あれ…文章短い

サイト開いたよ!
http://nanos.jp/greenvblue/
私ったらすごい!←ばか
あと……………

イメージ 1

ゲームもつくった。
以上。

開く コメント(0)

開く トラックバック(0)

雨あられ(ルサまでのNL)

 朝目が覚めると、隣で果てた彼女がいた。シーツを退かして、シャワー室へと歩く。半分近く減った赤ワインのボトルを通した日光が彼を照らし、その目を紅く、血色に染め上げる。紅は鬼の色。昔からそう疎まれ、その色をはじめから持っていた彼は虐待を受け、辱められた。ルビー、それが彼の名前。美しい反面残酷な響きを含む名前。シャワーを終え、彼女のもとへ行く彼もまた、紅い目をしている。
一方、彼女は蒼い目。ルビーに揺さぶられ、声を漏らしながら開かれたその目の色はこの地方に存在するはずも無い特殊な色として、こちらもまた隔離され、虐待された。サファイア。海を連想させ、その偉大さと恐ろしさを兼ね備えた名前。本名なんてない。二人共、幼い頃に捨てられた虐待の対象となる「色眼」だったから。いつものようにフライパンを出し、卵を割ってその上に広げるルビーはふと、外で他のポケモンたちと触れ合うサファイアを見る。幸せ。昔はなかった、宝物。思わずふっと微笑む。
「ルビー?なにしとう?」
サファイアが不思議に思ったのか振り返る。蒼い目がキラキラ輝いて眩しい。
「いや?やっぱり愛おしいな、と思って」
「なっ…何をっ!」
これが今の日常。日常なんてなかった二人にとっての宝物。
卵がじわりと音を立てて金色に固まっていく。卵焼きだ。色眼が悪ではないと認められた時、一番最初に作った「お祝い」。砂糖を少し加え、ネギをまぶして焼く。エメラルドが好きだったからーーエメラルドは二人の死んだ友達、彼を弔う意味も込めて毎朝作っているのだ。赤や黄色のチューリップが水を受けて小さく揺れる。サファイアはじょうろを持ち替え、手を合わせて祈ってから空を見上げた。

三年ほど前の話だ、三人が殺されたのは。色眼保護案が可決される、2日前。
レッドをリーダーとしたカラフル団の五人は森の寂れた小屋に住み、また全員色眼だった。その日もいつも通り食べ物を得るため、エメラルドがパンを盗んで帰ってきた。
「エメラルド、いつもありがとな」
イエローの膝で眠そうにしながら端末を打つレッド。そんな彼らを見て、エメラルドは苦笑する。サファイアとルビーは月に一度の洋服を盗む仕事をしていたので、彼の隣で「だらけるなー!」と突っ込む二人組はいない。いつものノリで振り返ったエメラルドは赤面してから自分の陣地ーー布が敷かれているだけだったがーーに座る。焼きたてのパンをかじって味見してから、レッドとイエローに残りを投げる。紙袋の底には、卵が5つ。後で五人分の卵焼きを作るつもりだ。
「それにしても遅いですねー、ルビー達」
イエローがこれまた眠そうに呟いた。パンは消え去り、粉もレッドによって回収される。そんなふたりでも団長副団長でいいのだろうか問われると、三人はいいのだと答えるから不思議だ。いざという時の戦闘力?こののんびり組が戦っているところを、三人はまだ見ていない。だが、エメラルドに於いてはもうそのチャンス、ひいては敵が近づいてきているのであった。
「…敵が来たぞっ!」
レッドが叫ぶと同時に、銃を構えた数人の大人が小屋の戸を突破して侵入してきた。銃の前に手作りの木刀は無力、しかし彼ら色眼には特殊能力というものがある。常人では考えられないような高さまで三人は飛躍し、後ろに回って首元に蹴りを二発。大人達の大体はそこでへばり、三人はそこから銃を奪う。
「黄零茱璃」
イエローがそう呟きながら発砲。黄色の光を放つ銃弾が大人達を貫く。ーー特殊能力であるーーいつの間にか敵の数は増え、がむしゃらに打たれた相手の玉がエメラルドにヒットした。
「エメラルド!」
彼は血を吐き、それでも能力「碧翔加羅」で回復。だが与えられた苦痛とダメージは大きかった。苦しむエメラルドを見、レッドは表情を歪め、それから叫んだ。
「っ…この際一気に吹き飛ばす!赤蘭褸麗、発ど…」
「そこまでだ、餓鬼共」
それも虚しく、戦車を携えた男がそれを遮る。戦車。人間に使うものでは、絶対にないはずだ。つまりーー彼らは色眼のことを人間として、見ていないーー。
「消え失せろ、化物が」
爆音が響き、同時に3つの命が消滅した。

