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前回までのあらすじ
大陸での紛争の要因である謎の女と英雄(トーア)との対決が始まった。
しかし力を手に入れたばかりの英雄たちに対して謎の女は容赦なく謎の銃を奮う。
その圧倒的な力の前に成すすべもなくやられ始める英雄達。
そんな中でも力を行使し続ける謎の女。
そして・・・。
第八話“詰め”「どうしたどうしたァァ?さっさと逃げねぇと潰されるぞォォ!」
同時に爆音と煙に辺りが支配される。
今動けるのは、プロコフィエル、ヴァンダー、シュネーゲ、そしてセルヴィウスの四人。
しかし今は相手のほうが有利だった。
地上を隠れながら逃げている英雄達に対して、女は石柱の上を飛び移りながら自由に銃を乱射している。
そのために見つかれば一瞬で瓦礫の下になりそうだった。
破壊された石柱の影に一時隠れたセルの横に同じように慌てた様子でヴァンダーが飛び込んでくる。
彼の左肩からは岩で切ったのか、鋭利ではない傷が付いていた。
傷口からは今も赤黒い血が漏れ出している。
「セルヴィウス、他のやつ見たか?」
そう言ってくるヴァンダーに慌てながらセルが答える。
「そ、そんなことより自分のことを・・・。」
「俺のことはいい・・・!」
ついつい怒鳴ってしまって慌てて口を抑えるが、どうやら相手に見つかった様子はなかった。
理由は簡単。
「やぁっぱ、怪我してちゃぁ逃げるのは難しいかァ?」
「おま、え・・、ちょ・・・。」
ドンダンドン
「ぐ・・ぅ・・・ぁ。」
立て続けになる銃声と共に呻きとも取れない声が聞こえる。
「プロコフィエルぅぅ!」
とっさに叫び飛び出そうとしたセルの腕をヴァンダーは勢い良く捕まえる。
「バカか!今大声出したら・・・。」
「あれぇ?今声が聞こえた気が・・・。」
「「ヤバ・・・っ!」」
一瞬の出来事だった。
女の言葉を聞いて横へ飛び退こうとした二人がよける前に背中の石柱が姿を消す。
砕け散った石のかけらがそれぞれ弾丸のように二人を襲い、遠くに吹き飛ばす。
飛ばされたセルは運良く、他の石柱の後ろに飛ばされたが、
ヴァンダーはそのまま他の石柱の残骸の上にうつ伏せに放り出されていた。
ヴァンダーはまだ意識があるのを確認すると、肩の痛みを気にしないように立ち上がろうとしたが、
「起きられんの?そんな体でさァ。」
言葉と共に左肩に足が降り下ろされる。
誰かなんてものは声を聞かなくてもわかる。
「お、お前なぁ・・。」
顔を向けようとするが、直後、頭に銃口が触れる。
だが・・・。
何かない。
無い。
圧倒的な銃声が。
「な、んで、撃たねぇ・・ん、だ?」
それに答えようともしない声がヴァンダーの頭上から降る。
「哀れだねぇ、ホント。」
「?」
「ホント、哀れだよなァ、あんたら・・・。」
先程までの暴力性はなく、静かに重く、
声が頭に響く。
「何が、言いたい・・?」
「誰だって求めるもんは同じだよなぁっつぅことだよ。」
そのままヴァンダーが黙っていると
またゆっくりと女が口を開く。
「“ある計画”だって、
そぉいう人の思惑ってやつが絡んでるのさ・・。」
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長編版オリスト 第一期
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前回のあらすじ
セルヴィウスたちは長老(ツラガ)アーソイルへ干渉していた人物と遭遇。
しかしその謎の女の目的は大陸の破壊ではなく“ある計画”の成就。
そのために不穏物資となる英雄(トーア)たちに牙を剥く。
憎しみのこもった言葉をぶつけながら・・・。
ガギィィィィィン
ものすごい音と共に何かかヴァンダーの武器とぶつかり合う。
しかし正確にはぶつかった音は硬い鈍器のような音を立て、
実際の威力もそれ相応の威力が直撃する。
「ぐぉぉ・・・!」
後方に飛ばされぬように耐えるが相手がそんな様子をただ眺めている訳はない。
ゴォォォォンという轟音と共にヴァンダーの周りの地面ごと、まるでシャベルで持ち上げたかのように
ごっそりと後方に弾き飛ばされる。
それと共に周りの石柱もヴァンダーの方へ倒れかかる。
しかし実際にヴァンダーに襲いかかることはない。
「?」
土の波の向こうで倒れているはずだったヴァンダーは実際には倒れていない。
「我々は6人で一体なのだろう?ならば一人で突き進むな、ヴァンダー。」
「シュネーゲ?」
よく見ると隆起した大地や石柱にはうっすらと氷がはっていた。
「チッ。無駄にかばい合ってんじゃねぇぇよ、カスどもがぁぁ!
