エリオット波動観測日記

荒し対策のため過去記事はファン限定。正統的なエリオット波動理論による株式指標の予想。ゲストブックのブログ紹介からご覧ください。

エリオット波動雑学

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全3ページ

[1] [2] [3]

[ 次のページ ]

2017年10月31日(火)午前



(ここではインパルスの内部波動の延伸とフェイリュアを論じるが、論点の大半はフラットの内部C波の延伸及びフェイリュアにも当てはまる。また書庫『エリオット波動雑学』所載2013年5月11日付「第5波の延伸(extention)」を同時に参照願いたい。)

初めにR.N.エリオットの定義による延伸(extention)を要約する:

1. インパルスの内部の第1波、第3波、第5波(以下、駆動波 motive wavesと呼ぶ)のいずれかが、内部に新しいインパルスを形成して長大化すること。
2. このような延伸が2つ以上の駆動波で起こることは「まれ(rare)」である(後年、never つまり「延伸波動は一つだけ」と修正)」。
3. 延伸は通常(usually)、第5波で起こる。その結果、第5波はインパルスの、それまでのトレンドチャネルの上辺を大きく上抜け(下降波動なら下辺を下抜け)て新しいトレンドチャネルを形成する。
4. 波動の等級(degree)が上位になるほど、延伸が起こる可能性は高くなる。
5. 上抜け・下抜け(penetration, throw-over)は対数チャートで判定する。算術チャートでは、価格変動が高値では過大に、安値では過小に表れるため正しいトレンドチャネルは描けない。

さてフェイリュア(failure)の判定には、以上の延伸の理解が欠かせない。R.N.エリオットによるフェイリュアの定義は、3波動からなるトレンド形成波(1-2-3)と5波動からなる修正波(A-B-C-D-E)の組合せである。「いわばインパルスの第5波を後に続く修正波が盗んだ(stole)ような変態的な波形」がフェイリュアで、このような波形の発生確率はまれ(rare)である。(以上、The Wave Principle, Chapter V “Wave Characteristics”, 1938からの要約。)

『エリオット著作集 (The Major Works of R.N.Elliott, 1980)』をざっと読み返したが、かれがフェイリュアについて語るのは上記の引用箇所だけである。第3波を越えられなかった第5波(上記のB)の内部が5波動なのか、3波動なのか、についてはエリオットは沈黙している。(文脈から判断すると、3波動の可能性が高い。)したがって上述した「5波動からなる修正波」が完了する以前にフェイリュアの判定を下すことは難しい。

誤解をさけるため、R.N.エリオットが “Financial World Articles, Part IV, Bearish Indication?”, 1939で述べる”failure”についても言及しておく。(ここは念のための補足なので読み飛ばしてもらっても構わない。)

“Failure of the fifth wave of any degree to penetrate the channel line, accompanied by indications of a sustained decline, is a warning of weakness.” (要約: 第5波がチャネルの上辺を上抜けられず、下降したままなら、弱含み。) 自明であるが、これは第5波の終端が第3波の終端を越えないという意味でのフェイリュアではない。

次に、R.R.プレクターのフェイリュアの定義を見る。以下では “Elliott Wave Principle – Key to Market Behavior, 1978”の関連個所を要約した。 

プレクターは、米国の株式市場では、インパルスの3つの駆動波のうち、もっとも一般的に(most commonly)延伸するのは第3波だという。 事実、Elliott Wave International (EWI – R.R.プレクターが運営する投資助言機関)のアナリストたちは常に第3波延伸を前提として波動計算する。(一方、プレクターは、商品市場では第5波の延伸が一般的だと主張する。) ちなみにプレクターは、R.N.エリオットのフェイリュアを引用しながら、フェイリュアよりもトランケーション(truncation)の呼称が好ましいと述べるので、以下ではプレクターの定義によるフェイリュアにはこの呼称を用いる。

