全体表示

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全59ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]

妻の過去は何色だ?

結婚して数年たち妻の実家に帰省した時のことだった。

サラリーマンの家と違い、年末は違った忙しさがあるらしい。

お邪魔になるからという事で日にちは2日に行くことにした。

会社に行く時よりも数段早く家を出た。

外気は正月らしさを感じさせてくれた。

駅までの道は人とすれ違うことがなくとても静かだ。

電車に乗るも乗車数はまばらでそれが品川まで眠気を誘っていた。

「ついたわよ」妻の声で私は起こされ品川駅に降りた。

駅に着くと人の数は活気のある正月に変わっていた。

「知恵さんなんで品川なんですか?」

「なんでって?」

「ほら新幹線乗るなら始発の東京駅が普通でしょう?」

「そうね。でもエキナカで買い物したいから品川にしたのよ。品川の方が馴染みがあるし」

駅ナカなら圧倒的に東京駅の方が大きいが私たちにとって品川駅の方が馴染みがあるのだ。

北から東京に来る人の玄関口は上野駅とよくいわれるが西側から東京に来る者にとって東京の玄関口は品川駅である。

「まあ私たち西側からくる人間の玄関口ですからね」私はそう言って駅ナカに背を向けて歩きだそうとする妻の肩をもち、180°回転させた。

「北は上野駅かぁ〜・・・。ねえ旦那さん、南から来る人は何駅になるの?」

「南ですか・・・・成田でしょうね」

「成田駅?」

「成田空港!」

「なんで空港なのよ」

「南って言ったらオーストラリアじゃないですか」

「東京の南って県なかったっけ?神奈川とか・・・」

「はやくお土産買いますよ。新幹線の時間もあと少しですからね」

「大丈夫よ。」こういう時はなぜか妻は焦りを全く感じない。

そしてお土産を手に新幹線を待った。

 

