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土生神社・森からの手紙・平成二十二年夏号
 
みんな一人じゃない 
ふるさとに共に花を咲かせよう
          
土生神社宮司 阪井健二
 
 暑中お見舞い申し上げます。
 いつもお世話になりましてありがとうございます。
 今年も暑い夏がやってきました。ご健康に十分お気をつけられてお過ごし戴きますようにお祈り申し上げます。
 
 さて現在大きく変貌していっている地域の姿ですが、東岸和田駅前の再開発である東岸和田駅前東地区防災街区整備事業で工事の間仮店舗で営業されていたお店が新しく入る場所の工事のお祓いをさる七月六日行いました。
 こうして地域の外観は変化していくけれど大切なことは何も変わらない そのことを見つめるためにも節目にお祓いをし神事を行うことの意義を感じます。
 
 しかし今回の再開発で駅前には地域の昔をしのぶものが何もありませんので、神社の境内に長年放置されていたもともと小栗街道に立てられていた道標を駅前の一角に移設し土生の旧道についての説明版を設置するように現在町会を通じて交渉中です。たったひとつの道標でも過去現在未来を照らす小さな光になればと思います。新しい街がこれまでの地域の歴史と断絶して生まれたものではないし存在するものでもないことを感じ取ってもらえたらと願っています。
 
 今年は駅前が大きく変貌する年であると同時に土生神社創建九百二十年の記念の年としてふるさととしての地域を見つめ直してみようとさまざまな企画をたて実施しています。
 
 その一環として六月に中越地震被災地訪問ツアーを実施しました。天神さんの使いである牛や牛神さんも祭る牛と縁が深い土生神社から現在でも伝統文化の中に牛と人の係わり合いが残る山古志を訪問したというわけです。
 
 平成十六年十月二十三日午後五時五十六分発生した中越地震で山古志村は全村避難となり、村の伝統文化や産業に関わる牛や鯉も大きな被害を受けながら一時村から避難しました。しかし村の伝統行事である闘牛は避難先でも仮設の闘牛場で実施されました。その伝統の力があったからこそ山古志の人達は自分達の村に戻ることが出来たのでしょう。
 私は今回が五回目の山古志訪問でしたが、闘牛は初めて見せて戴きました。映像では見たことがあって長く見ていると退屈になってくるものでしたが、生で見ると全然違って大変迫力のあるもので長時間見ていても飽きないものでした。山古志の闘牛は神事の意味もあって勝敗を決めない世界でも稀な闘牛です。そこには結果だけで判断しない大切な意味が隠されているように思えました。
 地震まで小千谷の闘牛と一体化して行っていましたが、地震で避難した山古志としなかった小千谷には復興の過程に大きな違いが出ました。それが今回の口蹄疫の問題に対する対応にも違いが出て、小千谷は闘牛を中止したのに対して山古志は防疫対策を厳しくした上で闘牛を続行し宮崎県を応援する大会としました。実際私達が見学した当日も会場に入る車をまず消毒し入場する際にも一人一人消毒をしました。受付には宮崎県への義捐金箱が置かれていました。全村避難から村に戻り復興を成し遂げていっている山古志だからこそ口蹄疫にも攻めの姿勢でのぞみ宮崎県の応援もするんだという前向きの力が生まれてきているのでしょう。
 
 今回も牛持ちの親方として、また地域のリーダーとして山古志の復興を引っ張ってきた松井治二さんと交流をさせて戴きました。松井さんの住んでおられた木篭(こごも)地区は地震の山崩れで芋川が堰き止められ水没した集落です。今でも松井さんが地震まで住んでおられた三階建ての家が二階まで土砂に埋もれた姿で残っています。水没した集落を見下ろすように松井さん達の新しい家が建っています。松井さんが「いい条件で集団移転の話もあった。でも私達はそれを断ってここに戻ってきた。私達が戻ってこなければここに誰ももう帰ってこないしふるさとがなくなる」と言われました。私はその言葉を聞いて思わず涙が出そうになりました。
 松井さんにお声をかけて戴いて私達は水没した集落の跡地に降り立ちあやめの苗を植えました。住んでいた人にしてみればつらい集落の跡地に違いないと思いますが、そこに松井さんと一緒に花を植えていると感動の思いがこみ上げてくるのを抑えることが出来ませんでした。自分達だけの幸せを考えればもっと住みやすい土地もあるかも知れません。でもたとえ一輪の花でもみんなで一緒に力を合わせて植えればそこにはみんながいつでも帰ってくることの出来るふるさとが生まれるのだと感じました。
 
 翻って私達の地域はどうでしょうか。水没したわけではないけれど新しい街並みにふるさとと思える風景がどこかに沈んでしまったようにも感じられませんか?
 
 でも土生町には大切に残していきたいたくさんの文化遺産があります。その柱の一つに岸和田市の無形文化財にも指定されている土生鼓踊りがあります。室町時代から伝わるという雨乞いの踊りである鼓踊りは現在土生町の八月の盆踊りで踊ります。鼓踊りの保存継承の柱が鼓踊り保存会ですが、会員が減少し今後の継承が大きな課題になっています。去る七月五日旭小学校に保存会が出向いての鼓踊りの授業に参加しましたが、五百年伝わる伝統の踊りを未来に生きる子供達に伝え一緒に大きな輪になって踊っていると何とも言えない感動がありました。
 山古志の松井さんが言われた伝統文化を私達が守ったのでなく、伝統文化が私達を守ってくれたのですとの言葉通り土生鼓踊りも必ず土生町の地域を守り暮らしを守ってくれる力になるはずです。
 
 自分達だけの幸せを求めてただ地域に暮らすのではなく、みんながここがふるさとだといえるものを残していきたいと思います。地域の歴史や伝統に根ざしながらみんなで共に一輪の花でも咲かせていきたいです。地域は一人で生活するところでも孤立するところでもなく、みんなが共に生きるところだから、そんなふるさとと言える地域をつくっていきたいですね。

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