「今日はその日だったね」
ルビーはサファイアが水をあげたチューリップと卵焼きを交互に眺め、悲しげに呟く。美しさの欠片もない、小さなつぶやきだった。
「すみません」
ふと声がして、二人はそちらを向く。そして、息を呑んだ。
オレンジの眼、エメラルドのネックレス。それは二人がレッドやイエロー、エメラルドを連想させる容姿をしていた。
「あなたは…」
「私はオレンジ。レッドとイエローの娘です。そして、エメラルドを名付け親に持っています。あの日。三人が戦車で攻撃される一瞬前、イエローーー母は最後に能力を使って小屋の外に私を逃がしたんです。」
二人の頬を温かいものが流れていく。三人の形見を前にし、二人は抱き合声を上げて泣き始めた。
「おとうさん、おかあさん、エメラルドさん、ありがとう」
オレンジは小さく微笑んだ。


「ほら、あなたが好きだったの。作ってみたわ」
瞳が透明、彼女は「クリスタル」。白いエプロンをつけーーそれももう何年使い古したかわからないほど汚れていたーー自作の肉料理を石造りの墓の前に差し出す。「ハンバーグ」。昔食べていた冷めたものとは違い、暖かく、食べさせてあげたかった、と瞳をうるませる。まるで生前の彼を表すかのようにポケモンたちがそれに集まってきたが、クリスタルはただ哀愁漂う微笑みを見せながら、心を過去へと向けた。人生で一番幸せで、苦しかった時間に。

 彼はその時、喜びの絶頂にいた。なぜって、自分が密かに想いを寄せている彼女に、大好物を持ってきてもらったのだから。
「やったぜ!今日はハンバーグだ!」
いや、これには少し語弊がある。持ってきてもらったのではなく、盗んでもらったのだ。だがそんなこと彼には関係ない。絶望のどん底にいるにもかかわらず輝く金色の瞳。彼は「ゴールド」。その声に驚いたのか、彼を慕いついてきたポケモンたちが一斉に彼女の影に隠れた。
「ちょっと、そんなに喜ばないでよ…誰かの台所から取ってきたものなんだから。…でも、ありがとう、喜んでくれたのは嬉しい」
クリスタルは苦笑しながら、ポケモンたちの毛並みを揃え、安心させてゴールドの元へ返す。彼の方は二つあった方の一つをポケモンたちの前に差し出して、頬張る姿を眺める。食べ物も十分に得られないことを理解したうえでの、また彼らの人情深さと優しさがわかる行為だった。
下水道管の中。陰気で暗く、決して快適とは言えない場所に、彼らは住んでいる。上は小さな島、ミナモシティ。ジョウトから逃げたゴールドと、カントーから流罪にされたクリスタルが辿り着いた、ゴールド曰く「よくわかんないけど思い出の場所」だ。汚染水がデボンコンポレーションによって回収されている今、下水道管には雨水が流れているだけ。彼らはその水を使って生活している。当然デボンコンポレーションは自分が嫌う「色眼」の命を自分の行動で繋いでいるとは思っていない。海水濾過器をつくったことも、彼らを大いに助けているわけで。御曹司であるダイゴが「色眼」を哀れんで、父親に市民救済を利用して申請したとも言われているが、今はそのような噂も囁かれなくなった。
「あの、さ…」
不意にゴールドが口を開く。いつもは考えられないような、躊躇と恐れを含んだ声だった。まるで聞いた時のクリスタルの反応を心配しているような、そんな声音。
「何?」
なんの引っ掛かりも覚えずに返したが、次の言葉を聞いた瞬間、クリスタルの思考は完全停止し、幸せをぶち壊した。
「オレ、多分今日死ぬ」
それを引き金に、彼の体がぐらりと傾いた。どういう意味?彼はいつから預言者になったの?言葉にすればこのように表せるであろう感情の濁流を必死の思いでせき止め、改めて理性を取り戻す。今日死ぬ?それは、永遠の別れを意味する。彼が何処かへ旅立ち、彼女は自分の死を待つと同時に彼との再開を待ち望む。そういうことだ。答えを導き出した瞬間、クリスタルの理性は再度吹き飛ぶ。
「どうして!?どうすればいいの?何かあなた悪いことしたの?」
「薬を打たれたんだ。潜伏期間は5日、5日前に刺されたから効果は今日現れる。…やべ、体が痺れてきた…ハンバーグ、完食しないと」
苦しげに顔を歪め、震える手でフォークを取る。いつもなら5秒で「おかわり!」のはずなのに、十分待ってもその声は聞こえない。半分しか減っていない。たまりかねた彼女はゴールドの手からフォークを奪い、黙々と食べ始めた。彼は唖然としながらその光景を見ていたが、彼女の考えていることがわかると静かな微笑みをたたえながら目を閉じる。
「口付けただけじゃ移らねえよ。」
涙が溢れた。もう、何もできない。時間はないし、ただその時を待つだけ。彼を木の葉で作られた寝床に移し、赤みを増した頬をそっと撫でる。この温かい肌に触れることもできなくなる。そう思うと涙は量を増した。美しく頬を伝っていき、やがて落ちる、その繰り返し。
「毎日、お前に墜ちていく、そんな気がしてた」
ゴールドは薄く目を開け、泣くクリスタルを見上げる。金の瞳に映った彼女は目を見開き、柄にもない詩的な言葉にただただ驚いた。
「好きだったよ、クリスタル、」