一人相手に6人でしか勝てねぇ雑魚が集まった組織に助けられるなんざ、
この大陸の民衆もかわいそうだなぁぁ。えぇ、どうなんだよぉぉォォゥゥゥゥ!」
その声と共に目の前の隆起した大地が風船のようにはじけ飛ぶ。
しかしその先に彼ら二人はいない。
それは・・・
「へへぇん!どうだ!俺のサイクロンはぁぁ!」
二人の後方でさっきまで飛ばされていたシュツルムが先に暴風と共に二人を違う方へ飛ばしていたのだ。
「クッ、小賢しい真似してねぇで向かって来いよォォ!」
「あぁ、そうだな。」
「っ!」
そこで放たれ続けていた謎の銃弾が一瞬止んだ。
初めて謎の女の方が回避行動をとった。
直後、さっきまで彼女がいたところに熱風が吹き荒れる。
「いつまに後ろに回ったんだか。姑息な行動が得意なこったぁ!」
「そりゃどうも。」
相手の言葉に適当に返事をするプロコフィエルだったが、
(今の動き、一体何だったんだ?)
そう考えたときには相手は動いていた。
いや、正確には滑っているに近いかもしれない。
なにやら体の半分以上が真っ黒い影のようになりながら・・・。
「遅い!」
「っ!」
言葉が聞こえたときにはもうプロコフィエルの体は宙を待っていた。
(攻撃の予備動作すら見せない速さ、それに今の・・・。)
「がふっ!」
思いっきり地面に打たれると同時に思考が一瞬停止する。
しかし休んでる暇わない。
即座に右側へ転がる。
と同時に勢いよく放たれた弾丸は周りに風の渦を作りながら地面に直撃、
衝撃に負けた地面が、勢い良くはじけ飛ぶ。
「━━━━っ!」
地面のかけらを真横から受け声も出せずに吹き飛ぶプロコフィエルを彼女は笑いながら見下ろす。
「フハ、フハハハァ!この程度でダウンしてちゃぁ、話にならないよクソやろぉゥ!」
その声と共に引き金が引かれるが銃弾がプロコフィエルを貫くことはなかった。
なぜなら、
「ほほう。その武器は機械かい?そんな頑丈でハイクオリティなもんはこの島にはないよなぁ?」
弾丸を防いだのはセルヴィウスの武器。
正確には武器に付いていた収納式の盾なのだが、
「まぁ確かに、この島の住民じゃないあんたにはわかるよなぁ、
これがこの島のものじゃないってことぐらい。」
「わかるよ?だけどそんなもんでこっちの攻撃全て、防げると思ってんじゃねぇぞぉぉォォォ!」
直後、一直線で放たれたはずの弾丸は無数の雨と化して降り注ぐ。
「ぐぅ・・・!」
「ぐおぁ!」
セルだけでなく後ろにいたプロコフィエルにまで被害が及んだわけだが、
そんなことを気にするような相手ではない。
それを分かっていたのは英雄達全員だ。
そのため、
「これ以上打たせっかよ!」
言葉の聞こえた方から無数の石の槍が飛んでくる。
しかし彼女の方も簡単に槍を全て避けながら槍を放った当本人の目の前まで近づく。
「な━━━━!!」
「遅いって。」
その言葉と同時にホルンフェルスの体は彼女の弾丸と共に後方へ10メートル近く飛ばされる。
「ホルンフェルス!」
「人の心配してられんのかァァ?」
振り向きざまに遠くに立っているヴァンダーへ向けて銃を向ける。
「やられっぱなしだと思うなよ!」
彼女の後方から飛んできたシュツルムがヴァンダーへの発砲を抑えようとするが、
「バぁカ!単純すぎてアホなのはどっちの方だ?」
銃口はさっきまで向いていた方とは逆の方へ、シュツルムのほうへ向いている。
「やべっ!」
「もう遅い。」
とっさに武器を目の前に構えたが、銃弾はそれを全てシュツルムごと突き飛ばし、
一本目の石柱を突き破り、その後ろの岩にぶつかり勢いを止めた。
シュツルムからの反応はない。
「あっれぇ?死んじゃったかなぁぁ?まぁ別にどっちだって━━━。」
「ふっざけるなぁぁぁぁぁ!」
「あぁ?」
飛び込んできたセルの攻撃をかわし、横からの蹴りだけで軽く5メートル近く吹き飛ばす。
「無駄に突っ込んで死にたいなら構わないけど、一体あんたらどうなわけぇ?えぇ?」
「我々は、ただ大陸に障害をきたすものを止めるだけだ。
無駄に話さずとも分かるだろう。」
その声のする方には白い影が一人。
「いっつでも冷静なその口振りが変わるところが見てみたいもんだねぇ。」
そんな言葉にいちいち取り合わないのがシュネーゲという存在だ。
「貴様らが何をしたいか知らないが、この大陸に被害が及ぶなら、それは止めるだけだ。」
その言葉に今度は女の方が声を上げて洗い出す。
「ハッハッハ!ばぁっかじゃないのぉ?フハハ!
