無駄軍曹ねこ日記

春だから、キックボクシング始めちゃいました・・・

思い出話

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怖い話。

イメージ 1

最近あったかくなってきたので、今日は怖い話を1つ。
今年の1月くらいのまだ寒い時期のことである。


ある日、いつものようにロフトの布団で寝ていると
玄関を開けて誰かが入ってきた感じがした。
ちょっと目がさめたのだが、ぼんやりしていると、
その気配はそのまま部屋に入ってきて、ロフトに上がってきた。

昔、まだ水商売をしていた頃付き合っていた男性は、
いつも学校から帰ってくると、寝ている私を起こさないよう、
そうっと帰ってきていたので、
その息を潜めて近寄ってくる感じが、その人のように思えて、
「あぁ、あいつが遊びに来たんだな」とか思ってウトウトしていた。

そして、それはそのままロフトに上がってきて
布団の上を歩き(クッションがへこむのでわかる)
私の左枕元あたりに座ったようだった。


そこまできて、

いやいやいやいや、待て待て!
何年前の話だよ!もう別れたし!
てゆーか、彼氏いないじゃん!
そもそもスペアキー誰にも渡してないじゃん!!

という事実を思い出し、一気に目も醒め、
一瞬、どうしようかと迷ったが、
とりあえず『侵入者対策』として枕の下に隠してある
特殊警棒(ちなみにその男性が別れる時、餞別にくれたもの)
を手に取ろうとした。


が、身体が全く動かない。
あれ?びくともしない?

あ!これって侵入者じゃない!
心霊現象だ!

ということに今さらながら気づき、別な意味でパニックになっていると、
私が頭からかぶっている布団がゆっくりめくられていくのだ。


なんなんだ。
なにがしたいんだ。
もしかして布団に入ってくるのか?
マジで怖い。それだけは勘弁してほしい。

とは思うのだが、身体はびくともせず
目だけは開けることができるのだが
でも目を開けて何か見てしまったら、
もっと怖いので、目を開けることもできず
とりあえず気合で金縛りを解こうと、
叫んでみたが、声もでない。
そうこうしてる間にも、布団はめくられていくんである。


あわわわ。やばい!
目的がなんなのかわかんないのが、ますます怖い。
首でも絞めてくる方が、まだ解りやすい。

なにがしたいんだ、君は!
添い寝でもしてあげようかな。とかそんな感じか!?
そうだとしたら、結構ですから!
全然お気遣いなく!


とりあえず、そんなことを出ない声で一生懸命叫んでいたら
次第に、か細いながらも声が出るようになってきたので、
ちょっと強気になり
思いつく限りの罵詈雑言を弱々しくも並べ立てていると
突然身体が動いた。

突然の事に驚きつつ「今しかない!」
と起き上がって見てみたのだが


やっぱりそこには誰もいなく、
玄関には鍵がかかったままの
しんとした自分の部屋があるだけだった。


しばし呆然としながらも、
ま、気のせいってことで。と普通に過ごしていたのだが


夜になってくると、なんだか無性に布団に入るのが怖くなってしまい
ロフトを見ることさえできなくなってきて
そうこうしている間にすっかり夜中になってしまった。

時間的にもますます怖い気分になって来て
とりあえず、風呂だ!風呂!とシャワーを浴び、髪を乾かしていると

突然、さっき出たばかりの風呂場からシャワーの水音が聞こえてきた。

あれ?と思って見に行ってみるのだが、シャワーから水は出ていない。
しかしかなりの水量を思わせる水音が、
確かにシャワー付近からずっと聞こえているのである。


え〜っと・・・

と、とりあえず、聞かなかったことにしよう!
ということで風呂場の電気を消し、ドアを閉めて、テレビをつけ
「い、いや〜、アンジャッシュはやっぱり面白いなぁ!」などと
現実逃避を決め込んでいると、今度は玄関をノックする音が。