そしてようやく妻の実家についた。

「大変ご無沙汰しております」義父に玄関先でご挨拶をすると笑顔で迎えてくれた。

「よく来てくれたね。まあ上がんなさい。どうだ仲良くしてるか?」

「ええ・・まあそれなりに」

「そうか」そんな会話を交わしながら居間へと通された。

居間に座ると妻は私に袋から出した土産を渡した。

それを受け取った私は義父に渡した。

すると義父は受け取ってこう言った。

「そろそろこういう事やめようや」

私が返事に困っていると義父は話を続けた。

「ほらそういう間柄じゃないんだからお金もったいないだろう」

「ええ・・まあ・・・」私がそう返事を濁らあせていると妻が間髪言わず答えた。

「じゃあ来年から手ぶらで来るね。」おい、この人心から笑っているよ。

結局この年を皮切りに手ぶらで行くことになった。

私と同じお酒好きの義父に飲んでもらいたい酒を見つけたときに持って行くくらいだろうか。

「ちょっと待ってな。今から用意するから」そう言って妻と義父が正月料理を運んできた。

私は結構これが楽しみだったりするのだ。

用意された正月料理(おせち)はどこかで買われたものらしいが

なにより舟盛りと小鉢がとてもお酒に合うのだ。さすがプロである。

しかし横でプロの娘は大盛りの鳥の唐揚げばかり食べて嬉しそうにしている。

お酒を飲みながら世間話に花を咲かせていた。

「知恵、東京の暮らしはもう慣れたか?」

「うん、まあね。ゴミ出しが厳しいけどまあまあね」

「そうか」

「やっぱ東京ってすごく便利なのよ。なんでもそばにあるしテレビで見るものがすぐ行けるし」

「やっぱり東京なんだな」

そして私と義父のお酒の量も次第に進み、横にいる妻が大丈夫?といったほどだ。

「そういえば東京長いだろう?」義父が私に言った。

「そうですね。学生時代からですから」

「俺はずっとここだからな・・・」

「岐阜から出たことないんですか?」

「ギフだけにな・・・」

実家の居間は静寂が包む、私はせめて今カッコウが鳴いてくれないかと願った。

静寂を切り裂いたのは責任を感じた義父だった。

「そういえば独身の修行時代に数年東京にいた事があったな」

「あるんじゃないですか」

「居たといっても修行中だからどこかに行ったりしなかったな」

「もったいな〜い」妻は唐揚げを食べながら言った。

お昼からの会食はだんだん口数が減っていく。女子会ってある意味すごいんだなとこの時改めて思った。

すると妻が突拍子もないことを言いだした。

「ゆうちゃん呼ぼうか?」

この人はまた唐揚げを食いながら何を言っているのだ。

2日とはいえまだお正月ですから」私がそう言っても妻は聞いちゃいない。

「やつは絶対帰ってきているから絶対いるわよ」

そう言って妻は彼女に電話をした。そして笑いながら電話を切ると立ち上がった。

「やっぱり退屈していたみたいだからそのうち来るって」

そして妻は台所に向かった。

「どこ行くんですか?」私は妻の後ろ姿に向かっていった。

「ゆうちゃんのグラスと氷用意するのよ」

「今から用意したら氷溶けちゃいますよ」

私の忠告は一切無視かい!!

そして妻が一つ席を作り、その前に用意した氷の入ったグラスをおいた。

私はいくら親友でも正月に人のうちに来ないんじゃないかと思った。

そのうち来るよって言葉もその場の社交辞令みたいなものだろうと思っていた。

そしてグラスを置いて5分も経たないうちに私の考えが間違っていることを実家のベルが知らせてくれた。

「来た〜」そういって妻は玄関に出迎えに行った。

「あけましておめでとうございます♪」本当に来るんかい!!

「ゆうさんいらっしゃい」義父もご機嫌である。

ゆうさんは用意された席に座るとテーブルに置かれた舟盛りを目にして言った。

「これだから知恵の家の正月って好き!!!」ある意味私と同じ意見なので気が合うかもしれない。

食べながら騒ぐ女子二人には遠慮という文字が見えない。

正月なので二人の額に書き初めしてやろうか。

すると同じお酒を飲みながら二人の話を聞いていた義父が口を開いた。

「そういえば知恵が若い時変なことがあってな。」

「なに?」妻は言った。

「俺が友人の家に用事があって車で行った帰りなんだが昼は晴れてたんだけど夕方雨が降ってきてな。しばらく車を走らせていたとき本格的に降ってきてそろそろ家に着く頃、そこの通り沿いに昔洗車場があったんだよ」

すると妻がちょっと慌てだしていった。

「あ!その話するの?ねぇ今する?!」妻は険しい顔になったが義父は話を続けた。

「そしたらそこの洗車場をちらっと見たら雨の中洗車している人がいるんだよ。」

「雨の中ですか?」

「おう、世の中変わった人がいるんだなってその時思ってな。そんで家に着いたら1時間ぐらいたって知恵が帰ってきたんだよ」

その時の親子の会話がこうだそうだ。

「おう、どっか出かけていたんか?」

「うん、ゆうちゃんと出かけてた」

「車か?」

「ゆうちゃんに出してもらった」

「それはよかったな」

そう言って妻は自室に行き、部屋着に着替えて居間に戻ってきた。

「そういえば知恵、俺もさっき車で帰ってきたんだけどちょっとさっきの道沿いに洗車場があるだろう。そこでこの雨の中洗車してる人がいたんだよ。世の中変わった人がいるんだな〜」

そう義父が言うと妻の顔がこわばったそうだ。

「え?なんで?雨の日洗車しちゃいけないの?」

義父は予想だにしない娘の返答に言葉を詰まらせた。

「雨の日に洗車って無駄だろう」

「そうなの?なんでよ!!」

真顔で抗議する娘の姿を見て義父は悟った。

「もしかしてお前・・・」

 
 

妻はまた唐揚げを食べながら言った。

「だって約束したんだもん。ねえゆうちゃん」

そう言うとゆうさんは笑っていた。お前も共犯か!

「まさか自分の娘だと思わないじゃないか。」そして義父はその時今日以上に深酒をしたそうだ。

「なによ。雨の日に洗車しちゃいけないって法律でもあるの?」逆ギレである。

共犯者は舟盛りに手を伸ばしている。

「知恵さん、法律はありませんけどお義父さんが言ったように無駄じゃないですか」

「だって出かける前にゆうちゃんと約束したんだもんね〜」

妻はそう言うとゆうさんは笑って答えた。

「確かに約束したんだけどね。」

「なんで約束したんですか?」

すると唯一お酒を飲んでいない妻は顔を赤くし言った。これで全員顔が赤くなった。

3連チャン車出してくれて悪いから洗車するねった約束したの!!」語尾が強かった。

「私は洗車なんていいって言ったのよ。でも知恵が聞かないし綺麗になるからいいかなって・・・」お前もか!

