3月27日(日)午前
このブログには波動理論のことしか書かないという自己規制をかけているが、ときどきそれが窮屈になる。また毎日更新のため小ブログ子自身の頭がエリオットに偏る危険を感じることもあるので、波動理論と関係のないことを書く「コーヒーブレイク」を再開することにした。
第1回のテーマは震災直後の「対外及び対内証券売買契約等の状況」、いわゆる対外対内証券投資統計(以下、単に「統計」)である。
[東京 25日 ロイター] 海外の投資家が、11日の東日本大震災後も日本株に積極的な投資を行っていたことが、財務省が毎週公表している「対外及び対内証券売買契約等の状況」で明らかになった。 同省によると、3月13日から19日の海外勢による株式取得額は9兆4871億円となり、2007年8月5日から11日の10兆8638億円に次ぐ規模だった。震災直後はリスク性資産を敬遠する動きが広がり、処分額は8兆5961億円と過去6番目の水準に達したが、「次第に割安感が出て見直し買いが入った」(市場筋)とみられる。 取得額から処分額を引いたネットでは8910億円の取得超となり、集計を始めた2005年1月以降で過去最大を記録した。
先週の対外対内証券投資統計は二つのことで注目をひく。一つは対外証券投資の「買い越し」。震災直後の円高の主要因として本邦機関投資家によるリパトリエーションという観測があったが、これに根拠がなかったことが裏付けられた。もう一つは海外投資家による株式の大幅買い越しである。
リパトリエーションについては最初から首をひねる人が多かった。だが震災直後に実際に急速な円高が進んだのは事実である。この背景は対ユーロを中心とする円キャリーの巻き戻しに弾みがついたものと見ているが、これについては稿を改める。ひとことだけいえば介入で円キャリーは以前にましてやりやすくなった。
先週の外国投資家による日本株の大幅買い越しは、結論からいうと、その背景に中国投資有限公司(CIC)を始めとする中国マネーがあると考えている。先週の「統計」を見ると、株式が8910億円の買い越しなのに対し、短期債が8955億円の売り越しとなっている。つまり海外投資家の円のポートフォリオのなかで一年以下の債券から株式へネットで1兆円近い資金がシフトした跡が見られるが、欧米の年金やミューチュアルファンドがこの時期にこのようなキャッシュ・ポジションを持っていたことは考えられない。しかもインデックスしか頭にない彼らは、暴落時には何もしないのが基本である。したがって買いを仕掛けたのは外貨準備の運用を行う政府系ファンドの可能性が濃厚とみる。(他には一部の逆張りヘッジファンドか。)
少し前に次のような記事もあった。
[東京 8日 ロイター] 海外投資家による英国経由の本邦短期債投資が1月に過去最高となった。 ...1月に7兆円規模に膨らんだ英国経由の本邦短期債投資について、外為市場では「英国系のブローカーや金融機関を通して、チャイナ・マネーが日本に流入した可能性がある」(外銀)との見方が出ている。 ...財務省が8日に発表した国際収支統計によると、非居住者による1月の対内証券投資は合計で7兆1301億円の買い越し。 ...内訳は、株式の買い越しが8529億円、中長期債が1兆0049億円、短期債が5兆2723億円の買い越しとなった。短期債は原契約の満期が1年以下の債券。短期債購入の地域別内訳では、英国が7兆0337億円と、2005年1月に現行統計が開始されて以来、月次で過去最高の買い越し規模となった。中国は1713億円の売り越しだった。中国が自国からの短期債投資を控え、英国ベースの投資を増やしたとすれば、為替相場への影響に配慮したことが考えられる。「中国がドルを売っているとの認識が市場で広がれば、ドル売りに拍車がかかるので、あえて英国ベースのドル売り/円買いを選んだのではないか」(市場筋)との声も聞かれた。
中国の国家ファンドの日本株投資は外準運用の多様化や運用益だけが目的ではない。日本企業の高い技術力を取り込むために個別企業への支配力を強めることが長期的な目的だと、かねて小子は考えている。ここがシンガポールやクウェートの純投資目的の国家ファンドとは性格が異なる点だ。
世代単位のタイムホライズンを持つCICの運用戦略のなかに、いつか日本で大震災が起こり株価が暴落することはつとに想定されていたと思う。その時にはすかさず割安となったブルーチップを買いあさることも、何年も前から機関決定済みであった可能性がある。
むろん災害の規模や原発事故の深刻さは当初の想定外であったろうが、今あしもとで起こっている程度までのことなら中国マネーの長期投資目的から外れるものではないだろうから、かれらが一転して売りに回る可能性は今はほぼないと思う。
おぐり
|