ちなみに夜中の3時である。


そ、それも気のせい!空耳だって!と
一生懸命テレビに集中しようとしていると、
さらにノックに混じって女性の声が聞こえてくるんである

「・・ス・マセ・・ン・・」

や、やめてよ〜
謝るくらいなら水止めてよ〜・・・

「スイマセ〜ン、下の階のモノですが〜・・・」

・・・・ん?
慌ててドアを開けると、下の階に住むフィリピン人ホステスが
いかにも仕事明けという濃い化粧のまま立っていた。


「はい。なんでしょう?」と、混乱のあまり
夜中の3時には全くそぐわない挨拶をすると

「天井カラ水ガ落チテクルヨ〜!怖イ!私怖イヨ〜」
とベタな片言の日本語で訴えるのだった。


・・・あ、そういうことだったのね。
と、拍子抜けして
しかもそのフィリピーナがあまりにも情けない顔をするので、
なんだか可愛くて、おかしくなってきてしまい、
こみ上げてくる苦笑いをかみ殺しつつ
「よし!お姉さんに任せな!」などと強気に言い放ち

しかし、どうやって水を止めたらいいか解らず、
結局、隣の部屋の住民まで叩き起こし、
とりあえず元栓らしきモノを発見し、
水を止めて、ホステスの部屋の掃除をちょっと手伝ったりして、

やっと部屋に戻った頃には空も白みかけているのだった。


なんだか今日は大変だったなぁ、つかれた〜
と、なぜかちょっといい仕事したようなテンションで布団に潜りつつ


いや、しかし
朝のは一体なんだったんだろう・・・
とふと思った。

思ったが、
ま、いいか。今日はもう眠いし。
とすっかり明るくなった部屋で、少し安心して眠りについたのだった。



ちなみに
その約2時間後、アパート中が
「水が出ない!」とパニックになり、
水道の元栓を閉めた犯人として

今度は大家に叩き起こされてしまうのだが。

イメージ 1

この季節になると思い出すことがある。
ちょうど10年前の今日、友人が遭遇したある事件のことである

今日はちょっと怖い、しかもなんかリアクションしづらい、そのお話。
リアクションしづらいので、コメント欄もなしである。


大学に進学した彼女は一人暮らを始めたのだが、
その日、友人宅から歩いて帰っていた。
ちなみに午前二時である。

おいおい、と思うのだが
田舎育ちの彼女は地元では
そんな時間にも散歩したりしていたので
特に疑問も感じなかったらしい。

そして、というか、案の定というか、事件は起こるのである。

一台の車が隣に停まって窓があくと、
運転席の男になにやら
黒い手帳のようなものを見せられ

「警察の覆面パトロールのものだけど、
君さっきからあのワゴンに尾行られてるけど気づいてる?」
と言われるのだ。

たしかに見ると
すぐ後方に黒いワゴンが一時停止している。
怖くなった彼女は
「送っていってあげるから乗りなさい」
という言葉に「よかった」
などと思って乗ってしまうんである。

だまされる方が悪いのか、だます方が悪いのか・・・

たぶん、両方だとは思うが、とにかく、
まんまとその自称・警察官の車に乗った彼女は、
「あ、そこ左です」「いや、その道一方通行だから」
とか何とか言ってるうちに

「あれ?なんかおかしいな」
とか思ったときにはすでに遅く、
真っ暗なだだっ広い田んぼのど真ん中に
つれて来られてしまうのだ。


偽警察官は暗闇を指差し
「さっきの仲間の黒いワゴンが待機してるけど
呼んでもいいし、好きなほうを選んでいいよ。」
などとよくわからない提案をしてきたということだ。

今となってみれば、
そんなワゴンが本当にいたかどうかも怪しいものなのだが
とにかく彼女はベタに悲惨な思いをするのである。


ただ、結果的には
実際にはそこまでの目にはあわなかった。らしい。

彼女があまりにもパニクって
歯の根が合わない有様で硬直してるし
しかも外は意外と寒いし、車の中は狭いしで
つまりはなんだか萎えてしまった。
とかそういう感じらしい。