“A truncation can usually be verified by noting that the presumed fifth wave contains the necessary five subwaves. A truncation often occurs following a particularly strong third wave. (大意: トランケーションは、第5波になるはずで未到に終わった波動の内部が5波動からなることが分かれば証明となる。またトランケーションは長大な第3波に続いて起こることが多い。)

プレクターは、トランケーションの出現頻度は「時折(sometimes)」とし、ルールの一環として扱っていて、その言及は上掲書の随所に及ぶ。しかし上記の引用のようなトランケーションの判定方法は、インパルス内部の3つの駆動波のうち、延伸波動は常に第3波であることを前提としない限り、使えない。EWIが2014年7月にシナリオを第5波延伸に修正するまでの4年間、ニューヨーク・ダウの大天井を誤報し続けた原因もここにある(2014年8月28日記事参照。第5波延伸を過小評価して、それ以後も誤報は続いている)。

小ブログ子の経験では、日経平均は、第3波に劣らない頻度で第5波が延伸する。したがって第3波の終端を第5波が越えなかった場合、第3波延伸というそれまでの波動計算の前提をまず疑うべき(つまり、それまでプレクター流で第3波の内部第1波と計算していたものが、実は第3波の終端で、第4波以降は延伸中の第5波あった可能性を探るべき)である。

それでなくても、リアルタイムの波動計算では、未到に終わったとする第5波の内部が、はたして3波動なのか5波動なのかの見極めが難しいことが少なくない。

ちなみにダイアゴナルの内部第5波の延伸は、インパルスの内部第5波の延伸とは原理が異なるが、長くなるので、稿をあらためる。


おぐり

2016年1月20日(水)午後


延伸(extension)後の相場の特徴をエリオットは、二段返し(Double retracement)というルールで、要約すると、次のように述べる(Wave Principle 1938)。なおルールの解釈については、R.R.Prechterの注解を参考にした。

1. 延伸は新しい領域で生じる(トレンドチャネルが変わるという意味)。
2. 延伸後、相場は反落と反発で、前後2回、延伸区間全体を値戻し(retracement)する。
3. リトレイスメントの第1段(first retracement)は3波動により、ほぼ延伸の起点(延伸の内部第2波)に達する。
4. リトレイスメントの第2段(second retracement)は相場の通常どおりの進行により延伸の終端を上回る。
5. ただし、たとえばプライマリー級第5波が延伸した後、大きく反落したら、第1ならびに第2のリトレイスメントは、それぞれイレギュラーフラットのA波とB波になる。続くC波は内部第5波による急峻な下げで、往々にして前波にあたるプライマリー級第5波の起点に到達する。
6. 下げ相場でも、これらのルールは上げ相場と同様に適用可能。
7. 延伸の終端は最高値ないし最安値とは限らない。(いわゆるオーソドックストップ、オーソドックスボトムを指すと思われる。)
8. リトレイスメントとは、一定の区間を相場が往来するという意味である。たとえば調整波動と、トレンド形成波の再開という組み合わせも、ここでいうリトレイスメントに該当する。

また、エリオットは後年の著作で、上記5.のルールを、大意、次のように補足する(Nature’s Law 1946)

下位の等級の波動では、リトレイスメントはすぐに実現する。しかし中波動(Intermediate)や大波動(Major)級の第5波では、A-B-Cのジグザグがリトレイスメントの第1段、新たなトレンド形成波がリトレイスメントの第2段、ということも起こりうる。

以下は、小ブログ氏の感想。

一般的に波動理論のルールは「法則」というより「傾向」として扱うべきであるが、そのような特質は、二段返し(Double retracement)のルールで、特に顕著と見える。別の言い方をすれば、二段返し(Double retracement)は、ラベリングだけで判断せず、波動の形状(視覚性)を観察して読み取る努力が、他のルールにも増して必要とされる。

おぐり

第5波の延伸(extension)

