無駄軍曹ねこ日記

春だから、キックボクシング始めちゃいました・・・

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この季節になると思い出すことがある。
ちょうど10年前の今日、友人が遭遇したある事件のことである

今日はちょっと怖い、しかもなんかリアクションしづらい、そのお話。
リアクションしづらいので、コメント欄もなしである。


大学に進学した彼女は一人暮らを始めたのだが、
その日、友人宅から歩いて帰っていた。
ちなみに午前二時である。

おいおい、と思うのだが
田舎育ちの彼女は地元では
そんな時間にも散歩したりしていたので
特に疑問も感じなかったらしい。

そして、というか、案の定というか、事件は起こるのである。

一台の車が隣に停まって窓があくと、
運転席の男になにやら
黒い手帳のようなものを見せられ

「警察の覆面パトロールのものだけど、
君さっきからあのワゴンに尾行られてるけど気づいてる?」
と言われるのだ。

たしかに見ると
すぐ後方に黒いワゴンが一時停止している。
怖くなった彼女は
「送っていってあげるから乗りなさい」
という言葉に「よかった」
などと思って乗ってしまうんである。

だまされる方が悪いのか、だます方が悪いのか・・・

たぶん、両方だとは思うが、とにかく、
まんまとその自称・警察官の車に乗った彼女は、
「あ、そこ左です」「いや、その道一方通行だから」
とか何とか言ってるうちに

「あれ?なんかおかしいな」
とか思ったときにはすでに遅く、
真っ暗なだだっ広い田んぼのど真ん中に
つれて来られてしまうのだ。


偽警察官は暗闇を指差し
「さっきの仲間の黒いワゴンが待機してるけど
呼んでもいいし、好きなほうを選んでいいよ。」
などとよくわからない提案をしてきたということだ。

今となってみれば、
そんなワゴンが本当にいたかどうかも怪しいものなのだが
とにかく彼女はベタに悲惨な思いをするのである。


ただ、結果的には
実際にはそこまでの目にはあわなかった。らしい。

彼女があまりにもパニクって
歯の根が合わない有様で硬直してるし
しかも外は意外と寒いし、車の中は狭いしで
つまりはなんだか萎えてしまった。
とかそういう感じらしい。

そういう意味では、
その男もそんなに悪党ではなかったのかもしれない。

しかし、そこまでしておきながら中途半端な。
という気がしないでもない。


1週間ほど大学を休んで登校してきた彼女はそのことを
妙にテンション高く色んな人に話していて

その様子に正直
タチの悪い冗談か、趣味の悪いホラ話かと
みんなが思ったものだ。

今思えば、彼女なりにそのことが
あまり上手に消化することができずに
混乱していたのだろう。


どうリアクションしていいかよく分からないその話は
彼女もだんだんその話題に触れなくなったこともあって
次第に忘れられていった。


その後しばらく経って冗談ではなかったことを知り、
警察などに届けなくていいのかという話になったが

「なんかもうめんどくさいからいいよ。
自業自得だし。警察も呆れると思う。
それよりも個人的には
女は夜道を一人で歩いちゃダメだよって
伝えたいんだけど、うまく伝わらないから
みんなに話すのもめんどくさくなったし。
え〜と・・・
沸騰した、やかんの話みたいな感じ。」

「は?何の話?唐突過ぎだし!やかんって」

「なんかね、
大変だったね。とか、かわいそう。とか
いや、そうでもないんだけどって言っても
ムリしてるんだねとか、
ひどいときには結構よろこんでない?とか。
そうじゃなくて、あたしが言いたいのは
とにかく
夜道は危なくて
安全そうに見えることでも
本当はそうじゃないことがある
って事を身をもって知った。ってことで
特に女の子には声を大にして伝えたいんだけど
上手く伝わらなくて」

「いや、それはそうだけど、やかん?」

「沸騰したやかんに触ると
火傷しますよって言われても、それは知ってても
実際、火傷したら、
あぁ、やかんって言うのはこんなに熱いんだな。
火傷するとこんなに痛いんだなって
身を持って知るでしょう?
そういうこと」