そういう意味では、
その男もそんなに悪党ではなかったのかもしれない。

しかし、そこまでしておきながら中途半端な。
という気がしないでもない。


1週間ほど大学を休んで登校してきた彼女はそのことを
妙にテンション高く色んな人に話していて

その様子に正直
タチの悪い冗談か、趣味の悪いホラ話かと
みんなが思ったものだ。

今思えば、彼女なりにそのことが
あまり上手に消化することができずに
混乱していたのだろう。


どうリアクションしていいかよく分からないその話は
彼女もだんだんその話題に触れなくなったこともあって
次第に忘れられていった。


その後しばらく経って冗談ではなかったことを知り、
警察などに届けなくていいのかという話になったが

「なんかもうめんどくさいからいいよ。
自業自得だし。警察も呆れると思う。
それよりも個人的には
女は夜道を一人で歩いちゃダメだよって
伝えたいんだけど、うまく伝わらないから
みんなに話すのもめんどくさくなったし。
え〜と・・・
沸騰した、やかんの話みたいな感じ。」

「は?何の話?唐突過ぎだし!やかんって」

「なんかね、
大変だったね。とか、かわいそう。とか
いや、そうでもないんだけどって言っても
ムリしてるんだねとか、
ひどいときには結構よろこんでない?とか。
そうじゃなくて、あたしが言いたいのは
とにかく
夜道は危なくて
安全そうに見えることでも
本当はそうじゃないことがある
って事を身をもって知った。ってことで
特に女の子には声を大にして伝えたいんだけど
上手く伝わらなくて」

「いや、それはそうだけど、やかん?」

「沸騰したやかんに触ると
火傷しますよって言われても、それは知ってても
実際、火傷したら、
あぁ、やかんって言うのはこんなに熱いんだな。
火傷するとこんなに痛いんだなって
身を持って知るでしょう?
そういうこと」

「まぁそれもみんな知ってるとは思うけど」

「そうなの。みんなちゃんと知ってるし
じゃあ別に言う必要もないかな。って
それに、もしかしたら、
夜道で怖い思いするとか、やかんに触って火傷するとか、
実際そういう目にあってる人って
言わないだけで、実は結構いるのかも知れないなって思ったら、
わざわざ言うのがめんどくさくなってきちゃって」

「いるかなぁ。」

「言わないだけで
本当は結構いるのかもしれないよ。人生の授業料だ』とかよくベタにいうし」

「まぁ、よくあるフレーズではあるね」

「でも口が汚れた程度ですんでよかったって気もして、
授業料としてはそんなに高くもなかったのかもなぁ・・・
とも思う。」

「いや、そもそもの相場がわかんないですけど。」

「もしやられてたら
中出しじゃなくて、良かったって思うようにするし、
中出しされてたら、妊娠しなくて良かったって思うようにするし
妊娠したら、正直きついなとは思うけど、
でも死ななくて良かった思うようにしよう。って思って
死んだらさすがに授業料も何もないからね」

などという彼女はきっと、
確かに痛い目に会ったものにしか
解らない思いをしたんだなということは解った。

解ったが、やかんが熱いということは
わざわざ火傷してまで知ることなのだろうか、
という気がしないでもない。


おそらく彼女は1を聞いて100を知るとは反対に
100を聞いて、やっと1を知るのだろう。

あんまり頭のよくない方法ではある。とは思うが、
様々な経験と思いから
導き出されたその1つのことは、
彼女にとって
確固たる重さと確かさを持つのだろう。

まぁでも、100聞いたらせめて
10くらいは解るようにしないと
この先大変だろうな、と正直思ったものだが。


彼女はその後
よほどのことがない限り夜中に一人では出歩かなくなった。
相場はよく分からないが安くもなかった授業料を
払ってようやく学んだ1つの事だからである。
なので、その後、
そういう目にはあわなかった。らしい。
伝えるのがめんどくさいので
言わなかっただけかもしれないが。