「今更だけど、結婚してください。」



差し出された手には指輪などなく、それは彼女の髪をすいてからまた下ろされる。クリスタルは涙に濡れた手で頬を伝うものを拭い、口角を上げて肯定の意を示す。
「ええ」
彼女は体温が低くなり始め、それでもまだ呼吸する彼の手を取り、そっと口付けたーーー。

ベッドに横わたる彼女の手には、あの日ひとつの命を奪った注射器。彼女のいきは荒く、断末魔は近い。ポケモンたちは心配して彼女の周りに集まっていたがもうその朦朧とした瞳には何も写っていなかった。
「ふふ…色目保護法案が可決されてからもまだ私達を憎む人がいるみたい…これはその人が置いていったのよ…」
そして。
「今行くわーーー」

いとしいひと。

「でも〜、ほんとに来ちゃってよかったのか〜?」
白い衣装に見を包んだ男女がゆるく会話を交わしている。お察しのとおり、ここは天国。
「私が好きでここに来た訳じゃないわ。…会いたかったけど。」
男の方は雲の上をごろごろしていたが、女の方は気分が優れないようで目の前の食べ物とずっとにらめっこしている。
「それにしてもこっち来て子供できるとか不思議なこった!」
明るい声が、女の表情を明るくした。


空が灰色に染まっていく。雨が降り出しそうだ。道沿いの店たちは一気に外の商品をしまっていき、最後にぽつんと商品の残された店が。向かいの青果店の中年の女がその店の奥に座る赤毛の少年に呼びかける。
「その便利そうな道具、濡れちまうよー!!」
少年は胸の首飾りに触れながら、それでも偽られた瞳を動かしもせず、小さくつぶやいた。
「貴様になど、わかるものか」
姉さん「ブルー」と義兄さん「グリーン」が行方不明になった。そのような知らせは、彼に大きく影響を与えた。偽られた瞳、すなわちカラーコンタクトの奥に隠された憎悪に燃える月の光、彼は「シルバー」。この地方の領主を父に持ちながらも、虐待を受けてきた。それでも自分の人生を達観することなく生きてきた彼は意志の強い人間と見ていいだろう。この首飾りはブルーとグリーンが共同で作った作品。能力を限界まで使ったあとだったため、終わったあとは倒れ込むように眠りについた、それが彼らに関する最後の記憶。
「シルバーさ〜ん!」
「ご飯、出来たッスよ!」
不意に奥から子供の声がして、彼は僅かながら反応を見せる。はっとしたようにポケモンの道具をしまい、盗難を防ぐためシャッターを締める。振り向くと同時に現れたオレンジの眼の少女と透明感のある金の瞳の少年は、彼の腕をそれぞれ掴んで奥へ引きずり込んだ。
「「ほら!」」
二人が指差す先には、沸騰して水の溢れ出す鍋。
「…っ!!」
十六歳の少年には店と家事、育児を同時にやるのは相当難しいらしい。
少女「オレンジ」と少年「トパーズ」は二人が行方不明になった日から4日後にボロボロの姿で発見された。商店街の人間からの暴力を受けていたから。助かった時、オレンジは「ルビーとサファイアという人を探している」トパーズは「天国で生まれたけどおかあさんに下界へ降ろされた」と言っていたが今はもうそんなことどうでもいいらしく、助けてくれたシルバーの家に住み着いている。どちらも七歳、同い年だからかとても仲がよくカラーコンタクトをあげた時も一個づつ交換していたのは印象深い。とにかく今は二人は幸せだ。二人は。

