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土生神社・森からの手紙・令和元年初夏号           
 『令和』の御代の始まりに
         土生神社宮司 阪井健二 
 
 天皇陛下の御譲位により新帝陛下が御即位され、令和と改元されて新しい御代が始まりました。
 御代替りを奉祝すると共に新しい御代の皇室弥栄 国土鎮護 国家安泰 世界平和を祈念させて戴きます。
 
 土生神社では天皇陛下御即位の奉祝行事を三日間にわたり氏子の皆様をはじめとする心ある多くの方のご奉賛のもと盛大に行わせて戴きました。ご協力戴いた皆様ご参加戴いた皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
 当社では平成二十九年度に明治百五十年記念事業を行い、神門の屋根瓦葺き替えと玉垣建立を行いましたが、明治維新を経て近代国家として生まれ変わり発展することで激動の世界情勢からこの日本の国を守ることが出来、今日の私達の社会と生活があることへの感謝の心を込めさせて戴きました。
 この土生町には明治三十一年十一月十五日明治天皇が行幸され、陸軍大演習を天覧されました。その駐蹕記念碑が土生中学校に隣接する地に建てられていますが、その後の日本が世界大戦も経験し、大きな時代の流れにこの地域も巻き込まれていったのをその碑は見守ってきて戴いたことでしょう。その日本の歩みの中には今日から見ると過ちもたくさんあったかと思われますが、長い歳月西欧諸国の植民地支配に置かれていたアジア諸国が独立をするきっかけを日本が作ったと感謝されているアジアの国の人達も多いのも事実です。
 何よりこの長い歴史と伝統がある日本の国が存続出来たのも過ちもおかしながらも先人が大変なご苦労をしてこの国を守って戴いたおかげであり、 ただ過ちだけを見てすべてを否定するのは間違いだと思います。
 その先人が守り伝えて戴いた日本の国の始まりは、それぞれの土地に生活の場を求め、その土地の神様(産土神)を祀って暮らし始めたことにあると言えます。その土地の地形や気候など自然の条件に従って生活をし、その土地の恵みを戴いて暮らすことがその土地の神様と共に暮らすことであったのです。そしてそれぞれの土地や地域に分かれていたクニを一つの国として統一していく基になる国を神武天皇さまが建国され、今日まで連綿とその歴史が続いているのです。ちなみにその神武天皇さまを祀る肇国(てふこく・はつくに)神社が土生神社の本殿のそばに祀られています。
 土地はその土地の神様のものである。それが日本人の基本的な考えであることは今日でも建物を建てる時にまず地鎮祭を行ってその土地の神様の許しを戴き感謝する祭を行うことに現われています。そしてそれぞれの地域に地域の人によって地域の神様が祀られ大切に守られていることが私達の国の基本と言ってよいでしょう。その土地の神様にその土地で生活させて戴いていることを感謝することが地域の人の心を一つにする大切な要であったのです。
 それを一つの国として大きく守ってきて戴いたのが天皇陛下の存在です。神武天皇さまは人間社会の統治者としてだけ国を建てられたのではなく、この国土に宿る神様の霊を受けられて建国されたのです。もしも天皇陛下の皇位継承がどこかで途絶えていたら、外国の信仰や思想に支配されて、その土地の神様に感謝して暮らすというわが国の基本的なあり方も途絶えていた可能性も高いのです。
 天皇陛下が統治されるということは神様が統治されるということであり、神話に伝えられている天壌無窮の神勅によって天皇陛下に委ねられているということです。それは本来は人間の力に驕らない、大自然に生かされているということを踏まえながら政治を行うということです。
 現在は天皇陛下と政治は切り離されていますが、政治権力の上に天皇陛下を戴いているのはどんなに地上世界を人間が統治しているように見えてもほんとは人間の力を超えた存在によって人間の命も産み出され、大自然によって生かされ、宇宙の法則に従って生きていることを忘れないように人間のおごりを慎むことを大切にする国柄を現しているのです。
 その国柄を大切にする私達保守の立場は目に見えない世界(神・霊・心・魂・精神)に立脚して目に見えるこの世界を大切にする立場であり、目に見えない世界と目に見える世界をつないでいるのが大自然であって、その大自然への畏れと感謝の気持ちを持って助け合って生きる国 現在はその国民統合の象徴が天皇陛下とされています。
 人間のおごりと言えば戦争をすることなど最大のおごりではありますが、世界にはまだまだお金と力によって世界を支配しようとする考えや国や人があふれています。いくら理想だけ追求していても平和ボケしているとたちまちお金や力で支配しようとする世界の価値観に日本も奪われてしまいかねません。それではどんなに世界平和を日本が訴えたところで虚しいものです。
 まずは自分の国は自分で守る意識を持つ国であるように憲法も改正して、日本の国を守ることが世界の平和を守るという意識を国民の全てが高めていけるように努力すべきです。
 御代替りに平成を振り返るとまず思い起こされたことが平成七年の阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件でした。天皇陛下御即位奉祝行事で東京より地下鉄サリン事件被害者の会代表世話人の高橋シズヱさんにお越しいただいてお話戴きましたが、優秀な若者がどうしてあのようなカルト集団に巻き込まれ事件を起こすことになったか、あらためて考えると日本の国が長い歴史で伝えてきたものを知識では教えられてもその心を伝えられていなかったからではないかと感じます。
 新しい令和の御代を天皇陛下の存在を戴いて決して人間の力におごることなく大自然に従って生きながら真の世界平和に近づいていけるように地域からの取り組みを助け合って進めていく時代にしたいと願っています。氏子の皆様ご縁のある皆様のご指導ご協力をよろしくお願い申し上げます。

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