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われわれ日本の鉄道模型ファン、とりわけ米国型ファンにとって、有名だけど実態が謎に包まれたメーカーといえば、何といってもユナイテッドでしょう。

PFMの天賞堂、フジヤマと並んで、PFMの3大ビルダーの1つで、埼玉県川口市に工場を構えていたはずなのですが、輸出専業で日本国内向けにほとんど製品を供給しなかった上に、純粋な日本型は一台も生産していません。そのせいか、ネットで検索しても日本語の記事はほとんど出てきませんし、「鉄道模型趣味」や「とれいん」でも、ユナイテッドに関するまとまった記事を読んだ記憶がありません。三成善次郎という人が創業者ですが、どう頑張っても写真はネットでみつかりません。しかも、1980年代、人件費高騰と円高で鉄道模型の対米輸出が立ち行かなくなると、天賞堂やカツミは日本市場に軸足を切り替えてサバイブしますが、ユナイテッドは忽然と消えてしまいます。

今日、サンタフェのコンソリデーションやノーザン、UPのコンソリ、ペンジーやサザンのパシフィック、URSAのパシフィックやミカド、フリスコのロシアンなど、同社が60年代から70年代初めに生産、輸出したモデルは、生産数量がときに数千台に及び、希少性のかけらもないので、中古市場ではいつだって200ドルから250ドルのお手頃価格で買えます。

ではその模型がつまらないものかというと、正確なスケール、今の水準でみてもほどよいディーティル(もちろん発売当時は、競合の米国製ダイキャストモデルを圧倒する、スーパーディーティル・ロコでした)、きっちりした組み立て、そしてスムーズな走り、と、3拍子も4拍子も揃った秀逸なモデルです。さすがに中古品購入時にはギアボックスのグリースくらいは入れ替えてやる必要がありますが、50年前のロコは奇跡のようにスムーズに走ります。走りの個体差が少ないのも特徴で、当時の日本人がいかに品質管理に心血を注いでいたかがわかります。

実は小生、このユナイテッドの大ファンで、小生のブラスコレクションの中心となっているのは、ユナイテッドのモデルです。(なにせ、小生のコレクションポリシーは「安くていいもの」というものですので)。このユナイテッドの模型、クリアラッカーの材質に問題があるらしく、経年変化でブラスが黒ずんだアメ色になるのですが、あばたもえくぼ、小生にはそれすら好ましい風格に感じられます。ユナイテッドの味のあるモデルに比べると、今日のブーリムの、ありったけのディーティルを詰め込んだ高額モデルなんて、下品なことこの上ないです。あ、これは買えない者のひがみですが。

さて、ユナイテッドに関する情報は半ばあきらめていたのですが、お仲間のWebelosさん(実際は小生の「師匠」なのですが、慎み深い方なので「お仲間」と呼ばせてもらいます)から、Brasstrains.com社長のダン・グレーシャー氏が執筆した「ブラス・トレイン・ガイドブック」にPFMのドン・ドリューのインタビューが掲載されており、ユナイテッドのことが詳しく書かれている、という情報をいただきました。記事をみて、びっくりです。PFMの歴史がドン・ドリュー氏本人によって詳しく語られており、しかもこれまで知りたくてもわからなかった、ユナイテッドについての情報がたっぷりあるのです。この本が出版されたのは2007年。ドン・ドリュー氏は翌年に亡くなっているので、もしダン・グレーシャー氏がインタビューをしなければ、ここに書かれている貴重な歴史は、誰にも知られることなく、闇に消えてしまうところでした。ダンさんの、ビジネスを越えた偉大な仕事ぶりに感謝です。

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問題は英語です。小生、皆様と同様に中学校1年生から英語を勉強し、なおかつ今もNHKのラジオ講座を通勤電車で聞いているのですが、脳の構造に問題があるのか、どう頑張っても、英語を英語のまま理解することができません。つまり、なさけないことに、一度日本語に置き換えないと、脳の中心に情報が入っていかないのです。という訳で、この貴重な記事、一語一句までしっかり理解したかったので、全訳することにしました。もちろんこのブログをわざわざ訪問してくださるような皆様は、日本語訳なんて必要のない方ばかりでしょうが、斜め読みには便利ですから、ブログにも掲載することにしました。

なお、掲載にあたっては、著者であるダン・グレーシャー氏にメールを書き、ブログへの日本語訳の掲載について許可を求めました。氏はBrasstrains.comを成功させたすぐれた経営者ですが、熱心なモデラーでもあります。嬉しいかな、即座に快諾のメールをいただきました。なお、依頼時に小生が示した「条件」は以下のとおりです。
●小生のブログの読者は20人にすぎないが(すみません、見栄をはりました。本当はそんなにいません)、皆、熱心な鉄道模型ファンである(これは本当ですね)。
●鉄道模型の歴史についての純粋な興味からであり、商用目的ではない(これも本当です)
●日本語の文章のみを掲載し、オリジナル記事にある写真は掲載しない(そうします)。
●ダン氏の本からの翻訳である旨を明記する(そうしています)。
●読んだ人には、Brasstrains.comを訪問して、ブラスを買うように奨める。
ということですので、お読みになった方はぜひ、こちらをご訪問になって、素敵なショッピングをお楽しみください。あ、小生にいわれる間でもなく、すでに一財産を投入しちゃった方もいらっしゃるでしょうが。


というわけで翻訳にとりかかったのですが、記事のタイトルでいきなり難関です。FIT FOR A KING? なんじゃこりゃ。ネットで調べると「(王侯に似合うほど)とてつもなく素晴らしいもの」といったニュアンスの表現らしいのですが、ここは「王に相応しきもの」という題名で始めさせていただきます。素人の翻訳ということで、どうかご容赦下さい。

なお、図版については、オリジナルの本に掲載されているものではなく、小生が手持ちの資料から勝手に選んだものです(古雑誌の山をひっくり返したので、へとへとです)。図版の説明文も小生がモノ知り顔で書いたものですが、多くはお仲間の師匠達に教わった内容です。その都度師匠のお名前は記載していませんが、ここにお礼を申し上げます。なお、オリジナル記事には美しいブラスモデルの写真が多数掲載されておりますので、そちらもぜひご覧下さい。

それでは(貴兄が20歳以上の場合は)とっておきのウイスキーをグラスに注いで、ごゆるりとお楽しみ下さい。はじまりはじまり。

(その2に続きます)



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ありうございます。結構ページ数がありますが、がんばってください。この本に掲載されているブラスの大半が、比較的新しい細密な韓国製品であることが、日本人モデラーやコレクターにとっては寂しいところです。

2018/5/20(日) 午後 5:28 [ delphinus ] 返信する

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> delphinusさん
コメントありがとうございます。われわれ日本人は何といっても日本製品に思い入れがありますが、米国のモデラー達は、そういう特別なロイヤリティはないのでしょうねえ。小生なぞ、戦後を立ち上がった日本人達が、努力を重ねてドルを稼いでいく、という絵がうかぶので、どうしても日本のビルダーを応援したくなるのですが。

2018/5/21(月) 午前 5:49 [ kiy***** ] 返信する

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