各種熱原取得比較 2015、1、27 木下 崇
最近、電気自動車の無公害性が注目されている。中でも、(水素)燃料は、未来の燃料だと言われている。燃焼後「水」しか発生せず、完全無公害だからだ。その通りだが、ただでは喜べない。水素の生産には、また別の熱源が必要だからだ。
ここでは、各種の熱原取得についてその特質を比較し、我が炭焼法を評価してみよう。
1 水素燃料の取得
ⅰ 水素取得原理
水素の製造は、化学的に次の2つの方法で作られる。尤も、炭化水素法(改質法)は、技術革新により各種の変法がある。
電気分解: H2O + (電気) → H2+0.5 O2 − 68k㌍/モル(−286kJ)
18g 2g 生産費:34k㌍/水素1g
炭化水素: CH4+H2O +(熱)→ 3H2+CO − 49k㌍/モル(−206kJ)
16g 6g 生産費:8.2k㌍(2.7gメタン)
電気分解による方法では、取得水素を内燃機関に用いるのなら、エネルギー取得として意味があるが、これを原料としてまた発電に使うのなら、堂々巡りの無意味な水素取得だ。また、生産費が高くて殆ど意味をなさない。この流れの中で、原発から発生する廃物利用(高温ガス炉法)が注目を浴びているようだが、前提が脆弱過ぎる。
炭化水素からは、比較的安く取得でき、実用的で、各種の方法が試みられている。問題は、生産に必要な「熱原」で、これには高温を要し、政府は、国内で、2030年1兆円規模、2050年8兆円規模の市場規模を画策しているが、なかなか決定版が出来ない。なお、改質法では、一酸化炭素(炭酸ガス)が出るから、炭素中性ではない。温暖化が起きる。
ⅱ 水素取得の経済
なら、水素取得に、どれほどの費用が掛かるのか。統計によれば、原発・電気分解の組合せが34円/立米、風力が52円、原発の高温ガス炉が22円程度となっている。先に述べたように、現状は、原発を組入れないと経済性が出ない状態だ。
それに対して、実際には、化石燃料(メタン等)の高温加水改質によるものが、安価なので殆どだそうだ。対抗できるのが、原発の高温ガス炉だそうだ。
原理的に考えて、水素は、製造費が高いばかりでなく、保管にもずば抜けて費用がかかり、製造前後で熱原の総和が減少するので、むしろエネルギーの浪費だと言われている。次世代のエネルギーだと持て囃されているが、実は、特殊な用途にしか使えないのが現状だ。
ⅲ 有機質熱原は天の恵み
余談だが、有機質熱原について追加しておこう。有機質であろうと、何であろうと、エネルギーは、太陽エネルギーの代替物だ。化石燃料は、その典型だ。つまり、上図において、「水素製造費」相当部分を太陽が負担してくれているので、人間の作りだした熱源は、釈迦の手の平の上で踊っているようなものだ。だから、太陽熱原の蓄積物には逆立ちしたって勝てない。
振り返ってみよう。化石燃料は、「太陽熱源の植物への固定 → 地熱により脱水炭化→ 石炭」となったものだ。そして、「有機質」は、「対植物の初期段階」の固定だ。だから、「石炭」または「有機質」を原料としない燃料は、特殊な燃料でしかない。更に言うと、太陽が固定した有機質(繊維素)には、大量の水が含まれていて、そのままでは燃料にならない。そこで、木材でも藁でも何でも、天日で乾かして燃料とする訳だ。更に有用燃料にするには、「炭」にする。で、「木炭」は最高の燃料だと言っていい。だが、残念、木炭製造には、原木の7割を自然せねばならないので、これが最高とはならないのだ。
いや、ある。もっと好いエネルギーが。そう、ある。それが、水力発電、風力発電、地熱発電、その他といった物理現象を利用する発電だ。水力発電は、現在まで人類に最大の恩恵を与えてきた。しかし、人間活動が高度になると、水力発電だけではエネルギーが全く足りなくなってきた。そこで、新しいエネルギー開発が必要になってきたが、困難が多く遅々として進まない。これが現状だ。なら、木炭製造を考え直すのも、有力なエネルギー開発の方法となる筈だ。とにかく、今、「太陽の缶詰」である「有機質」の出番なのだ。
2 有機質燃料の取得
ⅰ 燃料の拡大
有機質燃料は、植物性のものなら何でも燃料になる。ただ、水分が多ければ、燃えにくく燃料にはなりにくいが、乾燥すれば、ラクダの糞でもなる。現に乾燥地帯では、盛んに動物の糞が燃料とされている。
|