イメージ 1

2013年5月11日(土)午後


2月1日の日経平均終値は、今より3500円安い11191だった。そのころから今までの、日経平均のプリンシパル・シナリオをふり返って見ると、短期(2週間から3カ月程度まで)的な波動の方向は正しかったものの、微小波(minute)級以上の調整が間近という予想が目につく。この予想は、3月後半の更新を除き、しばしば外れた。

中でも3月4日の更新は、実際の相場と正反対の予想となった。バッシャーがまだウロウロしていたら、小躍りしただろう。

どこで間違ったか。内部波動の計算は合っていたが、第5波の延伸を甘く見たからだ。もともと延伸を見込んではいたが、当初はダイアゴナルと想定していた。

なぜ間違ったか。ひとつは、フィバナチ計算上、指数が目標圏にあったこと。だが、フィバナチは.618の比を探索すれば、きりがないほど出てくるので、これだけを決め手にすべきでない。また.618や.382だからと言って、メジャーな転換点になるとは限らない。

もうひとつは、{B}(C)3全体のサイズの過小評価である。当初、第5波全体と思ったものが、実は第3波の内部第1波だった。これを受けて、4月10日、{B}(C)の内部波動全体を修正せざるをえなかった。

より深刻な間違いは、第5波はダイアゴナル、という想定を、シナリオを分けながらも、心中、引き摺っていたことだ。文献をあらためて読み返すと、エリオットもプレクターも、第5波はダイアゴナルになりうる、と説いてはいるが、そういうケースが多いとは書いていない。エリオットにいたっては、第5波の延伸は normal five-wave phase、つまりインパルスでしか説明していない。第3波に延伸がなければ、第5波は、通常ならインパルスで延伸する…最初から、そう考えるべきだった。

第3波に延伸が見られなかった時、交番の法則(Rule of Alternation)により、第5波がダイアゴナルに展開することは、エリオットも否定していない。ただ、このようなダイアゴナルを、彼は、延伸とは明らかに区別して扱っている。(多分に言葉の問題ではあるが。)

プレクターが第3波を重視するのに対して、エリオットは繰り返し、第5波を最も重要な波動と述べ、延伸の多くは第5波で起こると断言する (Of the normal five waves, the fifth vibration is usually the largest and most dynamic of the series, thus becoming, in effect, an extension of the extension - Finacial World Articles 1939 など)。この点で、プレクターはエリオットから決定的に逸脱している。ダウはともかく、日経平均では、エリオットの見立てが当てはまる場合が多い。

上掲に続いて、エリオットは、こうも述べる。少し長いが、現在の日経平均のチャートパターンに驚くほど当てはまるので、1パラをそっくり引用する。

A warning of the approach of this dynamic phase of Wave 5 is conveyed when Wave 1 and 3 are short and regular and confined within the channel, and when the first corrective vibration of the extension is completed near the top of the channel. The length of imporant extensions may be several time the breadth of the original channel. (要約:第5波の延伸が近いことは、第1波や第3波が短く、定型的で、トレンドチャネル内に収まり、延伸第1波の調整波が、従前のチャネルの上あたりで完了すれば、その予告となる。大きな延伸なら、その規模は、もとのチャネルの何倍にも達することがある。)

ここを読むだけでもプレクターとの違いは鮮明だが、上掲した日経平均の2年チャートと照らし合わせると、一層興味深い。日経平均が、プリンシパル・シナリオどおり、{B}(C)3{v}で延伸中とすると、現在位置は、まだ{v}の中盤にすら達していないことになる。

なおこの2年チャートの、去年11月以降のトレンドチャネルの引き方は、昨日のTOPIXの2年チャートのものと異なる。延伸をトレンドチャネルで計測する場合、エリオットは{ii}と{iv}の終端を結び、その平行線を、{i}を無視して{iii}の終端にあわせるよう、勧めている。

