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土生神社・森からの手紙・平成二十一年中秋号
今年の例大祭を終えて
土生神社宮司 阪井健二
今年の例大祭を滞りなく終了させて戴くことが出来ました。ご協力戴きました氏子の皆様をはじめご関係の皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
御祭礼も台風一過の天候に恵まれ、地車の曳行には最高の日が与えられたのではないかと思います。
先日の台風十八号では枯れ木が本殿横に倒れるという出来事がありましたが、強い台風が来るというので境内に総代世話人によって掲げて戴いた提灯を一旦おろして台風に備えました。どんなに人間の力でお祭の準備をしても神様が条件をそろえて戴かなければお祭を行うことは出来ません。台風一過後あらためて謙虚な気持ちで飾り付けをして今年のお祭の日を迎えさせて戴きました。
郷土 地域 町を護って戴いている氏神様や地域の先人達に感謝し手を合わせる その気持ちの結晶がお祭であり地車です。神様に手を合わせて地車を曳き出し、例大祭式に謹んで拝礼し、地車を曳き終ったら最後にもう一度神様に手を合わせる それが御祭礼というものであり、神様に手を合わせる気持ちがなければ地車を曳いてもただのイベントで何の意味もありません。それはお祭でなくお祭騒ぎです。
今年の例大祭を迎えるにあたり、土生町祭礼各団体が集まる町会主催の懇親会の前に少し時間を戴いて神社の由緒とお祭りをすることの意味についてお話をさせて戴きました。私の話は拙いものでしたが、お祭の前にみんなでその本来の意味を確認することはとても大切なことだとあらためて感じました。そして曳き出し前の安全祈願祭の時、「土生町と土生神社の歴史と伝統を氏子の皆さんが担っての大切なお祭りですから、感謝と誇りの気持ちを十分にこめて行って戴きますようにお願い申し上げます。」と挨拶させて戴きました。その曳き出し前の安全祈願祭もただの安全祈願ではなく明日に例大祭の本宮を迎えることを神様に奉告しお願いする宵宮のお祭りなのです。だから宮司は梃子祭と違って石段を上がり本殿前で祝詞を奏上するのです。
その宵宮の一週間程前突然三十人組の代表が神社の御札を戴きたいと訪ねてこられ、翌日代表十数名が揃ってお参りされお祓いの後御札を受けられました。お祭りの当日町会館でお昼をよばれた時町会長様が二階にというので行ってみると、三十人組の詰め所の部屋に大切に御札が祀られていて感動しました。特に今年の組長はすばらしい人でしたが、このように神様を敬う気持ちが若い人に受け継がれている限り土生町は大丈夫だと思いました。
ところで今年の十月祭礼年番長を務められた札本惣太郎氏のご挨拶に「岸和田地車祭りの始まりは、元禄十六年(一七〇三年)に岸和田三代藩主岡部長泰公が、岸和田城内三の丸に京都伏見より稲荷社を勧請されて三の丸神社がご鎮座になり、領民に参拝を許したことに始まります。この岡部長泰公のご子孫にあたられます岡部長禮氏は伊勢市の外宮の一社の城田宮宮司をされています。今年も昨年同様に宵宮旭・太田地区五町パレードに、ご先祖の始められた地車祭りの各町の地車のお魂に、宮司の正式衣装にご装束を改めて感謝の意を込めご拝礼されます。」とありました。私も岡部様には何度かお目にかかったことがありますが、宮司様ですから土生町で地車をご覧になられるなら当然まず地元の氏神様にご参拝されるものと思って神社でお待ちしていましたが、ご参拝はありませんでした。宮司様でなく藩主のご子孫としてそこに座っておられたのだなとわかりましたが、私はそんな席に呼ばれることもないし、また呼ばれても座るべきではありません。安全委員さんのように立ちっぱなしで警備に当たってくれている人もいるわけですから、宮司はなるべく神社にいて氏子の皆さんが無事にお祭を行うように祈っているべきでしょう。ちょっと様子を見に行かせて戴くことはありますが、極力宮司はお祭りの間神社にいるべきだと思っています。
神社は氏子の皆様のものであり、お祭は氏子の皆様が行なうものです。宮入りに地車の前に宮座の一老さんが乗られますが、この神社の伝統を一番背負っておられるのはその宮座の座老さんです。社会状況の変化と共に氏子に代わって宮司が神様に近いところでの奉仕はさせて戴いていますが、宮司というのはその奉仕の働きをさしていう言葉で、一番後ろから神様のお手伝い 氏子のお手伝いをさせて戴くだけです。宮司は常に神様と共に 氏子と共に歩むその働きがあるだけで、胡坐をかいて座る席はないのです。
東岸和田でのパレードでは修斉地区の地車が土生神社の横を通過して土生町内で曳行されるということで、今年からは前もって修斉地区祭礼委員会の代表 今年は阿間河瀧町奥町会長様が土生神社にご参拝され、御神酒とお米と玉串料をお供え戴きお祓いを受けて戴きました。その上で各町地車が土生神社横を通過する際一度は地車を留めて神様に敬意を表されました。特に葛城町の上田総括責任者様は三度のうち二度その他の代表者と共に地車をわざわざ降りて鳥居前で神前に向かい二礼二拍手一礼の立派なご拝礼をされました。葛城町は新興町で氏神神社を持ちませんが、地域の神様に護られていることに変わりはなく、地域の歴史と伝統に敬意を表しつつ地域の御祭礼に参加されることは意義の深いことだと感じています。
試験曳きの二日前突然旭小学校の亀井校長先生からお電話を戴き四年生がだんじりのことを調べているのでお祭りの話を学校に来てして戴きたいとのご依頼を戴きました。何の準備もないまま試験曳きの翌日学校に伺い四年生全員にお話をさせて戴きましたが、うまく話はできませんでした。お祭の時地車を曳いている子供達から声をかけられ、お話はどうでしたかと聞くと難しかったとのことでした。ただ子供達とふれあいのひとときを持つことが出来たのは意義のあることでした。そして現在の校長先生が心の教育の大切さを知っている素晴らしい先生であることを知ることが出来ました。
宮司は毎日氏子に代わって神様にお供えをしお祭をしています。氏子は毎日お祭は出来ませんから一年分の感謝の気持ちをこめて例大祭を行い地車を曳くのです。勿論氏神様の例大祭ですから地車を曳く人だけでなく氏子すべての人のお祭です。地車だけでなく氏神様の例大祭としてこれから盛り上げていきたいと願っています。
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