しばらくの間
「でもやっぱり住所や名前を書くのが怖い」と
レンタルショップの会員カードが作れず、
新作の映画が見たいけど見れない。と言っていたが
そのうち、そういうことも言わなくなっていった。

そして「男の肌とか触るの気持ち悪い」
と言っていたわりには
半年後くらいにあっさり彼氏を作って
「たまにはやんないと女が枯れるよ!」などと
ぬけぬけと説教したりした。


ただし、偽警官が食べていたという
仁丹の味だけは、いつまでたっても克服できず

知らずに教授から貰って食べた際に
その場で吐き出したりして、事情を知らない教授に
こっぴどく叱られたりしていた。

叱られながら
珍しく真剣な表情で何か考え込んでいたが
「そうか、あの味は仁丹だったのか」
などとつぶやいた後

突然『仁丹など食べれなくても人生に支障はない。』
と高らかに宣言し、
さらに教授に叱られたりしていた。


毎年この季節になると
その事件とその時の彼女について
ぼんやり考えるんである。

人生に色んなことが起こることと、
それでも人生が続いていくこと

うかうかしてるとひどい目にあう世の中の厳しさや
それでも案外やっていける人間の強さなんかを
なんとなく考えるんである。


彼女はそうやってこの先も
体験したことのない色々な目にあいながら
大して学習もせず、しかし案外しぶとく生きていくのだろう。

そのやり方はお世辞にも賢いとは言いがたいが
人生で何を経験し
何を学ぶかは人それぞれなのだから、
それはそれで別にいいんじゃないかな。
などと思う。

死ぬような
または死にたくなるような思いをしても
死なずに帰ってこれれば、そしてそこから何か1つでも学べば

まぁ、いいんじゃないかな。などと


なんとなく、そう思うのだった。



ちなみに、この話には
さらに後日談とオチがあるんである。


1つは
その後、彼女は格闘技を始めた。ということ。
なんてベタな。と思うが、
まあ学んだことはどうやら1つではなかったらしい。
ということだ。


もう1つは
こういう風にだれかが「私の友達がね・・・」
と話しはじめる話は、たいてい
作り話であるか、または自分の話だったりする。ということ。
これもまたベタではある。

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余命半年と宣告されたのに
4年も経過しても一向に死ぬ気配もなく
獣医からも
「けっこうしぶといね(苦笑)」などと言われつつ

