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山梨日日新聞 2007・8・12
周辺施設期待はずれ 大型ドラマ効果 風林火山博盛況の影に 滞在型誘客策求める声<現場発>
甲府・県民情報プラザで開かれている「風林火山博」が開催して半年が経過した。大河ドうマ人気を受け、今や一日平均千三百人が訪れる一大観光施設。館内で販売している土産物など関運商品の売り上げも上々だ。一方、周辺の観光スポットや宿消施設などからは「ブームが集客に結び付かず、期待外れ」との声も上がっていて、県など行政を含めた関係者のPR強化が求められている。.〈平島由梨記者〉
今年一月、大河ドラマの放映開始に合わせて始まり、館内には武田氏の歴史を紹介する展示や戦国時代の様子を映像で紹介するシアターなどがあり、平日もツアー客でにぎわう。一日平均の来場者数は県立美術館の約六倍。開幕五カ月で来場者数二十万人を突破し、実行委の上原伊三男専務理事「今月中には三十万人も達成しそう」と期待する。
館内の物販スペースでワインなどの土産品を販売するなじみや酒販(甲府市〉は、月平均八百万円という「予想以上の収益」(担当者)。実行委によると、十六店が出店する同スペース全体の売り上げは六月末までで二億二千六百万円に上っているという。桔梗屋(笛吹市)によると、県内各地で販売している「桔梗信玄餅」の出荷量は昨年の20%増といい、「風林火山」効果は大きいようだ。
日帰り主流
これに対し、周辺施毅.への波及効果はいまひとつ。県立美術館の来場者は昨年とほぼ変わらず月平均で、六千八百三十九人。県立博物館は武田氏関連のの企面展を開催した四ー五月は討二万九千六百二十人が来場したが、六ー七月はその四分一に落ち込んだ。
県教委関係者は「博物館は専門的な内容の展示が多いので、観光客受けはあまり良くない」と分析する。
「恩恵を期待していたが、宿泊客が少なく期待外れ」。県内有数の観光地・石和温泉郷で旅館を営む男性(七十一)は肩を落とす。同温泉郷では宿泊者増への期待は大きかったが、「思ったほどの波及効果はない。旅行会杜が組む安い日帰りパスツアーが主流になっている」(石和温泉旅館協同組合山下安広理事長)という。同組合は宿泊客増を目指し、ワイナリーを巡る一夜景ツアーを企画。また、占い師を呼んでさくら温泉通りのウッドデッキを占い横丁として売り込んだり、足湯広場に「願い地蔵」の識置構想もあり、滞在型観光地へ「付加価値」を高めようとしている。
「PR下手」
観光振興に特化した観光部を持つ山梨県だが、以前から「PR下手」との指摘は少なくない。庁内からも「観光客がメジャーな場所しか回っていない印象を受ける」「もっと多くの観光スポツトを提案し、周遊してもらえる仕掛けが必要だ」(県幹部)との声が上がっている。
県は大河ドラマ放映に合わせて観光キャンペーンを展開。誘客策として旅行会杜対象の説明会を開いているが、提案しているのは県内の温泉地や美術館、観光施設などの「素材」のみ。県観光振興課は「今後は、こちらで企画したコースも提案したい」という。
山梨学院大商学部の藤原邦彦教授(サービス産業論など)は
「現在の観光は見て、食べて、土産を購入すれば終わり。温泉やワイナリー、果樹園など観光資源がたくさんあるのに、それらが一つ一一つの点の状態だ。線で緒び、.面に広げてアピールしていかなければならない。また、山梨に滞在したいと思わせるには、観光施設や宿泊施設で、もっと文化や人に触れられる環境づくりが必要だ」と指摘している。
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