今どっちが優勢か分かって言ってるわけぇ?」
「そんなことは関係ない・・!」
そう言い合いに参加するプロコフィエルだったが、
その言葉で余計に女の方が笑い出す。
「フハハハ!ならその考え方を、丸ごと捻り潰してやるよぉぉォォォ!」
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前回までのあらすじ
大陸の元凶を探るために“グランド・ビルド”に向かったセルヴィウス達6人の英雄(トーア)達。
しかしそこで待っていたのは裏で操られていた長老(ツラガ)アーソイル。
彼の話すことに対して矛盾を指摘したセルだったが、
その答えを聞く前に新たな人物が現れる。
その女が行った一言は、
「消えてもらう」の一言だった・・・。
「あ、あんた何者だ!?」
「なんだい?その当たり前の返答はー?もっと面白いこと聞きたかったけどねー。」
そう言いながら謎の女の方は銃をもう一度構え直す。
体には不釣合な大きさに対して、決して疲れを感じさせない。
「そーいえばさー。あんたらって新しい英雄さんだよねー。まぁ見たことない顔だからわかるけど。」
「そうだぜ?要するに、あんたが知ってる英雄よりも強いかもしれないんだぜ?」
そうからかったシュツルムがいきなり後方へ吹き飛ぶ。
目の前の銃口からは何も出ていないように見えるのだが、
「口は災いのもとって教えといたほうがいいかもよ?今までにこんな間抜けな英雄はいなかったから。」
(普通の弾丸じゃない?)
先程の攻撃を見ている限り明らかに銃の攻撃には見えない。
貫通せずに相手を突き飛ばす弾丸。
(そんなものがあるのか?実際に機械を嫌うこの大陸で?)
(でも貫通することもあったし、銃口の位置から考えてシュツルムに当たることは無いに等しい。)
確かに銃口の真正面にいたのはセルやプロコフィエルであって、
シュツルムは結構端にいたはずだ。
(弾丸を自由に変えることができる?そんなことができる力って・・・。)
「おまっ!いきなりかよ!」
驚くホルンフェルスに今度は銃を向けながら謎の女は言い放つ。
「言ったでしょー?私の目的はあんたらを消すことだって・・・。あれ?言ってなかったー?」
しかし今度はホルンフェルスの方が一歩早く動いていた。
自分の目の前に一瞬で大きな岩の壁を作り上げる。
直後、ものすごい音と共に岩の壁に穴を開けた弾丸がホルンフェルスの真横を通り抜ける。
「ちっ、ハズしたか。なかなかの技術力じゃない?」
悔しそうな女に向かってプロコフィエルが問う。
「一体何が目的だ?ここまで大陸を混乱させ、大陸に詳しい奴まで雇って。」
「その質問に答える必要ってあるのー?」
その声には嘲笑すら見えた。
「第一、そんなこと言ったら、なんであんたらはこの大陸の英雄なの?」
「そんなこと決まっている。この大陸を守るためだ!」
「それって、ただの自己満じゃなくて?」
「「━っ!!」」
その場にいた全員が一瞬息をのんだ。
「結局はそれはこの大陸の人たちにとって有難迷惑なんじゃない?」
「・・・そう思われていたとしても、俺たちはこの大陸を守るだけだ・・・!」
その返答には興味なさげに謎の女は話を続ける。
「まぁ、そんなこと私たちにはどうだっていい。
この大陸が、大陸の人々が、文明が、大地がどうなろうと関係ない。
私たちの目的に影響はないの。
あんたらがどうなろうと知ったことじゃない。
私たちは私たちの計画のために動いている。
時期に計画は実行に移される。今はまさに最終調整の真っ最中。
誰にも邪魔されるわけにはいかないわけ。」
「そんなに、そんなにその計画には美味しい餌があるっていうのか?」
憎しみのこもったプロコフィエルの低い声は見方も怯えそうなものがあったが、
その顔を見たかったと言わんばかりに謎の女の顔は笑顔だった。
「そうよー。あんたたちも入ってみる?実際に手柄があるか保証は━━━。」
「ふざけるな!!」
そう叫んだのはヴァンダーだった。
「今まで聞いてりゃぁよくわからねぇこと言いやがって。
実際あんたの目的は俺たちの足止めか?暇つぶしの相手か?