日々をすごしたつぶ吉のエピソードを最後にもう一つ。


ちなみにその獣医は口は悪いが

「効果があるかどうか分からないし
 逆効果な場合もあるかもしれないけど
 何もしないで、ただ死を待つより
 できる限り色々やってみようか」

と無料で、当時まだ無認可だった新薬を投与したり
アロマセラピーマッサージを施してくれたり
健康食品をくれたり、本当に色々やってくれた。

実験的な要素も多分あったのだとは思うが
それでもやっぱりつぶ吉は長生きしたのだから
効果はあったのだろう。

口は悪いが、いい獣医だと思う。


ま、獣医の話はおいといて、
ある日の夕食に刺身が出た。

個人的にまぐろの刺身があんまり好きではないので、
つぶ吉にやろうと思い

キッチンの隣の居間のソファで
相変わらず惰眠をむさぼっている彼に
「つぶ吉、刺身たべるかい?」と声を掛けてみた。

彼は目を覚ましたが
起きてこっちに寄って来る気配はない。

しかしながらなんとなく物欲しげに
いいにおいのするであろう刺身をじーっと眺めていて
どうやら「食べたいけど、起きるのめんどう」ということらしい。

何様だ、このやろう。
とは思ったが
せっかくの刺身なので食べさせてあげようと思い
居間に持っていってやることにした。


口元まで持っていくと
案の定うれしそうに食べ
ふた切れほど食べて満足しきった様子で
また惰眠をむさぼりだしたのだった。


あまりの怠慢な様子に呆れながらも
「まぁ、あたしが大してありがたくもなく食べるより
 おいしく食べてもらったほうがマグロも本望だろう」

とマグロが聞いたら訴えられそうな感想を持ちつつ、
夕食を終え、

次の日の明け方くらいに麦茶を飲みにキッチンに行くと
つぶ吉はソファで昨日から
相変わらずの様子で寝そべっているのだった。


病気だからってぐうたらし過ぎじゃねぇの?
と苦笑いしつつ
抱き上げようとすると
なんか様子がおかしい。


ある予感がふとよぎり「まさか」と思い

身体をさわり、耳をつけたが
なんとなくよく分からないので
ためしに「つぶ吉さん?」
とゆすってみた。
が、全くの無反応である。

ついに来たか。と思ったものだった。


しかしながら
身体はまだ温かく
顔には昨日刺身を食べた後の
満足げな表情を残しているようで

いつ彼が事切れていたのか、
すぐ隣でご飯を食べたり、
テレビを見たりしてたはずなのに全く気づかなかった。


「いつのまに〜・・・?」
と思わず正直な感想を漏らしつつ

正直、死と言うものはもっと劇的なものかと思っていたが
まさかこんなにあっさりしたものだとは。と
場違いかもしれないが、素直に思ったものだ。


そうか、昨日あんなに怠惰な感じだったのは
もう動けなかったからだったのか。
態度でかいとか思ってごめん。

と妙に納得して思ったら
申し訳ないのと、
やっぱり悲しいので泣けてきてしまった。


でも最後にお刺身をあげておいてよかった。
あげてなかったら、なんか一生後悔しそうだったなぁ。
などと妙にのんきに思いつつ、
起きてきた家族に
「つぶ吉が死んじゃったよ」と告げると、

母などは
「普通、猫は死ぬときにはいなくなるって言うけど
 やっぱり家族と一緒に居たかったんだね」
などとセンチメンタルなことを言って泣いたが、


個人的には、つぶ吉はそんなタマじゃないだろう?と思った。


もし、死を予感したとして、彼は人間のことを考えただろうか?
おそらく、きっと考えたのは仲間の猫のことなんじゃないだろうか?

そして「部下や恋人に格好悪いとこ見せんのやだなぁ。」
とか思って家に居たんじゃないだろうか。

と生前の「ボスとしての威厳」
に満ち溢れて仲間のとこに行く姿を思い出して
そんなことを思った。

もしくは
「あ〜なんかマジで体調悪ぃ。
 でも刺身食べたい。
 あ、くれんの?
 ラッキー。うん、旨い。
 それにしてもだるいなぁ〜」

などと、ど〜でもいいことを考えているうちに
ウトウトと死んでしまったに違いない。


まぁ、彼が死の間際、何を思っていたかは結局わからないが、

少しは私達と過ごした時間を「ま、悪くはなかったな。」
と思ってくれてたら、
そして「最後に食べた刺身は旨かったな」
と思ってくれていたら、
ちょっと嬉しい。
と思いながら、つぶ吉を庭に埋めたのだった。


もう触ることも、
声を聞くこともできないし、
今となっては、ほとんど思い出すこともないが

きっと彼のことだから
あの世でも傲慢な態度で元気にやっていることだろう。

いつか私が死んだら、また会いたいなぁ。


とは思うのだが

ヤツのことだから迎えにも来やしないだろうなぁ。
ま、いいか。そういうやつだもんな。

と、そう思うんである。

イメージ 1

猫エイズに感染しつつ、
意外としぶとく生きた黒猫・つぶ吉だったが
晩年はやはり体調を崩しがちになり
一日数時間出かけるだけで
家で寝ていることが多くなった。

今日はそんなつぶ吉の晩年のある日のお話。

ある日、居間にいくと
いつものようにソファにダラッとした感じで寝ていた。
吐いたりすることも多くなり
少しずつやせてきているのだが
猫なのでいまいちどのくらいの体調かよくわからない。という感じである。