あしもとの日経平均と、エリオットによる波動理論の一致点は、これにとどまらない。

エリオットによれば、延伸中の第5波の内部第1波はトレンドチャネルの上辺を突き抜ける(いわゆる”throw over”)。4月12日の高値13568は、まさにこれにあたる。(片対数チャートでも突き抜けているので、算術チャートなら、突出はさらに顕著だろう。)こうして延伸第5波全体は、それまでのトレンドチャネルを突き抜け、新たにより急峻なトレンドチャネルを形成し、その内部第5波は、新なトレンドチャネルの上辺に達して完了する。

第5波の延伸が終わったあとのことについては、同じ論考で、さらに驚くべき記述が続く。このブログでは、中期シナリオにあたるので、少し気が早いが、先回りしてみる。

The completion of the normal or first five waves of an extention is never the end of the cyclical movement, but does constitute a distinct waning that the bull cycle is approaching an end , and only two more broad waves (one down and one up) wiould fully reflect the maximum force of the bull market. (要約:インパルス5波動による延伸の完了は、その上昇相場の終わりではなく、その終わりが近いことの予告である。このあと、もう1波ずつ、より大きな上下の波動を迎えて、この上昇相場は最高値を極める。)

これに続いて、上述の「もう1波ずつ、より大きな上下の波動」の解説が続くが、要するにA-B-C(3-3-5)のイレギュラートップのことなので、詳細は割愛する。つまりエリオットによれば、第5波延伸のあと、イレギュラートップによる高値の更新をもって大相場は完結する。この場合、Bの終点は5{v}(ii)の終点近く、とするが、これは彼が別のところで、二段返し(double retracement)と呼んだものと、同じ考え方である。

波動理論の細かい点は、現実の相場に直面しないとなかなか身に着かない。エリオット著作集のこれらの個所も、何度か読んだはずだが、十分咀嚼できていなかったので、反省と整理のため記事にした。

以上の理論を、あしもとの日経平均の波動計算に適用する場合は、次の点を考慮する。

波動の等級 ・・・ エリオットによれば第5波の延伸は、通常、中波動(intermediate)級以上で見られるとされる。日経平均の現在位置は、プリンシパルシナリオによれば一ランク下の{B}(C)3{v}であって{B}(C)5ではないので、この要件は完全に満たされているわけではない。折り合いをつけるため、3月21日の12650を{B}(C)3全体の終点とするカウントを、今後検討する。

二段返し ・・・ これは少しやっかい。プリンシパルによる(IV)e{B}(C)に続いては、イレギュラーフラットも、二段返しもあり得ない。唯一可能性があるのは、(IV)e{B}が、今後、複合調整波(complex corrective waves)になる場合。だが、そうなると、前述の等級が、理論とさらにかい離する。つまり二段返しが起こると、プリンシパルもアルタネートも破綻し、サブしか残らない可能性が強い。

例外のある規則 ・・・ 「波動理論は原理(principle)と呼ばれるが、実際は傾向(tendency)である」とはハミルトン・ボルトンの名言。まれには規則外れが起こりうる。いつものことだが、理論どおりやってみて、当るか当らないかは確率の問題、と割り切る必要がある。


おぐり

2012年5月26日(土)


複合調整波(corrective waves)についてR.N.エリオットは次のように簡潔に述べる(Nature’s Law 1946)。

(a) 内部合計3波動からなるものを”シングル・スリー”、内部7波動からなるものを”ダブル・スリー”、内部11波動からなるものを”トリプル・スリー”と呼ぶ。
(b) (a)のような内部波形からなる波動.は、上昇トレンドまたは下降トレンドのある波動であっても調整波である。
(c) ジグザグとヨコヨコからなる組み合わせがある(結合波なし)

三角波(triangle)については、R.N.エリオットは複合調整波に含めず、複合調整波に続いて別章を設けている。

このうちX波に言及するのはダブル・ジグザグについてだけである。この観点からX波を二度使うトリプル・ジグザグというカウントに疑問を呈するアナリストもいる(R.C.Beckman: Elliot Wave Explained 1992)。

