自然と人間が、自立し連繋するネットワークが築かれてこ

そ、行政や国家との関係も正常となるのである。

 石高制は「米本位」の経済基準で市場経済を歪め、鎖国は内外の交流を抑制した。

 明治維新は、地租改正・河川法の水利体系により田畑と林野の連関を切断し、田畑輪換・林牧複合の農

法変革の道を閉ざした。また版籍奉還・廃藩置県は、イエ・ムラ・クニ−公・共・私の均衡を破壊し、家

族と共同体は中央集権の国家に統合された。

 敗戦後も、富国強兵−列強の仲間入りを成功と考える価値観が継承され、民主主義とは裏腹な国家主導

の中央集権体制が続いている。西欧の市民社会や国民国家の直輸入では、いま日本が当面している課題は

解決できないのではないだろうか。3割自治が実体で、地方分権のかけ声が空しいのも、戦争の政治責任

を問わずに、戦後も中央集権体制が温存されたことと表裏の関係にある。

上勝町では住民一人一人が働ける場所、主役になれる場所がつくられ、女性や高齢者が変わっただけでな

くIターンで四世代家族も生まれた。そこにはフルサトと家族を原点に、豊作や大漁を祝い、長寿を喜ん

で子孫の幸せを祈る日本人のアイデンティティー を見ることができる。いま日本人が未来に展望を持ち

得ないのは、この原点を見失っているからではないだろうか。
 

3.地域格差と地産地消

 グローバル化−構造改革とともに、地域格差が雇用・所得格差とともに、政治の上での論点となっ

た。

 国の農政は、国際競争力視点から担い手政策を掲げ、これに農協も追随している。系統農協は、バブル

が崩壊して単位農協の合併と全国連への統合が進み、全農を始め不祥事が相次いだ。コンプライアンス

(法令遵守)と農協改革の名の下で、農政への追随が強まり、収支に偏った分社化と職員のリストラが進

んでいる。 それは三位一体の地方財政改革や、市町村合併・道州制導入の地方分権と対応している。

 だが組合員農家・地域住民の自主的な活力なしに、農業・農協の再生や地域格差を超克することはでき

ない。「つまもの」で地域に活気を呼び起こした、上勝町の事例から何を学ぶのかが問われているのであ

る。

 ここで地域おこしの柱となっている地産地消と、大都市のニッチ(隙間)市場に対応した「つまもの」

は、どう関わるのだろうか。

 イオンのダイエー統合は、生鮮卸売市場手数料の自由化とともに、荷受け卸・仲買の経営危機を強める

であろう。野菜や果物の大型産地も、縮小と崩壊が続き、農協共販も多くの課題を抱えている。戦後に展

開した大都市志向の集散卸売市場体系が、大きく揺らぎ再編されようとしている。

 農業や農協事業が衰退する一方で、地産地消の運動が全国化した。それを、地域の枠内に止めるのか、

それとも地域経済・地方市場の自立を基礎に、大都市集散卸売市場体系の変革に繋げるのかが問われてい

る。その延長線には、自立互恵・内需主導の国民経済の展望が開けるであろう。

 そこでは、「つまもの」が作物連関・物産複合に進展するために、山(森林)と川と海−田と畑と林野

の結合した生態系を発展させる農法変革−イノベーションが基軸となる。その二つの柱が、田畑輪換と、

林牧複合型の放牧と輪作である。

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