しかし正直、
個人的には「こいつは意外としぶとい」という認識なので
わりと適当に「おぅ、どうした?今日は調子悪いのか?」
とか声をかけつつ、隣でテレビと見ていると
窓の外からほかの猫の呼ぶ声が。

下っ端ぽい声で
「ボス〜?どこ〜?」
みたいな実に情けない感じである。

猫社会も色々大変なんだな。と苦笑しつつ
つぶ吉を横目で見てみると「う〜ん、だるい・・」
という感じで目だけ開けて聞いていた。

「今日はボスは体調が悪いってさ」と窓を開けると
そのスネ夫的な猫はびっくりして一旦は逃げていったが
また戻ってきてしつこく鳴くのである。


しばらく放置していると
つぶ吉が「しょうがねぇなぁ」
といわんばかりに大儀そうに立ち上がり
出掛けるつもりなのか毛繕いを始めたが
動作も緩慢で妙にぼんやりした感じである。

普段は忘れているが、ふと
そういえばこいつ病気なんだよな

もしかして今ものすごく体調悪いのかな
こいつ猫だから
自分の体のことなんかわかっちゃいないんだろうけど
もしかして明日死んじゃうかもしれないんだよな・・・

と思うと
なんだか急になんともいえない気分になってしまい

玄関前に座って
私がドアを開けるのを待っている
彼に「今日はやめとけば?」などと
声をかけるのだが

「いいからさっさとドア開けろよ」
といわんばかりに私のことなど
完全無視して座っているのだった。

なんとなく悲しい気持ちで
しぶしぶドアを開けると
彼は「やれやれ」という感じで立ち上がって
出て行ったのだが


さっきまでだるそうに
ぼんやりしてたくせに
2、3足歩いたところで

「おし!」とばかりに

しっかりした足取りで
尻尾を立てて
何事もなかったかのように
ゆっくり堂々と歩いていったのだった。


すっかり退色して茶色がかってきてしまった毛皮や
軽く浮き出たあばら骨にさえも
生命力がみなぎっているようだった。

なんだかその姿は「ボスとしての威厳」のようなものを感じさせ

そっか、お前はボスなんだよな。
ボスは格好よくなくちゃな。

と、思ったら
たかが猫なのにものすごく格好良くて
思わず少し感動してしまった。


もしかしたら、こいつは

自分がもうすぐ死んでしまうこととか
自分の子供たちも同じ病気で死んでしまうこととか
自分が死んだあともどこかの猫がボスになって
そういうのがずっと続いていくこととか

色んなことが本当はわかってるのかもしれない。

と、思ったものだった。

そして、
「もしかしたら今日でこいつを見るのも最後かもしれない」と思った。
本当は健康な人間だっていつ死ぬかわからないぐらいなのだけど。

しかし、その後姿を眺めていると
もしかしたらこれが見納めかもしれないけど
でもいい人生だったね。
と思えて

それは寂しいことではあるが
不思議とそんなに悲しくはならないのだった。


ちなみに私のそんな感傷はよそに
彼はその後3時間ほどで普通に帰ってきて
普通に食事をして
普通に眠り
「やっぱこいつはしぶとい。」
とあきれたものだったが。


そしてその数ヵ月後に息を引き取るまで
時々そういったような姿を見かけることがあり

何度も見かけるたびに次第に

「やっぱりこいつはただの猫で、
 特に何か『ボスは格好よくなくては』
 などと言った崇高な意図があるわけではない。
 とゆーか、やっぱりこいつはただの猫で何にも考えてない」