溢れて量の減った味噌汁とオレンジが初挑戦した水気の多い米を食べ終え、満腹のあまり眠くなった二人をベッドに寝かせる。布団をかけてだらしない寝顔を見つめたあと、首飾りを外して月の光を通す。昔ブルーが「あなたの眼、月の光みたい。昔太陽みたいな子もみたわ。」と言っていたのを思い出し、慌てて首を降る。意味のない涙が流れ落ち、それと同時にずれたカラーコンタクトが落ちた。
「やっぱり」
声ーーオレンジでもない。トパーズでもない。向かいの青果店の女。慌てて目元を覆う。
「すまない…今、レンズがなくて見えないんだ」
「あんた、色眼よね?」
沈黙が流れる。ああ、俺も隠れて生きるのは無理だったか。昔仲の良かった二人のように、追いやられて最期は注射を刺されるのか。そのようなものが頭の中で渦を巻いた。
「なんで相談しないのさ!」
「…は?」
深刻な表情をしてした女はにっこり笑って顔に手をかけ、
それを引っ剥がした。
奥から露わになる青い眼…それは、 
「姉さん…」
「よくやったわ、あんたも。成長したねぇ」




「色眼。」
遺伝子の異常により、目元の色素がおかしくなり、特殊な色の瞳を持って生まれてくる子供を指す。
色目保護法案が可決されるまでずっと虐待を受けてきた。
大半は殺され、生き残った者たちは自分の存在に罪悪感を感じ、それでも生きている。
強く、美しく。


開く コメント(0)

開く トラックバック(0)

焔(レイエ)

「愛してたよ」
力なく下ろされた腕を、光を失った瞳で見つめる。それは、最初で最後の甘い言葉だった。彼の体のように私の心も冷たく、固くなっていく。温かいものが、目から零れ落ちる。まるで、その涙を拭ってくれた彼の声が聞けなくなるのだと、私に告げているようで。彼の胸のロケットを外し、悲しみに包まれたまま、私は彼の整った顔に口付けを落とした。