「でも、ね〜知恵。ワックスはやめようねって言ってやらなかったもんね」

するとゆうさんが思い出したように言った。

「そういえば知恵ドブに落っこちたことあったじゃない。それよりマシよね」

「あ〜それいう?」妻とゆうさんが戯れている。

すると義父が感慨深くつぶやいた。

「そんなこともあったな」

「あなたなんでドブなんかに落っこちたんですか?」

「それがね・・・」ゆうさんが話し始めた。

「下校中ドブがあってね。それが結構大きいのよ。高さが1mくらいあって・・・」

「違うわよ。上がるの一苦労したんだから1m50はあったわよ」妻が言った。

「どぶ川ですか」

「それでね知恵がねそのどぶの中に光るもの見つけたのよ。」

「ほう」

「それで知恵が小石探してそれ目掛けて投げ出したのよ」

「なんでそんな事したんですか?」私が妻に聞いた。

「あの時ね。鏡かガラスかなって思ったんだけど違かったら大発見じゃない?」

「なにがですか・・・・」

「だってドブの中に光るものよ!」意味がわからない。

そして妻が当時を語りだした。

「それでね。石に当たって割れたらガラスか鏡じゃない。動いたりしたら驚くじゃない」

この人は正月に一体何を言っているのだろうか?私はそう思ったがしかしここは完全アウェー、黙って聞き続けることにした。

するとゆうさんが当時を思い出したのか笑いながら言った。

「いまでも思い出すわ。はははっは〜」

周囲も釣られて笑い出す。もらい笑いである。

そしてゆうさんがヒーヒー言いながら話を続けた。

「知恵ったらね。なかなか当たらないもんだからおりゃ!とかそりゃ!!とか言いながら石投げてたんだけどそしたら、ああああ!!!!って叫んで投げた石と一緒にドブの中に飛んでったのよ」ゆうさんは言ったあとバツのわるそうな妻のとなりで寝っころがりながら体をよじっている。

「それであなたは大丈夫だったんですか?」

「大丈夫なわけないじゃない。もう制服ドロドロよ」

「制服?制服っていくつの時の話なんですか?」

「中3」妻が笑い転げるゆうさんの横でうつむいて答えた

この記事に

開く コメント(0)

妻の知らない私の秘密

部屋で妻が珍しく読書をしている。

よく見たら映画の台本である。

また宝塚歌劇団の相手役を強要されるのかと思っていると妻が私の方をじっと見つめている。

「どうかしましたか?」

すると妻が私に言った。

「旦那さんってバツ1だったの?」

私は何故そんなことを妻が突然言いだしたのか理解できなかった。

「私がバツ1?なんでですか?」

「だってここに書いてあるじゃない」

映画の台本を見るとそこには私がバツイチの設定になっていた。

「確かに書いてありますね」

「ええ!!旦那さん私と結婚する前、どんな人と結婚してたの?離婚?死別?」

一体この人は何を言っているのだろうか?

妻は興奮気味に質問を畳み掛けてくる。

「離婚って性格の不一致とかなの?私前妻のお墓参り行かなくていいの?」

早口の妻に私は言った。

「それ映画の設定ですよ。そもそも私がバツ1かどうかはあなたが一番よく知っているでしょう」

「なんでよ!!」

「あなたは私より私の戸籍を扱っている事が多いじゃないですか。婚姻届もあなたが出してきたんでしょう」

「そういえばそうね・・・」

人はこうやってゴシップを鵜呑みにしていくのだろう。

「びっくりした!!」

こっちがびっくりしましたよ。

「でもね。別に旦那さんがバツ1でもバツ2でも私構わないわよ」

「そうですか」

「でもこれ読んでスマップの解散聞いた時より驚いたわ」

私も驚きましたがそんなこと気にしちゃいないご様子だ。

そして妻はまた映画の台本を読み始めた。

 

