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これはある語り部から聞いた話。
遠くから聞こえる祭りの音を無視して聞いた話だ…。 今から10年前にさかのぼるが、 遠い遠い遥かかなたの海の上に小さな島があった。 その国の名は“シセルス国” 小さいながら人々がしっかりと生活が出来るだけの富はあった。 だがある日、
謎の“ザリアール”と名乗る軍団がその国に攻め込んできた。 シセルス国も軍隊を保有していたが、 そこまで強い軍隊でもなかったために、
その当時はその国は地図から消えることになり、
たくさんの避難民が出た。
国の王は捕らえられ、民が反抗すれば王の命はない状態だった。 そんな中、一人の若者がふらりと姿を表した。
彼はこの国の民ではなく、この国に親族がいる訳でもなかった。 それに見た目は華奢で、いかにも読書家のようだった。 そんな彼がその避難民達の中で国を取り戻すと言ったのだ。 民たちは口々に、 「無理だ無理!」 「お前はこの国の王を大切に思っていない!」 と叫んだ。 しかし彼は言った。 「こんな私でも、希望を捨てずに国を助けようとしている。 そういう希望を持てる心は、たとえ国が違おうと、
たとえ宗教が違おうと誰もが共通して持てる唯一のものだ!」
と。
そう言い残した彼は数日後にその避難民達のところから姿を消した。
そして、彼は二度とその場所に帰ってくることはなかった…。 まだ終わってはいませんよ。
確かに彼はその場所に帰ってはきませんでしたが、 それはあの避難民達がその場所にいなかったから…。
その避難民達はどうなったかというと、それはもう過去の話。 今は避難民ではありませんから。 そのシセルス国の国王も無事に王の座に戻ったそうです。 …。 じゃぁ、そのシセルス国を救った若者はって? その彼はあれからシセルスの国民は一回も見たことがないらしいです。 彼は確かにシセルスの国民には誰一人として会ってないのです。
が、彼はそこで死んだ訳ではないですよ。 彼はただ国民には会いたくなかっただけなのですから…。 そして、彼はその出来事から10年後の現在、 語り部として多くの大切なことを語り続けています。
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短編版オリスト集
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第一話
「ハァ、ハァ、ハァ。」
(俺はいつまで走っているんだろうか?) そんなことを考えながらも必死になって走りつづける。 そんなことを考えている暇はない。 ・・・・・・・・・・・・ 2102年。 地上は人が作り上げてしまった奇怪な動物が支配しているような状態で、 人はそれらに喰われないように逃げ続けていなければならなかった。
「ハァ、ハァ、ハァ。っ!」 いきなり物陰から飛び出してきたのは巨大な甲虫のような生き物だった。 そいつは尾を使って獲物を仕留める。そしてその尾が今ピッタリと標準を少年に向けている。 少年は辺りを見回したが、どこにも逃げ道はなかった。 そうやっていると巨大な甲虫は尾を少し後ろに引いて少年めがけて尾を振り下ろした! 第二話
しかし尾は的を外し地面に深く刺さった。 目をつぶって死を受け入れようとしていた少年はその一瞬のうちに 後ろに強く引かれて倒れていた。
「何やってんだ!殺されるところだったぞ!」 その声に少年が後ろを見るとそこには中年の男が立っていた。 「殺されたくなかったら、俺についてこい。いいな?」 それだけ言い残すとすぐそこの物陰に一瞬で姿を消した。 少年の後ろでは、針が抜けた甲虫がまた少年に標準を合わせている。 少年は二回目の尾が振り下ろされるのを待ってからそれをよけてから中年の男の後を追った。 第三話(ラスト)
少し広いところにあの中年の男が立っていた。 少年が追いついて息をととのえていると、男が少年の左肩に手をかける。 「お前もなかなか動けるな…。」 「は、ははっ…。」 軽く礼をしたとき、遠くから男の声が聞こえてきた。 二人がそちらの方を見ると険しい顔をした20歳くらいの男が 何かから逃げるように走ってくる。
最初は何も後ろにいないように見ていたが、急に地面が膨らんだかと思うと、走ってくる男の真下から大きなムカデのような生き物が現れ、一瞬で男を頭から丸飲みにしてしまった。 その光景を見ていた二人だったが、先に中年の男がそれから離れるように走り出した。 しかし少年は足がすくんだのかピクリとも動かない。 すると今男を丸飲みにしたムカデのような生き物が少年の方を向く。 その時、少年の後ろから男の声がする。 「走れ!死にたくなかったら走り続けろ!」 その言葉にやっと我に返ったのか、急に向きを変えて少年も男の方へ走る。 「どんな手を使っても、どれだけ人を蹴落としても、自分が生き残るためには仕方がない。」 そういう世界の中で今日も少年は走り続ける。 決して自分が死なぬために。
奴らの餌食とならないために……。
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