彼と出会ったのは、2年前の時だった。美しい容姿をしていながらもやんちゃで、ポケモンにも人間にも優しい彼は他の村人からも人気だった。私はそんな噂を風の噂で聞いていたが、まさかその人にあえることになるなんて、その時は思いもしなかっただろう。その一方で、私は遊女だった。容姿だけは良いと言われた私は、ある日さらわれて、そのまま違法に作られた花街に売り飛ばされる。花魁道中に混じったりしているうちに人気が高まり、いつしか毎夜毎夜好きでもない中年を"かわいがる"ことだけを強いられ、泣き寝入りしていた。
そんなある日、彼が傲慢なことで有名な男の予約が入っていたにも関わらず、決闘までして私を買った。美しい彼となら少なくとも楽しくできるかな、と淡く期待していたのを覚えている。妖艶な仕草で部屋に入り、それでも彼は私に手を出さず、挙句の果てに酒も受け取らない。それどころか私に背を向けて眠り始めたのだ。この行為が嫌だったはずなのに、無駄な焦燥感と哀愁が私は叫ばせた。
「なんで僕を抱かないのですか!?」
彼は微動だにしない。身体を少しずらし、小さなあくびをひとつ。そして、
「僕を哀れんでるの?無駄なことしないでください!」
「オレがお前を選んだことに理由なんていらないでしょ」
ゴクリとつばを飲む。威圧感。私はため息をついて、彼に背を向けて横わたった。沈黙のまま、時間が過ぎていく。気まずい空気が流れていく。
「泣いているの?」
そろそろ眠ろうかと思ったその時初めて、彼が赤の瞳で見下ろしていることに気がついた。涙に濡れた声でその一言に反応する。その顔は、決意と優しさで満ちた美しい顔だった。
「そっか…なく理由がここにあるなら、オレが君を助け出す」
言葉の意味が分からず、そのまま過ぎた数日間。ある日、いつものように花街の近くの川で泣いていると、仲間たちの叫びが聞こえた。思わず振り向くと燃える花街と逃げ惑う主や人身売買をしていた女達が捕まっていく姿が見える。いつの間にか隣には彼がいて、静かに祈りの姿勢をとっていた。ぱちぱちと音を立てながら崩れていく花街。違う意味で涙を零した私に、彼は優しく言ったのだった。
「オレと、結婚してくれ…」
なぜそう言うのかわからないが幸せに満たされ、肯定の意を示した私に、彼は嬉しそうにルビーの首飾りをかける。そして目を覆っていたカラーコンタクトを外して赤の瞳を露わにした。
それからは昔のように生活した。彼の持っていたピカチュウの卵を途中で鳥ポケモンに割られてしまったことは不覚で悲しい出来事だったが、彼の励ましで少しずつ立ち直っていった。彼はお砂糖入りのコーヒーが好きで、出してあげるとすごく喜ぶ。飛んだり跳ねたりで大変だったがそれでも嬉しくて、後ろから抱きついたりしていた。幸せだった。
だがーー『赤目の殺人鬼』ーーそれが彼の闇世界での呼名。仲間の『緑目の殺人鬼』である幼馴染とともに暗躍していたらしい、私に突きつけられた、残酷な事実。その日、仲間の『緑目』が来ていた。彼とは対象的な性格らしく、淡々とした話し方をするクールな人だった。普通におしゃべりして、彼には最近出来た彼女の話を自慢げに話している。彼が私を「妻だよ」と紹介した時は相当ショックを受けていたが。
「そういえば。」
仲間が懐かしげに呟く。彼は普段の大笑いに微笑を足して割た様な顔をしている。
「昨日、供養してきた」
「何を?」
「奴らだ」
やっぱりだ、彼らはそういう人間たち。私たちとは違う次元の人間たち。
「やっぱりな!!」
私が驚きの声を漏らすと同時に近所の人たちがなだれ込んできた。みんな化物を見るような目で二人を見ている。リーダー格の人は私に二人が昔戦場で斬り続け、とある城に侵入して姫をさらったのだと説明したがどこか辻褄が合わないのは私にもわかっていた。
「夫の仇!」
中年女性が農業用の鍬で仲間を斬りつける。鈍い音が響き、応戦してはいたものの仲間は簡単に死んでしまった。初対面だといえども、人間ーーまして夫の大切な親友が死ぬのを見るのは気持ち良いものではなかった。思わず後退りする。が、近所の人たちは「あんたは殺さない、あたし達が殺したいのはこいつだよ」と連呼する。
「あたしの夫よ!?それにあの人がやったって保証はあるの!?」
「みんなそう言ってんだよ、変な奴とつがいになっちまった事を後悔するんだな」
彼はこちらを向き、その美しい顔に笑みを作った。大丈夫、必ず行くから。その顔はそう語っていた。
ーーでも本当に大丈夫?心配よ…
ーー大丈夫。だから、早く行くんだ…発狂したら君まで殺されかねない
その言葉を信じて家を出た。
なのに。
帰ってきた時に見たのは、自分でナイフを胸に突き刺した、彼の姿。痛々しく血が広がり、浅い呼吸を繰り返す。もう駄目なんだと、語っていた。
私は急いでナイフを引き抜き、白い包帯で彼の体を巻く。それでも血は溢れ、また持ってこようとした所を彼に止められた。
「どうして…」
「もうすぐオレは死ぬ。…自分のことだよ、自分が一番わかっているもん」
そうしている間にも血は広がっていき、呼吸も途切れ途切れになっていく。包帯をわすれ、ぎゅっと彼の手を握る。でも…限界が、近い。
「愛してたよ」
握っていた手が降ろされ、それは愛しい人の終わりを告げる、残酷なものだった。
「あ、いやぁぁぁぁ!」
涙が溢れ、同しようもないくらいに感情が取り乱された。体中のエネルギーが逆流して、やがてそれは手のひらに集まっていく。眼は黄色に染め上げられ、痙攣した体をおさめ、ありったけの力でエネルギーを押し出す…。
「常盤」の力。
血が戻っていく。止まっていた心臓がその所在を明らかにし始め、カラカラの喉には空気が出入りし始める。
「イエロー…」
ゆっくり開かれた赤に、私はゆっくりと抱きついた。

開く コメント(0)

開く トラックバック(0)

参加しちゃったぞ――

<a href=http://z.peps.jp/dajd0/&s_id=pikachu>ポケスペLove!ランキング</a>
ついに参加しちゃった!憧れの
ランキング!
どう?びっくりしました?

開く コメント(0)

小さいころに一度だけ、誰かのぬくもりをこの手に抱いたことがある。
 親ではなかった。親は彼女を忌み嫌い、扱き使っていた。それは彼女が小さいころの話で、今となっては何もかも忘れてしまっている。輪郭の溶けてしまった記憶という闇の中で瞬く碧眼だけが、彼女に残されたぬくもりの「答え」だった。手を繋いでともに歩き、やがて取り巻くものは刺々しい茨へと変貌していく。それまでの幸せはどこかへ消えてしまって、不仲であったにせよ家族を失い、住む家を失ってなお、二つの小さな手は繋がれたままだった。碧はその手で彼女のこころを守り抜いてきたのである。      
その手さえあれば生きてゆける、たとえどんな辛いことがあっても。だから、その手もまた闇の中に消えてしまったとき、彼女は――彼女の記憶は――死んだのだった。借り物の人生を生きているような自分への嫌悪に、身体もそのまま死んでしまえばいいと何度思ったのか、もう知るすべはない。
そうだ、死ぬのに時間なんて必要ない。その気になれば一瞬で生き物は死ぬ。それなのに、分かっていると言いながら、なかなかその気になれないのが人間の常で、臆病な彼女の身体は死ぬことができない。                  
もう他の誰とも繋がらない手、指先から抜け落ちた誰かの体温。どこにいるのだろう、どこへいくのだろう。いまならどこにだっていける。だって繋ぐものはもうなにもないのだから。
 