私はテレビを見て暫くすると何か嫌なものを感じ。その戌亥の方角に目を向けると

妻がまたこっちをじっとみつめていた。

「なんですか?」妻に言った。

「旦那さん・・・いつ転職したの?」

「私がですか?」

「そういうのって家族で話し合うものでしょう?それにいつこんな事できるようになったの?」

「私転職なんてしていませんが・・・・こんなことって?」

「ここにシステムエンジニアって書いてあるもん」

やはりちゃんと言うべきか・・・・。

「知恵さんそれもね、映画の設定ですよ。映画のお話」

そう言うと妻は何かに気づいたようですこし恥ずかしそうにしていた。

そして何かを誤魔化そうとしたのか、そばにあったタオルを頭に巻きだした。

「インドの人って毎日大変ね」

「人口も爆発的に増え、治安も悪いらしいですからね」

私のテレビを見ながらしたそっけない返事が妻を居た堪れなくしていた。

そして耐え切れなくなった妻は奇声をあげた。

「や〜〜〜夏は暑い!!!!!」

「あんたクーラーの下で何騒いでいるんですか」

「え?いや〜夏かな〜って・・・・」

今はもうお盆を過ぎていた。

じっとしていられなくなった妻はムクッと起き上がり、突然側転をし始めた。

「あなた部屋狭いんだから危ないですよ」

この人は一体何をしているのだろう?そんな顔で妻を見る大和に近づき、抱き上げた。

「大和君、ご飯食べる?」

「大和はさっき食べたばかりですよ」

抱っこが基本嫌いな大和は妻の腕を数発蹴って飛び降りた。

「知恵さん、ちなみに小町もさっき食べたばかりですからね。そっとしておいてくださいね」(いまタンスの上でお休み中だし・・・)

「はいカット!!!!」妻はそう叫んで心に踏ん切りをつけ寝てしまった。

 

どうも今日の夕飯は私が作ることになりそうだ。

 

この記事に

開く コメント(10)

とらわれ


生まれた時からすべての疑問が答えを告げられているのだろうか?

 

休日、私はのんびりリビングで寝そべっていた。

すると妻が私の背中越しに何かを言っているので耳を傾けた。

「今からスーパー行ってくるから大和くんと小町さんをよろしくね」

「はい。わかりました」そう返事をして振り向くと妻はこのクソ暑い夏にサングラスにマスクをしていた。

「あなたスーパーを襲撃しに行くんですか?軽く10年はあなたと会えそうにありませんね」

「なんでよ!買い物に行くに決まってるじゃない!!」

私は妻の格好を改めて見るとTシャツの上には長ぞでの上着を羽織っていた。

「サングラスはともかく、なんですかその松岡修造よりも暑苦しい格好は?」

「ほら映画が決まったじゃない。なんかバレたら嫌じゃない」

私は神父よりも優しい目で妻に近づき、牧師よりも通る声で妻に言った。

「あなたは大丈夫」

「わかんないじゃない。私サインくださいねんて知らない人に言われたら腰抜かして帰って来れなくなるわよ」

私はゆっくり妻の両肩に優しく手を置き、妻を見つめていった。

「あなたが知恵さんって誰も知りませんよ(本名違うし)」

妻は数秒間微動だにしなかったがなんとなく謎が溶けたのかゆっくりマスクを外して言った。

「かしかに一理あるわね・・・」自意識過剰もいいところである。

「それに今の格好でスーパー行ったら今のご時世間違いなく警察呼ばれてスマホで撮影されますよ」

「ええ!!ユーチューブとか流されちゃうのかな。いや〜〜〜〜すっぴんだし無理」

よくわからんがとりあえずマスクとサングラスは外して行くことにしたようだ。

妻が玄関に行くと大和と小町が見送りに向かうため音を鳴らして階段を降りていった。

「おかあちゃんすぐ帰ってくるからね。元気にしてるんだよ」

テレビをつけない家の中にそなん声が流れた。

しかし5分たっても玄関を開けた音がしない。

不思議に思い、私も玄関にいってみると妻は大和を抱きしめていた。

「あなた何してんですか?」

「だって大和くんと小町さんが寂しそうなんだもん。」

「それではいつまでたっても買い物行けませんね」

「だったら旦那さんが行ってきてよ」

ヤブヘビである。

「私だってそれなりに忙しいんですよ」

「何があるのよ?」

「なにって・・・もう少し経ったらビール飲まないといけないし・・・」

「・・・そんなもの飲まんでよろしい!お金かかるし」

そしてエコバックを渡された。

大和、今笑わなかったか?

