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金曜日に、元大統領婦人ベティ・フォードが亡くなりました。
多分日本の人には、よくハリウッドの有名人がクスリやアルコール依存症を治すために入る、
ベティ・フォードクリニック
という名前で馴染みがあるのではないでしょうか。
ベティ・フォードは第38代大統領ジェラルド・フォード(共和党)の妻でしたが、おとなしく主婦をやっているタイプの人ではありませんでした。
若い頃はダンサーを志し、親の反対を押し切ってミシガン州グランドラピッズからニューヨークにモダンダンスの勉強をしに『上京』。ボヘミアンなグリニッジ・ビレッジに住み、モデルの仕事などを取りながら、カーネギーホールでのパフォーマンスに出演したりもしました。
母親に説得されて故郷のグランドラピッズに戻って結婚したのもつかの間、出張ばかりの夫との暮らしがうまくいかず5年で離婚。離婚手続きを進める中で付き合いだしたのが後の大統領でした。
ジェラルド・フォードはプロポーズの時には政治にかかわることを何も言わず、二人の婚約中に米国下院に立候補するわけですがベティは当選する訳無いと思っていたとのこと。それが結婚後2週間で当選、ベティは政治家の妻という役目に放り込まれます。
キャンペーンに走り回り不在がちな夫を支えて他の政治家の奥さんたちをランチに招待するような暮らしは、モダンダンスを志し、ニューヨークで自由な生活を謳歌していたベティには全く満足感の得られないものでした。それでも、日曜学校で教えたり、カブスカウトのデンマザーをやったりしながら4人の子供を育て頑張ったのですが、首の神経を痛め鎮痛剤を取り始めたことがきっかけで、鎮痛剤を乱用するようになっていきます。もともとお酒を厭わない人だったのですが、この頃からクスリとお酒の両方に頼りがちになります。
大統領選に参加したことの無いジェラルド・フォードが、時の副大統領アグニューの汚職疑惑で副大統領になり、直後に起こったウォーターゲートで失脚したニクソン大統領の後を継ぐ昇格で大統領になったのは歴史に残るところですが、この大統領夫人という役はベティ・フォードには目的と立場を与え、彼女は水を得た魚のように生き生きとしだしました。
共和党の夫に対し、自由でリベラルな思想を持つベティはそれをまた、柔らかな物腰の中にも全く臆せず発言しました。大人になった自分の子供たちは多分マリワナを吸ったことがあるでしょう、とか、結婚前に一緒に暮らしてみるのはいいことだと思う、とか、18になる自分の娘は多分初体験は終わっているだろう、とか、徴兵するなら男女共に、とか、女性の妊娠中絶の自由を説く、とか、当時にしてはショッキングな発言が多く、ニュースを賑わせました。
しかし汚職などにうんざりしていたアメリカの国民にはそのフランクな発言が好評。また、大統領の就任二ヵ月後、乳がんと診断され入院し、それを公表してけなげに戦う姿も共感を呼び、味方は多い人でした。まだ、がんが恐ろしく、ひそひそと会話の裏で取りざたされる時代に、乳房の切断などを具体的に語り、多くの女性に勇気を与えたことでもしられています。
彼女の思想や態度が共和党のコアである保守派の投票者を怒らせた、という影響と、民主党や若者の支持を集め力を増した、という影響はどちらが強かったのかわかりませんが、結局フォード氏は再選ならず、ベティと共に田舎暮らしをはじめます。
ホワイトハウスというステージ、そして大統領夫人という職と立場を失った彼女は、前にもましてクスリとアルコールに溺れ、ついには家族の嘆願の下に依存症治療のために入院。そこで何とか立ち直った経験を元にベティ・フォードクリニックを創設する一員となりました。
クリニックは90000人以上の人の回復を手助けし、今もまだ続きますが、インタビューに答えて、ベティは
「あなたが私の命を救ってくれた、という人がいるけれど、そうではないの。あなたはあなたの自分の命を救った。私たちはただその場を提供しただけなのよ。」と言っています。
ある意味で波乱万丈の一生を過ごしたベティ・フォードは金曜日、93歳で亡くなりました。
この記事の情報は英語版ヤフーニュースのここで読めます。AP発信。
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なんかちょっとだけ雅子様を感じてしまいました。その役目を負われることは無いけど、思っていたことができなくなってしまったり・・・・
93歳だったんですねえ。
2011/7/11(月) 午前 11:55
少しだけ聞いたことがありましたが、これほど波乱万丈な人生だったとは・・・
心に染みる話をありがとう御座います。
2011/7/11(月) 午後 5:31 [ 勝どき ]
sansさん、公人の結婚相手はやはりそれに巻き込まれてしまうのでしょうね。
2011/7/12(火) 午前 7:26
勝どきさん、なんだかすごく人間臭いひとですよね。自分というものを持っているがゆえになかなか与えられた立場に甘んじられず悩む。
2011/7/12(火) 午前 7:30