雲は空に包まれ、灰色の光を見せながらゆっくりと旅する。ぽつりぽつりと落ちてくるちいさな涙は先程から見られているが、なかなか激しさを増さない。傘をさす人は少なく、そのためかコンビニエンスストアに置かれるはずの傘売り場が今日はなくなっている。
比較的他より洒落た商店街の外れに位置する花屋は寂しかった。客の姿はなく、たまに猫がみいと鳴いて通り過ぎるのを見る店員が一人、頬杖をついて小説「限りなく透明に近いブルー」――記憶のない彼女の仮の名はそのヒロインの名であった――だけが置かれたカウンターに座っているだけ。傍から見れば、実に滑稽な様子であるのだが、白雪色の細い腕や足はすらりと長く、全身がすらりとしていて、彼女はまるで神が美しさの集結として創った人形のような端整な外見をしていた。白いシンプルなエプロンをつけ、長い栗色の髪を後ろに結った清潔な印象の美しい女性だが、その唇から紡がれる愚痴ははっきり言って聞いていていやになるものばかりであった。華やかな花の空間の中で、確実にそこだけ空気が重くなっている。
「このまま続けていても無駄なだけだわ」
ぎしりと音を立てて椅子から立ち上がり、閉店時間になっていないにもかかわらず外に置かれたプランターをしまい始める。どんなに勝手なことをしても、彼女自身が店長なのだから許されることだ。とにかく、もともと何をしても長続きしない彼女の行動は自由奔放なものであった。
花をしまい終わり、ふと振り向くと、「すみません」という声が空気を震わせた。花屋の前に黒いスーツを着た若い男が立っている。「すみません」もう一度その男は言った。どうやら花を買いに来たらしい。しかし、今日彼女の気まぐれでもう閉店である。彼女はため息をつくと、気だるげに呼びかけた。
「今日はもう閉店よ」
「ああ、そうか…すまない」
 彼女はもう一度その男を見た。渋い茶色の髪によく映えた碧眼。かなり目の保養になるその容姿。まるで喪に服したような黒いスーツに包まれているのは、よく見るとやつれて細くなった腕や足なのだった。悲しげに、そして不規則に揺れる瞳孔に吸い込まれそうな感覚に、彼女は体を震わせる。どうしてそんなに悲しそうなの?貴方はいったい、誰なの?
不意に、今まで負担になっていた「問い」が掘り起こされた気がした。闇に白がさして、今まで碧しか見えていなかった「答え」が、次第に全貌を表していく、そんな感覚。急に激しい耳鳴りが始まった。ぐるぐると回転するような眩暈に倒れそうになる。同時にやってくるのは、なにかから解き放たれた解放感。意識の深層からひとつの光景が浮かび上がってくる――
「ん…どうした?…っお、おい!?」
「…たす、けて」
出てくるのはそんなか細い声だけ。霞む視界と揺れる世界。狼狽える男をうつろな目で見ながら、襲いくる眠気にそっと身を預ける。
「おねがい…グリーン」
自分のものでない意志による言葉を紡ぎ、彼女は倒れていく。
 
悲しみの中の優しい夢だった。戦争真っ盛り、敵国襲撃による爆撃で家が燃えている。真っ赤な炎をたたえ、煙が空を覆い尽くし、その空の下で少女が一人泣いていた。身を震わせて慟哭している。顔にはまるで生気がなく、普段は赤みがさしているはずの肌は青白く染め上げられている。
ふと少女は顔を上げた。表情は少し明るくなり、視線の先の少年に抱き着く。まぶしいような深い喜びに二対のサファイアが輝きをはらんで、ゆっくりだった胸の鼓動が早くなる。
「よかった…あんたも、ぶじだったんだね」
空に金砂子を蒔いたように火の粉が沖する。嬉しそうに笑う少女を、少年は優しく見守っていた――。
 