ダブル・スリー、トリプル・スリーの内部波動については、エリオット自身による言及はない。ジグザグやフラットの第3波は内部5波動であるし、ジグザグは第1波も内部5波動であるから、組合せの場合なら、3波と5波の組合せになることは自明と思われる。

Nature’s Lawの記述を素直に読むと、R.N.エリオットは、ダブル・スリーとトリプル・スリーを、組合せの結果ではなく、フラットやジグザグと並ぶ独自の調整波形と見ていたようである。(“セブン”とか、”イレブン“などと命名してくれていれば、紛らわしくなかった。)

後年、A.H.ボルトンは ダブル・スリーを、内部3-3-3-3-3-3-3からなる波動で、ジグザグ、フラット、三角波(triangle)と並ぶ、第4の調整波形の一つとしている(Annual Elliott Wave Review 1963)。また手もとの文献(The Complete Elliott Wave Writings of A.Hamilton Bolton 1994)では、ボルトンがX波を使って調整波形をラべリングしていた形跡はない。

R.R.プレクターは、R.N.エリオットによるダブル・スリー、トリプル・スリーの定義を根本的に変革した。かれは三角波を除く全ての複合調整波を、X波を結合波とする組合せ波形として整理した。したがってプレクターによれば、ダブル・スリー、トリプル・スリーは、それら自体はもはや独自の波形ではなく、組合せ波形の結果ということになる。

プレクターによって整理された複合調整波は次のように要約できる(Elliott Wave Principle 1976)。

(a) X波は、内部ジグザグが多いが、フラット、三角波など、すべての調整波形を適用できる。
(b) 複合調整波を構成する内部波形は交番(alternation)することが多い。
(c) 複合調整波全体はヨコヨコに見えるものが多い。

プレクター自身がどう思っているかは尋ねたことがないが、プレクターによるダブル・スリー、トリプル・スリーと、R.N.エリオットのそれとは別物と思われる。たとえばプレクターによるW-X-Y-X-Zというトリプル・スリーのピークとボトムの数は合計5になるが、R.N.エリオットでは、トリプル・スリーのピークとボトムの合計は11である。

概してR.N.エリオットは波動の視覚性を重視するのに対して、R.R.プレクターは機能性を重視する傾向がある。ちなみにXを、プレクターが説くように内部3波動ではなく、1波動で数えれば、内部波動の合計は11になる。しかしピークとボトムの合計は、やはり5である。

またプレクターの(c)は蛇足と思われる。ダウの09年3月以降の波形は調整波形だが、あきらかにトレンドがある。プレクターのEWIは、2010年秋と今年春のダウの高値更新を、それぞれ予想することに失敗したが、これは、プレクターによる、上述したような複合調整波の整理と無縁でない。

09年3月以降のダウの波形を理解するには、R.N.エリオットが1946年に説いた、「上昇波形や下降波形でも、内部7波動や内部11波動からなる波動は調整波である」の方が役に立つ。

おぐり

2012年5月21日(月)午後

日米株価のメインシナリオ(良形)がピンチを迎えている。これは波動理論のトレードへの適用にとって不運だが、理論そのものとしては不思議でも脅威でもない。確率的に、メインシナリオは当る場合が多いが、時々外れる。「エリオット波動は宇宙の法則。正しく適用すれば外れるはずはない」と信じる神秘主義に、小ブログ子は与しない。