ふざけるな!俺たちはそんなもんのためにここにいるんじゃねぇ。
もうこの大陸の住人の一人が被害になってんだ。
その時点で俺たちにはあんたを捕まえる権利はある!
そう簡単に『あぁ、そうですか。』なんて引き下がれねぇんだよ!
だからあんたが武力で倒そうとするなら・・・。
オレらも真正面からそれと向き合い、打ち破るまでだ・・・!」
そう言いながら自分の武器を構えるヴァンダー。
それに続くように他の皆も自分の武器に手をかける。
そんな様子を眺めていた謎の女はいつの間にか俯いていた。
その肩はヒクヒクと震えていた。
「フフ、フハ、ファハハアあぁぁぁぁぁァァァァ。」
再び前をむいた彼女の目には強大な憎悪、
口元には憎しみによって張り付いたような凶悪な笑みが浮かんでいた。
その顔はこの世界自体を憎んでいるような、それでいて自分を恨んでいるような不思議なものだった。
「思い上がってんじゃねぇぞこのカスどもがぁぁァァァァァ!
あんたらみたいな奴に助けられたい奴がどこにいるってんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!
勝手に自分の力に溺れてんじゃねぇよぉぉぉぉぉ!
あんたらだけが、あんたらだけが、あんたらだけが、
そういう力を持ってんだと勘違いしてんじゃねぇぞぉぉぉぉぉ!」
その瞬間彼女の足元に異様に黒いものが蠢いた気がした。
そして、
この場所は一瞬で戦場と化した。
そんな英雄や謎の女の様子を遠くから眺める人影があった。
元から戦場だった場所の中にある巨大な岩の上に二人分の影が写っていた。
「あぁあ。あのアーチスを本気にさせちゃたよ、あの英雄達。」
「そうだな。まぁあいつが英雄嫌いなことは俺たちぐらいしか知らないがな。」
そんな話をしていた二人に頭の中から声がする。
「さっさと仕事しなくていいのかぁ〜?」
「はいはいわかってるよ、ちくしょう。行くぞ、“クライズ”」
「分かったよ、“デスター”。」
そう言いながら二人はまたどこかへ姿を消した・・・。
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前回までのあらすじ
大陸の英雄(トーア)に無事になることができたセルヴィウスを含めた6人は、
まず最初に大陸中で起こっている戦争に終止符を打とうと、
その元凶と思われる人物のいる“グランド・ビルド”へと向かう。
しかし、そこで実際に6人が目にした人物は
元英雄の長老(ツラガ)と呼ばれるうちの一人、アーソイルだった。
彼は一体何をしていたのか・・・
「どうしてこんなところにいるんですか!」
驚きを隠せないホルンフェルスに対して、アーソイルは変わらぬ笑みのままだ。
「考えなくても分かるだろう?私がしたいことなど、決まっているじゃないか。」
「この大陸に戦争を巻き起こしてなんの特になる?なんの利益がある!」
横から割り込むようにプロコフィエルも声を上げる。
しかし、彼らの言葉など無視するようにアーソイルが語りだす。
「お前たちは、この大陸がどう作られたか知っているか?どう崩れ去るか知っているか?