そのとき二人は、恋人同士のように肩をくっつけて寄り添っていた。花屋の奥の部屋、手を重ね、思いを通じ合わせているかのように握りしめている。つながっている相手はうなじを垂れて眠っていた、目覚めるまで起きているつもりだったのだろう。
意識がだんだんあるべき場所に戻り、身体の感覚が通常に復してきた。体のどこか薄暗いところに淀んでいた古い血が波立ち騒ぐような微かなざわめきが聞こえ、彼女はあわてて手をほどく。一気に頬が燃え上がる。けれど完全に取り払われた闇の中から浮かびああってきたものを知っていたから、微笑んでまた指を絡ませる。
突然彼女は男――グリーンといった――を抱擁してそのまま唇を重ねた。
「ん…」
 慣れない感触に意識が呼び戻された宵だ。
「おはよ、グリーン」
「…ブルー…」
それが、彼女の本名なのだろ。
重荷を下したような打ち解けた口ぶりだった。冗談のように軽い接吻をする。まるでそれが当たり前だというように、余裕な顔で――。
「あたし、全部思い出したよ」
「…そうか」
深く静かな声が空気を震わす。ほんの一言だけれど、ブルーの心は震え、頭の作から指先までが目覚める。
「大好きだったんだよ…あんたがいなくて、あたしの反省の記憶…なくなってたんだから…寂しかった。でも会えて嬉しい、ありがと。あたしは幸せだよ。」
グリーンは手を解いて電気を消し、ブルーを抱き寄せて唇を重ねた。花の匂いがやわらかく彼らを包んでいた。
 
青くなった葉っぱの向こう。夏という季節に意味をつけていく自然体。さらさらと音を立てて五線譜を彩っていく様子には微笑ましささえ感じられ、それなのに照りつける陽射しへのうっとおしさを加速する。触れれば心地よい感触を与える木に感情移入したかのように風を受けて深呼吸をひとつ。瞼を開けるのにも億劫になって、自分の感情に逆らうことをしないという理念の元、少年は静かに眠気へと身を預ける。だがそれを耳を劈くような大声で遮られた。
「おーい、降りてきてよ!」
眠りへの妨害行為に気を悪くしながら下を覗く。何本か重なった幹の間に辛うじて見えたそれは毒々しいほどに彩度を持った水色のワンピース。いつも隣にいる少女が来たのだと錯覚すると同時に、キラリと光る瞳から目を逸らすように青空を見上げる。白い渡り鳥の群れが渡りの時期を迎えたのか――いや、まだその時期ではなかった――どこかからの長い旅路を追って飛んでいたのだが、雲に同化したか今の心情に影響したか少年はあまり綺麗というようなものを感じなかった。
「おーい、降りて、」
「五月蝿い」
二度目を叫ぼうとする少女の声を聞きたくなくて、思わず叫び返す。
「何かあるなら登ってこい」
少年がそういえば水色がかすかに動き、刹那木が揺れて少年を目指す人影が現れた。
果たして登ってこれるものかと興味本位でまた下を覗く。窪みも凹みも少ないこの幹をどんな風に登るのか、少年には興味があった、無鉄砲と元気しか取り柄のないあいつにどうして登ることができようかと。傍から見れば嘲笑っているようにも見えかねないがあいにくそんな気はさらさらなく、ただ力量のない者には登れぬものであるということを心中で変換したまでのものであると。少年は少し笑った。
だが、予想と反してすぐに人影は全貌を表していった。少年の見つけた僅かな凹凸を見つけて軽やかに登ってくる。百日紅のように艶のあるこの木を登ることは容易なことではなく、少女がここまで登ってこれるということには驚きを隠せなかった。
だが、ここからが勝負だ。そこら辺からはもう凹凸がなくなり、幹にぶら下がりながら登るという方法しかなくなってくる。実際少年がその方法で登ってきたのだから。それなのに、少女はその方法を使わなかったのである。最後の窪みに足をかけると力を集中させて跳躍し、少年のいる手前まで飛んできた。そこまで来ると少女はにっと不敵な笑みを浮かべ、もう一度飛ぼうと枝に脚をかける。少々なりともムカついたのは事実だが、しかし今度はそうは行かない。踏み外された足は身体を引っ張りながら落下し、虚空を切った腕は力なく降ろされる。このままでは体の何処かしらに重症を負うことになりかねないーー戦慄に震えた少年は少女の腕を掴んでいた。
「…っ、ありがと…グリーン…」
少女は苦痛に顔を歪めながらも、礼を言ってくる。だがこの状態を継続すれば間違いなく少年も落ちることになるだろう。とりあえず少女を幹の上に卸してから、パシリと一発食らわせる。
「馬鹿かお前は。死ぬ気か」
「仕方ないよ、あんたが登ってこいっていったんでしょ」
少年が相変わらずの無鉄砲だな、と言うとそうだね、と笑気を含んだ声が帰ってくる。何がおかしいのかは全く理解できず隣を見ると、晴れやかに笑う少女はいる。いつかそれが消えてしまうのではないかという恐ろしさは決まってこう言うふとした瞬間に少年の心中にできた傷――戦争という痛み――を抉っていくのだ。生々しくなっていくそれを見ていられなくなって目を逸らしていたら、傷はどんなに広がってしまったのだろうか。もう直視できなくて、それが自分の首を絞めることに繋がるのだということを知っていながらもやはり行動には移せないのであった。
「この間持ってきてくれたパンと見つけた薬草。昨日からなんも食べてないでしょ?」
少女は肩にかけていた藁のバスケットからパンを二、三個取り出してそのうちの一つを少年に渡してくる。パンは一昨日少年が盗んできたもので、だめだということは十分に分かっていたのだが、やはり生活のためで、親のない子供二人が生きていくのには仕方がないことだった。正直言うと盗みに慣れていない少年は食べる気になれなかったのだが、だからといって断るわけにも行かず、倦怠感を隠せぬ腹の感情を圧し殺してパンを口にする。
「…うまいな」
「だよね!?」
「…お前の薬草は、余計な御世話だ…」
一言多いよ。少女は怒りもせずに笑い飛ばす。それをぼんやりと見ながら、少年は考えていた。こいつはここで人生を潰えす人間ではない。好いた人間とともに暮らし、幸せに過ごすべき女だ。それなのに俺はそんな未来を潰し続けている。
「何湿気た顔してんの、」
そんな幼年をよそに、少女はまた笑う。
「あたしの将来の夢、グリーンのお嫁さんなんだから!」
 