「まぁそれもみんな知ってるとは思うけど」

「そうなの。みんなちゃんと知ってるし
じゃあ別に言う必要もないかな。って
それに、もしかしたら、
夜道で怖い思いするとか、やかんに触って火傷するとか、
実際そういう目にあってる人って
言わないだけで、実は結構いるのかも知れないなって思ったら、
わざわざ言うのがめんどくさくなってきちゃって」

「いるかなぁ。」

「言わないだけで
本当は結構いるのかもしれないよ。人生の授業料だ』とかよくベタにいうし」

「まぁ、よくあるフレーズではあるね」

「でも口が汚れた程度ですんでよかったって気もして、
授業料としてはそんなに高くもなかったのかもなぁ・・・
とも思う。」

「いや、そもそもの相場がわかんないですけど。」

「もしやられてたら
中出しじゃなくて、良かったって思うようにするし、
中出しされてたら、妊娠しなくて良かったって思うようにするし
妊娠したら、正直きついなとは思うけど、
でも死ななくて良かった思うようにしよう。って思って
死んだらさすがに授業料も何もないからね」

などという彼女はきっと、
確かに痛い目に会ったものにしか
解らない思いをしたんだなということは解った。

解ったが、やかんが熱いということは
わざわざ火傷してまで知ることなのだろうか、
という気がしないでもない。


おそらく彼女は1を聞いて100を知るとは反対に
100を聞いて、やっと1を知るのだろう。

あんまり頭のよくない方法ではある。とは思うが、
様々な経験と思いから
導き出されたその1つのことは、
彼女にとって
確固たる重さと確かさを持つのだろう。

まぁでも、100聞いたらせめて
10くらいは解るようにしないと
この先大変だろうな、と正直思ったものだが。


彼女はその後
よほどのことがない限り夜中に一人では出歩かなくなった。
相場はよく分からないが安くもなかった授業料を
払ってようやく学んだ1つの事だからである。
なので、その後、
そういう目にはあわなかった。らしい。
伝えるのがめんどくさいので
言わなかっただけかもしれないが。

しばらくの間
「でもやっぱり住所や名前を書くのが怖い」と
レンタルショップの会員カードが作れず、
新作の映画が見たいけど見れない。と言っていたが
そのうち、そういうことも言わなくなっていった。

そして「男の肌とか触るの気持ち悪い」
と言っていたわりには
半年後くらいにあっさり彼氏を作って
「たまにはやんないと女が枯れるよ!」などと
ぬけぬけと説教したりした。


ただし、偽警官が食べていたという
仁丹の味だけは、いつまでたっても克服できず

知らずに教授から貰って食べた際に
その場で吐き出したりして、事情を知らない教授に
こっぴどく叱られたりしていた。

叱られながら
珍しく真剣な表情で何か考え込んでいたが
「そうか、あの味は仁丹だったのか」
などとつぶやいた後

突然『仁丹など食べれなくても人生に支障はない。』
と高らかに宣言し、
さらに教授に叱られたりしていた。


毎年この季節になると
その事件とその時の彼女について
ぼんやり考えるんである。

人生に色んなことが起こることと、
それでも人生が続いていくこと

うかうかしてるとひどい目にあう世の中の厳しさや
それでも案外やっていける人間の強さなんかを
なんとなく考えるんである。


彼女はそうやってこの先も
体験したことのない色々な目にあいながら
大して学習もせず、しかし案外しぶとく生きていくのだろう。

そのやり方はお世辞にも賢いとは言いがたいが
人生で何を経験し
何を学ぶかは人それぞれなのだから、
それはそれで別にいいんじゃないかな。
などと思う。

死ぬような
または死にたくなるような思いをしても
死なずに帰ってこれれば、そしてそこから何か1つでも学べば

まぁ、いいんじゃないかな。などと


なんとなく、そう思うのだった。



ちなみに、この話には
さらに後日談とオチがあるんである。


1つは
その後、彼女は格闘技を始めた。ということ。
なんてベタな。と思うが、
まあ学んだことはどうやら1つではなかったらしい。
ということだ。


もう1つは
こういう風にだれかが「私の友達がね・・・」
と話しはじめる話は、たいてい
作り話であるか、または自分の話だったりする。ということ。
これもまたベタではある。


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