きゆうの雅な古楽の庭園

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フランドル地方の音楽

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 オルランド・ディ・ラッソ(イタリア語表記)またはオルランドゥス・ラッスス(ラテン語表記)は1532年頃生まれ、前回紹介したパレストリーナと同じ1594年に没した後期ルネッサンス音楽の巨匠です。彼の少年時代は美声の持ち主として有名でなんと3回にも渡って誘拐されたそうです。最終的に12歳のとき当時シシリー総督だった貴族、フェランテ・ゴンザーガに身を預けられイタリアに渡ることになります。母国フランドルを出たラッソはシシリーからミラノ、ナポリとイタリア各地を訪れ、最終的にはローマ、ヴェネツィアを経てミュンヘンに落ち着くことになります。

 今回はブルーノ・ターナー指揮、プロ・カンティオーネ・アンティクヮ演奏「ラッソ:レクイエム、マニフィカト&モテット」(ドイツ・ハルモニア・ムンディ)を紹介したいと思います。このCDには以下の楽曲が収録されています。

 「レクイエム」(死者のための5声のミサ曲)
1.イントロイトゥス
2.キリエ
3.グラドゥアーレ
4.トラクトゥス
5.オッフェルトリウム
6.サンクトゥス&ベネディクトゥス
7.アニュス・デイ
8.コンムニオ

9.モテット「ああ、いつくしみ深きイエスよ」
10.マニフィカト「正しきいとなみにより」
11.モテット「恵み深き救い主の御母」
12.モテット「アヴェ・マリア」

 「レクイエム」は前回のパレストリーナの作品と比べると壮麗にして荘厳で情感に溢れた崇高な大作です。特に冒頭のイントロイトゥス(入祭唱)の壮麗さにまず圧倒されてしまいます。また伝統的なポリフォニーの技法と新しいホモフォニーの技法が取り入れられ、その交替が緊張を大いに高めています。

 モテット「ああ、いつくしみ深きイエスよ」は4声のための作品で、深い祈りを捧げる荘重な音楽となっています。
 マニフィカト「正しきいとなみにより」は6声のための作品です。神を讃えた大作で荘厳ながらも情緒溢れる感動的な音楽です。楽節の導入で歌われるグレゴリオ聖歌による単旋律とすぐに続く合唱が見事な対比を生み出しています。ちなみにこの演奏はアカペラではなく金管楽器を伴いより壮麗な効果が現れています。
 モテット「恵み深き救い主の御母」はそのタイトルどおり聖母マリアを讃えた6声の作品で穏やかで暖かみのある音楽となっています。
 モテット「アヴェ・マリア」は5声による作品で小品ながら慈しみ深き聖母マリアを讃えた美しい音楽となっています。

 全体的にみてラッソの音楽は純粋で静的な美しさを湛えた同時代のパレストリーナの音楽と比べると動的で表現力豊かな作風となっています。その音楽性にはバロック音楽の到来を予感させるものがあります。


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