「結婚しよう」
そんなことを言われたのは、彼が花屋を訪れた、麗らかな午後の昼下がりのことだった。珍しく花が売れ、唯一残った胡蝶蘭の香りだけが日の光に溶けて小さな輝きになって待っていた。リネンのカーテンを揺らしながら入ってきた風がリノリウムの床に散らばった塵を巻き上げ、その輝きと交わって大気を美しく彩る。その甘美な言葉にふさわしい空間の中に、しばしの沈黙がおりてきた。
「答えなんて、分かってるくせに」
「それもそうだな」
 ガラスコップの向こう、光の屈折でゆがんだ鍵をとり、二人はまた外へと出ていく。行く当てもなく、もう繋がらないと思っていた手を繋ぎ、空の下を歩む。
 黒塗りの車――どこのなんというものかなど、彼らには関係がなかった――に乗り込み、片手間にエンジンをかける。自然に花屋は休業となり、誰が札を掛けたのかすでに先程までいた客は消えていた。窓は全開にして、流れ込んでくる潮風を肺いっぱいに吸い込む。「潮風は肺に咲いた睡蓮を枯らすだろう。…ふ、ボリス・ヴィアンの「日々の泡」だったか、そんな少女が出てきたのは」
「あたしたちは、元々狂ってるんですもの、死を目前にしようと、花を集めたくて奔走しようと、かまやしないわ」
 まるでさっきのやり取りを忘れたかのように、穏やかで平凡な時が流れていく。向こうから走ってきた車の窓から顔を乗り出した赤い髪のこどもが、小さな水鉄砲を構えて撃った。へただなぁおめぇは。ほらみてろよ、おれのほうがうまいんだからな。赤髪のこどもの脇から出てきた黒髪のこどもが、二人のほうを見てにやりと笑う。瞬間、ブルーの頬を水が掠めた。
 ほらよ、おめぇもやってみな。…迷惑だぞ。いいじゃねぇかよ。次はあの車のじいさんだ。黒髪のこどもの高らかな笑い声を耳にしながら、やがて車は貴金属店の前にとまる。

街は騒然としていた。突然万引きをして走り去った小さな少女を追いかけ、たくさんの大人たちが駆け回る。元は水色だったのだろう、黒色のペンで塗りたくられたワンピースを着ている。闇に同化することもできず、しかし目立つことはないという中途半端さで、ますます翻弄されていた。
「やれるものなら、…やって、みせなさいよ」
切れ切れの息、朦朧とする瞳。ガクガクの足で走り続ける少女。やがて限界は訪れ、水たまりにつまずいて転んでしまう。その時彼女はすべての終わりを覚悟した。
泥にまみれたパン。
「ブルー!」
「!グリーン!?あなた熱だしてるんじゃないの!」
少女にたちはだかった少年は木刀を構え、周囲をなぎ倒していく。
「食料をぬすもうとしたんだろう、お前には無理だ…まだ早い」


そのとき彼が振り向かなければ、離れ離れになることはなかったんでしょうね。

後悔したのは一度だけではなかった


それは本当にささやかに行われた。花屋の常連だった数名の客たちと、主役の二人だけ。

開く コメント(0)

[ すべて表示 ]


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事