「良形」とは、このブログで、R.N.エリオットの波動理論との一致の割合が相対的に高い波動計算、「悪形」はその逆、を指す。現実の相場が、波動理論と完全に一致することはめったにない。このブログでは、相場の行く末をいくつかのシナリオに絞り込み(将棋の差し手と同じで、先の先まで考えると、シナリオは無数に考案できる)、欠点がもっとも少ないシナリオ(良形)をメインシナリオとしている。そしてそれぞれのシナリオの理論との一致をスコア(*〜*****)で評価している。スコアの高いシナリオは、確率的に現実の相場となる潜在性が高いが、波形の良否の判定尺度は明確化が難しい。質疑されれば答えられる程度の理由づけはつねづね念頭にあるが、図形的な良否も無視できない(人間の顔の好悪に似ている)。

メインv.1よりも他のシナリオのスコアの方が高くなることがある。こういう場合、メインv.1を入れ替えると、シナリオの名前が頻繁に変わって分かりにくい。またリアルタイムでは、メインv.1が相対的にベストでなくても、短期以上では、依然、ベストということもある。だから、シナリオ名はなるべく入れ替えないが、スコアの変遷は、当該シナリオの実現確率の変遷を表している。

波動理論が相場の予報になるのは、「良形は悪形より当たる確率が高い」からである。これは経験則として1938年の理論誕生以来、多くの実務家に支持されている。だから、波動理論による予報の的中率を向上させる方法としてわれわれ人間にできることは、(1)理論を正しく適用する、(2)波形(波動計算)の良否を正しく評価する、に尽きる。「誰それのカウントはよく当たる」などと、波動計算の作者で当否を判定するより、作者を問わず、カウント自体をよく見て、きれいな、無理のないカウントにフォローすれば、結果的に当たることが多くなる(はずだ)。

また現実の相場がメイン(良形)に来なかった場合に備えて、次善の良形(アルタネート、サブ)や、あえてメインと反対方向のシナリオ(リスク・シナリオ)を周到に探しておく。このように、いつも複数のシナリオを並行して計算しておくこと(マルチシナリオ・アプローチ)は、波動理論をトレードに適用して大損をしないため(リスク管理)には大変重要である。波動理論は転換点の予報に利用されることが少なくない。それが外れる場合、シナリオのスコアは****→***→**と、徐々に下がるのではなく、ルールに抵触して一気に破綻するからである。

R.N.エリオットは、波動原理は数十年単位のグランド・スーパーサイクル(超長期)から時分単位のサブ微細波(Sub-Minuette)(日中足)まで、すべての相場変動に均しく適用できる、と考えていた。これに対して、第2次大戦後の投資ブーム期、エリオットの理論を米国株価指数で検証したA.ハミルトン・ボルトンは、波動理論が満足すべき成績を示すのは中波動(intermediate)(週足に相当)以上、と結論づけている。またボルトンは、エリオットが晩年、理論付けを試みた、フィバナチ数による日柄計算を、「外れても後講釈が可能で予測手法たりえない」という理由で退けている。(同じ問題は、フィバナチ数による値幅の予測にも、程度の差はあるが当てはまる。)

小ブログ子は、ここ3年あまりの適用実証で、日経平均の日中足にも波動理論は適用できるが、日足や週足に比べると日中足の信頼性はやや劣る(悪形が現実の相場となるケースが相対的に多い)ことを経験している。

それなら日中足の波動計算(このブログでは「マイクロカウント」と呼ぶことがある)は、やめたほうがいいか、というとそれは違う。まず長期投資が主流だったボルトンの時代と異なり、短期の投資やデイトレードには日中足の分析は欠かせない。また良形でもときどき外れることさえ承知の上でなら、日足、週足と同時に日中足を対象にすることは、長い目で見ると、短期以上の予報確度の維持・向上にもつながる。そもそも、あからさまなルール違反のあるシナリオ(スコア*)が現実となったことは、日中足でも記憶にない。

現実の相場が悪形の日中足に来るたびに予報の方針を変えていては、手法に一貫性がなくなってしまう。リスクに対する注意喚起に怠りなければ、日中足によるリアルタイム予報は引き続き有用と考える。

おぐり

全3ページ

[1] [2] [3]

[ 次のページ ]


[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!
数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事