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残りあと距離500m
左はカンシュン氷河へ雪庇が張り出し覗き見ることはできない、
自分が今登っている右の斜面はロンブク氷河より
突き上げた北壁の真上4,000m岩と氷の斜面である。
絶対にスリップは許されない、
スリップしたらこの北壁を真っ逆さまにダイビングし
どれかのクレバス(氷河の割れ目)にはまりこみ、
500年位たって氷河の末端で発見されるだろう。
次の難所である第三ステップに向かう、
ゴーグルが酸素マスクから漏れる息ですぐに曇り凍りつくため、
恐る恐る一歩づつしか進めない。
まるで擦り切れたワイパーから覗いているようだ、
歩行は鈍りすぐに立ち止まって、
またゴーグルの内側に指を押し入れ曇って
凍りついた氷をかぎ落とすのだ、
わずかに爪さきでキズ付けた間から覗きながら進むのだから本当に怖い。
それもわずかの間だけでまた酸素マスクから漏れた空気がゴーグルを凍らせ、
また同じことを何十回も繰り返さなければならない。
この件につき以前からいろいろの登山関係者に、
何か良い方法は無いものか尋ねてきたが誰氏も同じようなことだと言う、
ゴーグルよりも酸素マスクを改良したほうがいいと言う多くの意見だった。
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