ということを実感したわけだが。

だがしかし、やっぱりその姿は何度見ても格好よく
何もわかってない猫だからこそ
いちいち感動させられたものだった。


今でもやっぱり
あんなにも

何かを見て格好よさに感動したことはない。
と久しぶりに発見した写真を眺めながら

しみじみ思うのだった。

イメージ 1

番長になることを目指して日々
ケンカに明け暮れる黒猫・つぶ吉のその後のお話。


猫社会で一旗あげようと
ボス猫・正太郎に戦いを挑み続けていたつぶ吉だったが、

約3年後、当のボス猫正太郎が姿を消したことにより
その日々は終了した。らしい。

正太郎の飼い主・佐久間さん(仮名)によると
もう2ヶ月くらい前に出かけたきりいなくなった。
ということらしかった。

「出かけて事故にでもあったのかもしれないし
 もう10歳くらいだったから
 死期でも悟っていなくなったのかも知れないわね。」

と少し寂しそうに話すのだった。
なんだか切ない気分になったものだ。

そして、つぶ吉はどうしたかというと
正太郎の後がまにつき、なんとボス猫になってしまった。

半野良猫のようにあまり家に寄り付かなくなり
夜な夜な近所の酒屋の倉庫にたむろしては女をはべらかすという
なんとも形容しがたい状況になり

時々チャレンジャーでもやってくるのか
怪我をして帰ってきたりもしたが

正太郎がいたころに比べると
人相が変わるほどの大怪我をすることもなく

当時の
雄猫は去勢するのが今のように常識でもない
大らかな地域性もあって
つぶ吉によく似た黒い子猫が
勝手にウチに食事に来たりしていた。

すっかりふてぶてしさにも拍車がかかり
向かうところ敵なしの彼だったが
初めてケンタッキーフライドチキンを食べた時などは

なんだこれ?
ぱく。
・・・
う、うまっ!!!
という表情をしたりして
なかなか可愛い一面も垣間見せたりした。


そんな感じで
ろくに家に帰ってこないが
なかなか充実した日々を送っているようで何よりです。
という感じで日々を過ごしていたが

ある日母が
「なんか貧血っぽいから明日つぶ吉を病院に連れて行く」と言い出した。

「貧血?てゆーか肉球まで真っ黒のこの猫のどこを見て貧血だと?」
「毛づくろいしてるときの舌と口の中が白い。」
との事である。


母は昔からやたらと家族に対して
「ちょっとあんた顔色悪いわよ」などと言い

私などは言われたせいで
「あ〜なんか言われてみれば体調悪い気がする・・・」
などとむやみに本当に体調が悪くなった記憶があるので

「また出たよ。」と思ったが
確かになんだか風邪も引いてるようで
鼻水もたらしているので
病院に連れて行くことにした。


軽い気持ちで診察を受けたが
結果は「急性白血病」だという。


当時、つぶ吉も含め近所の猫たちは
野良猫も飼い猫も野放し状態だったので

おそらく全員が基本的に「猫エイズ」に感染していたと思われるが
つぶ吉は猫エイズに加え
猫白血病ウイルスにも感染していたらしく
一気に体調が悪化したらしい。


「もってあと半年くらいでしょう」
と宣告されてしまい
「せっかくボスになって充実した毎日を過ごしているのに
 なんて不憫な・・・」
とものすごく悲しい気持ちになり
思わず抱きしめたりした。


が、本人はでかい注射をされてものすごく機嫌が悪いので
私の気持ちなどお構いなしで本気でつめを立てたりしてきて

いまいち気持ちが伝わらないのだが

せめて残りわずかの時間だけでも精一杯
のびのび楽しく生きてほしい。
と願うのだった。


のびのび自由に!という方針のため
ますます凶暴ぶりに手がつけられない状態になったが

意外にもしぶとく生き抜き
獣医の予想に反してその後約4年間

彼は我が家に暴君として君臨し続けるのである。


続く

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