当然知らんだろう。実際に見たことがないからなぁ・・・。
じゃぁもし、この世界の行く末のわかる奴がここにいてくれたのなら、
それはどんなに頼もしいだろうか。
それはどんなに心強いだろうか。
それを我々は望んでこなかった訳ではない。できなかったんだ。」
「それが、そんなことができたら、と?」
慎重なヴァンダーの言葉すらも読んでいたかのように首を横に振る。
「そんなことはどうだっていいのさ。分からないのか?
それが分かったところで、我々じゃどうにもならない。
洪水が来ると言われても周りが平地しかないのと同じように、
結局は何もできずに流されるだけ。決まった末路をたどるだけだ・・・。
だが、そこに何らかの大きな変革が起きたら?
洪水を止めるほどの巨大な壁がいきなり現れたら?
きっとその末路は大きく変わることになる。
それと共に民衆はその行為に対して何らかの感情を抱く。
そしてそれは、また大きな世界の波となる。」
「あんたは結局、“窮地を脱するための救世主”にでもなりたかったのかぁ?」
「それだけじゃない。」
シュツルムの答えに即答し、さらに続ける。
「その民衆の波の方向性を考え、誘導さえできれば、それは・・・。」
「もう、いいですよ・・・。」
その言葉に5人の英雄が全員セルの方を振り返る。
と同時にアーソイルも一瞬意味が分からないような顔をしてセルを見たが、
それがわからないように返事をする。
「な、なにがもういいと?もうこちらの言うとおりだと?」
「矛盾点と抜け穴・・・。」
「はぁ?」
「変革も何も、それはその“未来”っていうものがあるっていう前提で話が進んでいるわけでしょう?
じゃぁ実際未来がなかったら?
そんなものはまだなかったとしたら?
だって、誰も見たことないんでしょう?それなら、ないかもしれないじゃないですか。
なのにあなたはその先まで正確に予知したように計画を立てている。
そしてここまで大きな計画を実行する。
それって、こんなにあやふやな前提の上で出来ることじゃないですよね?
つまり、あなたは見たことが無いのに、手が出せないと分かっている。
見たことがないのに計画を実行する。
つまり・・・。」
そこで一旦言葉を切ると、真っ直ぐアーソイルを見据える。
「あなた、誰かに使われてませんか?」
「そ、そんなことは━━━。」
そう反論しようとするが、今度は別の声が邪魔をする。
「いいところまで気がつくんじゃない?今回の英雄さんはー。」
突如聞こえた声と共に前に立っていたアーソイルの身に変化が現れた。
実際はアーソイル自身の手によってではなく、第三者によってだが。
ゆっくりと彼の腹に濃い赤いシミが広がっていく。
「・・・はぁ?」
アーソイルが腹を押さえながら倒れると同時に、その背後に立っている人影が現れる。
「━━━━っ!!」
驚きで声も出ないホルンフェルスだったが、今はそちらよりも人影の方が優先順位が高い。
人影の身長はセルたちと同じくらい。
(と言っても、英雄になったときに体のサイズが少し大きくなったセルたちと同じなのは、本当は不自然なのだ。)
服装は黒ベースの色の服の上から黒いマントを羽織っている。
性別は女でありながら右手に握られている大きな銃がやけに不釣合だった。
その女は足元にうずくまっているアーソイルには見向きもせずに、英雄達の方をむいている。
「そこまで分かっちゃうと、こっちとしても面倒だからさー。」
そこでいきなり真下に銃を打つ。
もちろん下にはアーソイルがいたわけだが、特に興味はないらしい。
容赦ない一撃が上から降り注ぐ。
「━━っ!・・がふっ・・・・。」
声も出ないほどの威力だったらしく、一瞬で相当な傷を負っていた。
しかし、そこに銃声はない。
アーソイルが弱ったのを確認すると、今度はその得体のしれない銃を英雄たちへ向けなおす。
その口元には大きな笑みが広がっていた。
まるで人を殺すのを楽しんでいるかのような、残忍な笑みが・・・。
「面倒なのは早く消すに越したことはないし、」
「消えてもらうよ、アンクラ・ヌーヴの英雄ども!」
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前回のあらすじ
無事に神殿に着き、他の英雄(トーア)候補と落ち合うことに成功したセルヴィウス。
そして6人の英雄候補は6人の英雄へと姿を変える。
火の自然界の力(エレメントパワー)を持った英雄、“プロコフィエル”