結局私が妻に言われたことを記憶してスーパーへと向かった。

牛乳に卵に・・・89円のアイス2つと・・・・。

渡された1000円は200円以上残すほどである。

スーパーで買い物するたびに思う、コンビニって高いんだな。

 

家に帰り玄関を開けると妻は久々にご機嫌で死んでいた。

妻の死体の上に大和と小町が乗っかっていた。

幸福死である。

そんな頭の先からバラが咲いている死体などに興味はなく、

横を無言で通りすぎ、買ってきた牛乳や卵を冷蔵にしまった。

 

ついでに冷蔵庫から発泡酒を取り出し、ソファに越しかけた。

発泡酒を飲みながらソファに座ったままテレビを見ているといつの間にか大和が座っていた。

「あなたがお酒飲めるといいんですがね」

(ニャー:それ飲むとどうなるの)大和が私の顔を視線をそらさずじっと見つめている。

「あなたがもし飲んだら死んじゃうでしょうね」

(ニャー:じゃあそれ僕飲むとお母ちゃん悲しむね)

だからあなたは飲めないんですね。まあ、そういうことです。

そんな会話を大和と交わしていると妻が小町と一緒に階段を上ってきた。

そして妻は冷蔵庫を開け、私が買ってきたものを一通りチェックすると腕を組み、右手の人差し指をこめかみにあてた。

「・・・今日はホワイトソースのショートパスタね」

お前は献立を考える古畑任三郎か!

「良いですね。今日はこってりしたものが食べたかったんですよ」

そして妻は準備をしようとするといつの間にか1階に降りた小町が鳴き出した。

(ミャー)

「小町さん〜今行くね」そう言って妻は小町のもとに小走りで向かった。

多分ふみふみタイムである。

その妻の跡を大和がついていく。

私はというとテレビを見ながら発泡酒を飲みだした。

そして下から3匹の猫の鳴き声が聞こえてくる。

3匹の大合唱である。

最近はどの声が妻の鳴き声かわからないほどである。

むかし妻が言っていた「私猫語話せるのよ」はまんざら嘘でもなさそうである。

 

 

 

 

この記事に

開く コメント(7)

https://blogs.yahoo.co.jp/matsuda_yuki07

小説のブログです。
お暇な方はぜひ立ち寄ってみてください。

この記事に

開く コメント(6)[NEW]

砂糖と甘えん坊

言葉というか口調はその人の個性である。

ブログでは私が書いているときは多少はしょったり、アレンジしているが

妻の普段の口調は結構独特である。

特に大和と小町としゃべる時はだいたいリズムに乗っている事が多い。

例えば、大和がご飯を食べているとき

「ご飯はたのしいね〜ご飯はおいしいね〜」と音程が付いている。

その中で妻の好きな言葉と思われるのがいくつになっても甘えん坊〜である。(軽いモノマネ込)