大気の自然界の力を持った英雄、“シュツルム”
大地の自然界の力を持った英雄、“ヴァンダー”
岩石の自然界の力を持った英雄、“ホルンフェルス”
氷の自然界の力を持った英雄、“シュネーゲ”
そして、
水の自然界の力を持った英雄、“セルヴィウス”
英雄となった彼らの最初の目標は“大陸で起きている戦争の集結”。
そのために彼らはその根幹を潰しに行くという。
一方謎の交渉もこの大陸で行われていた。
彼らの目論見とは一体・・・。
地上に出るのにそこまで時間がかかることは無かった。
それが英雄としての体になったために強くなったからか、元から短いのかはセルが考える必要はなかった。
ここはこの大陸の中で“グランド・ビルド”と呼ばれる場所らしい。
広大な大地の上に巨大な岩石が、まるでビルのようにそびえ立っていた。
個々の大きさも巨大ながら、それらが互いを支え合うようにうまく折り重なっていて、
一つ倒せば全て倒れそうな様子で立っていた。
「これが自然に出来ていたなんて・・・。」
先ほどヴァンダーからこの地の様子を聞いていたセルでさえ、
初めて見るには迫力の有りすぎるものだった。
「しかしこの地に異変が起きている。」
そう暗く言ったのはホルンフェルスだった。
遠くでは煙が細い線を描いていた。
きっとあちらの方で戦争が起こっているはずだ。
ここだけじゃない。
この大陸自身が自ら戦争によって破壊されようとしていた。
「何としても早急に片付ける。」
「そうは言っても具体的な敵の位置は分かっていないんだろう?」
ホルンフェルスの言葉をシュツルムが断つ。
「実際に場所のわからない敵をどうやって倒す?」
「目星はついてる。」
そういったのはホルンフェルスではない。
プロコフィエルだった。
「なんでここの住人でもなかったあんたが分かる!?」
食いかかるような言い方のホルンフェルスにプロコフィエルは右斜め前方を指さす。
「あそこだけ戦火から免れるように岩に傷がない。」
確かにその部分の岩だけ他よりも綺麗だった。
「戦争を始めた奴らが何かするためにはその場所は出来るだけ災害地から離れたほうがいい。」
(そして岩の柱が崩れては意味がない。)
その条件にあった場所はそこだけだった。
他は崩れていたり、いつ戦火に巻き込まれてもおかしくないような場所だった。
「良くそんなことまで考えたものですね。」
急に聞こえた後方からの声に6人は同時に振り返る。
けして油断していたわけではない。
そう、相手がいきなり後ろに現れたかのような感じだった。
「驚くことはないでしょう?私はあなたたちが儀式を早急に終わらせたことの方が驚いていますよ
全員の意思がひとつの方向にむいていたからでしょうか。
まぁそんなことよりも、これ以上私たちは計画に時間をかけることはできない。
つまり、あなたたちにはここで引いてもらいたいのですが、構いませんか?」
いきなり現れた人影は杖をついた老人のような容姿だった。
しかし喋り方だけははっきりとしている。
「出来るわけないだろう?ここにこの戦争の元があるなら、俺たちは戦うまでだ!」
しかしいきなり現れたという異常な状況に少々驚きを隠せない英雄達だったが、
プロコフィエルが自分の心を確かめるように反論する。
そんな彼を見ていた相手はふと口元に小さな笑みを浮かべる。
「つまり、君たちは俺が発端だと思い、それを消すというのか?」
「そうだ、必要ならばな。」
そう短く答える。
その答えを聞いた相手の笑みはより深くなった。
(なぜ、この状態で笑える?それに喋り方が最初とは違うような・・・。)
そんなふうに疑問を抱いたセルだったが、答えが出る前に相手が話を続ける。
「フフ。本当に君たちは“6人とも”俺を殺したいと?」
「必要に応じてと言ったはずだが?」
「それなら・・・。」
そう言って謎の人物は手を水平に上げる。
そう、誰かを指さすように、
「そいつに聞いてみるといい、実際にどんな答えが聞こえるか楽しみだ。なぁ、ホルンフェルス?」
その言葉に皆がホルンフェルスの方へ振り返る。
そこに立っていた彼の顔は恐怖と驚きに満ちていた。
「なんで・・・。なんでこんなところにいるんですか、長老(ツラガ)アーソイル!
一体、何をしているんですか・・・!」
長老アーソイルと呼ばれた老人の口元にはさらなる笑みが広がっていた。
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