これはもちろん間寛平さんの持ちギャグである。

この言葉が大好きらしくよく耳にする。

大和が妻に甘えてすり寄ってくると妻は抱っこし、この言葉を連呼する。

ただこのフレーズは時より耳障りな時が有る。

サッカー等テレビを見ていて決定的チャンスが訪れ緊張が高まる中、

横で大和を抱っこし、「いくつになっても甘えん坊〜いくつになっても甘えん坊〜」と言われると

半分興ざめしてしまう。

ちょっと向こうでやってくださいと言うとお父ちゃんに邪険にされちゃったねと大和と小町に告げ口されてしまった。

「大和君、小町さん向こういこう」と言って妻は二人を連れてリビングから姿を消した。

こうなると気になってサッカーを楽しく観戦などできなくなる。

それでもしばらく見続けていると大和がゆっくり歩いて現れた。

そしてテレビの横に妻が段ボールで作った大和小町用のくつろぎの椅子に飛び乗り丸まってこっちをじっと見ている。

その視線に気づき私も大和を見つめた。

人間視線を合わせるとどちらかが「なに?」もしくは「なんですか?」などと言葉を口にするものだが

お猫様は無言のままである。しかも視線を反らす事はしない。

堪り兼ねて私の方から大和に声をかけた。

「大和君なんですか・・・」当然大和は何も言わず私をじっと見つめ続けている。

サッカー観戦に集中することができない。

すると大和は椅子から飛び降り、キッチンへと向かった。

これで静かになるのかなと思ったのもつかの間。

大和がキッチンで鳴き出した。明らかに何かをアピールしている。

しばらくほっておいても泣き止まないのでキッチン行ってみると大和はご飯のしまってある引き出しの前に座っている。

彼はここにご飯が埋蔵されている事を知っている。

しかし我が家はキャットフードはいつでも食べれるように常備されている。

それを跨いでここで鳴くと言う事は彼の目的がなんなのかすぐにわかった。

ウェットフードである。

ウェットフードは特別な時かドライが飽きそうになった時にしかあげない事になっている。

しかもウェットは妻が昨日与えたばかりだ。

一生懸命撫でてもドライフードに促してもやはり引き出しの前で鳴くのであった。

このままではサッカーが終わってしまう。

仕方ないので私はこっそりあげる事にした。

「この際だ、目をつぶろう。ただしちょっとだけですよ」

そう言って大和にウェットフードを用意した。

待ちきれない大和は私に纏わり付く。

なんとか用意ができ、お皿を猫膳に置いたら大和の横に黒い影が・・・小町である。

「小町さんいつのまに・・・」猫はとても耳がいい。

仕方ないので小町の分も急いで用意する。

「お母ちゃんには内緒だぞ」そう言って小町の前にお皿を置いて低い体制から体を起こすとなにか強い視線を感じる。

壁から半身を隠して妻がこちらの様子をジッと見つめていた。

「いや〜・・まあ・・・HAHAAAA〜」夏らしくカリフォルニア風に笑って誤摩化そうとしたが時既に遅く、

「旦那さんなにしてるの?」半身の妻は怖いものがある。

「ちょっと大和がおなか空いたって言われたのでリトアニアの風習に従ってあげてみて・・・」

すると妻は近寄ってきて一生懸命食べる大和と小町の横に座り二人に向けていった。

「良かったね〜おいしいごはんお父ちゃんにもらって。ご飯はたのしいね〜ご飯はおいしいね〜

そう言い終えると私に向けた表情はネバダ州で5本に入るギャンブラーのようだった。

「旦那さんわたしもなんか食べたいな〜」

「冷蔵庫にアイスがあるでしょう」

すると妻は次に私には理解できない言葉を発した。

「アイスが乗ったクレープが食べたい〜」

自宅でクレープなど作れるわけがない。そう妻に伝えると妻は不敵な笑みを浮かべた。

「旦那さんうちにホットケーキの粉があるのよ」

「それがどうしました?小麦粉だって片栗粉だってありますよ」

「違うもん。ホットケーキをフライパンで薄く焼けばクレープができるもん」

クレープってそういうもんなんですかね。

仕方がないのでコーヒーを飲みながら偉そうにソファに横たわる妻のためにクレープに挑戦してみた。

とりあえず卵焼きを作る要領で焼いてみたがなんとか形になってきた。

店のような薄さはないがとりあえず薄いホットケーキアイス乗せができた。

妻の前にお皿を置くと妻が口をあけてまっている。

「あ〜ん」どうも口に運べて言っているらしい。

「自分で食べてくださいよ」

それでも口を開けてあ〜んとボリュームをあげ言い続けている。

小町にそっくりである。

仕方がないので一口分だけくちにはこんだ。

「はいどうぞ・・・」

妻は嬉しそうにたべている。

すると妻はまた口を開けあ〜んと連呼している。

「そうやってローマは滅びて行ったんですよ」

妻は聞いちゃいなかった。

そしてまた口に運んであげた。

また嬉しそうにたべている。

結局全部食べ終わるまで口に運んであげた。

そしてサッカーの試合は終わっていた。

 

この記事に

開く コメント(4)

全59ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]


.


みんなの更新記事